7年ぶりの勝利はならずも、有観客試合で盛り上がりを見せる

ボクシング

 第66回早慶定期戦(早慶戦)が12月3日、慶大日吉記念館で行われた。早大は7年ぶりの勝利を目指して挑んだが、昨年に引き続き2ー5で敗れ、悔しさが残る結果に。一方で、今大会は久しぶりの有観客試合ということもあり、観衆が詰めかける中で行われ、終始盛り上がりを見せた。

 早大勢最初の登場となったのは、フライ級のルーキー後藤誉雄(法1=東京・早大学院)。しかし、相手選手の勢いをなかなか止めることができず、3R1分07秒でRSC負けを喫した。2番手はバンダム級・磯村時将主将(創理4=東京・攻玉社)。「絶対自分が勝って、早稲田の勝利に貢献する」と強い気持ちで試合に臨んだ磯村。「右ストレートが強い感じで当たっていた」と言うように、序盤から自分のペースで試合を進める。3Rまで磯村のパンチの威力が衰えることはなく、最後はRSC勝ちで、対戦成績を1ー1の五分に戻した。また磯村は試合後、敢闘賞を受賞した。続くフェザー級には、昨年の早慶戦で敢闘賞を受賞した伊藤礼副将(スポ3=新潟南)が出場。序盤から果敢に攻め、互いに一歩も譲らない展開となった。しかし、なかなか好機を見出すことはできず。最後は惜しくも判定負けを喫し、昨年勝利した相手にリベンジを許すかたちとなった。

主将として結果でチームを引っ張った磯村

 ライト級に出場した吉田知暉副将(政経4=神奈川・浅野)と鍜治将大(社1=大阪・明星)も勢いづいた慶大の流れを止めることができない。近距離での打ち合いの練習もしてきたという吉田は、序盤から積極的な攻撃を見せる。しかし、一瞬の隙をついてパンチを繰り出す相手に上回られ、2R2分56秒でRSC負け。一方、初めての早慶戦となった鍜治も開始早々から相手選手に強烈なパンチを食らう苦しい展開に。その後も相手の素早い攻撃に対応することができず、1R1分32秒でRSC負け。この時点で対戦成績は1ー4となり、早慶戦における早大の勝利は来年以降に持ち越しとなった。

チームを盛り立てる吉田

 次々に勝利を収める慶大に一矢報いるべく、ライトウェルター級には川西響(スポ2=長崎東)が登場。相手は昨年も対戦して敗れた松村和弥だったが、昨年の反省を生かし、「相手から打たせることを意識した」という。その言葉通り、1Rは相手の様子を伺いながらの攻撃となったが、2Rからは徐々に川西のペースに。最終第3Rまで接戦となったが、28ー29、29ー28、29ー28で判定勝ちを収めた。来年以降に向けては「ここから慶大に負けることが絶対にないように、無敗でいきたい」と意気込んだ。最終7番手はウェルター級の宮田万輝(スポ3=群馬・前橋育英)。序盤から相手の攻撃に押され、なかなか自分のペースに持ち込むことができない。最後は相手選手からダウンを食らい、1R1分26秒でRSC負けとなった。

昨年敗れた相手に力強いパンチを繰り出す川西

 今大会をもって1年間チームを引っ張ってきた4年生は引退となる。 早大での競技人生を振り返って、「早慶戦で4年間負けてしまったことことが唯一の心残りだが、今日はRSC勝ちと敢闘賞を受賞できて良かった」(磯村)、「きつい中でも頑張れたのは、楽しく盛り上げてくれた部員のおかげ」(吉田)と仲間へ感謝の思いを述べた。そして、4年生2人がそろって口にした「頼もしい後輩がいる」という言葉。3年生以下の選手たちは彼らの思いを受け継ぎ、67回目を数える伝統の一戦での勝利に向かって、また新たな一歩を踏み出す。

試合後の集合写真で笑顔を見せる早大の選手たち

(記事 加藤志保、写真 堀内まさみ、橋本聖、加藤志保 )

結果

▽フライ級

●後藤誉雄 RSC(3R、1分07秒)

▽バンダム級

◯磯村時将 RSC(3R、1分10秒)

▽フェザー級

●伊藤礼 0ー3(28ー29、26ー30、27ー30)

▽ライト級

●吉田知暉 RSC(2R、2分56秒) 

●鍜治将大 RSC(1R、1分32秒) 

▽ライトウェルター級

◯川西響 2ー1(28ー29、29ー28、29ー28)

▽ウェルター級

●宮田万輝 RSC(1R、1分26秒)

コメント

磯村時将主将(創理4=東京・攻玉社)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

 絶対自分が勝って、早稲田の勝利へとつなげると意気込んだ試合だったので結果RSC勝ちできて、個人的にはよかったです。

――今日の試合の中でよかった点はありますか

 全部右ストレートが強い感じで当たっていたのでいつも通り焦らずじっくりやれば、絶対勝てると試合を通して思いました。

――久しぶりの有観客での試合だったと思うのですが応援などを含めていかがでしたか

 最初は緊張して、普段通りの動きができるのか心配だったのですが、試合が始まったら周りの応援や歓声が聞こえていつも以上に力を出せたかなと思います。

――早大での4年間を振り返っていかがですか

 色々なことがあった4年間ですが、4年間早慶戦で負けてしまったことが唯一心残りです。ただ個人的には今日、RSC勝ちと敢闘賞をいただけたのでいい4年間だったのかなと思います。

――最後に後輩に向けてメッセージをお願いします

 頼もしい後輩ばかりなので来年は絶対リーグ戦や早慶戦、個人での全国の舞台での活躍を期待しています。

吉田知暉副将(政経4=神奈川・浅野)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

 そうですね、やっぱり打ち合いになって、そこで結構この1年間ずっと打ち合いの練習、近距離での練習をしてきたのですが、やっぱり相手の方がうまくて、そこで上回られて負けてしまいました。

――久しぶりの有観客での試合でしたが、それについてはいかがですか

 やっぱり自分の高校の時から仲がいいやつとか同期とかが来てくれて、(スタンドの)応援席から応援してくれていて、すごく力になりました。

――早大での4年間を振り返って

 そうですね、基本的に楽しかったのですが、4年生になってから副将もやって、リーグ戦とか早慶戦とかも勝たないといけないというのがあって、いろいろ出稽古も行ったりして、結構きつい時期の方が多かったのですが、それでも頑張れたのはやっぱり部員のみんなが楽しく盛り上げてくれていたので、そういう点で楽しい思い出が多いですね。

――後輩に向けたメッセージをお願いします

 今年もやっぱり早慶戦でチームで勝つことはできなかったのですが、後輩はめちゃくちゃ強い選手もいて、大学から始めた選手でもどんどんうまくなっているので、必ずそのうち勝てると思うので、腐らずに頑張ってほしいなと思います。

川西響(スポ2=長崎東)

――試合を振り返っていかがでしたか

 想像ではもっと動ける予定でしたが少し力んでしまったかなというのはあり、判定もぎりぎりだったのでもっと圧勝したかったなと思っています。

――試合内容で良かった点はどこですか

 昨年も対戦した相手だったのでだいたい手の内は分かっていましたが、無理に中に入っていったらやられるなと感じたので、相手から打たせることを意識してできたことが良かったです。

――久しぶりの有観客でしたがいかがでしたか

 人が多くて緊張することもありましたが、逆に応援の声も多くて、すごく盛り上がって良かったです。

――3、4年生の試合を見ていかがでしたか

 とくに4年生は今回が最後なのでこれで最後なのか、と思いながら見ていました。

――最後に来シーズンに向けて意気込みをお願いします

 もうここから慶大に負けるということが絶対ないように、無敗でいきたいです。