【応援】ついに迎えた最後の早慶戦 集大成を見せた早大応援席/慶大1回戦

応援

東京六大学野球秋季リーグ戦 11月1日 明治神宮野球場

 遂に迎えた華の早慶戦。これは早大応援部の4年生にとって、最後の東京六大学野球リーグ戦応援であることを意味し、引退前の大きな節目となる舞台だ。リーダー、吹奏楽団、チアリーダーズの3パートが心を一つにし、この1年間追い求めてきた応援席を作り上げるべく、指揮台での応援だけでなく、試合前企画や場内応援にもいつも以上に気合が入る。一塁側応援席の応援を先導し、歓喜の渦を巻き起こした応援部の早慶戦第1回戦を振り返っていく。

 

 

ダンス曲「サイハテアイニ」を踊るチアリーダーズ

スタンツ曲「Happiness」を踊るチアリーダーズ

4年生曲「舞台に立って」を踊るチアリーダーズ

 今回は11時応援席開門となった早慶戦。試合前企画は春よりも少なくなったが、チアリーダーズによるダンス曲などで応援席は明るく彩られ、早くも熱気に包まれた。

 11時50分から行われた「陣中見舞い」では、『紺碧の空』の演奏と共に早大応援部4年生が三塁側応援席に登場した。直後には球場全体が一体となって歌う『早慶讃歌』が歌われた。その後、早大応援曲メドレーを披露すると、観客は手拍子で盛り上がり、塾生注目には『そうだ』『いいえ』で応えた。応援曲メドレーが終わると早大応援部4年生たちは拍手で迎えられながら三塁側応援席を後にした。

 

三塁側応援席で塾生注目を行う豊島

試合開始時の様子

 試合は初回、「大きな声援お願いします!」という豊島悠代表委員主将兼連盟常任委員(教4=神奈川・桐蔭学園)の学生注目から応援がスタート。回曲の『紺碧の空』で弾みをつけた後、3番の小澤周平主将(スポ4=群馬・健大高崎)がセンターへの安打で出塁する。『Fv〜魁』や『F4〜大進撃』で選手を後押しするが、後続が倒れ無得点で初回の攻撃を終えた。

守備回にコールを行う様子

 早大先発の伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)と慶大先発の渡辺和大(3年)がテンポよくアウトを積み重ねてきた中で迎えた3回裏。四球と内野安打でピンチを背負った早大は竹田一遥(慶大1年)に適時打を献上。三塁側応援席から『若き血』が響くが、一塁側応援席では応援部の3年生らがマイクを使用し、守備回でも応援席を盛り上げる。先制を許した後も満塁のピンチを背負ったが、4番の常松広太郎(慶大4年)を空振り三振に取り、窮地を脱した。通常のリーグ戦よりも些細なプレーに歓声が自然と発生しやすい中、応援部は全体を上手く統率していた。

 すると、4回表。先頭の寺尾拳聖(人3=長野・佐久長聖)が相手先発・渡辺和大(慶大3年)の直球を強振すると、ライナー性の打球はすぐさまレフトスタンドへ。寺尾の一打で同点に追いつき、歓喜に湧く応援席では『紺碧の空』の大合唱が起きた。

得点を喜ぶ吹奏楽団

『紺碧の空』を歌う4年生たち

 しかし、試合はここから膠着。早慶の両応援席では互いに譲らぬ応援が繰り広げられ、数少ないチャンスをいかにものにするかがカギを握る展開となった。

 7回裏には走者一塁の状況で、遊撃手の渋谷泰生(スポ4=静岡)にビッグプレーが飛び出し、慶大を併殺に打ち取った。試合の流れを掴むようなプレーに応援席は大歓声に包まれた。

『紺碧の空』で盛り上がる内野応援席

 1ー1で迎えた終盤の8回表、回曲の『Viva Waseda』が演奏されると、早慶戦に詰めかけた多くの観客もハリセンをV字に動かしながら盛り上がる。応援席のボルテージが上がるのと共に吉田瑞樹副将(スポ4=埼玉・浦和学院)が出塁した。『F6〜SUNRISE』や『タイムリーマーチ』、『F7〜Bloom』で慶大に圧をかけていくとチャンスが拡大。その後も四死球でチャンスを拡大する。1死満塁となると、『F1〜コンバットマーチ』がこの日初めて明治神宮野球場にこだまする。すると、3番の小澤周平主将(スポ4=群馬・健大高崎)がセンターへの適時打を打ち、勝ち越しを果たす。さらに寺尾、前田健伸副将(商4=大阪桐蔭)が連続適時打。さらに田村康介(商4=東京・早大学院)が犠飛を放ちこの回一挙4得点。早大応援席では『紺碧の空』や『得点校歌』が斉唱され歓喜に満ちた。

得点校歌を歌う応援部員たち

 しかし8回裏には慶大先頭の渡辺憩(慶大2年)が二塁打を放つと、慶大応援席が応援曲『朱雀』で大盛り上がりに。慶大が今津慶介(慶大3年)の適時打で1点を返すと、押せ押せムードに。これに対し、早大応援席では応援企画補佐を中心としてコールを行い、相手のチャンスムードをかき消す。ここは伊藤樹が最小失点で凌ぎ、9回の攻撃に繋いだ。

「伝統の勝利の拍手」を披露する豊島

 9回にはリーグ戦初ヒットがかかっている椎名丈(教4=東京・早大学院)が打席に入ると、外野応援席の野球部が大盛り上がり。結果は中飛に終わるも、野球部4年生の絆、それを応援する後輩の姿を応援席で見ることができた。5−2で迎えた9回裏。マウンドに上がった田和廉(教4=東京・早実)は1失点を喫するも、『シェイクコール』や『田和コール』による大声援が響いた。田和が続く打者を抑え、結果として、5−3で早大が初戦での勝利を果たした。

 拮抗した試合展開というのは応援部の力の見せ所である。慶大1回戦はそれが如実に現れた試合となった。4年生にとって最後の早慶戦を迎えるにあたり、場内応援、拍手、演奏、ダンスなどで盛り立てる下級生の姿が印象的だった。この1年間の集大成として、気持ちをさらに引き締め、勝負の2回戦へと挑む。

(記事 土橋俊介、写真 土橋俊介、鳥越隼人)

小﨑塁副将兼応援企画責任者(社4=埼玉・県立浦和)

ーー今日の応援席全体を振り返っていかがですか

 早慶戦はどうしてもバタバタしてしまう中で、例年より開門時間が遅くなったりしてできる時間が短くなった中で、応援企画補佐が頑張って準備してくれたので試合前はうまいこといったかなと思います。試合中は何箇所かゴタゴタがありましたが、内外野共に早大生が多くいらっしゃって盛り上がって下さったことで応援を押し切れたかなと思います。明日はもう一度引き締め直して、一からやっていければと思います。

ーー秋季リーグ戦の集大成でもあると思いますが、完成度としてはいかがですか

 どうしても内外野に分かれると動けるリーダーが少なくなってしまう分、吹奏楽団やチアの人頼みになる場面では集大成なのに物足りなさを感じる場面もあり、もどかしさを感じていました。明日は本当に集大成になるので、そこは改善点だと思います。

ーーご本人としても集大成の応援になりますが、どのような心構えで早慶戦に臨んでいますか

 絶対2連勝、圧勝ということをずっと思っています。慶應だけには絶対負けられないので。今日1個勝ったので、明日は本当に勝ち切るだけ、最後全部を出し尽くしてやるだけです。

校歌指揮を行う小﨑