逆転優勝はならず

自転車

 年間13戦に渡って行われてきた全日本学生ロードレース・カップ・シリーズ(RCS)もついに最終戦を迎えた。第12戦終了時でRCS総合ランキングの2位につけ逆転での総合優勝を狙った大中巧基(スポ3=京都・北桑田)は、中々スプリント争いに絡んでいくことが出来ず、結果10位。昨年度のRCS総合王者であり2連覇を狙った大中だったが、惜しくもランキング2位のままシリーズを終えた。

 一縷(いちる)の望みにかけたレースは、思惑通りに進むことなく幕を閉じた。トップカテゴリーであるグループ1は、各チーム3人の出場が認められた大学対抗戦。チーム内で協力し、エースをいかに上位に送り込むくかがキーとなってくる。また、今レースは獲得出来るポイント数が2倍となるため、シリーズ優勝を懸けたランキング上位陣にとっては重圧の増す一戦となる。ワセダからは大中、総合ランキング3位の佐々木勇輔(教2=埼玉・早大本庄)、昨年8月のお台場サイクルフェスティバルでクラス1昇格を果たした有我行人(スポ2=早稲田渋谷シンガポール校)がエントリー。総合ランキングで2位につける大中と首位・西沢倭義(明大)とのポイント差は58P。優勝者に60Pが加算されるため、ワセダとしては大中にポイントを獲得させることが最重要事項だ。

大中をけん引する佐々木勇

 レースは1周1.5kmのコースを20周。2周回毎にポイント周回があり、フィニッシュラインを通過した際に与えられる中間スプリントポイント(1着5P、2着3P、3着2P)と、得点が4倍となる最終スプリントポイントの合計で争われる。レースは序盤から、強豪・鹿屋体大が主導権を掌握する。圧倒的なスプリント力を持つ黒枝士揮(鹿屋体大)がポイント周回を2連続でトップ通過。大中は2回目のポイント周回で4位に入るなど惜しい場面もあったが、その後は中々スプリント勝負に絡めない。だがレース終盤、8回目のポイント周回。佐々木勇が大中をけん引し集団から抜け出すと、大中もこの動きに応え念願のトップでフィニッシュラインを通過。「作戦がきれいに決まった」(大中)と語ったように、理想的なコンビネーションでポイントを奪取した。そしてレースは得点4倍となる最終周回へ向け緊張感を増していく。アタックをかけた選手はすべて吸収され、前方集団ではにらみ合いが続く中、勝負はホームストレートでのスプリント合戦へ。何としてもポイントを得たい大中だったが、加速していく集団のスピードと大人数での位置取りの中で上手く前方へ上がることが出来ない。「場所が下がりすぎていてダメでした」(大中)。思うような位置取りが出来ず、28番手でゴールラインを切ることとなった。大中は、通算5Pで最終戦は10位。ランキング首位の西沢が2位に入り大幅にポイント数を伸ばしたため、RCS総合2連覇を達成することは叶わなかった。

総合ランク2位の大中。集団の中でスキをうかがった

 惜しくも優勝はならなかったが、RCS総合ランキングでは大中2位、佐々木勇3位と上位を占めたワセダ。今大会では悔しさばかりが残ったわけではない。「(各チームが)突出して動けるわけではない」(佐々木勇)。決して歴然とした差を見せつけられたわけではなかった。4月からは、新シーズンが始まる。主要大会で存在感を示すべく、まずは冬場にしっかりと乗りこみ力をつけることが必須だ。全日本大学対抗選手権(インカレ)の舞台で輝きを放つべく、日々全力で駆け抜けたい。

(記事 植田涼介 写真 植田涼介、北田ゆず)

結果

▽グループ1

大中 10位、有我 36位、佐々木勇 45位

▽グループ2A

谷口 12位、佐々木龍、関 DNF

▽グループ2B

三浦 25位、足立 26位

▽女子

合田 13位

▽全日本学生RCS総合ランキング

大中 2位 222P

佐々木勇 3位 166P

コメント

大中巧基(スポ3=京都・北桑田)

――きょうの調子は

調子は良かったです。そんなに思うほど練習は完璧にできていた訳ではありませんが、悪くはなかったですね。展開負けしてしまいましたね。

――敗因は

最後のポイントを取れなかったのが痛かったですね。途中アシストしてもらっていて最後のコーナー回ったんですけど、鹿屋勢に阻まれてポイントが取れず、展開がまだまだですね。

――優勝を狙って臨んだ

優勝しかなかったので、2人にも引いてもらっていたので、応えないとダメだなと思っていたんですけど…。

――ペースは

結構いつも通りですね。

――落車が多かったですが影響は

自分がこけそうになる場面はなかったですね。何回かぶつかられたり、後ろのタイヤに削られたりして怖い思いはしましたね(笑)。

――16周目には1位通過でした

あの時は勇輔との作戦がきれいにきまりました。1回しか決まらなかったので、あまり満足のいく結果にはなれなかったですね。

――スプリントの時の体力は

最後はスプリントできたんですけど、場所が下がりすぎていてダメでしたね。

――最終戦でしたが、1年を振り返って

悔しいですね。やっぱり1月の菖蒲町でもう少しつめていればもう少し楽に走れたかなと思います。

――4月からまたシーズンが始まりますが

今年は9月で引退しようと思っているので、シリーズ優勝には絡めないんですけど、後輩にいままでアシストしてもらった分返そうと思います。

足立一真(文2=東京・早稲田)

――レースを振り返って

昨年はクラス3でしか走ってなかったので、結構心配しながらレースに望みました。

――いつものレースに比べてレベルは高かったか

メンバーに関して言えば、前の行田の三戦と比較すればレベルは高かったです。ただ、今回は距離が短かったので、なんとか誤魔化して走れると思っていた、というのが本音ですね。

――距離が短い分、ペースは速かったか

速かったですが、自分が想像していたほどではありませんでした。まだそこは良かったです。ゆるむところはゆるむ、という感じだったので。

――ラスト1周を迎えて三浦主将(康嵩、スポ3=青森・八戸工)と飛び出したが

三浦さんが後ろにいたのはたまたまで、別に作戦とか言うわけではありませんでした。自分はそれまでの周回でポイントをとってなかったので、フィニッシュのところでポイントを取ろうと。ただ、ホームストレートの人の多さと声援に押されてちょっと飛び出すのが早かったですね(笑)。もうちょっと遅く飛び出せれば良かったのですが。

――来年度に向けて考えることは

とりあえずロードではクラス2で結果を残せるように頑張っていきたいと思います。

佐々木勇輔(教2=埼玉・早大本庄)

――レース全体を振り返って、思い通りにはいかなかったか

そうですね。思ったように大中さんを前に出せなかったというかんじですね。

――描いていたプランとしては

8回目のポイント周回で僕が引いて大中さんが5点取れたんですけど、あれをできればあと2回ぐらいやりたかったです。且つ最後に大中さんを3、4位以内に入れられれば優勝出来るだろうと思っていたので…。前半上手くかみ合わなかったことと9回目のポイント周回が終わった時点で2人とも下がりすぎでした。

――ペースは

昨年度に比べて自分も変わっているのでいまいち良く分からないんですけど、ペース自体がきついというわけではなかったです。付いていく分には問題なかったんですけど、あれだけの人数のクリテリウムで1人の力で選手を前に出して点を取らせるというのはすごく難しかったです。人数が多かったので1人が出来る仕事量も小さくなってしまうなとも思いました。

――他大で動いていた選手

結構ばらけていたんじゃないですかね。鹿屋はしっかり動くところで動いていましたけど…。前半逃がしてしまったのがやはり失敗ですよね。アムステルダム大学しかりそれぞれが動いてはいましたけど、やっぱり突出して動けるわけではないんだなと思いました。僕らだけじゃなくて一つ一つのチームに限界があるんだなと感じました。

――落車は

昨年よりすごく少なかったですね。コーナーが皆慎重だなと思いましたし、昨年は押しあったり殺気立ったレースだったんですけどことしはそんなかんじもなかったです。

――今後の目標

あまり小さい試合は気にしなくていいので大きい試合に向けてというかんじです。僕が意識すべきなのは、ことしこそ上りをというところですかね。発表されているレースは昨年度よりも上りが重視されたコースが多いので。3月に入るくらいからはそういった練習を多めにしていこうかなと思います。個人ロード、全日本ロード、インカレロードという長いロードレースで入賞、出来れば表彰台を目指してやっていきたいです。個人ロードは昨年4位に入っているので優勝を狙うくらいのつもりで行きますけど、やはり最重要視するのはインカレです。インカレで表彰台に上って点を取るっていうのが一番の目標です。