早大応援部、慶大應援(おうえん)指導部にはそれぞれ、わーおくん、ユニコンくんというマスコットキャラクターが存在する。大学のマスコットキャラクターは数多く存在するが、部活のマスコットキャラクターというものは珍しいだろう。部員と共に試合を盛り上げる2人は、未だ謎が多い。今回は、2人のことをよく知る小谷太郎(社4=神奈川・相模原)と玉川希(慶大、4年)と共に、関係性や早慶戦への意気込みを語っていただいた。
※この取材は10月13日に行われたものです。
「実際に2人で会っているところを見たのは、きょうが初めて」(玉川)
わーおくんとユニコンくん。意外と珍しい組み合わせだ
――簡単に自己紹介をしていただけますか
わーおくん こんにちはなのである。早稲田大学応援部のマスコットキャラクターのわーおくんなのである。ワセダスポーツを盛り上げるべく、日々獅子奮迅(ししふんじん)中なのである。最近はゆるキャラグランプリにも出場しているのである。
小谷 好きな食べ物はメロンで、趣味は一万円札の両替です。
ユニコンくん 僕は生粋のケイオーボーイだよ。日吉、三田、神宮によく行くよ。語学で来日(※玉川の発言へ)してるよ。初めて行った慶早戦での野球部の試合に感動して、應援指導部に入ったんだ。応援の楽しさは、他には代えがたい格別の楽しさなんだよ。同じ塾生にもその楽しさを分かってほしいと思って、僕はTwitterや色んな活動でたくさん呼び掛けているよ。
玉川 来日というのは、日本に来ることではなくて、ケイオーは2年でキャンパスが日吉から三田に変わります。三田に行っても、日吉で取り残した単位があると、取りに(履修しに)いかないといけないんです。その語学というのは日吉でしかやっていない典型的な単位で、それを取りに日吉に頑張っていっています。だから、神宮、三田、日吉によく行くんです。普通の3年生は日吉には行かないんですよね。ワセダはキャンパスが一緒だから、そういうことはないですよね。
――お互いのことをどう思っていますか
ユニコンくん わーおくんのことは永遠のライバルであると僕は思っている。だけど、プラオベートでは仲良くしたいと思っているよ。わーおくんは思い切った行動をたくさんしていて、僕にとって非常に興味深いんだ。こんど一緒に神宮に遊びに行こうよ!
わーおくん ぜひ行きたいのである。ユニコンくんのことは、よき友でありよきライバルだと思っているのである。実はすごく仲良しなのである。でもユニコンくんの見た目や言葉には少々トゲがあるのが玉に瑕(きず)なのである。
――お二人から見て、わーおくんとユニコンくんの関係性はいかがですか
小谷 本当にわーおくんの言う通りで、本当に仲が良いんですけど、ユニコンくんがわーおくんにTwitterで絡んでくるときはすごくトゲがあって、傷つけにかかってくる感じが…。
玉川 煽りがね(笑)。
小谷 煽りがすごくきついです。なんかそういうところで虚勢を…虚勢じゃないか(笑)。身を張ってくるというところが、ユニコンくんかわいいなという感じです。
玉川 ちゃんと角ついてるしね。仲が良いと聞いているけど、実際に2人で会っているところを見たのは、きょうが初めてです。
小谷 レガッタとかでね。会うかな?
玉川 実は(わーおくんとユニコンくんが)隣に並ぶことはめったにないです。
小谷 あしたは雨が降ると思います。
――ユニ子ちゃんとはどのような関係ですか
ユニコンくん ユニ子ちゃんは僕にとってかけがえのない存在だよ。でも応援席にきてくれたかわいい女の子を見つけると、僕が声をかけちゃって、いつもユニ子ちゃんに怒られているんだ(笑)。
――恋人なんですか?
玉川 いまいちグレーな感じなんだよね。複雑な関係…。
小谷 結婚したら何が生まれるか気になりますね。
玉川 いや、ユニコーンなんじゃない?
「この悔しさは今季必ずはらす!!」(ユニコンくん)
ユニコンくんと玉川。この日のユニコンくんは背が高い
――わーおくんの由来は『吼えろ早稲田の獅子』という応援歌からですが、ユニコンくんはなぜユニコンなのでしょうか
玉川 昔、三田山上の大ホールの3階に、ユニコン像がつがいで付いていたんですよ。そのユニコン像は、戦争で被災したのち取り壊されるにあたってなくなってしまったのですが、また新たに大ホールにユニコン像を模した飾りが誕生した年に、慶早戦に勝って優勝したんです。その話からユニコンくんが誕生しました。アメリカンフットボール部も『UNICORNS』といいますし、ケイオーとユニコンは何かと結びつきます。
――わーおくんは今何歳ですか
小谷 2013年4月4日生まれなので、5才です。こう見えても、身長125センチなんです。
――125センチですか
小谷 そんな信じられないみたいな顔しないでください!
――ユニコンくんは誕生日とかありますか
玉川 いや、分かってないです。謎が多い存在です。
ユニコンくん 内緒♡
――好きな応援歌・応援曲は何ですか
ユニコンくん 全部大好きだけど、みんなで肩を組んで歌う『若き血』が特別なんだよ。最近のマイブームは、試合が白熱しているときに流れる『朱雀』で、メガホンをブンブン回すからやみつきなんだ。
玉川 『朱雀』ができたのは2年前です。
わーおくん もちろん、好きな応援歌は『吼えろ早稲田の獅子』なのである。自分の名前の由来になっているだけあって、本当にこの曲が大好きなのである。好きな応援曲は『コンバットマーチ』なのである。リーダーの真似をして指揮台に乗ってみたいのである。
――春の早慶戦を振り返っていただいてもいいですか
ユニコンくん 本当に勝ちたかったんだ。優勝はできたけど、やっぱり宿敵ワセダを倒して優勝したかったよ。2日目に9回も『紺碧の空』を聞かされてどれほど悔しかったか。この悔しさは今季必ずはらす!!
わーおくん 小島主将(和哉、スポ4=埼玉・浦和学院)の執念の2連投。小太刀選手(緒飛、スポ4=新潟・日本文理)の2試合連続ホームラン。そしてケイオーの完全優勝阻止と、春の早慶戦はドラマしかなかったのである。ケイオーの優勝パレードの参加者を減らして申し訳なかったのである。
玉川 それは本当に詫びて欲しい(笑)。
「ワセダはワセダの野球をして勝つだけなのである」(わーおくん)
わーおくんと小谷。仲の良さがうかがえる
――今までで一番印象に残っている早慶戦をお願いします
ユニコンくん 2010年の秋季リーグ戦の慶早戦だよ。忘れもしない。春優勝したケイオーとワセダの優勝決定戦だったんだよね。そんな最高の舞台が整っていたんだけど、5-10で宿敵ワセダに惜しくも優勝を取られてしまったんだ。だけどそれが悔しくて、翌年の春にケイオーがまたまた優勝したんだよ。やった!!
玉川 結構ユニコンくんは執念深いよね。
わーおくん わーおくんは、全ての早慶戦が心に残っているのである。ただやっぱり2015年の春と秋に早慶戦に勝ってリーグ戦優勝したときの気持ちは忘れられないのである。
――ケイオーは3季連続優勝がかかっていますね
ユニコンくん 46年ぶりの3季連続優勝なんだ。絶対にワセダに優勝して、真の優勝をつかむぞ!
玉川 なんだかきょうは勢いがあるね。
――ワセダとしてはいかがですか
わーおくん ケイオーの3季連続優勝が懸かっているなど関係ないのである。ワセダはワセダの野球をして勝つだけなのである。まだワセダにも優勝の可能性が残っているので、優勝に向かって頑張るのである。
――今の4年生と臨む最後の早慶戦です
ユニコンくん 僕の活躍も見て欲しいけど、今回ばかりは大好きな4年生みんなの晴れ姿も見て欲しいよ。慶早戦は何といっても大きな舞台だから、みんな神宮に集合だ!!
わーおくん 4年生との最後の早慶戦なのである。スタンドで4年間一緒に頑張ってきた仲間なのである。4年生にとって最後の早慶戦、平成最後の早慶戦、絶対に優勝したいのである。
――小谷さん、玉川さんもわーおくん、ユニコンくんと最後の早慶戦です
玉川 ユニコンくんは、いつも神宮にトラックに揺られながら来てくれて、たまに臭いこともあったし、メイン台で暴走することもあったけれど、自分にとってはかけがえのない笑いと感動を届けてくれました。一緒に勝ちたいと思っています。
小谷 苦楽を共にしてきた同志という意識があります。Twitterで暴れ始めたりして色々困ったときもあったけれど、そういうところも含めて、わーおくんとの思いでなので、早慶戦に勝って、最後わーおくんにもいい思いをさせてあげたいです。
――早慶戦への意気込みをお願いします
ユニコンくん 絶対、絶対、絶対勝つぞ!打倒ワセダ!!
わーおくん ケイオーにぎゃふんと言わせるために、頑張っちゃうのである!
小谷 早慶戦で勝つことは、ワセダの体育各部にとっては至上命題なので、我々は全力でケイオーに勝ちたいと思います。
玉川 打倒ワセダこそ慶應義塾!
――ありがとうございました!
(取材・編集 今山和々子、金澤麻由)
早慶戦に向けて気合い十分です!
◆わーおくん(※写真中央左)
2013(平25)年4月4日生まれ。125センチ。ワセダの森出身。特技は雄叫び。夢は百獣の王になること。口癖は大隈重信と同じ「~なのである」。メロンが好きなのは、大隈重信が晩年メロンの栽培に尽力していたからだそう。早大応援部のマスコットキャラクターであるわーおくん。こう見えてもまだ5才と、まだまだ子供です。持ち前の愛らしさで、応援席に笑顔を届けてください!
◆ユニコンくん(※写真中央右)
生年月日不詳。日によって身長はまちまち。出身は秘密。慶大應援指導部のマスコットキャラクターであるユニコンくん。日吉、三田、神宮に足しげく通っています。語学の単位を落としているため来日していて、日々の疲れで角の先が荒れてきていることが最近の悩みだそうです。
◆小谷太郎(こたに・たろう)(※写真左)
1996(平8)年10月7日生まれ。神奈川県立相模原高出身。社会科学部4年。役職は代表委員主務と広報責任者と記録編集責任者。なんと1年秋の必修である第二外国語、朝鮮語初級を再々々履しているという小谷さん。2000年生まれもいる1年生とのジェネレーションギャップに苦しんでいるようです。クラスで新しくお友達を作って、早慶戦に誘えるといいですね!
◆玉川希(たまがわ・のぞみ)(※写真右)
1996(平8)年11月18日生まれ。都立武蔵高出身。慶應義塾大学経営学部4年。役職は広報。ル○ステージ○中○葉丘102号室で大体の人生を過ごしている玉川さん。部内において、全身の体毛が限りなく薄く、その魅惑のボディで先輩の大爆笑をさらったそうです。同期チアによる10番目に大好きなリーダーランキング、堂々のNo.1。ちなみに、慶大應援指導部の同期リーダーの人数は10人です。