早稲田、明治、法政の応援歌をとどろかせ完勝! 六大学野球オールスター応援

応援

 東京六大学野球リーグ戦の舞台・明治神宮野球場から約700キロメートル離れた松山・坊っちゃんスタジアムで、東京六大学野球オールスターゲーム(六大学オールスター)が開催された。早稲田は明治、法政と共に一夜限りのチーム・石鎚マウンテンズ(石鎚)を結成し、三校の応援部、団は済美高校吹奏楽部と共に一塁側内野席から熱いエールを送った。対するは、慶應、立教、東大からなる瀬戸内オーシャンズ。試合は石鎚が4回に3点を先制すると、5、7回にも追加点を挙げ、7-0で圧勝。早稲田、明治、法政の応援が大きな結果に結びついた。

 16時30分。試合開始に先立ち、各校応援部、団、指導部により応援歌が順々に披露された。最初に披露されたのは、早稲田の第一応援歌『紺碧の空』。指揮台の中央では、梶野優介連盟常任委員(創理4=東京・早大学院)が声を青空に響かせ、テクを振り切った。すると、各大学が早稲田に続き一塁側と三塁側で交互に応援歌を披露していく。早稲田の応援部員も同じ石鎚の一員として、法政や明治の応援歌が流れると指揮台の周囲で盛り上げた。特に、明治の第一応援歌『紫紺の歌』では梶野が太鼓を担当。普段の応援活動では叩くことのないリズムだったが、リズムよく太鼓を鳴り響かせた。開会式を迎えると、西田健太朗新人監督(教4=愛媛・愛光)がグラウンドに立ち、エールを送った。

試合前に『紺碧の空』を披露する梶野とチアリーダーズ

 試合が始まると、石鎚の攻撃回に明治、法政、早稲田の順で応援曲が流れ、選手を応援し続けた。3回まではスコアボードに0が並ぶが、4回にその応援が実を結ぶ。1死満塁の好機を迎え、石鎚の応援席から明治の『狙い撃ち』をグラウンドに送り込んだ。それに応えるように、石鎚の打者たちは相手投手の球を見逃さず「狙い撃ち」。印出太一(スポ2=愛知・中京大中京)の犠飛などで一挙3点を先制した。5回には1死二塁の場面で早稲田の『コンバットマーチ』を投入。早稲田の応援部員はもちろん、明治、法政の団員も指揮台に登り、力強い突きとダンスを見せる。すると今度は追加点となる適時打を呼び込み、指揮台では梶野がセンターリーダーとなって『紺碧の空』を斉唱した。7回、再び満塁の絶好機を迎えると、『チャンス法政』で石鎚打線を奮い立たせる。梶野や西田、チアリーダーズも指揮台に登り、法政、明治の団員と混じってエールを届けた。中でも梶野、倉田礼音(法政・4年)、中山実優(明治・4年)の3人が指揮台でそろって見せた突きは圧巻の一言。おのおのの突きは三大学の想いが込められた応援となり、打席へと届けられた。ここでも石鎚打線はすぐさま期待に応える。打席の吉納翼(スポ2=愛知・東邦)の放った打球は、右中間を真っ二つに。ダメ押しとなる走者一掃の適時三塁打となり、勝負を決定づけた。閉会式では、今年度の東京六大学応援団連盟委員長・柴山直也(法政・4年)がグラウンドでエールを送り、六大学オールスターは幕を閉じた。

5回に『コンバットマーチ』でエールを送る西田、梶野、柴山(手前から)

5回の得点時に『紺碧の空』を斉唱する梶野と早稲田、明治、法政のチアリーダーズ

 2年前、新型コロナウイルスの影響で松山開催が見送られ、念願の開催となった今回の六大学オールスター。六大学の応援団もその喜びを感じながら、大学の垣根を越えて選手にエールを届けた。早稲田は法政や明治と共に一致団結の応援活動を行い、チャンスでの応援を結果に結びつけた。また、高校の吹奏楽部と共に応援を行う貴重な機会となり、得点時には三校の応援歌が高らかに演奏された。六大学オールスターでは連盟の結束力の強さを見せた六大学の応援部、団、指導部だが、9月10日からは東京六大学野球秋季リーグ戦の対戦相手として、しのぎを削り合うことになる。各大学の4年生にとって最後の野球応援の季節、魂を振り絞った応援に期待したい。

※ 掲載が遅くなり、申し訳ございません。

(記事 横山勝興、写真 横松さくら、横山勝興)

コメント

梶野優介連盟常任委員(創理4=東京・早大学院)

――石鎚の完勝となりましたが、率直な感想は

 勝てたこともうれしいのですが、お客さんもしっかり盛り上がってくださったこともうれしかったです。愛媛朝日テレビの担当の方も、石鎚の方はお客さんも盛り上がっていて楽しそうだったと言ってくださったので、応援自体がしっかりできたのは良かったかなと思います。

――連盟常任委員としては、今回の開催にどのように携わりましたか

 西田の出身校が愛媛ということで、かなりフューチャーされていたので、裏方ではないですが支える側として立ち回っていました。もちろん連盟常任委員としてテクを振ったりすることもありましたが、それ以上に主催の愛媛朝日テレビの方としっかりと連携を取るなど、調整役として携わりました。

――なぜ今回の「松山」開催に至ったのでしょうか

 本当は2年前、僕たちが2年生の年に開催する予定でしたが、ずっと開催できていませんでした。2年経っても松山市の方々が「ぜひ来てほしい」ということでしたので、こちらとしてもぜひお会いしたいということで、開催につながりました。特に西田のテレビ取材もあったので、そういった企画なども愛媛の方々と連盟で話し合って、いろいろな企画をして楽しみました。

――試合前の『紺碧の空』のセンターリーダーを振り返っていかがですか

 数少ない出番でしたが、六大学の中でも一番最初に振る立場だったので、しっかり良いもの見せたいなと思いながら振りました。

――5回の得点時の『紺碧の空』でテクを振れたことについてはいかがですか

 後ろで三大学のチアリーダーズが肩を組んで歌ってくれました。なかなかできる経験ではないですし、僕自身、連盟常任委員として仲良くさせていただいていたので、そんな中で自分が真ん中に立ってみんなで『紺碧』を歌えたのは本当にうれしかったです。

――六大オールスターならではの明治、法政との応援はいかがでしたか

 他大学の応援やテクをやらせていただけるのは、コロナ前だと年に2回あるかないかくらいでした。コロナ禍でそのような機会が一切なくなった中で、こういう風に久しぶりに六大学でバチバチやり合うのではなく、しっかりショーを盛り上げるようなイベントができたのが、また一つ大きなものになったと思います。来年度は群馬県の桐生市で開催するようなので、そこにつなげられたと思うと本当にうれしいです。

――今年度の連盟関連の行事はこれからもありますか

 例年ですと大学の日本代表と高校の日本代表のスペシャルマッチに行きますが、今年は部の都合で慶應義塾大学のみとなっております。あとは、たまに地方でミニ六旗というかたちで、地方を巡業して小さなステージをやります。今年は11月23日に富岡市で明治と東大と早稲田で行います。東北の福島県なので、震災復興なども含めて社会貢献というかたちで行うことが決まっています。

――これまでの連盟のつながりはどのように感じていますか

 今年はかなり他大学と団結できています。しっかり連携も取れていますし、集まって楽しむ時にしっかり楽しめている感じがします。法政は当番校なので僕自身もすごく世話になっていて、良い感じに六大学でまとまっているなと感じています。団結はしっかりできていると思います。

――済美高校吹奏楽部との応援活動はいかがでしたか

 事前に吹奏楽団の連盟常任委員が高校生の指導で愛媛に行っていたのですが、大学式の応援スタイルはなかなか独特なもので、高校とは全く違います。その中でしっかりあれだけのものを見せてくれたのは感謝しかないですし、本当に良くやってくれたなという感じです。本当にあそこまで高いクオリティをやれるのは甲子園常連校ならではというか、力をしっかり見せつけてきたなと感じました。

――印象的な場面はありますか

 得点時に『紺碧の空』で三校でしっかり盛り上がったりして、楽しく得点を取った時に盛り上がれたのはすごくうれしかったです。リーグ戦であれば一校一校とその日に連絡を取ってやり取りをするように、一校一校と向き合う場面が多いのですが、六大学での関わりがここ数年は六旗くらいしかありませんでした。そういう意味でまた絆が深まって、良い思い出になったと思います。ただただ楽しかったです。

――最後の行事や応援活動が続きますが、今後の意気込みをお願いします

 本当に「最後の〇〇」というのがひたすら続くと思うので、一つ一つ悔いを残さないようにしたいです。(六大学オールスターの)最後に「次会う時は神宮だ」と言ってきたので、次に会う時は相手校をぶっ倒すつもりでしっかりやっていきたいと思います。

西田健太朗新人監督(教4=愛媛・愛光)

――石鎚の完勝となりましたが、率直な感想は

 応援の力もあったのではないかなと一番に感じました。石鎚はリーダーの人数が少し多かったりもして、リーダーの太鼓や拍手で観客に拍手を促すことも相手チームよりできたのではないかと思います。それが勝った重要な要因ではありませんが、一つの良かった点なのかなと思います。

――中高6年間を過ごした愛媛での開催となりました

 一番に懐かしいという気持ちになりましたし、やはり愛媛で応援というものをさせていただけることに感謝の気持ちでいっぱいです。

――開会式でのエールに込めた思いは

 選手の方々に対してエールを送っていたのですが、あれは観客に対してもエールを送っていて、何より楽しんでほしいという思いがありました。このエールを見て、「これが応援なんだ」というのを知ってもらうきっかけになればいいなと思って、全力でエールを送りました。プロ野球でもエールを送ることはありませんし、他のスポーツでもあまりありません。ですが、大学野球ではエールが存在するということを代表して伝えられることを誇らしく、また、うれしく思っています。

――観客を巻き込んで応援されている姿が印象的でしたが、心掛けたことはありますか

 観客の方々には楽しんでほしいと思っていました。応援席と観客席が遠かったので、どうにかしてつなげたいと考えていました。また、早稲田、明治、法政の応援を知らない方がほとんどなので、分からない曲でものってもらえるように手拍子を促しました。まずは自分が楽しんでいる姿勢を見せて、「応援は楽しいんだ」というのを分かってもらおうと働きかけていました。

――六大オールスターならではの明治、法政との応援はいかがでしたか

 他大学の応援曲や応援歌を振る機会もほとんどなかったので、本当に楽しかったですね。いつもお互いに「明治を倒せ」とか「法政倒せ」と言い合っているので、逆に今回は一致団結してやれたというのが新鮮でした。また、他大はこんなに頑張っているんだというのを知れて良い学びにつなげられました。

――印象的な場面はありますか

 梶野が紺碧の空を振っていた時に、得点を取った時に梶野が振る早稲田の『紺碧の空』が流れて、『紺碧の空』は良いなと思いました。どの大学の応援歌が流れている時と比べても『紺碧の空』が流れている時が一番一体感が生まれていると感じました。得点が入った時は『紺碧の空』が一番似合っているなと思いました。

――最後の行事や応援活動が続きますが、今後の意気込みをお願いします

 秋は必ず早稲田が優勝できるように、野球部がとにかくこの夏に頑張っているという話を聞いたので、応援部も負けないくらい、合宿や普段の練習から意気込んでいきたいなと思っています。また、4年生最後の試合なのでこの4年間の思いをすべてぶつけて、何か応援で流れが良くなるように、何か応援が野球部が頑張るきっかけになれるように、しっかりと結果につなげていきたいなと思います。