金子が上位に食い込み、総合6位でインカレは幕を閉じる

自転車

 3日間にわたるバンクでの激闘を経てようやく迎えた全日本大学対抗選手権(インカレ)最終日。トラック競技終了時点で総合5位につけていたワセダは気合十分でロードレースに臨んだ。傾斜のあるコースを14周(計176.4km)するという過酷な内容加え、この日の天気は雨。苦戦は必至であった。案の定大半の選手がレース半ばでリタイアしたが、その中でも「雨は好きなので問題なかった」と力走を見せた金子智哉(商3=神奈川・相模原)が8位入賞しポイントを獲得。トラック競技終了時点では並んでいた日大に抜かれてしまったものの、それでも総合最終成績6位と上位で今大会を終えた。

 「金子と孫﨑大樹(スポ1=京都・北桑田)が基本的に後ろの方で待機して、それ以外の人たちが遊撃部隊みたいな感じで逃げを軽く潰す作戦」(伊藤和輝主将、スポ3=東京・昭和一学園)と、二枚のエースを据えてレースに挑んだワセダ。序盤、強豪鹿屋体大の選手を始め各校が積極的にアタックを仕掛けてきたが、伊藤や井上渓太(創理4=東京・早大学院)が作戦通りそれを追い、抑えにかかる。一時は鹿屋体大や日大の選手を中心に形成された5人の先頭集団にメイン集団が約1分50秒差をつけられることもあった。しかし、伊藤と井上が追走集団を回してペースを上げ、上位校による逃げを容認しない。その後も逃げが出ては活発化した後続集団がそれを飲み込むということが2回3回と繰り返され、集団についていけなくなる選手が続出する厳しい展開に。ラップ数が残り半分になった7週目時点ですでに多くの選手がDNFになるなど、サバイバルレースの様相を呈していた。

捨て身のアシストでエースを助けた井上(左)と伊藤(右)

 そんな厳しい状況の中で、体力を温存してプロトンに控えていたのは金子と孫﨑。「井上さんとか伊藤を中心に逃げを潰してくれて僕たちは前半休めました」と両名は脚を残すことに成功していた。鹿屋体大と日大の選手のアタックが決まり、先頭集団が確定した終盤。井上と伊藤がタイムアウトで切られてしまい、残るワセダ勢はエースの二名のみとなった。ボルテージが高まる13周目、メイン集団から多くの選手が飛び出す。それに合わせて孫﨑もペースを上げようと試みるも、なんとバイクが故障。一番重いギアに固定されてしまい、踏むことができなかった。一方金子は、最終周を良い位置で迎えると、最後の上りで仕掛け所属集団の内で2番目にゴール。全体では8位に食い込み、見事入賞を果たした。

成長を感じさせる走りを見せた金子

 トラック班の活躍とロード班の努力によって総合最終成績6位という好成績を収めたワセダ。総合10位であったきょねんと比べて大きく順位を上げることができた要因は一体何だろうか。強力な新戦力の加入や、個人の走力と技量の向上が飛躍の一端を担ったのは間違いない。しかし、それだけではなく、やはりチームとしての「絆」が選手たちの奮起を促したのも疑う余地はないだろう。「今回は例年になくチームとして走れて学校対抗というのをすごく味わえました」(金子)。今大会でいっそう深まった「絆」を武器に、今後も頂を目差してエンジのライダーたちはペダルを踏み続ける。

(記事 佐藤諒、写真 高柳龍太郎)

結果

▽男子

金子 8位、孫﨑 25位、井上、伊藤、手嶋、岩田、塩田、八田 DNF

▽女子

池田 DNF

総合成績

▽男子

ロード総合 6位

総合 6位

▽女子

総合 7位

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コメント

伊藤和輝主将(スポ3=東京・昭和一学園)

――きょうはサバイバルなレースとなりました

準備不足で完走することができなかったです。

――チームとしての作戦はありましたか

事前に話し合った内容では金子(智哉、商3=神奈川・相模原)と孫﨑(大樹、スポ1=京都・北桑田)が基本的に後ろの方で待機して、それ以外の人たちが遊撃部隊みたいな感じで逃げを軽く潰す作戦で、エースは孫﨑と金子でした。

――その作戦は機能しましたか

前半で大半の選手がちぎれてしまって、最終的に残ったのが金子と孫﨑だったので実際に遊撃部隊が機能していたかというと完璧には機能していなかったです。

――ロード全体としてはいかがでしたか

完走者は4人しっかり出したいなと思っていたんですけど、ポイント圏内に1人入ることができて、このポイントがインカレだけではなくてらいねんのツール・ド・北海道とかにも関わってくるので完走者2名というのは少ないですが、まあ成長の過程だと思います。

――インカレの総括をお願いします

競技を始めた時点では全然総合とかは気にしていなかったんですけど、トラック競技終了時点で総合5位ということが分かって、日本大学と同点ということだったんですけれどあまり意識していなかったので、部的にもまさかそんなに良い順位に入っているとは思わなかったです。よくよく考えてみると個人で入賞している人が多くてきょねんよりも多く出ているので、トラックに関しても良いことだと思います。ロード終了時点で6位で、法政大学と日本大学の方がロード部隊がしっかりしていたのでその点で順位が変わってしまって、もうちょっと総合のことも考えて走ることも必要があったかなと思います。

金子智哉(商3=神奈川・相模原)

――きょうのコンディションはいかがでしたか

2日前くらいから風邪を引いちゃって万全ではなかったですね。ちょっとだるさが残っていたので。でも自転車乗ったらそんなに調子が悪い感じではなくて意外と走れました。

――悪天候でした

雨の日のレースは毎回調子が良くて、自分の中では結構雨は好きなので問題なかったです。

――作戦はありましたか

作戦は僕と孫﨑をエースにしてみんなにアシストでとにかく前半の逃げを潰してもらうっていうかたちで逃げをどんどん追ってもらうのが作戦で、その間に僕と孫﨑が脚を休めて勝負所でしっかりついていけるようにということでした。

――8位入賞を果たしましたが、その作戦が功を奏したということですか

そうですね。井上さん(渓太、創理4=東京・早大学院)とか伊藤(和輝、スポ3=東京・昭和一学園)を中心に逃げを潰してくれて僕たちは前半休めました。最後まで余裕を持って走ることができたので良かったです。

――序盤はかなりペースの早いレースでした

そんなにきついとは感じなくて意外とついていけました。

――ラスト1周を振り返って

ラスト1周はとにかく徳田優(鹿屋体大)をマークして徳田優じゃない人がいってもあまり反応しないようにしました。

――飛び出しのタイミングも徳田選手に合わせたのですか

徳田優が最後まで動かなかったら最後の上りで自分からもういこうと決めていたので。結局そうなって、京産大の人には負けましたけど集団の中では2番だったので割と良かったです。

――8位という順位をどう捉えていますか

目標にしていたのは表彰台だったんですけど、最低でも10位以内っていうのは心の中にあったので、最低限の目標は達成できたなと思います。

――インカレで得たものはありましたか

今回は例年になくチームとして走れて学校対抗というのをすごく味わえました。

孫﨑大樹(スポ1=京都・北桑田)

――きょうのコンディションはいかがでしたか

ちょっと風邪気味で、トラック競技の疲れがあったのかあんまりコンディションは良くはなかったんですけど、ロードレースなので全然誤魔化しは効くし、走っている最中いける気がしていました。調子が上がってきて、いける気持ちでガンガン攻めれるって思ったので、走っている中でどんどん良くなっていきました。

――どしゃ降りになる場面もありました

ロードレースなら雨自体は好きなので片付けとかはスタートまでがめんどくさいんですけど、走行中に関しては全然影響はなかったです。下りで顔が痛かったですね(笑)。

――逃げが出ては吸収されることが繰り返された激しいレース展開でした

1~4週目にかけて鹿屋体大が(レースに出場している選手が)100何人も人数がいる分絞るために積極的にアタックをかけていったので、鹿屋の選手はそのまま逃げてしまうことがあるので前半チェックに入っていたのですが、前半はワセダ勢がなかなか前にいなくて自分一人で対応することが多かったんですけど、割と調子が良くてずっと前の方で展開できて5割以下で走れたのでそこは自分でも評価できると思いますし、展開は良かったです。そのおかげで人数も絞れて中盤からの作戦も立てやすかったので非常に良かったです。

――後半は苦しげな表情を浮かべていました

後半の中盤あたりで一回脚にきて、つりそうになったんですけどなんとかストレッチとかもして除去するのを2~3周繰り返していたところがきつくて、まあそこをなんとか乗り越えることができたので後半また息を吹き返したというか、周りの選手に疲れが見え始めた中自分は回復したと思ったので、やっぱりそれだけでもだいぶ違いますね。

――ラスト1周を振り返って

ラスト1周は狙っていました。この展開、言ってはなんですが逃げが決まっていて、でも(逃げているのは)3~4人だったので6位以内には絶対入れると思っていて、自分の調子的にも絶対に最後集団の頭を取れると思っていたので狙ってたんですけど、ラスト2周の途中の上りでメカトラが起きてワイヤーが切れちゃってギアが一番重いギアの固定になってしまって上りに対応できなくて最後1周はちぎれてしまったんですけど、それも自分の整備不良だと思うので。

――では、余力は残っていたのですね

そうですね。ラスト、一人で飛び抜け出せるんじゃないかってくらい脚が良かったので狙えると思っていました。

――2日目のポイントレースを振り返って

自分はもうちょい上の順位にいけると思っていたんですけど、なかなかうまくいかなくて。それでも8位入賞できたことは良かったと思います。ギア選択で少し攻めてみて、いつもより1つ重いギアでいったんですけどそれがやっぱり響いて逃げでうまく回せなかったり、一回もがくと脚にきていしまったりしたのでそこはまだまだ詰めが甘いのでしっかりともっと大学生のレースに慣れてどういうギアが自分に適しているのかを考えてやっていきたいと思います。

――団抜きはいかがでしたか

最初は楽に走れたんですけど、先頭交代のあとのツキミスが響いて隊列を乱してしまい最後足を引っ張ってチームに迷惑を掛けているので、らいねんこそは自分がチームを引っ張るくらいの力をつけていきたいと思います。

――インカレは初めてでしたが振り返ってみていかがでしたか

自分が思ったよりも甘くなくて、やっぱり大学生になると層も厚いしもう少しレベルアップしないと表彰台にはまだまだ遠いなと思ったので、らいねんは表彰台に登れるように頑張っていきたいと思います。