ルーキー活躍するも目算外れ9位

自転車

 流域面積日本一を誇る利根川の河川敷で、全日本学生選手権チーム・ロード・タイムトライアル(チームTT)が行われた。9月に開催されるツールド北海道選考レースの一つであるチームTT。他校とのタイムギャップがわかりづらい中でツールド北海道出場権を争うこのレースは、チームワークと追い込む力が試される。ワセダは1時間21分44秒38で9位。チームとしての収穫はあったが、ツールド北海道出場は厳しい状況になった。

 チームTTは、4人が一斉にスタートし列を組み先頭交代をしながら約62キロメートルを走るレースだ。先頭を走る選手がペースを作り、チームを引っ張る。先頭を走る時間は各選手の脚質により変わってくる。ワセダは金子が過去2度の出場経験から初出場の3人におおよその時間をアドバイス。TTが得意な中川は1分30秒、岩田が40秒、納家が30秒という設定だった。

先頭交代をする中川と納家

 初出場の選手が多いことから前半からオーバーペースにならないようにしていたワセダ。しかし後半に余力を残すプランの金子が「感覚的にあまりにも脚が動いたので自分が長く引きすぎた」と前半脚を使ってしまう。さらに岩田は脚がつるアクシデントに見舞われた。中川も「後半たれてしまった」と不満足な内容だったと語る。一方納家はTTの経験が少なく設定タイムも30秒と短かったが、ラスト1キロ先頭を良いペースで走りチームに貢献。前半も、追い風区間でよりペースを上げられたのではという反省さえ残るほどの好調ぶりを見せた。慎重さと思い切りの良さとの間に着地点を見つけることが、いかに難しいかを知るレースとなった。

ゴールする納家、金子、中川

 ルーキー納家の活躍に後押しされた9位、着実に力をつけ本番で発揮していく姿は頼もしい限りだ。平均時速46キロ超で5位以内という目標があったワセダ。平均時速は達成したが、8位入賞さえ逃してしまった。「周りのレベルが思ったより高かった」(金子)。優勝の鹿屋体大とのタイムギャップは3分18秒61、大きな隔たりがある。ツールド北海道出場の可能性は低くなったが、他校との力の差をいかに埋めていくかが全日本大学対抗選手権までの課題だ。

(記事、写真 曽祢真衣)

結果

早大(金子智哉・岩田宗也・中川拳・納家一樹) 9位(1時間21分44秒38)

平均時速46.39キロ

コメント

金子智哉(商4=神奈川・相模原)

――きょうのTTの前にはチームでどのようなことを話しましたか

とりあえず僕以外みんな初めて(チームTTを)走るので、あまり前半飛ばし過ぎないようにしようと言っていました。

――各選手の先頭を引く時間を決めたと伺いました

目安で一応作りました。

――みんなで相談して決めたのですか

(チームTT)経験者は僕しかいなかったのでだいたい納家は何秒くらい、中川はどれくらいがいいよって一応話し合ってはいました。

――目標タイムはありましたか

目標タイムというよりかは、きょねんおととしのタイムを見てアベレージ46(平均時速46キロ)くらいだったら5位以内に入れるかなと思ってそれを目標にしていました。実際アベレージ46で走れたんですけど、周りのレベルが思ったより高くて9位でした。力の差を感じましたね。

――きょうの反省点と良かった点をそれぞれ教えてください

反省点は、個人的な反省になるんですけど、前半よりも後半に力を残しておくという作戦で、前半は中川が行けたら行くという感じでした。ですが、自分が感覚的にあまりにも脚が動いたので自分が長く引きすぎたのが、3年目にしてミスを犯してしまったなという反省です。良かった点は1年生が初めてなのに、1年目なのに物おじせずしっかり最後まで走れ、最後は納家がペースを上げてくれて、その点がとても良かったと思います。

岩田宗也(スポ3=広島城北)

――きょうはどのようなTTでしたか

とにかくきついレースでした。チームTTは初めてなので手探りで頑張りました。

――どういう点が具体的にきつかったのでしょうか

前半で脚をつってしまってそこからが痛みとの闘いでした。

――痛みに耐えながら走っていたのですね

はい、そうですね。できるだけペースを落とさないように僕は(ペースを)上げる役目というよりかは頑張って粘って付いて行く役目だったので、できるだけペースを乱さないようにしようと心掛けていました。

――先頭を引く時間は痛みの影響で短くなったりしましたか

そうですね。僕は40秒の予定だったんですけど20秒くらいに下げて。ペースを落とすくらいだったら早く代わろうという感じでレース展開をしていました。

――あすの全日本学生選手権個人ロード・タイム・トライアル(個人TT)にもエントリーされていますが出場は可能でしょうか

今のところ走れる気がしないのですが、頑張って追い込んでいこうと思います。

――無理せずお大事にしてください

中川拳(スポ1=北海道・帯広三条)

――きょうのチームTTは初めて走っていかがでしたか

TTはけっこう自分の得意とする種目なのでなるべくチームに貢献できるように、具体的には長く引けるようにというのを目標に、前半から僕はだいたい1分半くらいを目安に引くことを心がけていました。途中たまに1分とかの時もあったり、後半若干きつくなってきて1分切るくらいの時もあったんですけど、結果的にはもう少し上に行きたかったなと思います。

――ご自分の中ではもう少しできることがあったと考えているということでしょうか

そうですね。僕は後半たれてしまったのでそこが反省点ですね。

――では反対に良かった点はありますか

結果的にも満足いくものではないので良かった点はないかなと思います。

――あすもエントリーされていますが、同じコースを使用するということで何か材料を得ることはできましたか

そうですね。コースを知ることができましたし風向きがどんな感じか知ることができました。あすは本当に自分との戦いなので頑張りたいと思います。

納家一樹(スポ1=東京・八王子桑志)

――きょうのTTを振り返っていかがでしたか

最後1キロ前を引いて出し切ることができたことは良かったですが、前半の追い風区間などもう少し早く走れたという反省もあって、もうちょっと考えながら走れば良かったです。

――具体的な目標タイムはありましたか

30秒前を引くというのが自分の目標で、引いて交代してというのをずっとやっていました。

――それは納家選手ご自身が決めた目標でしょうか

いや、事前にチームで決めた目標ですね。他の人は1分だったり40秒だったりあるんですけど、自分はまだ1年生というのもあってあまりTTは得意でもなく経験もないので30秒でした。

――きょうのTTはどのような位置づけでしょうか

ツールド北海道に行くための選考レースだったので、ツールド北海道に出られるようにというのが目標だったんですけど、いま暫定9位でちょっと選考には厳しい状況なので4年生の金子さんにも申し訳ないと思っています。

――あすもエントリーされていますがあすに向けて一言お願いします

もういま出し切ってけっこう体がきついんですけど、あしたも全力出し切れるように頑張ります。