全日本学生選手権トラックが昨年と同様、2日間に渡って伊豆ベロドロームで開催された。トラックを主戦場とする選手が多いワセダ。男子スプリントで3位に輝いた後藤悠(スポ2=岩手・紫波総合)をはじめとして、男子ポイントレースや男子タンデム・スプリントなど、様々な競技で入賞する。各自収穫もあり、充実の2日間となった。
きょねん、同大会の同部門で3位入賞を果たしている後藤。ことしも更なる飛躍に期待が懸かった。予選を全体の2位という好タイムで通過すると、続く1/4決勝も快走を見せ、突破。迎えた1/2決勝。ここからは相手より先にゴールした方が勝ちというルールに加え、三本勝負で勝敗を争うことになる。決勝進出のためにも絶対に落とせないこの試合。しかし、力及ばず2連敗を喫してしまった。3-4位決定戦へ回った後藤は、待ちの姿勢の日大の選手に対し、「先行できるような走りを意識しました」と自分から仕掛けるも、相手の猛追に遭い初戦を落とす厳しい状況に。しかし、二本目三本目は僅差を制し、2連勝。なんとか表彰台に滑り込んだ。
積極的に前に出た後藤
「ちょっと不安がありました」(孫﨑)。ポイントレース部門でエントリーした孫﨑。5月上旬の東日本学生トラック以来のトラックレースということで、レース前は不安を覚えていた。しかし、予選を難なく勝ち上がり、決勝に駒を進める。決勝では、10周ごとにポイント周回が設けられており、160周(40km)する中で得た合計ポイント数で競う。ポイントに絡めるところには絡んでいったと言うように、前半から孫﨑は順調にポイントを積み上げた。アタックの頻発する中盤、孫﨑も積極的に逃げ、さらにポイントを稼ぐ。しかし、13回目のポイント周回を通過したあたりで先頭集団が確立。先頭集団はそのままペースを上げ続け、メイン集団にいた孫﨑は1周差をつけられてしまう。ラップにより、先頭集団の選手たちに一挙に20点を獲得されてしまう厳しい展開だったが、16回目のポイント周回に望みをつなぐ。孫﨑は粘りの走りで最後に追加点を得て、見事6位入賞を果たした。
こまめにポイントを集めた孫﨑
「チームとしては以前よりも仕上がっていると思います」(伊藤和輝主将、スポ3=東京・昭和一学園)。計6つの競技で入賞したワセダ。今大会では、トラック競技における層の厚さを見せつけた。トラック班の奮起にロード班の面々も触発されたことだろう。次の試合は3週間後に行われる湾岸クリテリウム。「きょねんからこの7月25日の湾岸クリテリウムを目標にしていた」(塩田航平、スポ2=埼玉・栄北)と気合は十分。お台場でも力強い走りに期待したい。
(記事 佐藤諒、写真 蔵田有希)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
後藤。3位入賞を果たし表彰台に上った
結果
▽男子
タンデム・スプリント 森、中井 7位
スプリント 後藤 3位
ケイリン 佐藤 8位 手嶋 敗者復活戦3組2位 森 敗者復活戦1組2位
ポイントレース 孫﨑 6位 塩田 予選13位
4kmインディヴィデュアル・パーシュート 伊藤 予選13位
スクラッチ予選 八田 DNS
マディソン 塩田、孫﨑 5位
▽女子
3kmインディヴィデュアル・パーシュート 中嶋 5位 池田 8位
500mタイムトライアル 池田 12位
ポイントレース 中嶋 5位 池田 DNF
コメント
伊藤和輝(スポ3=東京・昭和一学園)
――このコースの特徴を教えてください
伊豆ベドロドームの特徴はコーナーの角度が急なのはもちろんのことなんですけど、ストレートの部分にもかなりの角度がついていて、普通にまっすぐ走るだけでも初心者にとってはかなり難しいです。きつい状態で走ったときに実力の試されるコースだと思います。
――きのうきょうの結果をワセダとしてはどう捉えていますか
今回は学校総合という、学校自体に点数の現れるものではないので、学校としては言いにくいんですけど、個人としては平均的にレベルが上がったかなと感じました。取れる実力のある選手が取れていなかったり、逆に取れないと思われるところが取れていたこともあったのですが、チームとしては以前よりも仕上がっていると思います。
――インカレへ向けてチームとしてどのような練習をしていきたいですか
チームの関わる部分としてはトラックの団体種目と大人数の出るロードのポイントだと思うんですけど、団体種目に関してはケガ人や事情のある選手もいたりして万全の状態で望めない可能性が出ているので、その部分を個人種目でしっかり補えるようにしたいです。個々の選手がしっかりトレーニングして個人戦(全日本学生個人ロード、全日本学生トラック)では取りこぼした部分で、インカレでは表彰台に上がれるくらいの実力をつけて臨むことで団体を補うことができると思います。
手嶋将大(スポ3=千葉・国分)
――昨日の予選を振り返って
メンバーがとてもよかったです。スタート位置が後方になってしまったので前へ前
へと積極的にいこうとしました。特に2周半前からダッシュをかけるようにしました。し
かし、敗者復活戦も視野に入れて試合に臨んでいました。
――敗者復活戦の感想
どうしても勝とうとして早めに仕掛けたがだめでした。力不足ですね。
――今後の課題は
体力、瞬発力をつけることです。
森浩輔(スポ3=神奈川・横浜)
――目標はありましたか
昨年の予選タイム(13秒6)を上回って予選通過することです。
――二人で挑むことの大変さっていうのはありましたか
タンデムは2人で1台の自転車を漕ぐのですが、2人の息を合わせるのはもちろん
のこと、コーナリング時には2人分の遠心力がかかるのでそれを支えるのが大
変でした。
――前半数週での駆け引きの間はなにを意識していたのです
相手と適切な車間距離を保つことと、飛び出しのタイミングをいつにするかという
ことです。
――駆け引きの内容を教えてください
敵が自分たちよりも先行している場合は、相手がコーナーに進入してアウト側の
上の方に行ったのを見計らってイン側に飛び込むのと、自分たちが敵よりも先行して
いる場合は、ルールに触れない程度に相手の進路を塞ぐということをしていました。
後藤悠(スポ2=岩手・紫波総合)
――きょうのレースを振り返って
1/2決勝では特に何も意識していなかったです。3位決定戦では、YouTubeで見た世界戦のレース展開を参考に後半先行できるような走りを意識しました。しかし、世界戦と自分の走りを比較して、技術面でやはり劣る面があるなと思いました。
――結果について
予選では思った以上に良いタイムを出すことができ、2位に入れたのはよかったが、決勝3位は昨年と同じ結果であり、残念です。
――今後の課題は
体力をつけて後半にペースを上げられるようにすることと相手のダッシュに素早く反応できるようになることです。
塩田航平(スポ2=埼玉・栄北)
――ポイントレース予選を振り返って
ポイントレース予選は単純に自分のスピード不足ですかね。初めからの速いスピードに適応できなかったというか、ポイントを取る脚がなかったと思います。
――マディソンを振り返って
マディソンは今回が1回目で、上位は狙いたいけれどもなるべく怪我はしないように走りたいなと思っていたので、まず落車しなかったところが一番大きいです。順位は5位だし、1回もラップされずにずっと同じ集団でついていってポイントも何点か取れてたので、らいねんにつながるかなと思います。
――落車を避けるためにどんなことをしましたか
基本的にマディソンの場合は危ない動きをする大学の後ろを避けたりとか、視界を広くもって、交代するなと思ったら早めに外側に行って避けたりしていました。
――今回の大会で得たものを教えてください
自分のスピード不足とマディソンの感覚ですかね。
――次戦に向けて
きょねんからこの7月25日の湾岸クリテリウムを目標にしていたので頑張りたいと思います。
佐藤啓斗(スポ1=青森・八戸工)
――7~12位決定戦を振り返って
7~12位決定戦は目標となる方が1人いましたので、その方についていくことと他の選手をけん制し追い抜くことを目標としていました。他の選手には勝てましたが私が目標としていた方を追い越すことができず、2着でしたので次のインカレでは追い越せるようにこれから練習していきたいです。
――走りとしては何を意識していましたか
私はまだ実力的には非常に弱いのでとにかくほかの選手についていくことが重要です。いまは選べる戦法は少ないですがその中から勝つために必要な戦法を選択していきたいです。
――飛び出しのタイミングは
飛び出しのタイミングは私自身では実力不足で仕掛けることはできないので周りの展開を読んで攻めるようにしていました。
――8位という結果でしたがいかがですか
7~12位決定戦では2着となりましたが準決勝は良くなかったので次は決勝進出を目指してこれから練習を頑張っていきたいです。
孫﨑大樹(スポ1=京都・北桑田)
――ポイントレース予選にはどのような気持ちで臨みましたか
最近ロードレースの大事な試合が続いていてトラックの練習にはしばらく参加していなかったので、ちょっと不安がありました。しかし、最初は違和感を感じたんですけど、集団内での動きとか位置取りはいつもより良かったので、落ち着いて決勝に上がれるようなポイントを取っていい感触で終わろうっていう意識で走りました。
――ポイントレース本選にはどのようなプランで臨みましたか
前半のペースアップには上手いこと脚を使わずに回すイメージで、しっかりと先頭について行こうと考えていました。後半勝負になると思っていたので、前半はあまり積極的、ではないですけど、ポイントに絡めるところには絡んで、後半に向けた動きを意識していました。
――本選の振り返りとしてはいかがですか
レース内容としてはずっと僕の一個順位が下の荒井佑太(法大)さんと優勝した小林泰正(日体大)さんと2位の原井博斗(中大)さんたちと前半はずっと4人でバトってて、優勝した人と2位の原井さんの二人の逃げについていけずにラップが取れなかったのがちょっとでかいなと思います。でも、最初に勝負に絡んでいなかった選手たちが最後逃げて3位と4位に入られたんですけど、荒井さんとの勝負には勝つことができたし、レース内容としては良かったんで、次はラップ集団には乗って、優勝争いができるように走れればいいなと思います。
――最後の飛び出しのタイミングはどう決めたのですか
優勝した小林さんともう一人の選手ロードの強化指定の選手が集団を形成していてスピードも十分あったので、そのまま三人で抜けてゴールまでいければ僕自身荒井さんとの得点差も開くし、もしかしたら4位も狙っていけるかなと思って最後まで逃げ切ることを意識していました。
――マディソンの交代のタイミングは決めていたのですか
前半は集団もまとまったままで、交代する選手も多くて非常に危険なので、無理せずにちゃんと交代できるところでしようと話していました。交代しようとして失敗するのが一番危ないし脚を使うので、確実に交代できるタイミングで二人で合わせて交代しようと決めていました。
――結果としてはいかがでしたか
もっと詰めれば楽に交代して脚を貯めれると思うんですけど、初めての割には良かったと思います。
――次戦に向けて
いまRCSランキングでも3位につけているので、得点を重ねてシリーズ年間チャンピョンになれるように頑張っていきたいと思います。
中嶋綺砂(スポ3=三重・暁)
――結果についてどう思うか
1回でも多くポイントを取ろうと積極的なレースをしました。2回目のポイント周回では2つの集団に分かれており、私は後ろの方だったので前の集団に先行されましたが、これは私の力不足です。ただ、ゴールスプリントで3着につけたことで最終的に同点で並んだ人よりも上の順位になって入賞できたので良かったです。
――今後の課題は
全体としては、普段3kmを中心にやっていて、前半飛ばしすぎる傾向があるのでそれを直してペース配分をしっかりすることです。ポイントレースでは、休むべきところでは休み、ダッシュかけるときはかけるといったメリハリのつけた走りをできるようにすることですね。