大舞台での優勝ならず 風雨のレースを3名が完走

自転車

 全日本選手権ロードレースが伊豆大島で開催され、大会3日目に男子U23個人ロードレースが行われた。朝から激しい風雨に見舞われ、11.9キロのコースを10周回することろ8周回に短縮してスタート。ワセダは孫埼大樹(スポ2=京都・北桑田)、中川拳(スポ1=北海道・帯広三条)、金子智哉(商4=神奈川・相模原)が完走したが、1位から約10分30秒遅れてのフィニッシュとなった。

 大島西海岸コースはスタート直後から登りが始まる。道幅が狭く上り道の途中で集団が分断されることを予想した孫崎は、集団前方に位置を取る。2周回、隊列を組み走行する鹿屋体大が先頭、つづいて孫崎もスタート・フィニッシュ地点を通過。「20名くらいに絞れ始めてからが本当の勝負」(孫崎)と仕掛けるタイミングをうかがっていたが、上り区間で孫崎含む落車が発生してしまう。「そこが勝負の分け目だった」と金子が言うように、この時集団が2つに分断。15名の先頭集団に残れなかったワセダは序盤から追う展開を余儀なくされた。

上り区間、雨に打たれながら走る中川

 中川は第2集団、金子、落車から復帰した孫崎は第3集団で3周回に突入。先頭集団と第2集団のタイムギャップが約20秒まで縮まった時、中西健児(同大)が飛び出し、上り区間でブリッジを成功させる。中川は自分の脚質は登り向きでないと言うが「トップ集団に加わるためにはあのタイミングで行くべきだったと思います」と振り返った。後方集団を抜け出すことができないままレースは進み、4周回では先頭集団と第2集団との差は約2分30秒に広がる。全長5キロの海岸線区間では暴風雨の影響でペースが上がりづらいためか、その差は周回ごとに開いていった。

海岸線区間を抜けフィニッシュ地点へとこぐ孫崎

 レースはその後大きく動くことはなく、小林海(Team KUOTAC.PAULINO)が1位でフィニッシュ。小林から約10分30秒差で孫崎23位、中川29位、金子30位となった。それぞれ調子を上げ臨んだことしの全日本ロードだったが、優勝争いにからむことはできなかった。ほんのわずかな弾みで落車は起き、それがレース展開を大きく左右する。運によっても大きく明暗が分かれるのがロードレースだが、力をつけることでしか勝利に近づくことはできない。8月の全日本大学対抗選手権は刻々と近づいている。実力が運を呼び寄せるような、強い走りをそこに見たい。

(記事 曽祢真衣、写真 茂呂紗英香)

結果

▽男子U23個人ロードレース(95.2キロ)

孫崎大樹 23位

中川拳 29位

金子智哉 30位

塩田航平 DNF

納家一樹 DNF

岩田宗也 DNS

コメント

金子智哉(商4=神奈川・相模原)

――本日のレースを振り返っていかがですか

自分としては入賞を目指していたので30位ということで、最後メーン集団の中でも上位を争うことができなかったのでふがいない結果だったと思います。

――レースプランはありましたか

レースプランは有力選手がアタックをしたらどんどん付いていく、積極的に走っていこうと考えていました。

――大島という慣れないコース、また悪天候という状況はどのように影響を与えましたか

大島は上りがすごく長く、自分は上りには得意意識はあったのですが、一方で下りが苦手で、下りがかなり怖いコースだったので不安がありました。あとは天候に関しては、雨の日は割と好きなのでそこは心配はなかったです。

――就活の影響で練習があまりできていないと聞きしましたが、コンディションはいかがでしたか

この大会に向けて最近は練習も始められ、調子も上がってきていたのでいけるかなとは思っていたのですが、力不足でこの結果になってしまいました。

――今回の大会で課題は見つかりましたか

きょうは、自分の力不足はもちろんありますが、それよりも自分が1回集団の後ろの方にいたせいで落車でストップしてしまい、逃げを追えなかったというのがあります。それで結局最後まで決まってしまい、そこが勝負の分け目だったと思いました。このコースはすごく道も細く、序盤の方は前に位置取りをしないと逃げに反応できないので、位置取りが今回の結果につながってしまったと思います。

――ロードの選手にとって全日本大学対抗選手権(インカレ)という重要な大会が控えていますが、それに向けての意気込みを教えてください

インカレロードは学生で最後の大会で、自分もそこに気持ちを持っていっているので、自分がエースとして走ることになれば優勝を目指して走りたいと思っています。

孫崎大樹(スポ2=京都・北桑田)

――レースを振り返っていかがですか

調子も良くて、1周目の感じからしても表彰台も見えていたのですが、落車してしまいました。暴風雨で危険なのは分かっていたのですが、隣の選手が斜行してきて、対応したら滑ってしまってどうしようもなかったですね。ことしの目標でもある日本一、本気で狙ってきていただけに悔しかったです。

――レースプランはありましたか

スタート後すぐの登りは狭くて中切れが起こることはわかっていたので、最初から先頭付近でレースを進めて、20名ぐらいに絞れ始めてからが本当の勝負なんでそこまで我慢して、そこから仕掛ける予定でした。

――レース展開で良かった点を教えてください

初めから先頭付近を陣取れ、その付近にいた選手が17名の勝ち逃げに乗っていたので、自分の予想の展開と完全に一致して、その位置をちゃんと取れたことはすごく良かったと思います。

――逆に反省点はありますか

反省点は落車後、第2集団まで戻った時に、集団が明らか機能していなかったので飛び出して前を追う動きをできなかったところです。

――インカレに向けて意気込みを教えてください

きょうも個人戦ロードも調子が良く、走れていますが上位に入れていないのでインカレは何がなんでも結果を残せるよう頑張りたいと思います。

中川拳(スポ1=北海道・帯広三条)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

2周目の上りの入り口で落車で(集団が)分断され、僕は結構前の方にいたので落車には巻き込まれなかったのですが、若干足止めをくらってトップ集団には何十秒差で先に行かれてしまいました。僕は次の10人くらいの追走集団に入り、(トップと)20秒差にまで縮まって見えていたところ、3周目か4周目の終わりの合流(地点)くらいで同志社の中西さんが1人で飛び出していって上っていき、それで中西さんはブリッジを成功させてトップ集団に入りました。追走集団から入れたのは中西さんだけで、振り返ってみるときょうのレースでトップ集団に加わるにはあのタイミングで行くべきだったと思います。ただ僕の脚質として上りは得意ではないので、そこで逆に中西さんに付いていってトップ集団に追いつくまでに中西さんと行けたかと言われると微妙ですが、きょうの反省としてはかなり前の方にいた孫崎さんとかも落車で足止めをくらっていたので、きょうはあの場面で前に行って巻き込まれないというのは難しいですが、(トップとの差が)20秒くらいだったら、中西さんのタイミングで上りで頑張ったらもしかしたらブリッジできたかもしれないので、トップ集団に入るためにはそこがネックだったのかなと思います。そのあとは追走集団はどんどんタイム差が開いていってしまったので、結果を求めるというより完走を目指す走りだけの走りになってしまいました。

――不本意ということですか

まあそうですね。何というか完走を目指すよりもトップ集団で戦って、もしそれでトップ集団から落ちてしまって完走出来なかったとしてもトップ集団と勝負することが次に繋がると思います。ただ完走を目指すだけの走りはそんなに次には繋がらないと思うので、やっぱりトップ集団と走りたかったですね。

――このような結果になったことに対して悔しいということですか

そうですね。きょうは完走するだけになってしまったのであまりレースができなかった、練習にはなったかなという感じですね。

――海岸線の区間ではやはり風は強かったですか

そうですね。かなり風が強く、あまりあそこまで風の強いレースは走ったことがなかったので難しかったです。

――きょうの落車は雨で濡れていることが原因でしたか

雨だったりクレーチングという排水溝があったり、うねうねした上りの途中に柳みたいな滑りやすい枯葉とかが落ちていて滑りやすい状況だったので、前の方で落車があったみたいです。

――次の大きな照準となる大会を教えてください

ロードレースとしては次はインカレなので、インカレロードで少なくともポイントを獲得出来るように頑張りたいと思います。

――ツール・ド・北海道にも出場すると聞きました

僕はツール・ド・北海道選抜という地元の北海道の選抜チームで出られることになりました。ワセダで出られなかったのはとても残念ですが、ワセダも代表して、北海道も代表して完走するだけではなくレースをしたいです。ジュニアの国際レースは走ったことがあるのですがエリートもいる国際レースは初めてなので、ちゃんとレースをしていろいろなものを吸収して積極的なレースをしていきたいと思います。