早大ボクシング部創部90周年を記念して開催された早大・明大対抗戦。36年ぶりの開催となる。試合には両校の応援部も駆けつけ、盛り上がりを見せた。ともに関東大学3部リーグに所属する両校。リーグ戦最下位の早大は、2位の明大相手に、バンタム級・三輪裕之副将(文3=神奈川・鎌倉学園)が勝利するも1−5で敗れ、悔しい結果となった。
先陣を切ったのは、ライトフライ級・青木真誉(創理2=埼玉・早大本庄)。序盤から相手にペースをつかまれながらも、フットワークを使って必死についていく。第2ラウンド(R)では、相手の右ストレートを受け、劣勢のまま試合は進んでいくが、逃げることなく相手の隙をみて攻撃を加えていく。そして第3R、足を使って相手の攻撃に応え健闘するも、1戦目は明大・久保田の勝利に終わる。続く第2戦、リングに上がったのはフライ級・岡村泰靖(商2=東京・早実)。岡村と対戦したのは、関東大学トーナメント戦(トーナメント戦)のフライ級で優勝を果たした明大・立花。軽快なステップと果敢に挑んでいく姿が印象的な岡村。「できるだけくぐって入っていって、細かいパンチで攻めよう」と意識したと話すように、相手の隙をみて一気に距離を詰め、素早く攻撃を加える。第2Rから後半にかけて相手に流れをつかまれる場面を見せるも、終盤にも手数を減らさない。結果は判定負けとなったが、強い選手を相手に、強気で堂々とした戦いぶりを見せた。すでに2敗。流れを変えたい早大から登場したのは、バンタム級・三輪裕之。たくさん打つことを意識して臨んだ今回の試合、序盤から力強い連続のパンチを繰り出し、相手を追い詰めていく。三輪の積極的な攻めに観客席の声援は高まり、三輪の勢いはさらに増す。3R目には強烈な左ボディを捉え、相手の体力を奪う。第1Rから第3Rまで攻撃を止めることなく戦いきる。そして判定の結果、三輪の勝利。早大の貴重な1勝をつかみとる。三輪は今試合、技能賞を獲得した。
早大唯一の勝利を果たした三輪
そして後半戦、初めに登場したのは、ライト級・井上雄太郎(商3=東京・明大中野)。相手との距離をなかなか詰められないまま試合は進み、相手からの攻撃で度々バランスを崩す。あと一歩が踏み込めず、流れは相手の方へ。なんとか第3Rまで持ちこたえるも、RSC負けの結果となった。続く5戦目、ライト級・藁品健介(創理3=神奈川・鎌倉学園)の試合。開始すぐに相手の猛攻が藁品を襲う。相手の攻撃でリングの端に追い込まれ、レフリーの判断により藁品のRSC負けとなってしまう。ここまで1勝4敗の早大。最後にリングに上がったのは、ライトウェルター級・高橋良典(スポ3=茨城・茗渓)。5月の公式戦でのけがを乗り越え、攻めるボクシングを意識して試合に臨んだ。試合開始直後は押され気味であったが、試合が進んでいくにつれ、高橋の言葉通り積極的な攻めを見せた。両者ともひるむことのない一進一退の攻防戦。第3Rまで戦いぬき、奮闘するも、接戦を制したのは明大・稲葉。惜しくも高橋の負けとなった。
奮闘した高橋
早大・明大対抗戦全6試合の結果、早大は1−5で明大に敗れた。明大相手に大差で敗れたものの、自らの成長、そして課題を見直すことのできる実りある一戦となっただろう。次戦の相手は、2部リーグに所属する慶大。昨年の早慶定期戦では完敗の早大であるが、3連敗の雪辱を晴らすことはできるのだろうか。三輪副将を筆頭に、1ヶ月余り先に控える早慶定期戦に向け、万全の状態で試合に臨むべく早大ボクシング部一同、調整を進めている。
(記事 芦澤りさ、写真 石井尚紀、島形桜、芦澤りさ)
試合後の明大との集合写真
結果
早大・明大対抗戦 | |||
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階 級 | 早 大 | スコア | 明 大 |
LF | 青木 真誉 | ●0(24-30 24-30 24-30)3○ | 久保田辰寛 |
F | 岡村 泰靖 | ●0(26-30 27-30 26-30)3 | 立花 拳斗 |
B | 三輪 裕之 | ○3(29-28 30-27 29-28)0● | 山口 竜成 |
L | 井上雄太郎 | ●RSC(3R2分1秒)○ | 小島 大河 |
L | 藁品 健介 | ●RSC(1R53秒)○ | 山本 響己 |
LW | 高橋 良典 | ●0(26-30 27-29 26-30)3○ | 稲葉 翔 |
コメント
三輪裕之(文3=神奈川・鎌倉学園)
――今の気持ちを教えてください
チームとして負けてしまったので悔しい気持ちと、個人としては勝てたので緊張から解放されてほっとした気持ちです。
――技能賞を獲得されましたが
素直にうれしいです。
――どのような意気込みで臨まれましたか
同じ3部ではあるんですけど、(明大は)格上であるというのは共通認識としてみんなあったと思うので、勝ってやるという気持ちで臨みました。
――試合に向けて重点的にトレーニングしてきたことはありますか
たくさん打つことです。
――きょうは実践できましたか
自分ではまだまだだなと思っていたんですけど、コーチの方に、1R目はたくさん打てていたと言われたのでよかったです。
――きょう見つかった課題はありますか
課題がたくさんありすぎて話せないです。
――次戦の早慶戦に向けて
きょう見つかった課題を整理して、直していけるようにします。勝てるように頑張ります。
高橋良典(スポ3=茨城・茗溪)
――創部90周年の記念試合でしたが、どのような意気込みで臨まれましたか
部に関わって1年たっていないんですけど、伝統ある試合ということで、僕は5月からこの試合を意識していました。早稲田の勝利のために一つの勝利を届けられるように準備をしてきたんですけど、負けてしまって申し訳ないです。
――どのような点を重点的に準備してきましたか
人より走っていました。練習前であったり、朝起きてからであったり、練習以外の時間でも走っていて、これだけ勝つために準備をして勝てなかったのは悔しいです。
――試合では序盤から積極的に攻めている印象でした
5月の初めての公式戦で眼窩底を折ってしまって、その時は攻めていなくて折れてしまったので、考えながら攻めることを意識しました。
――試合を振り返っていかがですか
「申し訳ないです」の一言です。勝ちたかったですし、勝てた試合だったと思います。攻めてはいたんですけど、ポイントを取り切れていなかったので、そこが悔しいところです。
――うまくいった点は、考えながら攻めることができたことでしょうか
そうですね。前は頭が真っ白になってしまって、大きな怪我も負ってしまったので、きょうはリラックスして、常に考えてボクシングをしようと心掛けていました。
――早慶戦に向けて、どのように準備を進めていきたいですか
キャリアが1年半くらいなので、もう少し緊張感のある実戦的な練習を積んでいけたらなと思います。
岡村泰靖(商2=東京・早実)
――どのような意気込みで臨まれましたか
相手が5月に行われたトーナメント戦(関東大学トーナメント戦)で、この階級で優勝した選手でした。トーナメント戦では負けてしまって対戦できなかったので、きょう勝って来年のリーグ戦にいいかたちでいけたらなと思ったんですけど、なかなかうまくいきませんでした。
――きょうの試合を振り返ってみてどうですか
最初に向き合ったときに、自分よりちょっとリーチ(腕の長さ)も背もあるなと思ったので、できるだけくぐって入っていって、細かいパンチで攻めようという意識でやりました。
――ご自分で考える敗因は
対峙したときに、先に手を出していたのが相手の方が多かったかなというところです。パンチが効いてなくても印象的によくなかったのかなというのはあります。
――今の調子はいかがですか
まだキャリアも浅いので、試合ごとに、「今回はこれができるようになった」と感じながらやることができています。それが結果につながるように頑張りたいです。
――普段はどのような練習をされていますか
朝は家のまわりを走って、夕方チームの練習では、ジムワークして、走って、筋トレという感じです。トータルで2時間半くらいですね。
――今後の課題は
自分から強気でもっと攻めていけたらと思います。
――最後に早慶戦への意気込みをお願いします
去年は自分は1年生だったんですが、先輩たちが負けているのを見て本当に悔しい思いをしたので、去年のリベンジをしたいです。