積極的なレース展開で孫﨑が8位入賞!

自転車

 山懐にいだかれた長野・奥木曽湖で、全日本学生選手権個人ロードレース(個人ロード)が開催された。2010年度個人ロード優勝者の内間康平(ブリヂストン)はリオデジャネイロ五輪男子ロード日本代表に選出されており、学生ロード選手にとって極めて重要な大会だ。昨年5位の孫﨑大樹(スポ2=京都・北桑田)が8位入賞、他3名が完走し大会を終えた。

 1周9キロの奥木曽湖周回コースを20周し、最後は1キロの激坂を登るというコース。1周目から4名の逃げが決まり、ワセダ7名を含むメイン集団が追走する展開に。しかし田中英祐(人2=宮城・東北学院)は機材トラブル、塩田航平(スポ3=埼玉・栄北)は腰の痛みによりレース序盤での途中棄権を余儀なくされる。逃げ集団とメイン集団との差は徐々に開いていったが、5周目に孫﨑含む8名がメイン集団を飛び出し逃げ集団を追走。孫﨑が積極的に追走集団を回し、逃げに追い付く。再びレースは2集団に分かれ、6周目には中川拳(スポ1=北海道・帯広三条)も先頭集団に加わった。

福与真璃亜学生トレーナー(スポ2=埼玉・所沢北)から補給を受け取る孫﨑

 しかし15周目、先頭集団から4名が飛び出す。孫﨑は4名の逃げに乗り追走したが、中川は付いて行くことができなかった。納家一樹(スポ1=東京・八王子桑志)は終盤タイムアウトとなり完走を目前にして悔しいリタイアとなった。形勢はそのままラスト1キロの山中まで変わらず、孫﨑8位、中川12位でフィニッシュ。前半良いレース展開を見せていた中川は12位という結果に「トップ10まであと少しだった。最後の上りでは11位の人の姿が見えていたので余計に悔しかった」と語る。ワセダは完走者4名で、金子智哉(商4=神奈川・相模原)が24位、伊藤和輝(スポ4=東京・昭和第一学園)が45位となった。

最後の坂を登る中川

 個人ロードはツールド北海道出場を懸けた最後の選考レースだった。全日本学生選手権チームロードタイムトライアル終了時には9位だった明大が入賞者3人で4位に急浮上したのに対し、ワセダは推薦順位7位に変動はなく巻き返しは果たせなかった。ツールド北海道出場は厳しいが、大島で開催される全日本選手権ロード(全日本ロード)が目前に迫っている。日本のサイクリストが一堂に会する大舞台で、それぞれがもてる力を最大限に発揮したい。

(記事 曽祢真衣 写真 久野映、蔵田有希)

表彰式での孫﨑

★早大OGの合田が2位に

力を出し切りフィニッシュする合田

 男子に先んじて行われた個人ロード女子100キロ(11周+1キロ)に、早大自転車部OGの合田祐美子(スポーツ科学研究科=岡山・朝日塾中教校)が出走した。今大会において、過去2回もの優勝経験を持つ合田。しかし、序盤でタイヤがパンクするアクシデントに見舞われてしまう。集団を離れた合田は、「無理だ」と勝負を諦めかけたが、「仲間が喝を入れてくれました」と声援を力に変え、気持ちを切り替えた。すると、次々にライバルたちをかわし、8周目時点でついに先頭集団を捕捉。以降は合田を含む4人でしのぎを削ることに。アクシデントからの復帰で脚を使っていたが、ベテランライダーは最後の力を振り絞り、激坂で勝負に出た。しかし、注目のルーキー・梶原悠未(筑波大)に振り切られてしまう。それでも、粘りを見せ2位でゴール。「足りなさ過ぎて負けてしまった」と悔しさを覗かせたものの、不運な展開から2位入賞にこぎつけた合田の地力は計り知れない。学部時代、女王として名を馳せたライダーの実力を存分に見せつけたレースだったといえよう。

(記事 佐藤諒、写真 蔵田有希)

結果

▽女子100キロ

合田祐美子 2位

中嶋綺砂 DNF

▽男子181キロ

孫﨑大樹 8位

中川拳 12位

金子智哉 24位

伊藤和輝 45位

納家一樹 DNF

塩田航平 DNF

田中英祐 DNF

岩田宗也 DNS

コメント

合田祐美子(スポーツ科学研究科=岡山・朝日塾中教校)

――過去2回優勝した経験のあるレースでした

そういう面で、自分の中で、プレッシャーじゃないですけど、勝ちたいなっていう強い思いはありました。

――このコースは得意ですか

得意かどうかは分からないですけど、自分の中では100キロ以上あった方が、体力はあるので向いているかなって思います。

――レースプランは

コース内で1か所だけ上りがあるんですけど、そこで1回アタックをしたいなっていうイメージだけはありました。

――途中、パンクして後ろに引いてしまいました

序盤だったので、なったときに一人になってしまって、「無理だ」って一瞬よぎってしまったんですけど、戻ってきた時に仲間が喝を入れてくれました。それで切り替えができたと思います。

――後半は先頭集団に加わりました

先頭にいる2人が見えたときに、ほっとしたと同時にここからだな、ここで勝たないと意味がないっていうのがありました。でも思った以上に脚にきていて、行きたいけど行けない状況で、最終的に最後の1キロの登りまで4人一緒になってしまいました。

――最後の激坂で勝負を仕掛けるつもりだったのですね

そうですね。でも、逃げ切るだけの脚もなくて、梶原さん(筑波大)のラスト300メートルからの飛び出しに反応できなかった点がまだ課題ですし、悔しいです。

――2位という結果は悔しいですか

そうですね。

――ゴールシーン、笑みを浮かべていましたね

悔しいのと、競い合ってのゴールじゃなくて、足りなさ過ぎて負けてしまったっていう面もあって。そこがちょっと、込み上げてくるものがあったんですけど、複雑な感じですね。

伊藤和輝(スポ4=東京・昭和第一学園)

――どのような目標でレースに臨まれましたか

第一は完走を目標に走りました。それは達成できたので良かったです。

――本日のレースを振り返っていかがですか

結果としてはしっかり完走できたことが良かったです。

――早大の選手同士での連携はありましたか

選手間の連携はきょうはなかったですね。

――伊藤選手個人的なレースプランはどのようなものでしたか

やはり集団の前方にいたほうが体力は消耗しないんですけれど、レース前半はそれができていなくて脚を使ってしまいました。後半は前方に20人くらいの逃げ集団ができて、そのおかげで自分が集団内で動きやすくなったので、それもあって後半は目標通り集団前方で体力を消耗しないように走れました。最後には自分の思い描いていたレースプラン通り走れて良かったと思っています。

――次の目標を教えてください

国体予選があって、学連での試合は孫崎(大樹、スポ2=京都・北桑田)とマディソンに出るのでそちらにも注目してほしいです。

――マディソンとはなんですか

2人1組で行うポイントレースで交代しながら行うのですが、交代方法が独特で走っている方が次に走る選手を投げるというもので、常にスプリント以上のスピードで走っています。選手交代もおもしろいですし、レースの展開も早くて見ごたえがあると思いますよ。やってる方も面白いんですがまあ辛いです(笑)。

金子智哉(商4=神奈川・相模原)

――昨年はアクシデントに見舞われて本来の力を出すことができなかったこの大会ですが、リベンジの気持ちはありましたか

今回は落車に巻き込まれないようにとにかく前半の2周くらいまでは前の方にいることを心掛けて、とりあえず落車には巻き込まれずに済みました。けど、結果はきょねんより悪かったです。

――目標はありましたか

あんまり練習できていなかったので、どのくらい走れるか分からなくて、走ってからの脚の感じで決めようかなと思っていたんですけど、走り始めてから足がだいぶ重いって感じて、とりあえず集団でおとなしくして、最後の上りでその集団の中の1着取れればいいなって考えていました。

――目標を果たすことはかないませんでした

ずっと集団でおとなしくしていたので、無駄な脚は特に使わなかったんですけど、何回かちぎれそうになって、とってもつらかったです(笑)。

――そうした厳しい状況の中で、何が金子選手の気持ちをつなぎとめたのでしょうか

学んだんですけど、きついからってきつい顔してると、余計にメンタルにくるので、きついときこそポーカーフェイスを保つと自分もだませるというか、それで脚が動くっていうのを今回学んで、使えるなと思いました。

――就職活動の影響は大きかったのですか

そうですね。1日から面接が始まっていて、どうしても就活に力を入れなければならなかったので、かなり練習時間を削られてしまいました。

――しかし、そうした状況でも完走することができました

就活しつつも体力維持できなかったですけど、まったく完走できずとかそういうのではなかったので良かったと思います。

――全日本ロードに向けて意気込みをお願いします

全日本ロードは優勝目指して頑張ります。

孫﨑大樹(スポ2=京都・北桑田)

――きょうはどのような目標をもって臨みましたか

もちろん優勝を狙っていました。

――きょうのレースを振り返っていかがですか

前半から鹿屋体大が積極的に動いていて、やっぱり鹿屋体大は逃げに確実に1人、2人送り込んでいて常に集団を有利な立場で動かしていたので、ワセダも本当は1人はそこに入れたかったんですが。そうするとメイン集団を引く仕事というか役割を担わなくて済むので。自分もそこから確実に捕まえられる逃げだと分かっていたのですがだからといって(逃げに)乗るのも不安で集団で乗れていない各大学の選手と自分から積極的に声を掛けてできるだけコントロールしてみんなで追うって展開をしていました。

――「みんなでローテーションしよう」という声が聞こえてきました

そうですね。そうしたらやっぱりうまいこと決まって、ちゃんと鹿屋体大の逃げを調整していって本当に前半良かったんですけど、言うからには積極的に動かさないとみんな付いてこないので積極的に回してけっこう脚使っちゃってて、途中すごくきつかったんですけど復活させて休憩入れて後半に挑みました。

――補給はうまく取れましたか

そうですね。マネージャーのおかげでしっかりと自分の取りたい時に取れたので、そこは本当にマネージャーに感謝しています。

――8位という結果についてはどのように感じていますか

昨年5位に入っている大会なので少なくともそれ以上の成績は、学年も上がっているし僕自身の力も上がっていると思うので出したかったんですけど、やはりそこはレース展開とかもあって。でも最後に4人逃げが出て僕が追走の4人でちゃんと入賞ラインの確実な逃げには自分で判断して乗れたのでそこは評価できる走りができたかなと思います。

――日本代表として出場した先日のツアー・オブ・ジャパンはいかがでしたか

まだまだ力足らずな部分があって。すごくプロ選手の方々について行くのに必死でした。自分はまだU23カデゴリーで次エリートに上がった時にあの人たちと戦わなければならないのでやっぱりあと3年でどれだけレベルを上げられるかという、自分の計画の見直しも必要だしまだまだ圧倒的に力不足ということを感じました。

――らいねんも楽しみにしています

出られたら次こそは完走だけじゃなくて何か目立てる行動が取れればなと思います。

――次は全日本ロードですね

今年度の目標が日本一なので、来週取らないとその目標は達成できなかったということになってしまうので、だからといって優勝だけを目指すようなこすい走りというか、そういう走りをして勝っても意味がないので、きょうみたいにしっかり前の方で展開して自分の展開にもっていって勝てるような走りをできればなと思います。

中川拳(スポ1=北海道・帯広三条)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

これまでのレース最長距離は地元北海道の大会で開かれた地域レベルの大会の160キロでしたが、今回は180キロでしかも学生選手権という大きな大会だったので、どれだけ自分がいけるかも分かりませんでした。落車が多いという話は前々から聞いていたので、落車の影響を受けず、レースの展開にも対応しやすい前方の方にできるだけ位置するようにしました。途中に孫﨑選手から「なるべく自分の後ろにいるように」と言われ、残り15周あたりには一緒に前方の集団へアタックしてうまく追いつくことができました。自分は体重が重めなので平坦な道と下り坂はしっかりと踏んで上り坂はゆっくり踏むようにして、安定したペースで走ることができたので体力はさほど消耗しなかったんですが、残り4周で京都産業大学の間瀬さんが飛び出したがそれについていけなかった。彼に続いて一緒に集団から逃げられたらもっと良い順位でゴールできたかもしれないです。トップ10まであと少しでした。最後の上りでは11位の人の姿が見えていたので余計に悔しかったです。自分は短距離よりのクリテリウムよりも長距離のロードレースが得意ですが、残り4周の勝負所で行けなかったのは自分の判断ミスと実力不足ですね。最後スパートかける力をつけることが課題だと思います。

――全日本ロードに向けての抱負を教えてください

ロードレースは上りが2、3キロ続いてきついらしいですが、うまく自分に優位になるような展開を作ってまた上位を狙いたいと思います。