きのうの雨がうそかのように晴れ渡るなか、全日本大学対抗選手権(インカレ)の前哨戦とも言える全日本学生選手権個人ロードレースが開催された。学連が主催する大会の最長距離、181kmという過酷なレースにワセダからは8名が出場。ルーキーの伊藤和輝(スポ1=東京・昭和一学園)が31位、優勝を狙った佐々木勇輔(スポ3=埼玉・早大本庄)が35位と他大に大きく溝を開けられるかたちとなった。
逃げを形成し、先頭を引く伊藤
レースがまず動いたのは4周目。大集団から明大・鈴木快彰と立命大・河賀雄大の2名が抜け出した時だった。そこに前方で走っていた伊藤が加わり、3人の逃げを形成。ローテーションが上手くはまり、一定のペースを保ちつつメイン集団との差を徐々に広げる。最大約3分の差をつけた先頭集団だったが、後半に差し掛かり鹿屋体大・山本元喜を含んだ追走集団6名に吸収され、9名となる。伊藤は一気に上がったペースについて行くことができず、脱落。しかし、伊藤はその後もメイン集団でレースを進め、31位でフィニッシュした。伊藤にとって「一度も走ったことのない距離で未知の世界」であった181km。ポテンシャルの高さが光ったレースとなった。
先頭集団を追う佐々木
一方、後半勝負に懸けていた佐々木は「前を吸収したらもう一回勝負」と終盤までメイン集団で好機を伺っていた。その時が訪れたのは残り4周。京産大・吉岡直哉がアタックを仕掛けてできた6人の逃げに乗っかり、優勝争いに盤石な体制を整える。しかし、余裕があり「残り3周の時点では勝つつもり」でいた佐々木にまさかの事態が発生した。残り3周、下りで起きたパンク。不運な事故により優勝争いから一気に遠ざかり、35位でゴール。実力を出し切れないまま終わっただけに今回の結果は悔やまれる。
ビックタイトルを狙い、各大学のエースたちが集った今大会。171名が出走し、完走者はわずか39名とことしもハイレベルなレースが繰り広げられた。ロードの中心である大中巧基(スポ4=京都・北桑田)の体調不良、そしてパンクという不幸な事故に見舞われ優勝を逃した佐々木。この二人の好走なしではワセダのロードは成り立たない。次のレースに向けて、そしてインカレに向けて調整を積んでほしい。インカレでは笑顔が見れるように――。
(記事 目良夕貴、写真 植田涼介)
結果
▽男子
伊藤 31位、佐々木35位、三浦主将 大中 有我 足立 谷口 関 DNF
▽女子
合田 優勝
コメント
足立一真(文構3=東京・早稲田)
――ワセダとしては何かありましたか
特にはなかったんですけど、大中さん(巧基、スポ4=京都・北桑田)が体調不良だったので、きょねん入賞した人に同じ走りは期待できないなとかんじていました。自分は、力もないので慎重に走ろうと決めていました。
――集団前方にポジションを取っていました
このコースは道も狭くて前に上がりづらいので、前に前にというのを、佐々木勇輔くんにも言われていたのですごく意識して走りました。
――序盤は思うように走れていましたか
そうですね、ことしは序盤あまりペースが早くなかったような気がして前に上がりやすかったので。途中からはペースが上がったり下がったりで自分の思うようには走れませんでした。日大、鹿屋体大は意図的にペースを上げたり下げたりしていたと思います。
――伊藤選手が逃げた場面で近くにいました
伊藤に「逃げないんですか」と聞かれたんですけど、逃げないということを伝えました。で、「逃げてもいい」ということを伝えたら伊藤が逃げました。そのあと自分は、ワセダが1人逃げたのを確認して安心して走りました。
――他大が逃げたらそこに乗るといった戦略は
8人いるので、個人的には誰かが逃げてくれたらいいなとは思っていたんですけど、特に決めていなくて。その場で逃げを打つっていうのは決まりました。
――遅れたのは上り部分
そうですね、上りで遅れてしまいました。上りに至るまででスピードが結構上がって集団なんですけど、自分はスピードがないので苦しい場面が多く、その結果上りで決定的に遅れてしまいました。
――改善したい部分
集団での走りはきょねんよりも良くなったと思うんですけど、距離耐性がないので距離を乗っていって、自分の長所はまだ上りの方だと思うので強くしていきたいと思います。
――次レースへ向けて意気込みを
自分はポイントを走る脚がないのでスクラッチを走るんですけど、1発勝負の競技なのでそこは集中して良い成績を出したいと思います。
佐々木勇輔(教3=埼玉・早大本庄)
――結果を率直に捉えると
やってきたことを試すこともできず練習で積み上げてきたものを順位として受けることもできなかったので悔しがることもできないというか…。実力通りの順位を出してもらえなかったのは走らなかったのと変わらないので、何も言えないです。
――パンクですか
残り3周でパンクです。下りのところでした。
――序盤は思い通り進められていた
途中は焦りましたね。マークしていた元喜さん(山本、鹿屋体大)と金井(誠人、明大)が行ってしまってタイム差も3分近く開いたので60㌔くらいのときはかなり焦っていて、引きすぎかなというくらい引いていました。まあ、でも結構皆引いてくれたので60〜80くらいにかけて結構詰まりましたよね。それで前も疲れてバラバラになっていたので大丈夫だなと思ってそこから休み始めて。前を吸収したらもう一回勝負だなと思って備えていました。予想通りというか絶対そうなるものなので、その後の6人の逃げに入れてあとで追いつかれて8人でしたっけ、そこまでは完ぺきだったかなと思います。
――調子は万全
僕個人としてコース的に一番結果が狙えるのがこのレースだったので、正直1年間このレースのために練習していたと言っても過言ではないです。コンディションもケガから5週間経っていたし、このために合わせてきたので調子は良かったです。
谷口雄太郎(スポ3=東京・昭和一学園)
――きょうのレースを振り返っていかがでしたか
とりあえず完走したかったです。
――コースはいかがでしたか
高校の時からロードは苦手なのですが、ここのコースはそこまでロード選手向きではないというか、登りが少ないので僕でも走れるかなと思ったんですけど。苦手な登りで足を使ってしまって、登りで毎週追う度にどんどんスピードが落ちていってしまいました。
――前回の個人タイムトライアル上位入賞をしていました
個人TTは平坦だったので、得意と言うか、苦手ではなかったのでうまく走ることができたのですが、やっぱりロードレースとなると、平坦だけじゃなく登りと下りがあってのレースなので、それが苦手です。
――ペースはいかがでしたか
僕は自分的にはつらいと思っていたのですが、皆が言うには落ち着いたペースだったそうです。再来週の個人トラックのためにこけたくなかったので、下りでもペースを抑えていたら足を使ってしまいました。ペースが上がり下がりしたのが辛かったです。
――どの大学が積極的に動いていましたか
レースを左右していたのがどの大学なのかとかわからなかったんですけど。まあ、前に出て鹿屋がペースを作っているのかなとは思いました。
――次の試合に向けて
きょねん獲ったマディソンで2連覇したいのでそれに向けて大中先輩と練習していきたいと思います。
伊藤和輝(スポ1=東京・昭和一学園)
――きょうのレースを振り返っていかがでしたか
前半にあった逃げが集団の後ろに行く原因にならなくて楽に走れた要因だと思います。
――楽に走れたのですか
集団にいるとペースのアップダウンや落車があり、リスクを背負う場合があります。逃げに行き、安全に走ることができたと思います。
――逃げは作戦だったのでしょうか
いや、前にいたのでなんとなく前に行ったら、逃げになりました。そのまま長い間走っていたという感じです。
――181kmという距離は
自分は練習でもレースでも一度も走ったことのない距離で未知の世界でした(笑)。練習で最高で140kmとかだったので、残りの40kmは足が攣りそうになりました。そこが自分との戦いでしたね。
――次のレースは
個人トラックの4km個人追抜です。本職のほうに出場します。
――そこでの意気込みを教えてください
今回レースにも出場されていた橋本英也さん(鹿屋体大)出場しないのですが、それでも良い成績が出せるように頑張りたいと思います。