伝統の一戦で圧倒、12連覇!

自転車

 冷たい風が吹きつけ冬の近づきを感じさせる西武競輪場で48回目となる伝統の一戦が行われた。早大は第1種目のケイリンで上位を独占し勢いに乗るとその後も堅実なレースを披露。タイトな時程で行われた大会ではあったが疲れを見せることなく、団体種目でも白星を挙げる。若いチームながら5種目全てで得点を上回り、総合64-32で勝利。圧巻の12連覇を達成した。

 層の厚さを見せつけた勝利。だが一抹の悔しさが残る終わり方だった。早慶戦独特のエリミネイションレース。1周ごとに最下位が脱落していくこのレースは、持久力と瞬発力が求められる。今回は計28名、早大からは13名が出走した。序盤は隊列を整えながら、伊藤和輝主将(スポ2=東京・昭和一学園)が先頭で引っ張っていく。徐々に選手が抜けていく中、スピードに乗り前方の位置を確保する選手たち。レースも終盤に差し掛かるが早大の脱落は少ない。残り9名の時点で8名が早大の選手と主導権を握った。そしてついに残るは伊藤主将、金子智哉(商2=神奈川・相模原)、慶大の池邉聖の3人。最後の対決に注目が集まる中、伊藤と金子はほぼ同時にラインを通過する。両校の誇りをかけた応援にも紛れ、脱落者のゼッケン番号を呼ぶ声が聞き取りづらかったため、自らが脱落と判断した金子は一瞬レースを外れてしまう。しかし走行を続ける権利を持っていたのは金子。力いっぱいペダルを踏み直すが時すでに遅く、ここまで唯一慶大としてレースを続けていた池邉との差は大きく開いていた。不運な展開で1位の座は譲る結果となったが、2位から9位を独占。総合得点に大きく貢献した。

エリミネイションレースには総勢28名が出場した

 最終種目は4kmチームパーシュート。4人で先頭を交代しながら息を合わせて4kmを走り切る。この日は、岩田宗也(スポ1=広島城北)らが加わり新たなチームで臨んだ。「序盤は交代を短めにして無理しすぎないようにした」と塩田航平(スポ1=埼玉・栄北)が語るように、短い間隔で位置を移動し滑らかな先頭交代を見せる。急きょ作り上げたチームで練習時間は少なかったにも関わらず、見事なレースを展開。中盤に入ってもスピードは落ちない。残り3周で慶大の後ろにつくと、第3コーナー手前で一気に追い抜く。これにより早大の勝利が決定。3人が1年生という若いメンバーでの大勝で今後に弾みをつけるレースとなった。

新たなかたちを見せた4kmチームパーシュート

 両校白熱したレースを見せた今大会。連覇という先輩たちからのバトンをしっかりと引き継いだ。だが自転車部の戦いはまだ終わらない。今月に控える全日本学生ロードレース・カップ・シリーズ第11戦や東京六大学対抗競技会。寒さは増していくが、それぞれの目標を胸に最高の走りを見せてくれることに期待したい。

(記事 吉原もとこ、写真 目良夕貴)

結果

オープン・アンノウンディスタンスレース 手嶋 1位、塩田 3位

ケイリン 手嶋 1位、後藤 2位、森 3位

チームスプリント 伊藤主将、森、後藤 1位

1kmタイムトライアル 手嶋 1位、塩田 3位、岩田 5位

オープン・1kmタイムトライアル 足立 2位、金子 4位

エリミネイションレース 金子 2位、伊藤 3位、足立 4位

4kmチームパーシュート 伊藤、岩田、塩田、八田 1位(追い抜き)

※上位のみ掲載

総合成績

◯早大 64―33 慶大

コメント

伊藤和輝主将(スポ2=東京・昭和一学園)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

国体後初レースでした。あまり練習をしていない割には良かったと思います。

――エリミネーションレースは作戦はありましたか

特にありませんでした。事故の無いように、ケガの無いように行こうという話しかしていませんでした。きょねんに比べたらチームプレーな走りはしていなかったと思います。結果的に1位は逃しましたが、ワセダが上位を占めるかたちになったので、総合優勝に繋がるという意味では良かったと思います。

――慶大の池邉聖選手が残るということは想定していましたか

はい。していました。

――4kmチームパーシュートは新チームで挑みましたがいかがでしたか

4人で合わせをしたのが2日間のみでした。他はフリーだったのですが、まとまりよく走ることができていたので、本番も一応4分35秒を狙っていこうと話していました。みんな何種目も出た後で、疲労も溜まっていた中でしたが、中盤のペースとしては良かったと思います。仕上がりが良かったのでまとまりも良かったです。

――次のレースに向けて

取れるところを落としたりして、あまり早慶戦の総合の結果が良くはなかったのですが、そこを詰めていく事ができたら優勝も見えてくると思うので、頑張ります。

手嶋将大(スポ2=千葉・国分)

――きょうの早慶戦はいかがでしたか

ことしは先週個人TT(全日本学生個人ロードタイムトライアル)で着っている池邉(聖、慶大)と一個下でも強い選手がいるので気合いを入れて頑張りました。

――自分で一番気持ちを入れていた種目は

1km(1kmタイムトライアル)です。TRS(全日本学生トラックレースシリーズ)で慶大の池邉と0.5秒しか変わらなかったので、そこは本当に負けないように練習してきました。

――きょうは他にもアンノウン(オープンアンノウンディスタンスレース)などもありましたが

アンノウンはもうみんなに助けられてゴールできたというのが一番あるので、楽しく走れました(笑)。

――アンノウンを練習でやったりはするんですか

いや、全くやらないです。そういう練習は全くしないですが、普段のロードでちょっと練習しているような感じですね。

――今回のケイリンはいかがでしたか

みんな仕事してワンツースリーが取れたので、そこはもう大満足です。

――ワンツースリーを狙いたいという話をしていたんでしょうか

していました。最悪僕はビリで後藤(悠、スポ1=岩手・紫波総合)を先頭に行かせようかなというのもあったんですが、僕も負けたくなかったので粘りました(笑)。あと、慶大が攻めたり、内側に入れそうなところを塞いでくれたので、それもありスムーズにワンツースリーが取れたかなと思います。助けられた部分もあったと思います。

――きょうの早慶戦はいつもと異なり、非常に過密なタイムスケジュールでしたが

普段は1本集中のかたちでやっているので、大会としてはしんどいなと思ったのですが、いまオムニアムもやったりしているのでそういう競技に比べればまだ甘いのかなと、そこまできつくないのかなと思います。

――この先は東京六大学対抗ロードの後に六大学トラック(東京大学対抗競技会)がありますが、どのようなことを意識していきますか

チームスプリントと1kmに出場するんですが、ことしは千葉でちゃんと優勝して全体でも勝ちたいですけど、とりあえず僕個人でちゃんと責任を果たして1kmで優勝したいと思います。

塩田航平(スポ1=埼玉・栄北)

――12連覇を達成しましたが早慶戦を終えていかがでしょうか

ことしが初めての早慶戦なので12連覇といわれてもぱっとは来ないのですが、勝ててうれしいです。

――ハードスケジュールでしたが体力的にはいかがでしたか

そうですね。でも全部の競技で全力を使い切っているわけではないですし、僕はロード系の選手でどちらかといえば連続してやるのは得意なので、そんなには気になりませんでした。

――1kmは普段走る機会は少ないですがいかがでしたか

1kmの練習をしていなかったので、1kmで全部追い込むということがあまりできなくて少し反省しています。

――エリミネイションレースは他の大会ではあまり見ないレース形式ですね

そうですね。エリミネイションのある大会はほとんど無いので、本当に人生で初です。あれはどきどきです。怖いですね(笑)。

――あらかじめチームでの作戦はあったのでしょうか

そんなに作戦がなかったのですが、ちょっとあの感じですと作戦を決めた方がよかったですね。

――ご自身の走りはいかがでしたか

ずっと伊藤さん(和輝主将、スポ2=東京・昭和一学園)が引いていたので僕はそれを助けながら疲れたら下がってという感じで。なんとも言えないですがもう少し残れてもよかったですね。

――4kmチームパーシュートは新たなチームで臨みましたが練習はできていたのでしょうか

練習はきのうとおとといで急きょ合わせたという感じでした。

――きょうの作戦は

最初の4周はペースを安定させるために(スピードを)上げ過ぎず遅過ぎずで、交代を短めの交代にして無理し過ぎないようにという作戦でした。

――実際にレースを振り返っていかがですか

きのうとおととい(の練習)が結構つらかったので、それより楽だなと思いながら走っていて、気付いたら追いついていました。

――では今後への意気込みをお願いします

ことしあまりいいシーズンではなかったので、冬に練習し直して頑張りたいと思います。