メンバー変更が功を奏し4位

自転車

 5月の連戦を締めくくる全日本学生選手権チーム・ロード・タイムトライアル(チームTT)が行われた。チームTTは決められたコースを走り、その時間を競う種目だ。この日は利根川沿いにある1周30kmほどの直線が使われた。1962年(昭和37)から続く本大会だが、今回は距離を大きく変更。これまで3周90〜100kmだったところを、国際大会に合わせて2周60km程度に短縮した。ワセダは当初の構想とは若干異なるチームで挑んだが、後半伸びを見せて見事4位入賞を果たした。

 ワセダは佐々木勇輔主将(教4=埼玉・早大本庄)、有我行人(スポ4=早稲田渋谷シンガポール校)、金子智哉(商2=神奈川・相模原)、八田衛(スポ1=鳥取・倉吉東)というメンバー編成で挑んだ。全体の4番手で出走、「全員が100%を出し切る」(金子)という事前の打ち合わせ通りにレースを進めようと試みる。しかし、1周目が終わった時点でシード8校中6位と思ったよりもタイムが伸びない。その要因のひとつとして、佐々木が引いてペースを上げても、他の3人がペースを維持できなかったことが挙げられる。「もっと引きたいという意識はあった」(八田)と反省するように、佐々木の負担が重くなってしまったことは否めない。それでも、後半はその佐々木の引きもあってか大きく盛り返し、4位まで順位を伸ばしてゴールした。

疲れを感じさせない走りを見せた合田

 金子と八田が反省を口にするのとは対照的に、佐々木は「十分な結果かな」と述べた。確かに目標と公言していた3位ではなかったが、昨年のメンバーから変わり2人の後輩を迎えた中で、昨年と同じ結果を手にしたことは大きな成果と言えよう。次に控える全日本選手権個人ロードレース(個人戦)にはツール・ド・北海道の出場権が懸かっているが、「勝算はある」(佐々木)と話してくれた。1、2年生の潜在力が4年生とかみ合えば、今回以上の結果もおのずとついてくるに違いない。

(記事、写真 高柳龍太郎)

結果

早大(佐々木主将、有我、金子、八田) 4位

コメント

佐々木勇輔主将(教4=埼玉・早大本庄)

――きょうのメンバーはいつ頃決まったのでしょうか

4月くらいの時点では、八田ではなく塩田(航平、スポ1=埼玉・栄北)のつもりでした。ですが腰の調子があまり良くならず、低い姿勢で60kmも走るのは負担が大きいのではないかと判断しました。(塩田は)走れるレースだけに絞って走ってくれればいいと思っているので、5月にはこのメンバーで挑もうと考えていました。

――では4人での練習も多く行っていたのでしょうか

いえ、あまりやっていないです(笑)。実際にやってみたら結構できてしまったので、あまりたくさん練習する必要がありませんでした。僕と有我は何回も走っていますし、新しく入った二人も十分走れていたので、やる必要が無かったですね。

――何かレース展開について事前に話し合っていたことはありますか

例年通り、後半勝負でいこうというのは決めていました。ただ昨年より距離が短くなり、2周回しか無かったので前半もある程度上げていかないと勝てないなとも思っていました。

――昨年に比べて距離が短くなったことはワセダにとって不利だったのでしょうか

不利だったと思います。昨年は他の大学が自滅していく中、ペースを保っていたワセダが最終周でベストタイムを出して4位に入れたので。メンバーの脚を足し算してそれがそのまま出るレース展開になったとき、やはりうちのチームは他と比べて(脚が)足りないなと思いますしね。

――目標の3位には届きませんでしたが

そうですね。3位に入りたかったですが、一方で十分な結果かなとも思います。120%の力を出せたら3位に入れたと思いますが、今回のメンバーに対して4位という結果は105〜110%のリザルトだと思っています。

――次のヤマ場である個人戦についての意気込みをお聞かせ下さい

4位以内が世界大学選手権に行けるのですが、それも狙っていますし、ツール・ド・北海道も上位3人の順位で決まるので、僕と金子と塩田がどれだけ走れるかですね。僕自身はめちゃめちゃ得意なコースですし、きょねんのパンクさえ無ければと思っているので、勝算はあると思っています。唯一不安があるとすればチーム力ですね。うちは人数が少ないのでレースを作れないと思います。他の動きにうまく乗れるかがカギになってくると思います。

有我行人(スポ4=早稲田渋谷シンガポール校)

――きょうのメンバーでの練習はどのような感じだったのでしょうか

初めて後輩2人と走ることになって、練習も2回くらいしかできなかったです。それでもみんなペース(を調節すること)が上手だったので、回数が少ないながらもことしは大丈夫じゃないかなと思っていました。

――昨年と異なり距離も短くなったレースを終えた感想は

距離も短かったし、きょねんに比べて向かい風がひどくなかったです。僕は4人の中でラストまで脚を残して周りを見られるようにする、という役目だったのですが、ぼちぼちクリアできたので悪くはないかなと思います。4人の実力以上のものは出せたと思いますね。

――目標の3位には届きませんでした

3位と1分差で、後ろとの差は10秒とかぎりぎりだったので、4位をキープできたという点では良かったんじゃないかと思います。

――いよいよインカレも迫ってきました

僕は来週から教育実習なので、ほとんどこの大会が最後です。なので無事に走りきれて良かったかなと思います。ことしの目標がチームTTに貢献する、ということだったのでぼちぼちやれたのではないかと思います。

――いまのチーム内の雰囲気はいかかでしょうか

悪くはないです。結構1年の仲が良かったりします。新しいマネージャーも入ってきて、1年生のテンションが上がっていますね(笑)。毎年幅が広がってきているので、今後の成績も期待できるんじゃないかと思います。

金子智哉(商2=神奈川・相模原)

――きょうこのメンバーで走ってみた感想はいかがですか

率直な感想としては、僕がもうちょっと引いたほうがよかったなと思いました。今回の作戦は全員が100%を出し切るということだったのですが、自分は上手く力を出し切れなかったというか、後悔が残ってしまいました。

――力を出し切れなかったというのは

勇輔さん(佐々木勇輔)がせっかく(ペースを)上げてくれても、その後で戻してしまったことですね。あと5分は長く引きたかったですね。それをやっても朝日大とは1分差だったので、勝てたかは微妙ですが、自分自身が100%を出せたかというと疑問が残ります。ちょっと悔しさが残ります。

――前回の全日本RCSは坂の多いコースだったのに対して、今回は平坦な一直線でしたが

僕は登りの方が好きですね。前回の方が得意だったのですが、これからどんなコースを走るか分からないので、平坦も走れないといけないです。来季以降はもしかしたらチームTTで僕がエースとして走ることになるかもしれませんし、平坦もちゃんと走れるようになりたいです。

――次にはすぐ個人戦が控えています

ツール・ド・北海道が懸かっているので、今回悔しかった分そこで爆発したいと思います。

八田衛(スポ1=鳥取・倉吉東)

――メンバーは1カ月ほど前に決まったと伺いました

そうですね。本当は補欠のはずだったのですが、やはり塩田くんのコンディションが良くなかったので僕が出ることになりました。

――練習の段階ではいかがでしたか

練習でかなりきつかったので、本番は出たとこ勝負だなと思っていましたね。

――実際にレースを走ってみた感想はどうでしょうか

僕自身もっと引きたいという意識はあったのですが、もう脚が限界でした。ほとんど佐々木さんに引いてもらう状況で、先輩方に支えてもらって期待以上の結果になったと思います。

――先週の全日本学生RCSでも長距離のレースとなりましたが、長距離は得意なのでしょうか

短距離よりは長い方が得意です。高校の頃はトラックの中距離で、大学からロードに転向したのですが、まだちょっと登りとかに対応し切れていないと感じます。これからは体重を減らして、登れるし平坦も引ける選手になりたいと思います。

――前回の全日本学生RCSで手応えもあったのでは

いろいろ反省はあるのですが、今のままでは通用しないということは分かりましたし、きょうのチームTTでもまだまだ未熟なところが見つかったので、これから練習する良いモチベーションが増えたなと思いました。

――重点的に練習したいところは

長所を伸ばしてから短所を補っていきたいので、まずは平坦での力をつけようと思います。

――この先も大会が続いていきますが、一番焦点を当てているのは

やはり全日本大学対抗選手権です。ですがとりあえずは個人戦に出られることになったので、そこに向けて練習して、最終的には焦点をしぼっていきたいです。伸びしろはまだあると思うので、どこまで伸びるかやってみたいです。