七夕のような、特別な時間を共に

応援

 42回目を迎えた、東京六大学応援団連盟による合同演奏会。会場である府中の森芸術劇場どりーむホールには、開場時刻である17時30分から多くの観客が集まっていた。ことしのテーマは『together』。その言葉通り、普段はライバル同士である六大学応援団の吹奏楽部・チアリーディング部が、この日ばかりは同じ舞台で同じ衣装を着て、共に一つのステージを作り上げる。演奏後に鳴り響く大きな拍手からは、舞台だけではなく、観客も含めた会場全体の一体感が感じられた。

 三部立てで構成されるこの演奏会は、いろいろな表情を楽しめる。第1部のシンフォニックステージでは、『Flashing Winds』、『The Seventh Night Of July~TANABATA~』、『吹奏楽のための第二組曲』が演奏された。「もうすぐ七夕。一年に一度こうして同じ舞台に立つ六大学は、まるで織姫と彦星の再会のよう」という二曲目の紹介に、この空間が貴重なものであるということを再認識。会場は特別な雰囲気に包まれた。

 第2部はドリルステージ。マーチング曲から、ミュージカル曲、Jポップに至るまで、幅広いジャンルの曲が演奏されたことに加え、インストゥルメンツ(※1)の動きやカラーガード(※2)の華やかさ、またチアリーダーズによる演技など、視覚においても観る者を魅了する。ワセダからは、5曲目の『West Side Story』に今野綺香(社4=アメリカ・Woodbridge)がDM(ドラムメジャー※3)として、6曲目の『Best Friend』に川村綾子(文4=東京・拓大一)がGC(ガードチーフ※4)として出演し、動きをまとめあげた。六大学それぞれの応援歌メドレーも演奏され、盛り上がりを見せたステージとなった。

 締めくくりの第3部はポップスステージだ。『ディズニー・クラシックス・レビュー』では、佐野朱音(文構4=東京・江戸川女)が指揮を務めた。頭にミッキーマウスの耳カチューシャを着けた佐野がぴょこぴょこと登場すると、思わず微笑んでしまうというような暖かい空気が会場に広がる。「ディズニーの世界観を出すことを常に心がけていた」(佐野)と話す通り、その音色と愉快な演出によるわくわく感で、観客をディズニーの世界へといざなった。

 織姫と彦星が共に過ごせる時間が短いように、楽しいひとときはあっという間に過ぎてしまう。演奏や演出に加え、第3部の前には六大学の応援グッズが当たるプレゼント企画を行うなど、観客を退屈させない工夫も随所に見られた。その満足度を象徴するように、沸き上がった力強いアンコールの拍手。演奏会を終えた出演者やスタッフの表情も、皆達成感に満ち溢れ、晴れ晴れとしたものだった。ここに集うのはまた一年後。来年はどのように私たちを楽しませてくれるのだろうか。

※1 楽器を演奏しながら動き、様々な隊形を形作るパート。

※2 マーチングにおいて旗などを使用して舞い、視覚的表現を行うパート。

※3 ドリルステージやパレードで指揮をする者。全員の動き(コマ)を作成し、構成を考える。

※4 カラーガードの振り付けや旗の動きなどの表現方法を考える者。

(記事 中川歩美)

コメント

DM今野綺香(社4=アメリカ・Woodbridge)

――本日の感想をお聞かせください

色々と不安な点もあったのですが、最後はうまくいったので良かったなと思います。

――今野さんにとって最後の合同演奏会、またドリル隊への出演も3年目ということでしたがどのようなお気持ちで臨まれましたか

ことしで出演は三回目なのですが、もともとドリルが好きでこの団体に入ったので、ドラムメジャーとして出演させていただいて本当に光栄に思っています。

――ステージ全体の構成を考える上で大切にされていたことがあれば教えてください

なるべくダイナミックな演出ができるようにというのと、曲調に合わせた動きと曲が連動するようにというのを考えながらやっていました。

――ドリルは特に一体感が大切になると思うのですが準備期間は

4月くらいから練習を始めて、三か月間取り組んでいたのですが、その前にも事前練習という形で三年生以下で練習をしていたりしたので、プレイヤーにとっては約半年です。スタッフとしてもその時期くらいから曲を考えて練ったりしていたので、同じくらいですね。

――六大学の一体感、また客席との一体感はいかがでしたか

曲が終わった後にすごく大きな拍手をいただけて、それがいいなと思いました。あと本番前、「本日の企画・構成は」という紹介がされているときに、裏で「~~しましょう」「はーい!」と言っているんですけど、そういうところで全員が一つになっているなと感じて、始まる前から感動していました。

佐野朱音(文構4=東京・江戸川女)

――本日の感想をお聞かせください

本当に「楽しかった」のひとことです。応援部としての活動が多く、吹奏楽に没頭する期間がなかなかないので、音楽に真剣に向き合えたすごく良い期間だったなと思います。

――佐野さんにとって最後の合同演奏会でした。どのようなお気持ちで臨まれましたか

昨年もサブスタッフとして出させてもらったのですが、そのときの2年生が今度は3年生として今の2年生を成長させて、一丸となって全体を底上げして。みんなが自信を持って自分の大学に帰れるようにという思いで取り組んでいました。

――大変だった点、悩みなどはありましたか

昨年演奏隊として初めて出演したのですが、空気に慣れなくて結構不安なこともありました。でも3年間とも周りの人たちが温かかったので、悩みというのは特にありませんでした。

――指揮をされたディズニー・クラシックス・レビューではどのような点に重きをおいていたのでしょうか

ディズニーの世界観を出すことと、全員に楽しんで吹いてもらうことを常に心がけていました。

――『together』というテーマでしたが六大学、また客席との一体感という観点から振り返ってひとことお願いします

すごく大きな一体感を生み出せたのではないかと思います。