佐々木主将、念願のリーダージャージー獲得

自転車

 年間を通して戦う全日本学生RCS(ロードレース・カップ・シリーズ)(RCS)初戦。今回の競技はコースを走り、決められた周回の着順ごとに得点が与えられるポイントレース方式をとった。湖畔の周回コースとなっており、1周は1.15km程度と短め。だが90度に近い最終コーナーや最終コーナーからゴールまでの直線が200mほどとなっており、スプリントのための距離が短いコースとなっていた。ワセダはクラス2、3では表彰台に乗ることができなかったが、佐々木勇輔主将(教4=埼玉・早大本庄)がクラス1で見事優勝。前日の結果と合わせてRCS総合成績が暫定1位となり、2年越しでリーダージャージーに袖を通した。

 クラス2には足立一真(文4=東京・早稲田)と金子智哉(商2=神奈川・相模原)がエントリーした。足立が序盤から集団前方に位置取り、積極的に走る一方で、金子はやや後方で前の状況を伺う。果敢に得点を狙いにいく足立だったが、ゴール前でのスプリント勝負に勝てず得点を奪えない。レース中盤に差し掛かり、金子が一気に仕掛けるも後続に追いつかれ不発に終わる。2人とも無得点に終わり、金子が17位、足立は22位に沈んだ。

得点に絡めなかった足立

  クラス1に出場した佐々木は、予定変更により行われた1日目のクリテリウムでは2位につけていた。2日目はスタート直後から集団の前方で冷静にレースを組み立てる。最終コーナー前の直線から何度も仕掛け、着々と得点を重ねていく。残り5周を前に得点で1位となると、佐々木は一気に逃げ切りを図る。だがすかさず2位の浦佑樹(東大)が追走。浦が先にゴールすると逆転負けとなってしまう点差だったため、佐々木は必死に振り切ろうとするも、最大15秒あった差は4秒まで縮まってしまう。このまま抜かれてしまうかに見えたが、最後は佐々木が走り勝ち、大きなガッツポーズとともに1位でフィニッシュした。

デッドヒートを制しゴールする佐々木主将

 RCS総合成績が暫定1位の選手に与えられるリーダージャージー。今回初めてそのジャージーを着た佐々木は満面の笑みで表彰台に上がった。しかしこれを保持し続けることは非常に難しい。今回は昨年度RCS総合優勝者の金井誠人(明大)が欠場しており、佐々木も「金井に勝たなくては意味が無い」とこぼしていた。次戦以降もリーダージャージーを着続けることができるか。佐々木のラストシーズンが始まった。

(記事 高柳龍太郎、写真 目良夕貴)

結果

▽クラス1 佐々木主将 優勝
▽クラス2 金子 17位、足立 22位
▽クラス3A 井上 DNF
▽クラス3B 中井 8位、八田 9位

コメント

佐々木勇輔主将(教4=埼玉・早大本庄)

――きょうのレースプランはあったのでしょうか

あまり無かったんですが、とりあえず山本隼(中大)はマークしていました。明大はそんなに調子が良さそうではなかったので、小林(和希、明大)もマークはしていましたが、一番警戒しなければいけなかったのは中大の広瀬(樹)と山本でした。きのうは、山本がエースで広瀬がしっかりアシストして勝っていたので注意していました。

――では最初から逃げ切りを考えていた訳ではない、ということでしょうか

そうですね。90分のポイントレースでは、具体的な作戦を立てても実際何が起きるか分からないので。例えば行田のクリテリウムだったら4回同じメンバーで走るので、ある程度のプランも立てられます。ですが今回はこのメンバーでクリテリウムを走るのが初めてでしたし、昨年までのメンバーとも大きく変わっていたので、細かい作戦は考えていなかったです。

――前日のクリテリウムは不調だったとお聞きしましたが

絶不調という感じでしたね。走る前はメンバーを見て、これは勝たなければいけないと思っていたんですが、走ってみて、きょうは絶不調だなと感じました。これは3位以内にも入れないと思っていましたがなんとか2位に入れたので、僕としては合格点といったところですね。

――最後の逃げ切りの際、後ろから東大の浦佑樹選手が猛烈な追い上げを見せました。あのシーンはいかがでしたか

残り5周目から3周目にかけて一気に差が詰まってきましたが、浦の走り方のタイプからして、経験上最後に一気に詰めてくることはないだろうと思っていました。相手が詰め始めた時点で全力を使っていることは分かっていたので、その点は少し安心していました。3周目の時点で詰まっていないのならば、最後に一気に詰まることはないだろう、むしろ力尽きるだろうと考えていました。多分何とかなると思っていました。

――最終コーナー手前のストレートから仕掛ける場面が多かったと思いますが、その意図は何だったのでしょうか

このコースは最終コーナーを曲がってからゴールラインまでが200mほどなんです。スプリントって遅くても残り200mで仕掛けるものなのに、そのための距離が短いんですね。スプリント力のある選手でも抜けて最大2、3人ぐらいなので、このコースでは前にいればいるほど有利でした。なので早めに仕掛けて、多少足を使ってでも先頭で最終コーナーを曲がった方がスプリントの勝算があったということです。

――今回初めてリーダージャージーを手にしましたが、どんなお気持ちですか

リーダージャージーを取ったこと自体がいままでなく、2年間あと1歩のところで逃し続けてきました。素直にうれしかったですが、同時にいままで取れなかった記憶も併せてよみがえってきましたね。

――新しい部員も増えましたが、最上級学年としていま思うことはありますか

まだ入ってきて1ヶ月も経っていないので、まずは選手1人1人のタイプを見極めたいと思います。ロードの選手が多く、基本的に僕が見ていくことになります。最上級学年とはいえ、高校から自転車に乗ってロード種目をやっていたのは僕だけなので、引退までに必要なことを教えていけたらと思っています。