第65回早慶定期戦が12月4日(土)に早稲田大学17号館ボクシング場にて開催される。早慶戦直前企画第一弾となる今回の対談では、これまでそれぞれの部を率いてきた早大・岡村泰靖(商4=東京・早実)、首藤功大(国教4=東京・芝)、慶大・武智琉馬(環4=愛媛・新田)、松木健太(総4=神奈川・鎌倉学園)の4人に最後の早慶戦に懸ける思いを伺った。
※この取材は11月14日に行われたものです。
「この代でよかった」(岡村)
――お互いに面識はありましたか
一同 ありますね。
首藤 武智くん話したことないよね。
武智 話したことないね。今必死で名前思い出してます(笑)。
――続いてはお互いの印象についてお聞きしたいと思います。まずは、首藤選手に対してはどのような印象がありますか
武智 俺らが1年の頃の早慶戦のイメージしかないですね。松木くんとやったんですよね。その時めっちゃガッツのある人やなと思って(笑)。バチバチに打ち合ってて打ち合い強そうな人やなっていう印象です。ほんとに気持ちが強くてガンガン前に出てくるっていうイメージなので、正直苦手なタイプです(笑)。
松木 僕も1年生の時にやったんですけど、同じでガッツがあるなという印象です。後輩に(首藤選手の)中高の同期がいるんですけど、その子からメンタルはヤンキーだって聞いてます(笑)。
武智 あと顔ね(笑)。
松木 その通りだなと思いました。
岡村 一番は頼りになるなと。顔とか言動も威厳というか厳しさというのがあるので、部を締めてくれてて自分としてはすごい助かっています。
――岡村選手に対してはいかがですか
武智 軽量級ですよね。自分が重い階級なので印象が全然ないですごめんなさい。ほんとにごめんなさい、今プレーも思い出せないくらいの…。割と自分の相手を見ちゃう感じで、軽量級はあまり見てないのでお答えできないです、すみません(笑)。
松木 2年生、3年生の時にそれぞれ早慶戦に出てて、前に出てくるなというイメージです。手数も多いので、しっかり練習しているんだろうなという印象と、真面目なのかなという印象です。飲みに行った時は面白い話をたくさん持っていて楽しかったので、今後もよろしくお願いします(笑)。
首藤 主将としてチームを引っ張ってくれている印象が強いです。やっぱり岡村がいないと今の自分たちの代のかたちはなかったなという存在なので非常に感謝しています。他では、飲むとやんちゃになります(笑)。
岡村 人変わるキャラじゃないから(笑)。
武智 ぜひ今度飲みに、お願いします。
――では、武智選手に対してはどのような印象がありますか
首藤 今までの早慶戦も自分より1階級上で出ていて、重い階級なんですけどテクニックがすごいなというイメージです。独特な戦い方をしていて、自分はすごい嫌だなと思っていたんですけど、いずれ戦うと思っていたので、今回楽しみにしています。
岡村 スタイルが独特で、その世界観の中に相手を巻き込んで圧倒している印象です。自分のスタイルを確立してしっかりできているというのが、やる方からしたら嫌ですね。
松木 4年間一緒にいて、ボクシングのスタイルが独特なのもそうなんですけど、私生活もかなり独特で自分もまだつかめていなくて。
武智 そんなことないけどな。一般的な大学生だよ(笑)。
ただ面倒見がいいですね、後輩たちや同期に対しての。それにすごく助けられているところがあります。
武智 恥ずかしいな(笑)。
――最後に、松木さんに対する印象はいかがですか
首藤 さっきも話してたと思うんですけど、1年生の時に戦ってから、すごい仲良くしてもらっていて、試合とかでも会うと声をかけてくれて。めちゃめちゃ強くて、ほんとにかっこいいなという印象ですね。そしてまた飲みに行きたいですね(笑)。
岡村 仕事ができそう(笑)。これから先も。
武智 間違いなくそう(笑)。
岡村 ケガで第一線でできなくなっても、できることを見つけて、そこでしっかりやって結果を残してきたので、ほんとに人間としてかっこいいなと思います。
松木 嬉しいです。ありがとうございます。
武智 俺たちの代は松木がいなかったらつくれていなかったなと思います。今まで出会ってきた人の中で一番すごい人というか、尊敬できる人です。ケガをして選手から遠のいてしまって、一度どん底に落ちてしまったと思うんですけど、そこからしっかりと這い上がってきて、部のために主務として全てに全力を出してくれたというのが近くで見ていて分かりました。また、見えないところでも頑張っていたと思うので、それを全部やりこなしてくれたというのがほんとに尊敬できるところだなと思っています。
――今の部の雰囲気は
岡村 めちゃくちゃいいと思います。1年生の時から仲のいい代ではあったんですけど、途中で留学で抜けるなどで全員そろわないときもあって。それでも、今またみんなそろって、お互い助けあってやれているので、ほんとに自分はいい雰囲気だなと思うし、この代でよかったなと思います。
首藤 留学で抜けたのは自分なんですけど(笑)。戻ってきてもまたみんなそれまでと同じように受け入れてくれて、ここまでお互いに切磋琢磨し合って、ほんとに最高の代だと自分は思ってます。
武智 もちろん横のつながりはほんとに強くて、お互い切磋琢磨し合ってきたというのはそうなんですけど、その中でもすれ違いなどはありましたが、それをしっかりと自分たちの中で消化して、お互いに前に進んで今ここにいるので、それなりにいい雰囲気なのかなと思います。
松木 (4年生にとって)最後の早慶戦で、みんな出ると思うので、練習はしっかりとこなすし、スタッフの人たちもできることをやってくれているので、このままいけば無事に早慶戦を迎えられるんじゃないかなと思ってます。
――4年生から見た下級生の印象は
岡村 元気いっぱいですね(笑)。部の雰囲気って1年生がつくるといっても過言ではないのかなと思っていて。1年生が元気な時って、チームが自然と元気になるなって4年間過ごしてきてすごく感じたので、今年の1年生が元気いっぱいなので、チームもいい感じに盛り上がって助かってます。
首藤 早稲田は選手がいない代とかもあった中で、最近は下級生がどんどん入ってきてくれているので、下からどんどん盛り上げてもらっている感じはあります。それに対して自分たちも負けられないなと思っています。
武智 僕たちの代はすごく選手が少なかったんですけど、今は選手がいっぱい入ってくれて、大学始めの選手も入ってくれて。みんなが練習に対して真面目だったり、勝利に対する想い思いが強かったりと、ほんとに質の高い練習をしていて、みんな一生懸命にやっているなという印象です。
松木 やんちゃな後輩が多いなと思います(笑)。でも、ボクシングに対して真っすぐな子が多いので、その点は練習がすごく締まっているなと思います。
「早慶戦が一番の思い出」(首藤)
――ボクシングを始めたきっかけは
武智 高校1年生からやらせていただいてるんですけど、ほんとに最初は興味本位というか。中学校の時の先輩がボクシング部に入っていて、それに誘われて体験に行ったら面白そうだったのが始めたきっかけですね。人を殴るとか殴られるとかって、めったに経験できないことじゃないですか(笑)。高校3年間やって大学でもご縁があったので、4年間続けてやらせていただいてるという感じですね。スタートはほんとに興味本位でした。
岡村 自分は大学入学と同時に始めた身なんですけど、ずっとサッカーをやっていた中で、どこかで格闘技は一回やりたいなという気持ちがあって、思い切り打ち込める最後のチャンスだなというので思い切って体験行った時に、今は卒業された先輩たちの姿を見て自分もこうなりたいなと思ったのが最初だったと記憶しています。
首藤 自分はもともと中学2年生の頃からキックボクシングをやっていて、その時始めた理由は周りに格闘技やっている人が多くて自分も興味本位で始めました。もともとパンチが好きだったというのと、ボクシングがかっこいいなっていうのがあったので、大学でボクシング部に入って、ボクシングの奥深さというか、自分のレベルでは全く歯が立たない世界というのに出会えて、ここまで頑張ってこれたという感じですね。
松木 僕は中学でハンドボールをやっていて、高校では部活に入らないつもりだったんですけど、適当な人間だったので先生が(部活に)入らないとまずいぞということで担任の先生が顧問をしている部活に連れて行かれて、それがボクシング部だったのでそのまま入部したという感じです。なので、ボクシングを始めたきっかけっていうのはあんまないですね。
――ボクシング部での一番の思い出は
岡村 一番最初にずるい回答をしようと思うんですけど、最後の早慶戦が絶対に自分の一番の思い出になると思うので、4年分のいろんな思いを背負って最後戦いたいなと思います。
首藤 自分はそれこそ1年生の早慶戦が一番の思い出というか、転機というか。松木くんと試合をして負けて、そこで自分をどう変えていくかということをめちゃくちゃ考えました。結構完膚なきまでにやられたので、あの時はくじけそうになったんですけど、そこからここまで持ちこたえることができたというのは自分の中ではよかったなと思います。
松木 僕らが2年生の時のリーグ戦ですね。始まる前は2部リーグ最下位(になるんじゃないか)と言われていて、その中で主将もピリピリしつつチームが暗い雰囲気で練習していたんですけど、一戦目で今まで勝ったことなかった相手に勝って、そこからチームが勢いづいて、練習のあの時の雰囲気は今でも忘れられないなという記憶があります。
岡村 あの時強かったな。
武智 一つ挙げるとすれば、最後の早慶戦と言わず今までの早慶戦が自分の中の思い出です。1年生、2年生、3年生、そしてこれからの最後の早慶戦全てが自分の中で大きかったなというのが思い出としてありますね。1年生の時から早慶戦っていう何十回と続いてる伝統ある試合に出させてもらえて、勝つことができて、今ずっと連覇を成し遂げているところで、最後自分たちが最後まで連覇できたらいいなと今思ってるんですけど、そういったずっと今まで受け継いできた試合に関しての思い出が、早慶戦っていう思い出が一番大きいですかね。
――オフの日の過ごし方は
武智 睡眠(笑)。寝るかゲームをするかで、一人暮らしをしているので親の目もなくずっと好きなだけできているというのがほんとに最高のオフです。
松木 コロナで最近行けてなかったですけど、僕は友達とご飯に行って飲みに行くくらいですかね。それが一番多いかなと思います。
岡村 減量がないときは松木くんと一緒で友達と飲みに行くというのが多くて、減量があるときはゆっくりしているか近所の温泉行くとかが多かったです。
首藤 自分も酒です(笑)。お酒が好きで、試合前は禁酒なのでどうしようかなというのが毎回の悩みです。
――引退後にやりたいことは
松木 長期の休みがなかったので、このご時世ですけどどこかに旅行は行きたいかな。引退したら海外に行ければ行きたいですね。
岡村 自分も旅行は今まで大学生活であまりできなかったので、海外がダメだとしても国内でほぼ行ったことのない地方に行ってみたいなというのはあります。
武智 愛媛どうですか? ぜひうちの父親の店に。
首藤 早慶4年合同で行きたいね。
武智 僕は週6でずっと部活をしていたので、部活の時間を趣味に費やしたいなと思います。
首藤 愛媛に行くのと(笑)、早くOBとして練習に参加したいです。どんな気持ちなんだろうっていう。
「最後、すべて出し切りたい」(岡村)
――みなさんの早慶戦に対する思いは
首藤 一言で言うと憧れの舞台ですね。自分の父が、ボクシング部じゃないんですけど慶應の体育会出身でずっと昔から早慶戦の話は聞いていて、自分もそういう舞台で自分の好きなスポーツで出たいなというのがずっとあったので、それにこうして出させてもらえるということでめちゃくちゃ気合入っています。
岡村 1年の最後の最大のイベントっていう位置付けです。11月くらいになって少し寒くなってくると早慶戦が近づいてきたなという気持ちになるくらい毎年そこにかけてやってきたので、最大のイベントという感じですね。
武智 被ってしまうんですけど、1年のボクシング活動の集大成というか最後のイベントだと思います。12月最後の試合なのでそこが勝つか負けるかでほんとにその1年の最後が変わってくる、年越しとかいろいろ変わってくるので意地でも勝ちたいなと思っている大事な試合です。
僕は自分の手腕が問われるというか。4年間最後の試合で僕は出ないんですけど2年生からトレーナーをやっていて教えてきている子たちも出るので、その子たちの試合を見て教え切れたなと安心できるかどうかというのが今問われているなと思います。
――早慶戦で見てほしい自分のプレや/注目してほしい選手は
松木 注目して欲しい選手は李烘在(2年)です。今一緒に結構練習をしていて教えているし、多分(岡村選手と)やると思うのですごく熱い戦いになるのかなと思います。
岡村 最後なので何も悔いが残らないように全部出し切るつもりでやるので、その気持ちとかが少しでも伝わったらいいなと思います。
さっきも出ていたように1年の集大成で、かつ大学4年間の集大成なので自分がどこまで出し切れるかというところに注目してほしいです。
武智 7年間の、今までの自分のスキルや思いを完璧に出せたらいいなと。最後の試合なので、今まで試行錯誤して確立してきたスタイルやスキルというものを全て出して自分のボクシングを最後まで貫き通せたらいいかなと思っているので、それを見ていただけたら。
岡村 例えば?
武智 例えば…(笑)。難しいな。パンチよけのスキルかな。パンチをガードするのが面倒だなと思っていて、パンチをガードせずによけられたらいいと高校からずっと思っていてそれをずっと自分のスタイルとして織り込みながらやってきたので、そういったところを見ていただけたら面白いかなと思います。
――後輩に伝えたいことは
岡村 4年間一つのことを続けるのは思っているよりも難しいし気持ちが切れそうになることもあると思うんですけど、まだ終わり切ってないのに言うのも変ですけど、最後絶対やって良かったなと思えるのは間違いないと思うので、つらいことがあっても周りに仲間がいるから最後まで頑張ってほしいなと思います。
武智 僕はいろんな人とのつながりを大事にしてほしいなと思います。部員はもちろんOBの方々も対戦相手もそうで、モチベーションとか切れてしまって自分でどうしようもできないときは誰かに助けてもらわないといけないので。実際に僕も助けてもらいましたし、そういった人と人とのつながりを大事にしていって、それが強くできるのが体育会だと思うので、それをしっかりと大事にしていってもらえたらいいのかなと思います。
松木 サボるのがうまくなってほしいなと思います。悪い意味じゃなくて。(自分自身)考えた結果必要ないなと思った練習は逃げるというかやってこなかったんですけど、コーチとかトレーナーがいろいろな練習を提供してくれるけどそれを全部やる必要はなくて、自分の中で軸を持って必要なことだけを集めてやってほしいなと思います。
首藤 大学の部活はある種特殊な環境だと思うので、まずはそこでずっとやっているということに誇りを持ってもちろん最後までやり抜いて将来胸を張って生きてほしいなと思います。
――最後に早慶戦に対する意気込みをお願いします
武智 さっきの見てほしいところと被るんですけど、自分の持てる全てを出して自分のボクシングを早慶戦という大きな舞台で出したいと思っているのでそれを出し切って最後絶対勝ちます。
松木 相手も練習をしっかりしてきている中で厳しい戦いになると思うんですけど、最後はしっかり完勝を目指して頑張りたいと思います。
岡村 なにがなんでも雪辱を果たすというのと、個人で言えば最後出し切って自分も勝って、(自分は)軽量級で出番が早いので後ろのみんなが勝てるようにいい試合をしてきます。
首藤 5連敗しているので今年こそは絶対に勝って、慶應という最高の相手なので全員で全て出し切って自分もそうですけどチームとして全員で勝ちたいと思います。最後まで頑張ります。
――ありがとうございました!
(取材・編集 栗田優大、永留琴子)
◆岡村泰靖(おかむら・たいせい)(※写真中央右)
商学部4年。早大ボクシング部の主将を務める岡村選手。普段はチームの精神的支柱ですが、お酒を飲むとやんちゃになるそうです。早慶戦でもチームを引っ張る岡村選手の厚いプレーに注目です!
◆首藤功大(すとう・こうだい)(※写真右)
国際教養学部4年。副将としてチームを支える首藤選手。早慶戦は憧れの舞台だと語っていました。そんな憧れの舞台で見せる4年間の集大成に期待です!
◆武智琉馬(たけち・りゅうま)(※写真左)
慶大環境情報学部4年。熟考の末に色紙に書いたのは「終」の一文字。自身にとって最後となる早慶戦で有「終」の美を飾れるか、注目です。
◆松木健太(まつき・けんた)(※写真中央左)
慶大総合政策学部4年。ケガをきっかけにトレーナーに転身した松木さん。早慶戦ではチームの勝利のために全力で選手をサポートします!