【連載】インカレ直前特集『One for All』 第3回 佐々木勇輔主将×合田祐美子

自転車

 自転車部には実力を持った選手が数多く在籍するが、いまのロードを支えるのは間違いなく、佐々木勇輔主将(教4=埼玉・早大本庄)と合田祐美子(スポ4=岡山・朝日塾中教校)の二人だろう。ことしは実業団の選手が参加する全日本選手権ロードレース(全日本ロード)でも結果を残している。2年連続の組み合わせとなった今回の対談では、4年生になった両エースから果たしてどんな話が出てきたのだろうか。

※この取材は8月13日に行われたものです。

「きょねんよりかなり気持ち良く練習できた」(佐々木)

――合宿明けということですが、ことしも岩手県での合宿はいかがでしたか

佐々木 台風の影響もあって日本中が雨だったと思うのですが、大雨にならずに合間を見て練習をできたので、ロード班はほぼメニューの9割は消化できました。トラック班も8割方練習できたかなと思います。合宿単体で見ると物足りないと感じている部員もいるとは思いますが、関東圏内にいた他の大学に比べたら相当練習ができたのではないかなと思うので、悪くなかったと思います。

合田 私も同じです。合宿のメニューとして、1日、中日という予定があって、雨で午前中は乗ることができないということはありましたが、小雨だとバンクに入ることができましたし、基本的には計画通りのメニューはこなせたかなと思います。

――合宿前にお聞きした時は強度を高めて、合宿で追い込むと言っていました。具体的に内容としてはどういったことを行いましたか

佐々木 僕はロードとトラック両方に入って、前半はトラックでチーム・スプリント(団抜き)の練習を、後半はロードの練習をしました。トラックのメニューは僕ではなく谷口(雄太郎、スポ4=東京・昭和一学園)が決めていて、団抜きの練習なので追い込むのと合わせと半々くらいでしたが、かなり団抜きは良かったと思います。333.3メートルのバンクなので、室内に入ってどう変わるかという点はありますが、一番下手なのは僕なので。僕がある程度狙ったタイムで走れるようになるまで調整できたので、そこは良かったと思います。周回のタイム自体も全員がある程度のレベルまで持ち上げることができましたし、足並みもまずそろっていて誰が引けないということもなく、誰が引きすぎるということもありません。後は来週(19、20日)の伊豆ベロドロームに入ってどうかというところですね。ロードのメニューは僕が出していますが、20分弱のタイムトライアルと10分くらいのペース走を中心に、コースは修善寺に近いような細かいアップダウンのあるコースを使って2つのメニューを繰り返しました。普段行っている練習ですと一定以上の強度を越えている時間が10分間くらいしかないところを、後でメーターを見た時に30分以上記録されているような強度の高い、レースそのものに近いような練習を多めに入れました。

――東日本学生選手権トラックの時に団抜きがぶっつけ本番だったとお聞きしていますが、そこから確実に良くなってきていますか

佐々木 そうですね。団抜きは確実に良くなっていると思います。

――合田選手は瞬発力や爆発力という言葉を今シーズンはよくおっしゃっていましたが

合田 そうですね。自分でもそこは意識しています。今回は、私もトラックとロードの両方に行くようにしていたのですが、トラックを多めに入りました。ロードで長く乗るというよりは、トラックの中で強度を高める練習が今回はできたかなと思っています。女子二人のチームスプリントのスタートの練習はバンクに入らないとできないので、そういったことも今回はできたので内容的には良かったと思います。

――前半のシーズンの振り返っていかがですか

佐々木 自分の目標としては、全日本ロードのエリートを一番の目標にしてやっていました。そこに向かってほぼ毎週試合に出て、忙しくはあるのですが試合に出ることでそれを最大の練習にして、うまく調整していきました。調子を見るのは試合に出るのが一番ですし、強度の高い練習にもなります。今シーズンは今までとは違って、試合に出る回数がかなり多かったです。それ自体はうまく回せたかなと思います。きょねんの9月の欧州遠征で学んできたことで一番重要だったことと思っていて、上のレベルに行くには、試合にたくさん出る中で調整をしていかなければならないと感じたのでそうしました。ヨーロッパの選手は基本的には毎日試合がどこかでやっていて、それに毎日だったり2日に1回というペースで出ているので、こっちで毎週出ても及ばないというか。少しでも近づけるためにそうしました。

――結果として全日本ロードは完走もして25位と、昨年より確実にステップアップしているのではないかと思いますが

佐々木 目標としては10位以内だったのですが、もちろん少し高すぎる位置に目標を設定していたとは思っていますし、必ず達成できると思ってはいませんでした。しかし、いま振り返っても10位以内は無理ではなかったと思っているので、少し悔しいなと思っています。ただ25位という順位も、あれだけメイン集団から実業団の名前の知られている選手がこぼれていく中で、残り1周までは何とか粘れたので、先程言ってもらった通り、確実にステップアップはしているのではないかと思います。そこは自信としています。

――合田選手は前期を振り返っていかがですか

合田 ことし目標にしていた、全日本学生選手権個人ロードレースと全日本ロードで、その目標を達成できたというのはあるのですが、きょねんと違ってやはり、目標を達成したいというよりも達成しなければいけないというか。色んな面で強い気持ちがありました。達成できて満足はしていますが、やはり全日本大学対抗選手権(インカレ)というラストの舞台でトップに立つというのがいまだにできていないということもあって、インカレまでは気を抜けないと思っています。ロードに関してはイメージ通りというか、これまでやってきたことがしっかりと本番に出せました。トラックに関しては、ずっとトラックをやりたいと言って、その思いがなかなか断ち切れずにここまでやってきたので。4年間で自分の練習や特性がロード寄りになっていますし、これまで結果にはなかなか結び付かずに表彰台も遠かったのですが、ことしようやく全日本学生選手権トラックで自己ベストが出せて、表彰台も何とか上がることができました。インディヴィデュアル・パーシュートで最後、表彰台のトップというのは今の時点では厳しいというのがわかっているので、2位の選手とも差がありますが、インカレでは最後も自己ベストを目指したいという思いがあります。

――合田選手は前期、海外遠征に行く機会が多くありました。世界大学選手権ロードはポーランドで行われましたが経験していかがでしたか

合田 今回出たレースは人数的には30人ちょっとの、そんなに多くないレースでした。タイなどのレースに春先出ましたが、ヨーロッパでのレースは初めてで、やはりアジアとヨーロッパだとレースの走り方が全然違うという印象を持ちました。日本だと自分の実力で単独で走って、勝負が決まってしまうところがありますが、今回ヨーロッパで走って、男子が言っているチームで走るとか、駆け引きがあって、ロードレースっぽいというか。いまだに理解ができていない部分があるのですが、そういったものが味わえましたし、勉強できて楽しかったという面もありつつ、ただガムシャラに走るだけではダメだなという難しさを感じました。あとはやはり上位3人との実力差も感じたので、まだまだ強い選手がいるなというのが一番の思いでした。

――きょねんの対談で合田選手は感覚で走っていると伺いましたが、いまも感覚派ですか

合田 感覚派…(笑)。ここぞという時はそうかもしれないです(笑)。でも、やはり日本で走っていた時とは若干違いました。日本では何も考えずに、ひたすら追い込めばいいというか(笑)。多少は頭を使うようになったかなと思いますね(笑)。

――いまのを聞いていかがですが。佐々木選手は組み立てて走っているのかなと思いますが

佐々木 そうですね。僕はどちらかというと理屈で走っているのかなと思います。でもここぞという時は感覚というか、いままで経験してきたことから自然と体が動くという場面もありますね。特にクリテリウムやポイントレース(ポイント)のような展開の速いレースだったら、感覚で走る場面も多いので、理詰めですべて走るわけではないですね。

――きょねんからここが変わった、ここを意識して変えてきたという部分はありますか

佐々木 きょねんは団抜きも走らなくていい、ポイントも三浦さん(康嵩、平26スポ卒)が走るというのがかなり早い段階で決まっていたので。僕はロードだけでいい、ロードのコースは上りが厳しいこともわかっていて、全日本ロードのコースも上りしかなかったので、上りをどうにかしなければという練習していました。体重も落としていたり、上りはどちらかというと苦手なほうなので、それを改善するために必死になって少し長所を潰していたかなと、いま反省するとあったりします。ことしは逆に団抜きは走らなければならない、ポイントも走る可能性があったりして、目標としていた全日本ロードのコースも上りは厳しいけどそれだけでは走れないコースだったので、そう考えると本来自分の持っている特性寄りにやっていくのがベストという見通しでした。なので、きょねんよりかなり気持ち良く練習ができたかなと思いますね。レース自体も自分の持っている長所をしっかりと生かして走ることができていますし、気持ちよく走れています。選手としての能力がきょねんと比べてどちらが高いかと言われたら難しいところですが、きょねん上りをやった経験も生かしていままでより走ることができますし、1年分はちゃんと成長できたかなと思います。

合田 きょねんは、やはり上に自分より強い選手がいて、その選手に食らいついて何とか勝ちたいという気持ちが強くて。それでも、きょねんのインカレでは2位になってしまって、悔しかったというのがありました。ことしは4年生になって上の先輩たちが卒業して、自分とレベルが変わらない選手が下にたくさんいる中で、自分が力を出し切って勝つにはどうしたらいいかというか、自分が食らいついてレースで勝っていくというレースでなくなったというか。

佐々木 マークされる側だよね。

合田 マークされる側。うん、なんというか(笑)。どうやって逃げ切るか、そこがやはりできていないところで。メンタル面でも白馬でも言ったようにまだ足りないところがありますし、妥協ではないですけど少し弱い部分があって、そこで下の選手が食らいついてきた時に負けてしまうので。インカレではそこを意識して勝ちたいというのがあります。

――きょねんの上野みなみ選手(鹿屋体育大大学院)の立場にいま合田選手がいると思いますが

合田 どうですかね…。

佐々木 そうでしょ。

合田 そこの認識があまり無いからダメなのかなと思うんですけど(笑)。どちらかというといままでは上ばかりを見て来たので、難しいなという感じです。

――その立場になってみて、気持ちはどうですか

合田 自分のタイプとしては4年間男子と練習をしてきたこともあって、自分より強い選手と走って食らいついて、自分以上の力を出すというレースが得意です。逆に、自分が行ってついてこられた時にそんなに爆発力があるわけもないので、毎回仕掛けても付かれてしまうという繰り返しになってしまっています。そこで、ことしの1年間どうしようというか、悩んだりしていますね。上野さんがどういった気持ちだったのか分からないですけど、これも一つの経験なので、克服ですね。

――そういった面で言いますと、全日本ロードの方が楽に走れましたか

合田 あの時は本当に何もなかったですね(笑)。勝たないといけないというのがなかったので、自分がどこまで行けるだろうという気持ちだけでした。1、2位になった今回の選手と真面目に走るのは初めてだったので、どこまで自分が走れるのかというのを知りたかったですし、プレッシャーとかも全くなくて。学生のレースとは違った気持ちで、リラックスではないですけどいい感じの緊張感で臨めました。

――5位入賞を果たした﨑本智子選手(枚方スイミングスクール)がレース後、「合田選手の勝負に対する気持ちが強くて勉強になった」とおっしゃっていました

合田 2年生か3年生の時に広島で行われる西日本チャレンジサイクルロードレースで初めて﨑本さんと一緒に走らせていただいたのですが、まんまと上りで逃げられて、単独走になってしまったんです。ことしに入って強化や測定の時に一緒になる機会があって、トライアスロンと競技は違いますがやはり共通する競技に対することを話させていただいたので、私も勉強になっています。

「全部変わったかな」(佐々木)

最高学年としての思いを語る佐々木主将

――最上級学年ということで主将になったり、4年生ということで気持ちも変わったのではないかと思いますが、1年生の頃から見てお互いここが変わったという点はありますか

佐々木 自分では全部変わったかなと思っているのですが、周りから見ては知らないです。いまの自分から見て1年生の時の自分を思うと、ずいぶん生意気で厄介な1年生だったなと思いますし、もしいまそんな1年生がいたらすごい頭に来るだろうなと思います。上に立って、その時の先輩たちの苦労がわかりましたし、相当迷惑をかけたなと思っています。だからこそ下のことはよく見て行かなければならないなと思うので、4年間やって良かったですし、最後に主将になって良かったなと思います。

――いま生意気だったというお話がありましたが、合田選手から見ていかがですか

合田 ことし主将になってくれて、副将というポジションを私もいただいて、サポートという役割があるのですが、私は何もできていなくて。やはり先輩たちもそうだったのですが、主将はすごい責任重大というか重い仕事で。佐々木くんの場合は真面目ですし計画的にやっていて、練習もロード班は特に一人一人を見てきちんとやっています。私は学年が上がっていくにつれて、全体を多少見るようになったと思いますが、やはり自分中心で考えてしまうところがあるので。後輩とかを見て、部を運営していくことができるのがすごいですね。

――逆に合田選手が変わったなという点はありますか

佐々木 ずっと変わらないところのほうが…(笑)。

合田 すいません(笑)。

佐々木 分かっているならもっと後輩を見てほしいなと思うんですけど(笑)。選手として強くなったというのが一番ですね。実力だけでなく考え方とか、僕が持っていないものを持っているからこそ結果が出るのだろうと思いますし。いまどちらかというと選手として追い越されていると思いますが、1年生の時は全くそうなると思っていなかったですし、そう考えると変わったところはすごくあるというか。いま僕が見習わなければならない点がすごく多いですね。身近な目標として合田さんがいるので、そこは1年生の頃から僕と合田さんの立場として大きく変わったところだと思います。

――年々人数が増えてきて、全体の雰囲気も変わったと思いますがいかがですか

佐々木 雰囲気どころの話ではなく、部の体制をことしは変えたので、運営するのもやることが増えて大変です。まず、今までうちの部は主将と主務しかなかったのですが、ロード班副将、トラック班副将、女子副将を作りました。主将一人ではすべてを見切れる人数ではなくなったということがあります。僕らが入る前は8人で、今は20人いるので。そうしなければ見切れない人数になって、その組織がしっかりと機能しなければ部はうまくいかないという数になりました。正直に言うとそれ自体はあまりうまくいっていません。やはり1年目なのですべてがうまくいくとは僕も監督(鈴木芳文監督、昭42商卒)も思っていませんでしたし、今後も人数が多いままだと思うので、それを見た下級生たちが次につないで改善していってくれればなと思っています。試合に行くにも、車が1台ではまず足りないので、どこかから調達しなければならなくなりましたし、インカレをはじめとした大きな大会での種目決めも話し合わないといけなくなりました。これまでは話し合うまでもなく、誰がどの種目に出るのか自然と決まるくらいしかいなかったのですが、きょねんくらいから話し合わないとどうにもならないという人数になってきて。やはり上級生という立場を見ると活気が増えたという点はうれしいのですが、それ以上にやる仕事が増えました。

合田 私が1年生の頃とは全く雰囲気も違って、活気があるというのは部らしくなったなと思います。でもそうなってくると人間なので、一人一人みんな違うので、その集団がまとまるとなるとそこで結構難しいこともあるなと感じるようになるなとは思いました。

――仲が良い後輩はいますか

 そういった意味での後輩が好きというのではなくて、誰と仲が良いというわけではないです。友達ではなくて、先輩と後輩なので。そういった意味で好きと言ったわけではなくて、選手としてだったり、持っている素質であったり、気持ちの強さだったりそういった面を見て後輩が好きです。

――きょねんも後輩との接し方といった面でお話を伺いましたが、その点は考えて接していますか

佐々木 そうですね。後輩との接し方は考えています。いまも言いましたが友達ではなくて先輩と後輩なので。仲が良いことに越したことはないですが、必ずしもそういった関係である必要はないですし、逆に仲が良ければいいというわけではなくて、レースの時に信頼できるかであったり、相手の努力をちゃんと理解して、そういった部分を買っているか、そういうことのほうがずっと大事だと思っています。

――自分たちの代になるに当たってチーム、主将としての目標や方針は立てましたか

佐々木 両方あります。チームとしての目標ではなく、ロード班のことになりますが、ロード班としてはことしのインカレまでに、ロードレースをチームとして機能して走れるようにしようという目標を掲げました。多分、きょねんの秋の時点で言ったはずですし、新入生が入ってきてからも言いました。やはり、きょねんまでのロード班の人数であったり、戦力であったりだとそういったことが難しくて、個人の力に期待してなんとか入賞してもらうというのが限界でした。ことしは金子(智哉、商2=神奈川・相模原)のレベルアップがチームとして大きくて、長距離のロードレースで戦力として走れる選手が増えています。ロード班だけで、インカレのロードレースの出場枠を埋めてむしろ余ってしまう人数になったので、チームとしてロードレースを走れるようにしようという目標を立てました。できるかどうかはあと2週間経ったらわかりますけど。本当はもっとクラス1に上がってもらって、シリーズ戦でそれが出来ればよかったのですが、そこはかないませんでした。方針は、僕が主将になるにあたって罰則を使わないという方針を立てました。罰則を使ってきた先輩たちを批判するつもりはありませんが、僕は分かってもらえるまで何度でも口で説明します。罰則を使う代わりに、僕が練習や試合でしっかり走って尊敬してもらえることで、罰則の代わりに口で説明するということを僕から後輩に対しての信頼のかたちとして出しています。それをこちらから出すことで、僕を後輩から主将であったりエースとして信頼してほしいし、それが返ってくると信じています。

――合田選手は自身の方針などはありましたか

合田 きょねん、女子が入ってきて、女子部員という立場で先輩後輩という立場になりました。きょねんは関係性や、チーム競技に対してどうやっていくかを考えていなかったので、ことしはラストということもあって、インカレでどういうようにしたいかとか、どういった結果を残せるようにしたいかということを話したり、どういったようにしたいかを聞くようにというか。同じ目標を共有できるようにしたいなというのはありました。

――後輩がいるというのはどのような感じですか

合田 人生って言うほどまだ生きていないんですけど(笑)。そういった経験が私の中であまりないので。高校の時も部活動がない中でやっていたので、最初はすごくぎこちなくて。下のほうがしっかりしているというのが現状なんですけど、自分なりにはいい勉強をさせてもらっているなと思います。

――この取材の後はオフと聞きましたが

佐々木 この後は大学の友達ときょう明日くらいは夕飯を食べに行こうと思っています。ちょっとしゃべりたいなというくらいですかね。

合田 この後、普通に終わりそうなんですけど(笑)。

――きょねんは花火を見るのがマイブームとおっしゃっていましたが

合田 そうだ。見てないですね。ちょうど土、日が多いのですが、土日は試合や合宿とかで。

——では、最近のブームはありますか

合田 無いんですけど、この前本当に久々にショッピングに行きましたね。で、ちょっと発散させて楽しかったですね。原宿とか行きました。本当に半年くらい行ってなかったですね。

——佐々木選手は何かありますか

佐々木 ことしは、多分合田さんもだと思うんだけど、自転車を楽しみ過ぎていて他のことをやっていないです。自転車の試合に毎週出て。忙しいしお金もかかるんだけど、でもレースが楽しいので。なのであんまり他のことをしてないですね。

——お二人は緊張するタイプなんですか

合田 するタイプですね。自分の意識をどこに置いているかで変わりますね。ただ上位に行きたいという自分の思いだけだとそんなにプレッシャーではないので、自分だけの問題で済んじゃうんです。でも変に2連覇とか言われちゃうと。気にしなければいいんですけど、気にしちゃうタイプなんで緊張しちゃうのかなと思いますね。

佐々木 ロードレースはあんまりしないかな。というか長過ぎてする必要がないです。スタート前に緊張していてもしょうがないというか、リラックスしてスタートしないと5時間とか保たないので(笑)。でもタイムトライアルはめちゃくちゃ緊張するので向いていないと思います。ミスったら終わりなので、1kmタイムトライアルやインディヴィデュアル・パーシュートもすごい嫌な気持ちですし、ことしは特に団抜きですよね。自分がミスするし、ミスしちゃいけないし、ミスしたら大抵リカバリーはできないですし。と考えるとタイムトライアルの前は緊張しますね。

「笑顔で終わりたい」(合田)

取材中も笑顔が印象的だった合田

——4年目のインカレは主将という事もあり、気持ちも違うのではないでしょうか

佐々木 きょねんのインカレと気持ちはやはり大きく違います。きょねん1年間は本当に自分の事だけを考えてましたし、それだけ考えていれば良い環境を三浦さんがつくってくれていました。それまでも、それまでの主将がそういう環境をつくってくれていたと思います。結果としてきょねんのインカレはロードで11位で、結局あの順位はひとりで取れる一番いい順位だったとは思います。インカレに関しては調子が悪かったということもなく、最高のコンディションでそこに合わせて十分な練習をできていました。それで走って11位というのを、あの後そういう現実を見て反省していろいろ思うところがありました。だからこそことしはチームとして走らなければいけないという目標を立てて主将としてやってきました。いまは鹿屋体育大が強いじゃないですか。あれは、選手一人一人を見てもちろん強いんですが、気持ちの面で誰が勝ってもいい、誰が勝っても自分の事のように喜べるという気持ちがあるんだと思います。それを象徴するのがきょねんのインカレで、徳田優(鹿野体育大)をいかせて、普通に考えて本当は4年生だった山本元喜(VINI FANTINI―NIPPO)さんと黒枝士揮(VINI FANTINI―NIPPO)さんが勝ちたかったはずだと思うんですが、その中でチームが勝つために自分がアシストにまわって、結果鹿屋体育大が総合優勝を取ったじゃないですか。あれはやっぱり理想的というか。それがうちもできるようにならなければ11位以上の順位は望めないと思ったので、それを目標にしています。環境も持っている選手の数も質も違うんですが、やっぱり見るべきは一番上のチームで学ぶべきところが多いと思ったので、そういうことを意識して1年間やってきました。なのでインカレではどういう結果になるかは分からないですけれど、やっぱり一人一人の力が足りなさ過ぎてチームとして全く機能しないという結果になることもあると思います。それでもやっぱり目指すべき走りとしては、それができないと話にならないかなと思いますし、僕が卒業した後にもつながらないと思います。部の雰囲気としては、下級生を含めた全部の部員が気持ちよく練習できる環境をつくることを一番意識してきました。OBの前で話をするときにもそういった話をするようにしてきました。練習時間や内容といった具体的なものもそうですし、かたちは無いですが気持ちの面で、例えば先輩がちゃんと練習していたら後輩は練習しやすいと思うので、そういう面も考えてトータルでみんなが強くなりやすい環境をつくることを心がけていました。僕が具体的に見れたのはロード班だけですが、トラック班や女子の選手にも僕が主将としてできる事だと思ったので。それがどれだけのものだったかというのがインカレの順位として、いいかたちで出ればいいなと思っています。

——合田選手は4年目のインカレについてはいかがでしょうか

合田 集大成として自分の結果を出すのはもちろんなんですけど、やっぱりせっかく2人になって女子のチームとしても昨年3位に入ることができて、ことし2年目ということで2人ともきょねんよりは実力もついてきていると思うので、お互いにベストな力が出せるようにしていきたいです。女子だとことしは日体大が圧倒的にメンバーもそろえていて、トラックとロードのどの種目でも優勝レベルの選手がいるので、優勝となると人数的にも実力的にも厳しいものがあります。その中でもやっぱり、ポイントが1点でも取れるように種目を選んでエントリーしているので、そこでちゃんと力を出してポイントを獲得して、優勝は無理でも2位は狙えるようにしていきたいというのはあります。

——ロードのコースについてはどうですか

合田 必ず好きですか、とか得意ですかとか聞かれるんですけど(笑)。けっこう登りがメインのコースで普通に走っても脚が削られていくコースで、ゴールも登りで、毎回私あそこで集団でいくとやられてゴールするパターンが多くて苦い思い出があるコースです。女子の場合あのコースだと特に力ある選手以外は毎週削られていくことになるのかなと思いますね。

佐々木 コースは正直きついし面白くないコースです(笑)。面白くないし難しいコースだと思います。やはりアップダウンがきつすぎて戦略の幅が狭くなってしまいます。かつ、戦力になるノルマの位置がかなり高いところに置かれるようなコースなので、うちとしてはその中で戦力としてカウントできる選手はやっぱり鹿屋体育大、日大、法大と比べると少なくなっちゃうなと思うので難しいですね。しかも逃げが毎回決まる訳ではないし、逆に逃げが勝つこともあります。あそこでやった大きなロードレースの展開を見たり調べたりするんですが、どれも違うというか、どうしたら勝ちやすいという定石がないコースなのですごく作戦が組みづらいですね。

——ここ最近は鹿屋体育大が逃げてそのまま逃げ切ってしまうレースが多いですが、このコースの場合はどうなるのでしょうか

佐々木 アップダウンがあまりにも激しいコースだと、集団が緩み過ぎづらいかなと思います。(きょねんのインカレは)平坦区間も長いコースだったじゃないですか。平坦区間で集団が思い切り緩むと、あのようにタイム差がつくんです。でも上りと下りしかないと、上りで脚を止めたら止まっちゃうので、ああいう風に思いっ切り緩むというのは修善寺のコースではないんですね。逃げのタイム差を大きく稼ぐのは難しいです。ただ集団でいる意味もあまりないです。全日本RCS第2戦の時に僕は逃げましたが、タイム差で大差はつかなかったですよね。でもその割にかなり長い距離を逃げました。大差はつかないけれど、集団がいきなり追いついてくるかというと、集団が圧倒的に有利なコースでもないのでそうはならないんです。でもやはり見るのは日大、鹿屋体育大と法大ですね。

——最後にインカレへの目標を聞いて終わりたいと思います

佐々木 やはり具体的な目標を言うなら総合で3位以内かなと思います。ただ実際に順位がどうというより、一つ一つの種目でいかに得点できるか、いままでやってきたことを出していい順位を取れるかというのも同じように大事だと思います。ロードはロードで3位以内というのを掲げていたんですけど、どちらかというとチームとして走れるかという目標の方が前にきますね。僕は団抜きで迷惑をかけないというか、しっかり4人の中の一人として走ることがトラックの目標です。ロードに関しては僕が何位以内という目標を立ててしまうとだめなので。(寮の)下に張ってある色紙に年間目標を書くとき、ロード班にはインカレの順位は書くなと言ったんです。チームとして走るから個人の順位は書くなと。だからロードに関して具体的な順位はないです。ただ、一人の駒として順位が取れなくても、鹿屋体育大のどの選手よりも機能してやりたいですね。鹿屋体育大のどの選手よりも佐々木が強かった、と走った人や見た人が思うような走りができればと思います。

合田 トラックではメインでやってきた個抜きで自己ベストを出すことを、ロードではちゃんと優勝を目指してやっていきたいです。後は女子としてチームで総合で2位に入ることですね。最後なので笑顔で終わりたいです。

——ありがとうございました!

(取材・編集 目良夕貴、高柳龍太郎)

◆合田祐美子(ごうだ・ゆみこ)(※写真左)

1992(平4)年11月15日生まれのA型。157センチ。岡山・朝日塾中教校高出身。スポーツ科学部4年。専門はトラック中距離、ロード。ことしからロード女子強化指定選手に選ばれ、強化合宿に参加するようになった合田選手。合宿での様子を訪ねると、「先輩方に可愛がってもらっています。想像してください(笑)」と笑顔で話してくれました。合田選手の素敵な笑顔が先輩方をとりこにしているのかもしれませんね。

◆佐々木勇輔(ささき・ゆうすけ)(※写真右)

1992(平4)年10月11日生まれのO型。179センチ、64キロ。埼玉・早大本庄高出身。教育学部4年。専門はロード。毎週末、何かしらの大会に出場していた佐々木選手。しかし、それを苦とは感じていないらしく、「むしろ楽しいくらいで、自転車に乗っていることが今一番楽しいです」と笑顔。きょねんに引き続き、競技に対する熱い思いを早スポに伝えてくれました!