9月中旬にもかかわらず、暑い日差しが照り付ける神宮球場。その中で応援部による熱い応援が響き渡った。東京六大学野球秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)が開幕し、土曜日の東大1回戦で快勝した早大。勝ち点を奪取し、幸先の良いスタートを切るべく、東大2回戦に臨んだ。試合は初回に東大に先制点を許し、追いかける展開となったが、逆転を信じリーダー、吹奏楽団そしてチアが一体となる応援を見せる。応援も届き、終わってみれば6-2で勝利し、勝ち点1を獲得することに成功した。
迫力あるテクを見せる宮下陽三代表委員主務兼連盟常任委員(社4=長野・屋代)
初回から『大進撃』をはじめ、幾多の応援曲を響かせ、盛り上がりを見せる内野応援席。しかし、1回裏には、早稲田の先発伊藤樹(スポ2=宮城・仙台育英)が先頭打者にいきなり、二塁打を浴び先制のピンチを招く。応援席からは一丸となり「樹」コールを送り続ける。先制点を許したものの、『健児コール』をグラウンドに届け、流れを渡さまいと、早大ナインを鼓舞する。初回こそ1点で凌いだものの、3回にも1点を追加され、序盤から追いかける展開となった。それでも4回表。応援がついに届き始める。この回センターリーダーを務めた井原遥斗学生動員対策責任者兼稲穂祭実行委員長(教4=埼玉・熊谷)を中心として、熱いエールを送る。『大進撃』『スパークリングマーチ』で選手を後押しし、チャンスが広がると、指揮台にて、リーダーが一斉に『コンバットマーチ』の突きを見せる。応援に応えるように小澤周平(スポ2=群馬・高崎健康福祉大高崎)が適時二塁打を放ち、この試合初めての『紺碧の空』が神宮に響き渡る。その裏、『ナイスプレーコール』を内野応援席一体となって行い、1点を返した早大ナインを鼓舞する。5回表の攻撃開始前には、今秋初披露となったバンド合奏曲『東京VICTORY』を吹奏楽団とチアリーダーズが披露。5回裏に再びピンチを迎え、相手側一塁応援席からは東京大学のチャンステーマである『不死鳥の如く』が響き渡る。それでも、相手のチャンステーマに吞まれることなく、負けじと三塁側から早大応援部は『GWコール』や『シェイクコール』でエールを送る。
ボンボンで勝利の『Ⅴ』を表現するチアリーダーズ(画像は早東1回戦で撮影)
ピンチを凌ぐと、ついに流れが早稲田にやってくる。1死一塁で打者は島川叶夢(スポ4=熊本・済々黌)。今春の早慶戦でも勝ち越し本塁打を放った勝負強い男の打席に『タイムリーマーチ』が響き渡る。『タイムリーマーチ』の歌詞にある「ここでホームラン!」という歌詞のタイミングで打球は快音を響かせる。打球はレフトスタンドに吸い込まれ再び『紺碧の空』が響き渡る。その後も『大進撃』や『早稲田健児』に合わせて、安打が飛び出し、試合の流れを引き寄せることに成功した。6回裏。「逆転した直後の応援が重要」とこの回センターリーダーを務めたリーダー3年生が応援席に呼びかけ、一丸となって早稲田ナインにエールを送る。呼びかけを裏付けるかのように三者凡退でこの回を抑えると歓喜の声が三塁側から上がる。
逆転に成功し『紺碧の空』を歌う応援部
8回表には永井武尊リーダー会計責任者兼広報責任者(文4=熊本・済々黌)が学生注目(学注)にて、自身の出身校である済々黌高校のOBの活躍として、プロ野球セ・リーグにて阪神タイガースの優勝に大きく貢献した大竹耕太郎選手(平30スポ卒=現阪神タイガース)や逆転本塁打を放った高校からの同級生島川の名を挙げる。そして「自分も続くように応援をするぞ」と高らかに宣言をし、万雷の拍手が起きた。同郷の選手の活躍を引用した永井の学注に、より応援席は盛り上がりを見せた。
テクを振る永井
最終回には永田新代表委員主将(教4=静岡・掛川西)が指揮台に上がる。『紺碧の空』がフルで2回演奏され、ボルテージは最高潮に。チャンスが広がると満を持してリーダーが一斉に指揮台に上がり『コンバットマーチ』を披露。リーダーが一斉に力強く、重厚なテクを繰り出す。追加点が重なり、東大を突き放すことに成功。東大相手に2連勝を収め、勝ち点を奪取した。
重厚感あるコンバットマーチの突きを見せるリーダー
東京六大学野球春季リーグ戦(春季リーグ戦)にて、屈辱の早慶戦敗北を経て迎えた秋季リーグ戦。この間、およそ3ヶ月半。応援部は鍛錬を重ね、レベルアップを果たし神宮球場に帰ってきた。幸先よく勝ち点を獲得し、次戦はリーグ戦にて昨春から5連敗を喫している明治戦だ。難敵を撃破し、優勝に大きく近づくためにも『一丸』となって応援部が送る熱いエールに目が離せない。
(記事 橋本聖 写真 橋本聖、横山勝興)
コメント
永井武尊リーダー会計責任者兼広報責任者(文4=熊本・済々黌)
――幸先よく勝ち点奪取となりました。今のお気持ちをお願いします
勝ち点を取れたことは良かったなと素直に思う反面、応援部としてはあまり納得のいく応援にならなかったというところで、反省すべき部分もありました。
――どのような部分が納得いかなかったのでしょうか
2回戦の話ですと、初っ端から点を取られてしまった。そして、3回に追加点を取られて、結果的に後半に追い上げることが出来たとはいえ、応援席の雰囲気として点が取られているビハインドの状況における盛り上げがあまり出来ていなかったのかなと思います。
――応援企画部門として今回の応援で工夫された点はございますか
やはり、春からですが、お客様とのコミュニケーションを取れるようになりましたので、一緒に応援しやすいように守備回のアクションを変えたり、合宿中にも3パートで合同練習を行うことによって、これまでバラバラだったアクションを統一したというところが工夫した点だと思います。
――2試合とも、3年生の持ち回で点が入りましたが、そちらの感想はいかがですか
6回がポイントになると思っていて、そこで3年生にセンターリーダーを任せたというところなのですが、しっかり昨日と本日ともに、期待に応えて、気迫溢れるテクを振ってくれたことで、得点を呼び込むことが出来たのではないのかと思います。
――高校からの同級生である島川さんが逆転本塁打を放ちました。お気持ちはいかがでしょうか
調子がいいということは本人から伺っていたのですが、あのような重要な場面で逆転するような一打を打てるのが彼の勝負強さであり、たくましいなと思いました。
――明治戦への意気込みをお願いします
色々課題はもちろんあるのですが、絶対に負けてはならないというところで、明治相手に昨年の春から全て勝ち点を落とし、5連敗を喫していますし、3連覇中の相手ですので、我々はもちろん挑戦者の立場ではあるのですが、野球部が劣勢に立たされていても応援席では絶対に劣勢に立たされない。絶対に相手の応援席を上回る応援をする。そういった気持ちで臨んでいきたいと思います。