2016年最初のレース、全日本学生RCS(RCS)第11戦・埼玉クリテリウム行田第2ラウンドが行われた。第10戦は雨に見舞われたが、この日は雲一つない晴天。『世界一大きい田んぼアート』のギネス記録をもつ埼玉・行田市で、選手たちはことし初となるレースに臨んだ。クラス2Aに出場した手嶋将大(スポ3=千葉・国分)は目標の優勝は叶わず4位に。クラス1では伊藤和輝(スポ3=東京・昭和第一学園)が2位の好成績を収め、孫﨑大樹(スポ1=京都・北桑田)は7位と思うに任せぬ結果となった。
クラス1への昇格を狙いクラス2Aに出場した手嶋は、優勝を目指してレースに挑んだ。最後のコーナーからフィニッシュ地点までの直線が長く、スプリント力がものをいう今回の長野小針地区周回コースは「僕に向いている」と手嶋。しかしレース中盤以降、他選手のアタックにより体力を削られ、ゴールスプリントまで十分な余力を残すことができなかった。持ち味を十分に生かしきれず4着でフィニッシュ。「せめて3位には入りたかった」と悔しさをにじませた。
スプリント力を生かすことができなかった手嶋
クラス1ではRCSシリーズ年間ランキング(ランキング)で2位につける孫﨑が、序盤から高木三千成(立大)と積極的なアタックで集団から飛び出す。コーナーで高木に差をつけられ孫崎がメイン集団に戻ると、今度は伊藤が高木との逃げに加わった。「つぶれても練習込みのレースかなと思って踏んでいった」と逃げについて語る伊藤は、自身でも思いがけない展開だったと明かす。高木に先行されつつも離されることはなく、勝負はゴールスプリントまでもつれ込んだが、先にラインを越えたのは高木。伊藤は2着となった。一方、ランキング1位の小林和希(明大)を含む集団でのスプリント勝負となった孫﨑。メイン集団の中でも逃げがあったが、ゴールライン手前で逃げた選手たちに追いつき高木、伊藤につづく3着を狙う。しかし横に広がったバイクの中でのライン取りに失敗、まくりきれず7着となった。
高木(立大)としのぎを削る伊藤
RCSも残すところあと3戦。第11戦を終えてランキング2位を保つ孫﨑は、「諦めずに何回か仕掛けて、逃げ切って勝つぐらいの勢いで攻めていきたい」と強く語った。伊藤は今回の2着で第10戦ではランキング8位だったが、4位へ浮上。ランキングの変動を含め、最終戦まで目が離せない。最終戦は明治神宮外苑で開催されるが、それまでの2戦は同じコースで行われる。慣れることで戦いやすくなる部分もあるはずだ。1戦ごとに成長していくような、そんなレースにロード、トラック共に2016年も期待したい。
(記事 曽祢真衣、写真 久野映)
伊藤
結果
▽クラス1
伊藤 2位、孫﨑 7位、塩田 13位、金子14位
▽クラス2A
手嶋 4位
▽クラス2B
岩田 6位
▽クラス3B
田中 6位
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コメント
伊藤和輝(スポ3=東京・昭和第一学園)
――きょうのレースプランはどのように考えていましたか
まず準備に時間がかかってしまって、時間を取られすぎてしまってアップが思うようにできなくて、とりあえず最初はアップをしてから後は展開次第、レースの流れを見ながら自分で動いていこうかなとレース前には思っていました。
――高木三千成選手(立大)との逃げはいかがでしたか
走っていて前に高木さんとそこから少し空いて順大の選手が1人、またそこから離れて集団という展開だったんですけど、そこで踏んだら抜け出せるんじゃないかなと、アップも含めて軽く刺激を入れるために強く踏んでいったら前に追いつけて、そのまま逃げられる展開だなと感じたので、つぶれても練習込みのレースかなと思って踏んでいったら結果的に最後逃げ切ったというかたちでした。
――想定したレースを走ったわけではないということですね
そうですね。むしろ最後このコースエントリー数から見て前回よりも10人くらい少なくて、多分集団スプリントになるなと思って想定して練習してきたんですが、まさか自分が逃げるとは思わなかったです(笑)。
――2位という結果についていかがですか
9月からクラス1に上がって、それまでRCS(全日本学生RCS)では成績が良くなかったので、結果としては十分嬉しいですけど、練習していない部分が分かったレースだったと思います。
――練習していない部分というのは具体的にどのような部分でしょうか
やはり逃げている途中に息が上がってしまってすぐに足が無くなってしまったので、乗り込みが足りない、自転車に乗っている時間が少ないですね。
――RCSも残すところあと3戦ですが、どのように戦っていきますか
24日の行田(全日本学生RCS第12戦・埼玉クリテリウム行田第3ラウンド)はエントリーするか分からないのですが、少なくとも神宮(全日本学生RCS最終戦・第10回明治神宮外苑大学クリテリウム)は出ると思うので、全力を尽くします。いまクラス1に(ワセダの選手は)4人いて神宮のグループ1に3人しか出られないので、そこの枠争いでグループ1で走れたらいいなと思います。でもグループ1で結果を残せなければ意味が無いので、残せるようにやりたいと思います。
手嶋将大(スポ3=千葉・国分)
――本日の目標は
3年生でずっとクラス2にいるので、エントリーしたときからずっと優勝を目指していました。スプリントで優勝したかったです。
――具体的なレースプランは
とりあえず逃げとか先頭集団の中切れを抑えて、前の方に位置して最後のスプリントに加われる位置にいることを意識していました。そこでしっかり足を使ってスプリントということしか考えていなかったです。
――実際のレースを振り返って、そのレースプラン通りにできましたか
1,2週目は特にアタックもなくて、自分も余裕だったのでいけるんじゃないかと思ったのですが、中盤から足のある選手たちがアタックを掛けていて、それに足を削られてしまって。本当は後半にスプリントで余力を残せるくらいでいきたかったのですが、そのアタックによって足が削れて、最後の直線で伸びず4着となってしまいましたね。
――その4着という結果については
最近クリテリウム走っていてなかなか良い順位が出ていなくて、その中で4着というのは良かったのですが、この行田はコース的にスプリントで決まる傾向があって僕に向いているコースだっただけにショックだったという思いもあります。あまり良い結果でなかったのと、今回は優勝を狙っていたので…。せめて3位には入りたかったという気持ちですね。
――今後の目標は
今回の行田に向けて体力アップを中心にやってきたので、今後はトラックに向けてのウェイトアップ、パワーアップと、それに加えてこの行田に向けてしてきたこととを合わせて、ことしはトラックでちゃんと結果を出していきたいと思います。
孫﨑大樹(スポ1=京都・北桑田)
――きょうのレースプランは
きょうは人数が少なかったので、序盤から速いペースに持ち込むために積極的に攻めようと思っていました。きょう勝った高木三千成さん(立大)がすごい練習しているのも知っていたし、積極的に逃げるようにするっていうのは予想できたので、その高木さんと一緒に逃げられたらなって思っていました。最初飛び出したときに高木さんと一緒にいけたんですけど、反応が遅れてちぎれてしまったので、それが大きかったですね。逃げて勝つっていう予定ではありました。
――中盤ちぎれてしまったのは、高木さんの勢いについていけなかったということでしょうか
自分が先行しているときに高木さんが後ろから来て、それに気が付いたので後ろに付こうとしたんですけど、結構高木さんのスピードが速くてコーナーの進入スピードが明らかに違って、そのまま離れてしまいました。
――その後はメイン集団にいましたね
中途半端な位置にいるより下がって次に備えた方がいいので、戻りました。
――ゴールスプリントはいかがでしたか
伊藤さん(和輝、スポ3=東京・昭和第一学園)が逃げていて、チームメイトが逃げているので、自分は追わないようにして、集団の頭を取れるようにしました。(先頭集団に)明大が入っていなかったので、年間チャンピョンの小林和希さん(明大)がメイン集団でいかないといけない展開だったので、自分はもう脚を温存して集団スプリントに備えていました。位置取りも良かったです。最後伊藤さんの逃げの2人と、自分らメイン集団の間に3人の逃げがあって、スピード差と展開的にゴールラインのところで(前の3人が)捕まるのは大体予想できたので、そこで捕まえて3着っていうのを狙っていたんですけど、前の3人が思った以上にスプリントのときに広がっちゃって、自分がそれをまくるのに大回りになってしまって、混戦になってしまいました。3着に入れたらなと思ったんですけど。ライン取りに最後失敗しちゃって、また小林さんと差が広がったので、そろそろちょっとやばいかなって。
――現在RCSシリーズ年間ランキングでは2位につけています
後残すは3戦で、完全に決まったわけではないので。もしかしたら小林さんが落車するかもしれないですし。もしかしたら自分もこけるかもしれないですけど、でも最後まで集中して走り切れたらなと思います。
――あと2回このコースでのレースとなりますが、直近の2戦を踏まえて対策はありますか
自分もこのコースに慣れてきて、逃げもきょうの高木さんみたいにタイミング良く仕掛けたりすれば、逃げられる可能性も充分にあるし、自分がいくと小林さんが絶対マークしに来るんで難しいところなんですけど、でも諦めずに何回か仕掛けて逃げ切って勝つぐらいの勢いで攻めていきたいなと思います。