ことしも大勢の観客が見守るなか開催された全日本学生ロードレース・カップ・シリーズ第5戦湾岸クリテリウム。2日目のレースでは、クラス3で手嶋将大(スポ1=千葉・国分)が2位入賞を果たし、昇格。三浦康嵩主将(スポ4=青森・八戸工)、伊藤和輝(スポ1=東京・昭和一学園)はクラス2でワンツーフィニッシュを決めた。そして、クラス1の佐々木勇輔(教3=埼玉・早大本庄)が2位に入賞した。
ワンツーフィニッシュを果たしたワセダ
1周800メートルのコースを20周回するクラス2には、ルーキーの伊藤、3年の足立一真(文3=東京・早稲田)、そして三浦主将が出場した。レースが動いたのは7周目。東大の山形研一郎がアタックをかけると、逃げを容認せず、三浦主将を含む3人が山形を追った。徐々に差をつめ、12周目に三浦主将と信州大の北澤竜太郎が追いつき、先頭集団が形成された。そこへ、メイン集団にいた伊藤が加わり、形勢は一気にワセダ有利に。先頭集団は後方を引き離し、4人での優勝争いとなる。ラスト1周でスプリント勝負を制した三浦主将が優勝、伊藤は2位でフィニッシュした。「ワセダらしい走りができた」と三浦主将が語るとおり、見事なレースとなった。
実業団も参加し、ハイレベルな戦いとなったクラス1。選手たちは、1周800メートルのコースを30周回する。ワセダからは、佐々木と有我行人(スポ3=早稲田渋谷シンガポール校)が出場した。序盤から速いペースでレースは展開。佐々木は集団の中央あたりに位置していた。19周目、佐々木が動く。トップで走る選手二人を追う集団のなかで先頭に立つと、次の1周で二人を吸収した。その後は集団の前方でレースを進める。ラスト1周の鐘が鳴るのと同時に佐々木は飛び出し首位に立ったが、スプリント勝負でニュージーランドのエヴァンズ ブラッド・アンドリューに敗れ、2位でのゴールとなった。「具体的な作戦はなかった」という佐々木だが、レースの流れを読み、全日本大学対抗選手権(インカレ)前に結果を残した。
スプリント勝負に持ち込んだ佐々木
今回のレースでは、すべてのクラスで選手が入賞を果たし、好調ぶりが見られた。特に、クラス1で実業団選手と互角に戦った佐々木は、今回の入賞が大きな糧となったはずだ。目前に迫ったインカレに向けて、選手たちは全力で駆けてゆく。
(記事 副島美沙子 写真 植田涼介、末永響子)
結果
1日目
▼男子
U23クラス1 佐々木 8位、有我 12位
U23クラス2 三浦主将 2位、足立 9位、伊藤 11位
U23クラス3A 手嶋 3位、金子 5位
U23クラス3B 森 DNF
▼女子
合田 5位、中嶋 DNF
2日目
▼男子
ELITEクラス1 佐々木 2位、有我 16位
ELITEクラス2 三浦主将 優勝、伊藤 2位、足立 5位
ELITEクラス3A 手嶋 2位、金子 10位
ELITEクラス3B 森 DNS
コメント
三浦康嵩主将(スポ4=青森・八戸工)
――きょうのレースの感想は
きょうは本当にワセダらしい走りができたので、すごく良かったです。
――クラス1に昇格されましたが
もしかしたらクリテリウムに出るのが最後かもしれないので、最後にクラス1に上がれて良かったです。
――東大の山形選手がかけたアタックについていきました
誰も追う感じがなくて、しかも東大の選手が独走力にたけている人なので、このままいかれたらまずいかなと思って、追いました。
――――伊藤選手が追い付いてきたときの心境は
最初は3人で回していたので、きつかったのですが、伊藤が来てくれて4人になって、しかもワセダが4人中2人になったので、展開的にもいろいろ作戦を組めました。
――どのような作戦を考えていらっしゃいましたか
積極的に先頭を引いて、最後のゴール勝負で、二人で1位・2位をとれればいいかなという感じでした。
――どのあたりで、優勝を狙えると感じましたか
残り8周になったときに、後ろの集団との差が10秒あいていたので、そこでいけるかなと思いました。
――会場の雰囲気はいかがでしたか
自転車レースは観客が少ないので、こういうところで観客を入れながら試合ができるのは、走っていて気持ちいいですし、面白いです。とてもいいレースだと思います。
――きょうのコースが得意という感じはありますか
コーナリングは得意ではないのですが、このコースではいつも成績が割といいので、相性は良いです。
――インカレではどの種目に出場されますか
ポイントレースと団体追抜に出ます。どちらも優勝したいです。
――インカレでのチームとしての意気込みは
団体追抜に一番力をいれて、総合でも、ひとりひとりが頑張って順位を上げてくれればいいかなと思っています。
足立一真(文3=東京・早稲田)
――今日のレースを振り返って
途中で前が先に仕掛けてきたのですが、自分たちも前に2人追いついたので、先手先手でレース運びができたのではないかと思います。
――今日の戦略は
今日はとりあえず伊藤か三浦さんが逃げる予定だったので、上手くいって良かったです。三浦さんが前に出た後に伊藤も出て行ったのですが、僕はちょっと取り残されちゃいました(笑)。その後は、後続集団から飛び出してくる人のチェックを徹底しました。あの集団の中では自分が一番脚があったと思います。
――途中落車巻き込まれそうになりましたが大丈夫でしたか
巻き込まれずに済んだのは良かったのですが、前の選手との車間が開いてしまったので、それを詰めるために変に脚を使ってしまいました。
――きょうの目標は
とりあえずワセダから優勝を出したかったんです。その上で自分もいい成績が取れれば良かったのですが、終盤の逃げに乗り切れなかったのは反省点ですね。ワセダ3人が逃げに乗れていれば最高でした。
――インカレについて
自分はロードだけ出場します。トラックに出ている先輩たちに比べて脚が残っていると思うので、まずは20位以内に入賞してポイントを稼ぎたいです。それとともに誰かを助けられる走りがしたいです。
有我行人(スポ3=東京・早稲田渋谷シンガポール校)
――見事完走なさった、きょうのレースを振り返って
ペースが速かったので、きのうよりも辛かったです。実業団の方々がいらしてチームで上手に動かれていたので、僕は前にでることができずに完走というかたちになってしまいました。
――前回はコーナリングで遅れがでましたが
きのうきょうと二日あって、前回よりはスムーズにいけたと思います。ただ、きょうのコーナリングは実業団の方々がきのうよりも速くてすごい勢いでまわられていたのでカーブのところであがることはできなかったですね。
――今後行われる合宿での強化ポイントは
インカレの距離がとても長いので、インカレよりも長い距離を毎日織り込んで、インカレの速いレースのなかで少しでも楽に走れるようにしていきたいと思っています。
――インカレの出場種目は、そして目標をお願いします
僕は最終日のロードレースに出場します。今年の目標がインカレ入賞となっているのですが、まだ完走できたことがないので、なるべく上位を目指しつつ、まずは最低限完走できるようにしていきたいです。
佐々木勇輔(教3=埼玉・早大本庄)
――きょうのレース、事前に考えていたこと
実業団チームとの力の差とか、実業団同士のパワーバランスを知らなかったので具体的な作戦はなかったです。
――レースの中で、周りの脚を見て作戦を立てたということですか
そうですね、走りながらどのチームがどれだけ強いか、実際にレースで機能できる人数はどのくらいか、誰がどれだけ仕事ができるかというのを判断するしかなかったですね。
――昨日のレースと比べて集団のペースは
落車したのでいまいち参考にならない部分もありますけど、速かったですね。やっぱり休んでいる時間が短かかったです。あと、プロもいたので機能する絶対数が多く、もちろん1人1人の力は僕らよりあるので、集団の中で気を抜くとすぐ(ポジションが)下がってしまいました。スタートも下がりすぎだったんですけど、中盤に一度下がりすぎてしまった場面があって、焦って前に出ましたね。スピード自体がどうだったかは判断しづらいんですけど、体感的にはきょうの方が苦しかったです。
――焦った場面
昨日走った中ではニュージーランドのアンドリュー選手(ヴァン・デ・ヘイデン アンドリュー・チャールズ)が、少なくと平たんでは頭2つくらい抜けているなという印象があって、また実業団同士の逃げは実業団が追ってくれるんですけど、アンドリュー選手の逃げは実業団が少し見てしまうだろうなと思っていたので、飛び出したかけたときは自分でチェックをしていました。一回そういう場面があってチェックに入ったんですけど、そこは焦ったと言えば少し焦りましたね。
――ラスト10周を切ったあたりからペースが緩み、その後立大の選手が逃げましたが、そのあたりはどんな心境でしたか
立大が飛び出たときには、スプリンターの鈴木真理選手を3番目に置いてブリッツェンがラインを組んでいて、しかも力のあるニュージーランドが積極的だったので、これは下手な逃げを打っても捕まるだろうなと思っていました。そこでは、脚を使わずに位置を落とさないというのを意識していました。
――ラスト2周を切ってから先頭に出た場面
宇都宮ブリッツェンが3人いてこのままではスプリンターが発射されておしまいだなと思ったので、一か八か、脚を使って早めに前に出ました。さっきも言いましたけどこのコースは滑りやすく、思いっきり脚を使っても前に出られない部分があるので。
――最後のスプリントはいかがでしたか
無我夢中というか気持ち的に余裕はなかったです。ブラッド選手(エヴァンズ ブラッド・アンドリュー)を差せるかなと思ったんですけど、向こうはスプリンターだったのでやはり強かったですね。先頭で走っていて、ちょうど残り半周のところでブラッド選手が前に入ってきました。この200メートルないスプリントの長さを考えても1番手か2番手が一番良い位置なので、ブラッド選手だけが前に入るのは最高の展開だったんですけど、まあ単純に力でブラッド選手に負けたというかんじですね。
――実業団選手がいる中で2位に入りましたが、自信になったのでは
クリテリウムという特殊な環境ですけど、もちろん自信にはなりました。ただ位置取りが上手くいっただけとも取れるので慢心してはいけないなと思っています。僕が一番目指しているのはインカレ(全日本大学対抗選手権)のロードレースなので、クリテリウムはもちろん大事ですけど変な自信はつけないように、インカレまでは思い上がらないように走ろうと思います。
――いまのところ、調子は良いですか
そうですね、昨日は落車したしないにかかわらずあまり調子が良くないなと思っていたんですけど、きょうは終わってみれば相当良かったのかなと。
――インカレへ向けて
ロードでの目標は優勝です。運の要素も強いですし必ず優勝できるわけではないですけど、それでも気持ちは優勝するつもりでいきます。
伊藤和輝(スポ1=東京・昭和一学園)
――ワセダのワン・ツーフィニッシュおめでとうございます
ありがとうございます。
――きょうのレースプランを教えてください
きのうの段階からワセダでワン・ツー(フィニッシュ)を決めたいという話をしていて。最初は自分が逃げで、スプリント勝負になったら三浦さん(康嵩主将、スポ4=青森・八戸工)という話だったんですけど、アドリブを効かせて臨機応変にということで、三浦さんが逃げる形になりました。
――最後にスプリント勝負になったときは三浦さんを勝たせることを意識していたのですか
はい。三浦さんに先に行ってもらおうと思っていました。
――終盤かなりハイペースでしたが、体力面はいかがでしたか
前半メイジの鈴木さんの逃げをチェックしたときに足を使ってしまったんですが、前で4人で逃げているときは協調体制が取れていたので、4人でしっかり回して最後まで行くことができました。
――先頭を走る4人のうち2人がワセダという展開でしたが
そうですね。後ろに足立さん(一真、文3=東京・早稲田)がいらっしゃったので、安心して逃げられました。
――三浦主将と共に逃げを形成したのはどのような意図からですか
きのうのレースからバックストレートを下って右コーナーでアタックをすれば比較的(逃げが)決まりやすいと分かっていたので、三浦さんとしっかり距離が開いてから、後ろの集団を引き連れないように一人だけアタックして前に合流するようにしました。
――ゴールした瞬間ガッツポーズもみられましたが、そのときのお気持ちは
もう本当に嬉しかったです。
金子智哉(商1=神奈川・相模原)
――きょうのレースを振り返って
ちょっと前を引きすぎて実力不相応の走りをしてしまって、最後ついていけなくて、おいて行かれてしまってダメでした。
――レースプランはありましたか
きのうは後ろに下がるときに、下がりすぎてまたそれを追うのに体力を使ってしまったので、きょうは下がらないようにして常に前のほうにいようと思っていました。それはできたのですが、一番先頭に出てしまって体力消耗してしまい、駄目でした。
――次の大町美麻ロード
大町はクリテリウムではなくロードレースなので、技術はあまり必要ではないので、絶対クラス2に上がりたいです。
中嶋綺砂(スポ1=三重・暁)
――きょうの試合を振り返って
先日にスポ科の野外活動があり、練習不足でスタートの時点でついていけませんでした。タイヤのギアを重くしたり、スタートダッシュをしっかりと決められるようにすべきだと思いました。
――印象としては出遅れてしまったというイメージが強かったと
そうですね。最初のカーブで明らかに出遅れたなと感じて、そのまますぐ、降ろされてしまいました。
――本日のレース展開のプランは
行けるところまでついていこうという気持ちでした。目標としては、やはり何が何でも完走したかった。
――ペースは速かったか
とても速かったです。ニュージーランドの選手がスタートから飛ばしていて、高校のころに出ていたレースとは全然勝手が異なっていて、訳が分からなくなり焦ってしまい、そのまま完走できず終わってしまいました。
――インカレは何に出場するか
トラックでは3kmと、合田さんとチームスプリントとポイントに出る予定です。
――メインはトラックですか
個人的にはトラックが好きです。インカレでは、3kmでは自己新をだして、チームスプリントでは賞状をもらえるように、合田さんと一緒に頑張っていきたいです。
――今後の課題は
一人になるとどうしても弱くなってしまうので、一人になってもめげずに、集団に追いつけるような独走力を身に付けたいです。
合田祐美子(スポ3=岡山・朝日塾)
――5位という結果について
後から振り返ればもう少し上に行きたかったなと思うんですけど、今の実力から言えばこの辺が妥当かなとも思います。
――かなり強力な選手も参加していました
まったく外国の選手と走ったことがないので全然分からなかったですけど、逃げられないように付けるだけ付いていきたいなと思っていました。
――コースに関しては
今回で3回目になるんですけど、コーナーにまだ苦手意識があって。でも慣れてきたかなと思います。やっぱり位置取りがへたくそで後ろについてしまって、それが最後の周回でも出てしまって前に出られなかったので、まだまだですね。前にいるべき時に前にいることができなかったです。
――最終周に入った直後、前で落車がありました
まだ何周か残っていたらあれなんですけど、ラストだったので少し悔しかったです。
――脚の残り具合は
途中いっぱいいっぱいでした。ただ周りの人と比べるとスプリント力は劣っていたとは思うんですけど、まだもう少しいけたかなと思います。