東京六大学の応援部、団、指導部が一堂に会する『六旗の下に』が節目である70回目の開催を迎えた。その名の通り「六旗」が立ち並ぶオープニングステージ(オープニング)。各大学のまさに「六者六様」のパフォーマンス。そして、六大学が共演するフィナーレで会場を大いに沸かせた。各大学の個性が存分に発揮された中、「早稲田らしさ」を観客に魅せた応援部のステージを振り返っていく。
オープニングでは六旗紹介が行われ、校旗の掲揚が行われた。早稲田大学が掲揚を行った校旗は、令和2年、コロナ禍により、キャンパスに通うことができない状況の中、「早稲田の新たな心の拠り所」として、作成された大校旗である。間垣皓介旗手兼新人監督(スポ4=宮城・仙台一)の掲揚により威風堂々と入場する大校旗。間垣も「華の旗手」として雄大荘厳な校旗の存在感を更に高めた。そして、全大学の校旗が掲揚される。各大学誇りの校旗がステージ上にそびえ立つ様子はまさに圧巻そのものであり、『六旗の下に』の始まりを告げる。
ステージにそびえ立つ各大学誇りの校旗
オープニングが終わると、各大学の校旗紹介。そして、校歌、応援歌、応援曲、拍手が披露された。明治大学応援団、東京大学運動会応援部に続き3番目のステージとなった早稲田大学応援部。初めに校旗の紹介が行われた。『早稲田の栄光』に合わせ、間垣により堂々と大校旗が掲げられる。『昇り竜』と呼ばれる左右に大きく振りながらの迫力満点の校旗掲揚に観客も注目を集めた。
威風堂々と校旗を掲揚する間垣
続いて披露されたのは早稲田が誇る第一応援歌、『紺碧の空』だ。宮下陽三代表委員主務兼連盟常任委員(社4=長野・屋代)により、これが早稲田の応援だといわんばかりの堂々たるテクが披露される。続いて、小野泰助副将兼リーダー練習責任者(文4=群馬・沼田)により、『伝統の勝利の拍手』が披露された。『伝統の勝利の拍手』は早慶戦にて、早稲田が勝利したときのみ行われる伝統技であり、海のうねりを思わせる小刻みな乱打から、3拍子、4拍子、1拍子、2拍子を挟んで、最後に勝鬨(かちどき)の声を上げる。荘厳かつ重厚な拍手に思わず観客も息をのむ。情熱あふれる拍手を披露しきった小野に大きな拍手が送られた。続いて、応援曲メドレーがリーダー執行委員8名により行われる。『大進撃』『スパークリングマーチ』『コンバットマーチ』といった早稲田が誇る応援曲に合わせ、8名がステージでテクを披露する。「秋こそ優勝早稲田」の文字切りで締めくくり、会場を盛り上げる。
『紺碧の空』で迫力あるテクを披露する宮下
『伝統の勝利の拍手』を披露する小野
最後に披露されたのは、『早稲田大学校歌』だ。永田新代表委員主将(教4=静岡・掛川西)により校歌が披露される。半年間早稲田大学応援部の名を背負っている主将の背中を見て、下級生のリーダーもステージの後方から声を張り上げる。司会の園木俊成(社3=千葉・県船橋)が「第二の日本国歌と言っても過言ではない」と形容したように、早稲田を代表する名曲を力強く披露した。こうして、30分という限られた時間の中、観客の印象に強く残るような、「早稲田らしさ」があふれるパフォーマンスが披露され、嵐のような拍手が観客から沸き起こった。永田が「早稲田らしさとはひたむきさ」と表現したように、ひたむきなパフォーマンスの一挙手一投足が多くの観客の心を打ったに違いない。
校歌で力のこもったテクを披露する永田
司会を務め、会場を盛り上げた園木
各大学のステージが終わると待っていたのはフィナーレである。六大学の応援部、団、指導部が共演を見せるといった『六旗の下に』でしか見られない光景に観客は大興奮を見せていた。各大学が第一応援歌を披露した後に、今年度の連盟委員長である村井祐樹(慶大・4年)により学注(学生注目)が披露される。そして、各校の応援曲が次々と披露され、早稲田大学のリーダーも清々しい表情でテクを披露する。そして、最後に演奏されたのは当番校である慶應の応援曲『ダッシュKEIO』。慶應の應援指導部はもちろん、普段はテクを振るはずがない慶應以外の五大学の応援部、団員も曲に合わせ、息の合ったテクを披露する。会場にいる全員の盛り上がりが最高潮に達し、最高の締めくくりを見せた。
他大学との共演を楽しむ応援部
まさに「六者六様」という表現が似合うほど、各校の個性が存分に発揮された『第70回 六旗の下に』。多様なステージの中、存在感を発揮した早稲田大学応援部が見せてくれる今後の輝きが楽しみだ。
※掲載が遅くなり、申し訳ございません。
(記事 橋本聖 写真 雲田拓夢、横山勝興)
永田新代表委員主将(教4=静岡・掛川西)
―― 『六旗の下に』(『六旗』)を終えての率直な感想をお願いします
ますます、鍛錬をしていかないといけないなと思いました。他大学の演技を見て、私たちだけでなく、他大学も頑張って、練度の高いパフォーマンスを披露していたので、秋リーグ(東京六大学野球秋季リーグ戦)もまた、ライバルとして戦っていくわけですけど、そこで早稲田が最も良い応援席を作っていくためにも今後精進していかなくてはならないなと感じました。
――『六旗』に臨むにあたって何か意識したことはありますか
早稲田大学には早稲田大学の良さがあるので、他大学に影響されずに自分たちの個性を発揮して、完成度の高いパフォーマンスができることを意識していました。
―― 早稲田のステージを振り返っていかがでしたか
早稲田のステージは他のどの大学よりも可能性を感じさせるステージだったのではないかと思います。ですので、今後の秋リーグに向けてのこの期間、みんなに期待してほしいなと思いました。そういったパフォーマンスを披露できたのではないかと思います。
―― 『六旗』で印象的な瞬間があれば教えてください
自分自身のステージに集中していたのもあって、鮮明に残っている場面というのがあまり思い浮かばないですね。ステージとは関係ないのですが、控室で法政大学の団長がカップ焼きそばを食べていたのが印象に残っています(笑)。私は参加できていないのですが、フィナーレは多くの人の印象に残ったのではないかなと思いました。
―― 他大学の応援と比べて、早稲田らしい応援とはどのような応援だと思いますか
早稲田らしさというのは簡単に言うと、ひたむきに目の前のことに取り組む「ひたむきさ」だと思うので、それが『六旗の下に』でも現れたのではないかなと思います。後ろで拍手している人員も、とにかく一つ一つの拍手でも、形が崩れても、体力がなくなってもとにかく全力で拍手をする。センターリーダーも一挙手一投足で観客の方々を沸かせられるようにこだわるというのが見えたステージでした。そういったところが早稲田のどこにも負けることがない「ひたむきさ」の表れている応援です。
宮下陽三代表委員主務兼連盟常任委員(社4=長野・屋代)
―― 『六旗の下に』(『六旗』)を終えての率直な感想をお願いします
楽しかったということと、ひと段落したなということ、そして今後に向けてまだまだ足りない部分があるなという風に思いました。楽しかったという点に関してはやはり、六大学が一堂に集まってパフォーマンスを披露する機会はめったにないのですごく楽しかったなと思いました。ひと段落という意味では、連盟常任委員として『六旗の下に』は1年で最も重要なイベントと言っても過言ではないもので、そのような重要なイベントを終えることができたということでひと段落ついたなと感じました。まだまだだなと思った点としては、他大学の素晴らしいステージを見て、早稲田もまだまだ完全なステージではなかったなと感じ、秋リーグに向けて成長していかなければならないなと思いました。
―― 『六旗』に臨むにあたって何か意識したことはありますか
リーダーを「見せる」という面で、観客に伝わるような、そして、他大学に負けないようなパフォーマンスを意識していました。
―― 早稲田のステージを振り返っていかがでしたか
早稲田のステージは、まだまだだなと感じました。今後に向けて精進していきたいです。
―― 『六旗』で印象的な瞬間があれば教えてください
一つは、『紺碧の空』で入場したときに観客の方が「宮下!」と呼んでくださったところが印象に残っています。(観客の方が呼んでくださったことで)自分が『六旗』のステージに立っているのだなと思いました。他には他大学への驚きがあって、他大学と早稲田は違うなと感じました。例えば、明治大学の団長が控室で突然(気合を入れるために)丸刈りにし始めたり、フィナーレの暴れ方が大学によって個性が出ているなというところで(他大学と早稲田の違いを)感じました。フィナーレはもちろん印象に強く残っていて、六大学で『ダッシュKEIO』をやったのですが、一つの大学の応援曲を六大学全体でやるというのがとても楽しく、新鮮で印象強く残っています。
―― 『六旗』において、連盟常任委員の活動で印象に残っていることはありましたか
連盟常任委員として、『六旗』の練習も管轄していたのですが、毎回の練習で早稲田のステージを作るために、すべての責任をもって、普段の練習から意識して活動をしていたことが印象に残っています。
間垣皓介旗手兼新人監督(スポ4=宮城・仙台一)
―― 『六旗の下に』(『六旗』)を終えての率直な感想をお願いします
最後の『六旗』だったのですが、自分自身、旗手と新人監督という役職をやっていて、旗手としては、『六旗の下に』という名前の通り、校旗を掲揚することは非常に注目度が高いので、達成感を感じました。新人監督としては、4月に入ってきた新人にとって初めての大きなステージだと思うので、いい成長のきっかけになったのではないかなと思いました。
―― 『六旗』に臨むにあたって何か意識したことはありますか
応援とは少し違ったもので、ステージ上で「見られる」ということを意識して、練習に関しても、人前で振るテクに関しても「見られる」ということを意識して、臨みました。
―― 早稲田のステージを振り返っていかがでしたか
まだ、完璧ではないと思うのですが、新人監督としてみると、2年生のリーダーが少ない中で、後ろで気合のこもった拍手をしていて、ますます成長が楽しみだと感じました。
―― 『六旗』で印象的な瞬間があれば教えてください
オープニングで校旗が6本立ち並ぶシーンがあるのですが、それ(六大学の校旗が立ち並ぶこと)に憧れて下級生の頃から旗手を志望していたので、旗が6本並んでいる様子を見て、非常に感動しました。
―― 自身の校旗掲揚に関して、心がけていたことはありますか
他大学に負けたくないということが大きかったので、30分という限られた枠の中で、他大学にプレッシャーをかけられたらなということを意識して(校旗掲揚)を行いました。