東京六大学野球秋季リーグ戦 11月2日 明治神宮野球場
前日の1回戦で慶大から勝ち星をあげ、勝ち点へ王手をかけた早大。この日も予想を遥かに超える多くの観客が早大応援席を埋め尽くした。この試合に勝てば4年生は最後の東京六大学野球リーグ戦応援となる。

試合前企画の4年生曲『舞台に立って』のパフォーマンス
『早慶讃歌』の斉唱が終わり、慶應義塾体育会應援指導部が一塁側で応援を披露する「陣中見舞い」が完了すると試合に向けてボルテージが高まる。さまざまなコールの練習を行ううちに、時間は進んでいく。試合前には八木澤荘六氏(昭42教卒)がレジェンド始球式に登場。応援席では大きな八木澤コールが響いた。

1回表に選手名のコールを行う吹奏楽団
試合は3回、9番に入った渋谷泰生(スポ4=静岡)の安打を契機に、2死三塁という状況を作る。この戦況に合わせ、外野応援席では『早稲田健児』から『F1〜コンバットマーチ』に入る。決死の応援がグラウンドに届いたように、相手バッテリーの失策を誘い出し、先制に成功した。1回戦とは異なり早大が先手を取った。

先制時に『紺碧の空』を歌う応援部員たち

同じく先制時に『紺碧の空』を歌う応援部員たち
続く4回裏にも早大打線は1死一、二塁というチャンスを演出。さらなるリードを作るべく、応援席では『スパークリングマーチ』、『Viva Waseda』、『F1〜コンバットマーチ』と選手にエールを送る。しかし、2死となって打席に入った髙橋煌稀(スポ2=宮城・仙台育英)は中飛に倒れ、攻撃終了となった。

5回のバンド演奏曲「希望の轍」の様子
試合は後半の6回裏。回曲の『Viva Waseda』が演奏される中で、先頭の小澤周平主将(スポ4=群馬・健大高崎)が逆方向に二塁打を放つ。この場面で4番の寺尾拳聖(人3=長野・佐久長聖)が逆方向に痛烈な適時打を打ち、内野席では『タイムリーマーチ』が歌われる中で早大が追加点を入れた。この2点目に早大応援席は大歓声に湧く。『紺碧の空』に加え、『得点校歌』で得点が祝われた。さらに攻撃は続き、9番の渋谷に満塁で打順が回る。6回裏の開始から既に12分が経過した中でも応援部は決死の応援を続ける。『コンバットマーチ』が大きくこだまする中で、慶大3番手の水野敬太(2年)が押し出しの四球を出し、早大のリードが3点になった。

2点目が入る瞬間に喜ぶ吹奏楽団
3点差の8回表。早大のマウンドにはエースの伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)の姿が。連投となる伊藤樹に応援席からは「樹コール」が送られる。期待と歓声に応えるように伊藤樹はこの回に3つの三振を奪い、役目を終えた。また、早大ペースで迎えた8回裏は、清宮福太郎(社4=東京・早実)にうれしい初ヒットが出るも無得点に終わった。
そして迎えた9回表。マウンドにはクローザーの田和廉(教4=東京・早実)が上がる。今年の野球リーグ戦応援が終わる瞬間を直前にした応援部から出てくる声は魂がこもっていて、まさに死力を尽くしたようだった。田和が見事に試合を締めると、応援席では涙を浮かべる部員や仲間と抱き合い喜ぶ部員の姿もあった。

野球部と『紺碧の空』を歌う様子
この1年間全力の応援を見せてきた応援部。2連勝で早慶戦を終えることができたことは、何より彼らの努力が報われることとなった。

『紺碧の空』を演奏する吹奏楽団4年生
「逞しい根に、美しい花を」 「逞しい根」を応援部員とし、「美しい花」を学生・選手たちとした応援部の精神を体現する言葉である。地中の見えないところで支える根のように、球場での笑顔の裏には多くの時間を練習に割いてきた努力があった。
一方で、早慶戦において応援部が「神宮に咲く花」のように私の目に映った。「神宮に咲く花」は令和4年度早大応援部執行委員の方が頻繁に口にした言葉であるが、唯一のリーダー執行委員の豊島主将を支えるように三位一体となった3パートの4年生は早慶戦の舞台で輝きを放ち、咲き誇っていた。下級生たちはこの4年生の姿を見て、自分たちの代をどのように彩っていくのだろうか。
(記事 土橋俊介、写真 土橋俊介 森若葉)