三輪が敢闘賞受賞も慶大に敵わず

ボクシング

今年で63回目を迎えた早慶定期戦(早慶戦)。昨年の早慶戦では0−7で慶大に完敗の早大。歴史ある一戦に今年も多くの観客が詰めかけ、応援部を中心にチームの雰囲気をつくり盛り上がりを見せる早大だが、三輪裕之副将(文3=神奈川・鎌倉学園)の勝利により7戦全敗は免れるも、総合では1−6と悔しさの残る結果となった。

悔しさを見せる岡村(左)

まずリングに上がったのは、ライトフライ級・青木真誉(創理2=埼玉・早大本庄)。昨年の早慶戦と同じ相手との、二度目の対戦となった。「少し(気持ちが)上がって力んだ」という青木だが、1ラウンド(R)目から拳は相手の顔面を正確に捉え、積極的に攻める様子を見せた。続く第2Rでは疲れを見せるもなんとか持ちこたえる。そして第3R開始と同時に勢いよく相手の方へ向かっていき、リングの端へと追い詰めるが、相手の左ボディやストレートは青木を捉え、3R1分26秒で青木のRSC負けとなった。続いて登場したのは、フライ級・岡村泰靖(商2=東京・早実)。第1R序盤から岡村のワンツーは相手を捉え、攻めていく。岡村も相手も攻撃を止めることなく接戦のまま第1Rを終える。第2R序盤、岡村は隙を見て一気に連打で攻めるが、相手の迷いのない力強い一打一打は確実に岡村の体力を奪っていく。迎えた第3R、接近戦が続き、相手からの攻撃を受ける回数が多くなる。最後まで諦めることなく果敢に攻める岡村だが、第2戦、判定により勝利したのは慶大・成澤。試合後、岡村は悔しい表情を見せた。続く第3戦は、事前の対談で、「自分とチームをしっかり信じて戦いたい」と意気込みを語ってくれたバンタム級・金泳侯(政経2=韓国・ソウル)の試合。1R目序盤から、相手に圧倒され、ペースをつかまれる様子を見せる。金は何度も手を出すが相手にかわされ、なかなか攻撃を加えられない。相手に必死に食らいつくも、2R2分18秒で金のRSC負けの結果となった。

早大唯一の勝利を収めた三輪

ここでリングに上がったのは、バンタム級・三輪裕之。これまで、どの試合でも勝利を収め、早大ボクシング部を活気づけてきた三輪の登場に早大応援席の期待は高まる。試合後に自身でも振り返ったように、最後まで勝敗のわからない接戦だった。1R目から両者一歩も譲らない激しい打ち合いで試合は開始する。三輪は相手の様子を伺いながらも一気に距離を詰め、素早く確実に攻撃する。続く第2R、顔面を中心に攻めてくる相手にもひるまず、三輪は右フック、左ボディ、右ストレートなど次々と攻撃を加え、第2Rを戦い終える。そして第3R、観客の声援が高まるなか、攻めの姿勢で相手に向かっていく。「今までだったら疲れて手が出ないところで手が出るようになった」と話したように、第1Rから第3Rを通して手数を減らさず、積極的に攻め続ける姿を見せた。そして、判定の結果勝利した三輪は、応援席に向かってガッツポーズを見せた。ここまで3敗の早大に、貴重な1勝をもたらした三輪はこの試合で敢闘賞を受賞した。第5戦、登場したのはライト級・井上雄太郎(商3=東京・明大中野)。これまでの試合では、なかなか手が出ない井上だったが、第1R序盤、相手から逃げずに果敢に攻めていく様子を見せる。しかし、中盤には相手の力強い右ボディを食らってしまう。そこからは思うように手が出せなくなり、相手の連打が井上を襲う。相手の猛攻に対抗することもできず、1R2分53秒で井上のRSC負けの結果となった。続く第6戦は、ライト級・藁品健介(創理3=神奈川・鎌倉学園)の試合。10月に行われた早大・明大対抗戦では、1R53秒でRSC負けとなってしまった藁品。1R目開始直後は相手の様子を伺い、一気に攻めていくことはせず、慎重に距離を詰めていく。第1R後半、第2Rには、両者とも一歩も引かない激しい打ち合いを繰り広げる。藁品の力強い右ストレートは相手の顔面を捉え、流れをつかむ。最終第3R、疲れを見せ、頭が下がってしまう藁品。防御もままならず無我夢中で相手に向かっていく藁品に、相手も負けじと攻撃する。第6戦、接戦を制したのは、慶大・矢沢。残念ながら藁品の敗北となった。最後にリングに上がったのは、ライトウェルター級・高橋良典(スポ3=茨城・茗渓)。第1R序盤から両者ともに果敢に攻めていく。安定した重心で、相手の攻撃に耐え、自らも手を出していく。第2Rには相手のパンチが高橋の顔面を直撃。それに屈することなく反撃する高橋だが、なかなか流れをつかめない。第3R中盤、一気に攻め込み相手を追い詰める。そのまま自分のペースに持っていきたいところだが、相手は高橋の攻撃を素早くかわすため、思うように技が決まらず、最終Rを終える。最終戦とあって、会場の興奮も期待も一段と高まるなか、読み上げられた結果は、慶大・武智の勝利。高橋の負けとなった。

三輪は敢闘賞を受賞した

全7試合の結果、1–6で早大の負けとなった。結果としては慶大相手に大差で敗北となったものの、リーグの異なる格上相手に1勝を挙げ、早大ボクシング部の粘り強さを見せた。今シーズンの試合は早慶戦で最後だが、来シーズンには、より強く、よりチームワークを活かした試合を見せてくれることを期待する。

(記事 芦澤りさ、写真 小松純也、芦澤りさ)

試合後の慶大との集合写真

結果

 

早慶定期戦
階 級 早 大 スコア 慶 大
LF 青木 真誉 ●RSC(3R1分26秒)○ 古山 皓介
岡村 泰靖 ●0(27-30 27-30 26-30)3 成澤  諒
金  泳侯 ●RSC(2R2分18秒)○ 桑満 隆生
三輪 裕之 ○2(30-27 28-29 30-27)1● 上田 竜司
井上雄太郎 ●RSC(1R2分53秒)○ 松村 和弥
藁品 健介 ●1(29-28  28-29  28-29)2○ 矢沢 遼太
LW 高橋 良典 ●0(26-30  27-30  26-30)3○ 武智 琉馬
コメント

三輪裕之(文3=神奈川・鎌倉学園)

――今の率直な気持ちを教えてください

個人として勝ててとてもうれしいです。今年最後の試合だったのですが、リーグ戦(関東大学リーグ)の入れ替え戦、早明戦、早慶戦どれも勝ててきているので、いい1年だったなと思います。

――目標に「三度目の正直」と書かれていましたが

1年2年のときに早慶戦に出場したのですが、どちらも負けてしまって、3回目だったので三度目の正直にしました。

――敢闘賞を受賞していかがですか

本当にうれしいです。

――ご自身の試合を振り返っていかがですか

接戦でした。(名前を)呼ばれるまで勝ったかどうかわからなくて、勝ったとわかったときは、「おーよかった」と思いました。

――きょうに向けてどのような練習をされてきましたか

リーグ戦が終わった後に監督が変わってから、スパーリングが増えたり、手数を出すようになったりしました。

――それは試合で活かせましたか

活かせたと思います。

――きょうの試合でよかったと思うところは

今までだったら疲れて手が出ないところで手が出るようになったところです。

――逆に見つかった課題というのは

たくさんあるので、これからの少しの休みで春に向けて直していけたらと思います。

――次のシーズンに向けて

今の流れに乗ってガンガン頑張ります。

青木真誉(創理2=埼玉・早大本庄)

――お疲れ様でした。試合を終えて今のお気持ちをお願いします

率直に言ってやはり悔しい気持ちが大きいですね。去年も同じ相手、古山さん(古山皓介、慶大3年)と対戦してRSCで負けていて、今年も同じく3ラウンドRSCで負けてしまったので、あまり結果としては変わってないなと思いました。

――試合内容は具体的に振り返っていかがですか

結構人がたくさん集まっていて、少し(気持ちが)上がって力んだのかなと思います。パンチも結構大振りになってしまい、動きが固かったかなと思います。

――チーム全体の戦いぶりはいかがでしたか

去年よりかは、士気は高かったかなと思います。

――試合に向けてどのような準備を行ってきましたか

自分はあまりスタミナがないので、スパーリングなどの練習でスタミナを強化していました。あとは足を使ったボクシングを練習していて、相手が入ってきても自分が足で避けて、という出入りのボクシングをこの試合でできるように練習してきました。

――その中できょう実践できたことや良かったところは何でしょうか

試合前に意識はしていましたが、正直上がっていたというのもあって、あまり試合には出せなかったかなと思いました。

――逆に見つかった課題はありますか

少し力みすぎてスタミナが切れたので、スタミナがないというところですかね。

――最後に次のシーズンへ向けて意気込みをお願いします

2年連続で早慶戦に負けているので、来年は雪辱を果たせるように次の一年頑張っていきたいと思います。