オンラインで希望届ける。優勝報告会

応援

 東京六大学野球秋季リーグ戦、早慶戦の最終回で劇的な逆転を決め、10季ぶりの優勝を果たした早大野球部。試合後、早稲田キャンパス内の井深大記念ホールにて応援部主催の優勝報告会が開催された。例年、優勝した際は早稲田の街全体を巻き込んだ優勝パレードが盛大に行なわれているが、ことしはコロナウイルス感染拡大防止の観点から、関係者のみで優勝報告会を行い、その模様をYouTubeで配信することで、早大ファンと優勝の喜びを分かち合った。

 

 この優勝報告会を先頭に立って企画運営したのは、応援部の大久保友博学生誘導対策責任者(政経4=千葉南)。この学生誘導対策部門というのは応援席への集客、そのためのマーケティング戦略などを担当している部門であるが、ことしはコロナウイルスの影響で観客席での応援が禁止となり、本来の活動に歯止めがかかってしまった。しかし、なんとか観客と応援部、そして野球部との繋がりが感じられるよう、大久保をはじめ部員たちはコロナ禍においても例年以上に精力的に活動した。その想いが形となったのが早大ファンから1020枚もの写真を集めて作ったモザイクアート。外野応援席にも飾られ、また野球部が優勝を決めたあと、その写真を持って応援部のいるスタンドに駆け寄る姿も見られた。

 

モザイクアートを手に外野応援席へ駆け寄る野球部

 

 すっかり日も落ちた明治神宮野球場を後にした野球部と応援部はホールに集まり、優勝報告会が開催された。野球部部長、監督の挨拶の後には早稲田大学総長、田中愛治総長が野球帽を手に登壇、コロナ禍で苦労した部員の気持ちに想いを馳せ、野球部をはじめ「たくましい知性を鍛える」を実践する体育各部の学生に敬意を表した。その後プログラムは続き、披露された応援曲メドレーでは早慶戦勝利時に歌われる『早稲田の栄光』を加えた特別バージョンで披露された。『Fanfare メビウス』で登場した大久保が学生注目(学注)を叫ぶ。「我々はコロナウイルスを乗り越えた最強の世代である!」そして配信を見ている人に向けては「この熱気が本物かどうか、来年神宮に来て答え合わせをして欲しい!」それに続く応援曲『雷轟』からの『コンバットマーチ』は逆転ホームランが入った瞬間と同じメドレー。配信でも多くの人の心を動かしただろう。

報告会会場の様子

 

 この日、早稲田の街の飲食店や商店街には、「祝・野球部優勝」の看板やのぼりがたくさん見られた。優勝した野球部、そしてコロナ禍においても神宮に全力を投じ、最後の最後まで野球部の勝利を信じ続けた応援部。彼らがもたらした希望はきっと多くの人に届いている。オンラインで配信されたこの優勝報告会、結果的には非常に多くの人が視聴し、今までであれば届けることができなかったかもしれない人とも優勝の喜びを共にすることができた。優勝報告会の様子は現在も早稲田大学応援部の公式YouTubeチャンネルで視聴可能。

(記事、写真 市原健)

コメント

大久保友博学生誘導対策責任者(政経4=千葉南)

――優勝したことで、この優勝報告会も開催に至りました!お気持ちを教えてください

「ホッとしている」というのが正直な気持ちです。優勝した実感はこれから付いてくるかなと思います。

――優勝の瞬間はどのようにご覧になりましたか

早稲田祭エンディングでの出演のため、9回表の逆転劇を見届けた後に早慶戦を早退しました。電車の中で優勝を知り、叫びました(笑)。

 

――オンラインでの開催になったことについてお聞かせください

オンラインになったことにより「来たくても来れない人」に優勝の喜びを届けられるのは素敵だと思います。例年なら優勝パレードへの参加者は1000人は超えないとは思いますが、今年のライブ配信は1500人以上に見ていただき、動画の再生回数も2万を超えました。「届ける」という観点では例年にないものを生み出せたと思います。

 

――来年にも繋がるように訴えかける学注でした。どんな思いで考えられた学注ですか

コロナ禍の僕のテーマは「未来の神宮を満員にする」です。本当は今年満員にして、神宮の素晴らしさを世に知らしめたかったのですが、やりたくても出来なかったので(笑)。新入生の皆さんや早大生がどうしたら神宮に興味を持ち、「来年行きたいな」と思っていただけるかを考え、企画として実行に移しコロナ禍を過ごしてきました。そうした取り組みのゴールとして、あの学注があったのかなと思っています。この熱気が本物なのか、是非来年の神宮で答え合わせをして欲しいですね。

 

――学対部門の先輩、後輩に言いたいことはありますか

まずは先輩方から。皆さんには「優勝しました」というよりは「“学対の魂”はちゃんと守り抜きました」ってドヤ顔で報告したいです(笑)。本来マーケティングや集客を担当する「学生誘導対策部門」、通称「学対」は、本当はコロナ禍で何も出来ないはずでした。正直心折れかけました。その時に「だったら未来の神宮を満員にしてやろうじゃないか」と自分を奮い立たせてくれたのは、今の学対部門の熱狂を作ったOBの木村(太一・平31商卒)さんと雲見(恭光・令2スポ卒)さんです。形は変われど、魂の部分では例年に匹敵する「この代にしか作れない学対」を作れたと思っているので、先輩方にはそう伝えたいと思います。後輩の皆には「しみったれた空気になってんじゃないよ」と喝を入れたいと思います。後1ヶ月と少し、引退迄残っています。最後まで応援部内で1番の熱量で走り抜けたいので。積もる話は引退の後ですね。まだまだバチバチにやりますよ(笑)。

 

――最後に野球部にメッセージをお願いします!

野球部というより、主務の豊嶋(健太郎・スポ4=愛知・南山)と副務の牛島(詳一朗・社4=大阪・早稲田摂陵)に一言。今年は野球部と応援部の「繋がり」を見直し、真の一体感を構築すべく様々な企画に取り組みました。春秋連覇を達成した河原主将の代を初めとして、優勝した代は応援部と野球部が仲良くて、一体感があったんです。その一体感を作ろうとした時に、同じ問題意識で取り組んでくれたのがこの2人です。僕はこの2人に救われました。この2人がいなかったら、企画は何一つ上手くいきませんでした。2人を見てれば今年の野球部が優勝するべくして優勝したチームであることが分かります。本当にありがとう。