二人で挑む最後の夏

自転車

 合田祐美子(スポ4=岡山・朝日塾中教校)と中嶋綺砂(スポ2=三重・暁)。喜びは二人で分かち合い、悔しさは二人で乗り越えてきた。わずか二人の早大女子自転車部。合田は4年生、全日本大学対抗選手権(インカレ)は二人で挑む最後のチーム戦である。インカレ1~3日目はトラック種目が行われた。最上級生となった合田はポイントレースで2位、また中嶋は公式戦初となるスプリントで4位入賞を果たし着実にチーム得点を積み重ねる。一方、団体競技となるチームスプリントでは自己ベストをたたき出すもハイレベルな戦いを制すことができず、予選で敗れる結果となった。

 2人の連携が不可欠なチームスプリント。中嶋が入学して2年目、互いに切磋琢磨(せっさたくま)してきた。「チームとして戦いたい」(合田)。「少しでも合田さんと速く走りたい」(中嶋)。両者の思いが重なり合う――。自己ベスト更新。ライン取りもスピードも申し分なかった。だが予選で姿を消し、中嶋は悔し涙を流す。1番チームとして戦っていると感じられる競技、それがチームスプリントだった。一方で合田は全力を出し切り、「悔いはない」と語る。中嶋の思いは確かに伝わっていた。

最後のチーム・スプリントは悔しい結果に終わった

 しかし、このままでは終われない。「少しでも多くの得点を」(中嶋)。この気持ちを胸に二人は個人種目で活躍を見せる。中嶋はスプリントで予選を4位で通過し、1/4決勝に臨んだ。相手は予選でほぼ同タイムを出しており、実力は拮抗(きっこう)していた。まさに意地と意地の勝負。勝利への執着心が試合を決める。ラスト1周まで駆け引きし合う中、先にアタックを仕掛けたのは中嶋だった。確実に前に出ると、相手のコースをふさぎゴールまで逃げ切り勝利。続く1/2決勝、3~4位決定戦では敗れたものの、初のスプリントで4位入賞を飾った。合田もポイントレースで力を発揮する。前半は抑えることで体力を温存し、4回目のポイント周回にアタックをかける。ラストコーナーから一気に抜け出すと2位でポイントを奪取した。続く5、6回目の周回でもポイントを加え、勢いを止めない。持久力を武器に最後まで攻めの姿勢を貫いた合田はトラック種目では自身初という表彰台に上った。

思い入れのあったトラック競技でついに入賞を果たした合田

「合田さんへの感謝を語り尽くすことはできません」(中嶋)。合田はいつもそばにいた。しかし次のインカレに合田はいない。エース合田の背中を追い続けた日々。中嶋はスプリントでチーム得点を獲得することはもちろん、一人でも戦うことができることを自身で証明した。これからの早大女子自転車部は中嶋が支えていく。

(記事 三上雄大、写真 副島美沙子、目良夕貴)

合田 ポイントレース2位

結果

▽女子

スプリント 中嶋 4位

3kmインディヴィデュアル・パージュート 合田 4位、中嶋 7位

チーム・スプリント 早大(合田、中嶋) 5位

ポイントレース 合田 2位、中嶋 DNF

総合成績

▽女子

トラック総合 4位

コメント

中嶋綺砂(スポ2=三重・暁)

――トラック種目の3日間を全体的に振り返って

初日のスプリントの予選が人生初めての公式戦でのスプリントでした。なので、まずはタイムを出そうということを心掛けて取り組んで、その結果4位で予選を通過することができました。2日目の1/4決勝では、対戦相手がタイムがほぼ同じ相手だったので、先輩やOBの方々などたくさんの方々からアドバイスをいただいて、(相手を)先行させずに全力でいくようにしました。全力で先行することができた結果(1/2決勝に)進むことができました。きょうの1/2決勝では、予選1位の相手と言うことで圧倒的な強さだったので、なんとか1本と食らいついていったのですが、1本も取ることができませんでした。続く3〜4位決定戦でもストレート負けしてしまい…、何としても表彰台に上りたかったのです。ただ、いい経験になったとは思います。

――初めてのスプリントで4位入賞という結果を残されましたが、ご自身の結果に満足されていますか

チームとしては得点を獲得することができたので、そこは良かったと思っています。自分の試合としては満足していないです。

――他にも多くの種目に出場されました

チームスプリントが個人的には特に悔いが残っています。合田さんと臨む最後のインカレだったので、少しでも速く走って、順位決定戦に進みたかったのですが、進むことができず本当に悔しいです。合田さんとの最後のチームスプリントで何としても表彰台に上りたかったです。総合の結果はまだ残っているので、全力を尽くしたいです。

――合田さんとの最後のインカレということですが

合田さんは本当に尊敬できる方で、練習もとてもストイックにやられていて。感謝も伝え切ることができないです。なので、なおさらチームスプリントでは勝ちたかったです。

――トラック種目での入賞はいつ以来ですか

全国的なのは高2の最後の全国選抜ですね。

――初めてのスプリントの試合で、得点は獲得されましたが

もう、得点できたといううれしさよりも、悔しさが残っています。

――その悔しさは個人の出来、チームとしてどちらですか

3kmインディヴィデュアル・パーシュートでも7位とギリギリで入賞することができなくて。自分に対しての悔しさ、不甲斐なさからです。

――あすはロードに挑みます

8月が合宿ではバンクでの練習が主で、あまり練習できていないのでまずは完走したいと思っています。