1年生が健闘、表彰台へ

自転車

 新体制になり早くも1カ月が過ぎ、ゴールデンウィークには強化合宿も行ったワセダ。その成果を発揮するため、男女合わせ14人もの選手がこの大会に出場した。男子では1年生の活躍が光り、スプリントとポイントレースの2種目で表彰台に乗るなど、全日本大学対抗選手権(インカレ)へ向け上々の滑り出しを見せた。

 男子スプリントには1年生の後藤悠(スポ1=岩手・紫波総合)がエントリー。予選は一人ずつタイムを計測し、上位10人が1/4決勝に進む。「余裕があったわけじゃないです」。本人はそう話すが、全体1位のタイムをたたき出し次へと駒を進めた。1/4決勝も問題無く勝ち進むと、1/2決勝へ。ここから先は2人で走り、3本中2本先着した方が勝利する方式に変わる。互いに1本ずつ取って迎えた3本目。第3コーナーで相手選手の横につけると、メインストレートで競り勝った後藤が先にゴールする。しかしその直後、審判が審議に入る。第3コーナーで後藤がルール違反をしたと判定され、3、4位決定戦へと回ることになってしまう。だが3、4位決定戦を行う前にも再び審議が。二転三転した結果、先ほどの1/2決勝の結果が訂正され、決勝へと進めることになる。思わぬトラブルにも動揺せず、決勝で後藤は自分から積極的に仕掛けていくが、残念ながら相手に2本先取され優勝は逃してしまう。「技術を上げれば勝てる」という感触を得ていただけに、試合後は悔しさをあらわにする一面もあった。

優勝とはいかなかったが、後藤はその実力を印象づけた

 男子ポイントレースには予選1組に佐々木勇輔主将(教4=埼玉・早大本庄)と塩田航平(スポ1=埼玉・栄北)、予選2組に有我行人(スポ4=早稲田渋谷シンガポール校)が出走した。ポイントレースはコースを所定の回数走り、決められた周回でポイントを獲得して順位を競う。久しぶりの大会となった有我は惜しくも予選で姿を消したが、佐々木と塩田はお互いに潰し合うことなくポイントを分け合い、問題なく決勝へ進む。「決勝は後半勝負だ」と考えていた佐々木だが、ペースアップのつもりで前に出ると、そのまま1回目のポイント周回でポイントを獲得。少々想定外ではあったが、いったん後ろへ下がり後半へ備えると、その間に塩田が着実にポイントを取り暫定2位へと躍り出る。ポイント周回も残り5回となったところで再び佐々木が狙いに出た。「ポイントを取った場面一つ一つは良かった」(佐々木)と振り返るように、イメージ通りのレース展開を繰り広げ、最後は塩田と一緒にワンツーフィニッシュ。佐々木と塩田の獲得ポイント数は同じだったため、先にゴールした佐々木が2位、塩田は3位となった。

今回の2人の結果は非常に好材料と言える

 新入生が力を発揮した本大会。決して悪い結果ではなかったが、佐々木は「すべての種目であと1つ順位を上げたかった」と振り返る。コメントにもあるように、やはり選手たちが見据えているのはインカレだ。本番まで修正の時間はまだまだあるだけに、この結果を次へのステップとしていきたい。

(記事 高柳龍太郎、写真 目良夕貴)

★新メンバーでの初戦は不完全燃焼

 男子4kmチーム・パーシュートは、昨季から大きくメンバーを入れ替え、佐々木、谷口雄太郎(スポ4=東京・昭和一学園)、塩田、伊藤和輝(スポ2=東京・昭和一学園)の4人で挑んだ。しかし4人で合わせる機会がほとんど無かったことも影響してか、目標タイムには届かない4分41秒624でフィニッシュ。不本意な結果となってしまった。とはいえ能力のある選手がそろっているだけに、これから練習を重ねて万全のコンディションで臨めば伸びしろは十分ありそうだ。

このメンバーでどこまで進化できるか注目だ

結果

▽男子

OPEN200mタイムトライアル 森 7位

スプリント 後藤 2位

4kmインディヴィデュアル・パーシュート 伊藤 8位

OPEN1kmタイムトライアル 金子 22位

1kmタイムトライアル 谷口 5位、手嶋12位

4kmチーム・パーシュート 4位

チーム・スプリント 5位

ケイリン 森 DSQ

ポイントレース 佐々木主将 2位、塩田 3位 有我 予選2組14位

スクラッチ 中井 予選1組18位、足立 予選2組14位

▽女子

3kmインディヴィデュアル・パーシュート 合田 3位

チーム・スプリント 3位

500mタイムトライアル 中嶋 8位、合田 9位

コメント

佐々木勇輔主将(教4=埼玉・早大本庄)

――まずポイントレースの振り返りからお願いします。塩田選手と一緒に余裕を持ってレース展開をしていたように見えましたが、いかがでしたか

2人で潰し合わないようにしよう、ということは話していたのですが他は1本目のポイントは僕が取りにいくこと、前半攻めることくらいしか話していませんでした。2人でポイントを取りにいったのも、塩田が行ったので僕が後ろについて塩田を抜かずに、僕も3点を取るというかたちが都合良かっただけですね。先に僕が2点取っていたので、塩田とポイントを分け合おうと思っていました。

――決勝で前半に仕掛けましたが、早い段階でポイントを狙いにいったのでしょうか

あれはあまり取るつもりはなかったんです。ペースアップのつもりでいたら後続が誰も来ずに、そのまま(ポイント周回を知らせる)ブザーが鳴ったので取りに行けてしまいました。あまり足を使わないで取れたのでよかったです。

――その後少し辛そうな表情を見せていましたが

ポイントを取りにいったから辛かったというよりは、むしろ全体的に(集団の)ペースが上がったからということですね。

――後半は狙い通り仕掛けにいったということなのでしょうか

決勝は後半勝負だと走る前から決めていて、後半に逃げを打とうと考えていました。今回の予選でパンクしてしまったんですが、ちょうどきょねんのこの大会でもパンクしたんです。きょねんはさらにその後決勝で救急車に運ばれる事態になってしまい、きょねんと同じ流れになるのは嫌だったんです。なので最初の4回のポイント周回はスプリントせずに後半で勝負しようと思っていました。結果的に優勝できれば良かったのですが、ポイントを取った場面1つ1つは良かったです。ポイントを、最初と2つ目の間か2つ目の後そのままもう一回取りたかったです。

――今回一緒に走った塩田選手についてどのような印象を持ちましたか

練習あまり出来ていなくてあれ(3位)なので、やはり強いなと。走る前には、どっちが走っても多分変わらないなと思っていたんですが、やっぱりその通りになりました。

――今度は4kmチーム・パーシュート(団抜き)について伺います。ご自身も初めてとのことでしたが、いかがでしたか

団抜きに関してはいつも僕が一番迷惑をかけているので(笑)。今回の試合では2周目に(ペースが)上がりすぎたというのがありますし、そこだけでなく僕が団抜き経験が無さ過ぎてペースを調節することが出来ませんでした。ロードもありますが、団抜きにも時間を割いて合わせていかなければいけないな、と感じました。

――団抜きの合わせはゴールデンウィーク合宿だけだったとお聞きしましたが、合宿ではいかがでしたか

僕も谷口も就活で忙しく、さらにトラブルもあり、伊豆ベロドロームでは全員でそろうことが出来なかったんです。団抜きは目標タイムを(4分)35秒くらいに設定していたので、課題の残る走りでしたね。特に僕に課題が残っていると思います。

――最後に、今回の大会ではどのような収穫があったと言えそうですか

部として見れば、すべての種目であと1つ順位を上げたかったですね。ただ、このくらいの方が練習のモチベーションにはつながると思うので、あと一歩だった悔しさを元に練習をしっかりやっていけたらと思います。

谷口雄太郎(スポ4=東京・昭和一学園)

――久々の大会だったと思うのですが、1kmタイムトライアル(1km)はいかがでしたか

1kmなので全力で行くつもりで臨んだのですが、久々ということもありこのように結果も伸びず、残念なタイムでした。個人としては(1分)7秒台を狙う勢いで走ったのですが、結果がついて来ませんでした。次に個人戦(全日本学生選手権トラック)もあるので、その時ベストを出せるように頑張りたいと思います。

――就職活動も平行して行っているとお聞きしたのですが、やはりブランクができてしまったのでしょうか

ブランクはあまり無いのですが、団抜きもあったのでそちらに力を入れていたら1kmは調整しきれませんでしたね。

――いま話にも出た団抜きですが、メンバーも大きく変わりましたね

そうですね。合わせがゴールデンウィーク合宿だけだったので、本当にぶっつけ本番のようになってしまいました。(今回)結果を出しているチームはきょねんと同じメンバーだったりするので、やはり団抜きのメンバーは大事になってくると思います。今回の大会はあまり良くなかったですが、みんなのコンディションを上げて、これから合わせていき、インカレに向けて頑張っていきたいです。

――合宿ではどのようなことを重点的に練習したのでしょうか

やはりペースを刻んで走るのが一番速く走る方法なので、4人でペースを刻むことを意識していました。メンバーもゼロスタートで未知数だったので、今回はそこそこだったと思いますね。

――合宿には1年生も加わりましたがどのような印象を受けましたか

人数が増えたので活気はあったと思いますし、練習の幅も増えたと思います。合宿の時にちょうど就活に入ってしまい、全日程には参加できなかったのですが、みんなきついながらも楽しくできたと思います。

――今回の大会でどんな手応えをつかめたでしょうか

1kmもそうですし団抜きもそうですが、インカレに向けてまた練習していかなくてはと、練習不足を実感しました。

後藤悠(スポ1=岩手・紫波総合)

――スプリントの予選では、余裕があるのかなと見ていて感じましたがいかかでしたか

コンマ数秒差だったので余裕があったわけじゃなかったです。思ったほどタイムが出なくてもっと体力をつけないといけないと思いました。

――予選では風も強かったですが影響はありましたか

横風が強くて振られたので、そういう障害にも負けないようにしたいと思います。

――1/4決勝でもまだ余裕が見受けられたように思います

1/4決勝では一番タイムが遅い人との組み合わせだったので余裕を持って戦えました。

――1/2決勝の後に結果をめぐって長い審議に入ってしまいました。あの時間は気になりましたか

特に何も考えてなかったですね。決勝に進めたのでラッキーでした。

――後藤選手は予選から相手に先に仕掛けさせていましたが、決勝の1本目では自分から先に仕掛けていました。何か特別な意図があったのですか

あの場面はいけると思ったので仕掛けたのですが、ペース配分などがまだ未熟で追い抜かれてしまいましたね。

――決勝の後では悔しさをあらわにしていましたね

技術を上げれば勝てる相手だったと思うので悔しかったです。

――今回の大会で得られたものはなんでしょうか

やはり技術だったり走り方がまだまだなので、インカレまでに直していきたいと思います。

塩田航平(スポ1=埼玉・栄北)

――きょうのレースを振り返っていかがでしたか

作戦は特に考えていませんでした。流れに身を任せていこうと思っていたのですが、その結果、日大の岡本くん(岡本隼)と日体の松本さん(松本耀介)と逃げることができ、そこでポイントを稼ぐことができたのが大きかったです。

――作戦は特に考えていなかったということですか

そうですね。いつもそのスタイルで走っているので。

――あのタイミングでいこうと思った理由は

前に日大が二人いた時に、松本さんが思いきり引いていて、その流れで後ろがちぎれたので、松本さんに「二人です」と伝えて、日大に追いつくことができました。ちょうど、ポイント周回の周だったのですが、そのまま岡本くんが先頭で通過した後に、後ろとの差が空いていたのでここは逃げようと思って、先頭交代の際にペースを作って逃げました。

――3人の協調体制はとれていたのですか

そうですね。岡本くんが一番強くて、僕と松本さんが岡本くんに従うみたいな感じになっていました。協調体制がとれていたと思います。

――予選と決勝で変えた点はありますか

変えた点は特にないです。予選は1回だけ5点を取れば上がれるので、1回だけに集中して、あとは後ろにいました。でも決勝はさすがに逃げられたらまずいので、要所でポイント以外も前に出るということはしました。

――3位という結果について

僕はまだ腰を故障していて、あまり練習ができていないこともあり、意外に走れたという感覚です。おそらくですが、中大と日大の選手は団抜きを走った後だったので、疲れていたのかなと思います。

――団抜きはいかがでしたか

僕も腰を故障していますし、伊藤さんも腰の故障をしていて、最初は雰囲気が暗かったです。協調体制で走ろうということで走りました。意外と最後に日体大をまくっていたみたいなので良かったですね。ただ、次の大会までにはもう少し治して挑みたいですね。

――次の試合に向けて

次の試合は来週の修善寺カップになります。修善寺カップは登りで腰が痛くなってしまうので、どうなるかわかりませんが、個人戦のトラックでポイントに出ると思うので、そこで頑張りたいです。