伝統あるボクシング早慶戦、第62回が12月1日に慶大日吉キャンパスにて開催される。今回は4年生である土田大輔主将(教4=富山・呉羽)、馬場友成副将(スポ4=神奈川・湘南学園)、岸本拓也(スポ4=兵庫・明石城西)の三人に、4年間の振り返りや最後の早慶戦に対する気持ちなどを思いのままに語ってもらった。
※この取材は10月23日に行われたものです。
「(早慶戦では)今までやってきたことを出すだけ(馬場)」
チームをムードメーカーとして盛り上げる馬場
――まずお互いの印象について質問させていただきます。土田さんの紹介をお二人からお願いします
岸本 土田さんは学年が上がるにつれだんだんと真面目にボクシングをしている印象があります。
馬場 主将として徐々にボクシングに対する気持ちを上げていっていて、1年生の頃から4年生の現在までで今が気持ちも強さも最高潮に達しているので、今度の早慶戦では今までのベストバウトを見せてくれるのではとみんなが思っています。
――次に馬場さんについての紹介をお願いします
岸本 馬場くんは挫折を経験してやる気がなくなってしまった時期とかがあったんですけど、今年部活に来てからは本当にやる気があって、かつ後輩の面倒見もすごく良くてよくご飯に連れて行ってあげたりしているので素晴らしいなと思ってます。
土田 後輩にもアドバイスを積極的にしているのでいい先輩かなと思います。
――岸本さんについてお願いします
馬場 ボクシング部に対してすごく真面目な性格で、人の気持ちを尊重してくれるので後輩からも頼られて岸本自身も後輩をかわいがってあげていて、ボクシングのトレーナーってだけではなくてメンタル面やプライベートなことも相談できる全体的なトレーナーって感じでいい先輩だなと思います。あとは頭も良くて、某有名企業へのインターンも経験しています(笑)。
土田 トレーナーでミットを持ってくれるのでありがたいです(笑)。
岸本 なんやねんそれ(笑)。
――4年生全体としてのイメージは
岸本 カオスです(笑)。
馬場 1年生とかはまとまりがあるんですけど、4年生は我が道を行くタイプが多くて、個性が強い学年だと思います。
岸本 衝突がある訳ではないんですけど、個性の多様性がすごくある学年です(笑)。
――ボクシングを始めたきっかけは
岸本 ずっとやっていた水泳を高校までで辞めたんですけど、受験生時代にボクシングの動画を見てかっこいいなと思って、僕自身も大学で何か挑戦してみたいと思っていたので、それでボクシングがいいかなと思って始めました。
土田 親父の影響です。
馬場 僕も兄がずっとやっていたので、それをきっかけに高校から始めました。
「部員に一番近い存在に(岸本)」
部のさまざまなコンディションを整える岸本
――入部時の早大ボクシング部の印象は
馬場 僕はザ・自由って感じですね。部活っていうのは指導者が来てみんなで一緒にやっていくっていうのをイメージしていたんですけど、練習とかも個人の裁量に任されていてそこで高校と大学の一番の差を感じました。
岸本 僕はすごくいい先輩が多いなという印象でした。自分自身ボクシングをやっていなかったので怖い人が多い先入観を持っていたんですけど、真面目で優しい先輩が多かったのでいい意味で期待を裏切ってもらいました。
馬場 確かにそれは同感だわ。
土田 自分は高校までジムだったので先輩がいなくて個人でって感じだったんですけど、部活になって先輩ができるということでボクシングの先輩には恐ろしいイメージがあったんですけど、みんなが言うように優しくて温かい空間だなと思いました。
――現在最上級生になられて部の印象はどう変わりましたか
岸本 前よりも統一感がすごい出たかなと思います。先ほど馬場から自由っていう話も出たんですけど、その頃は毎日来てくれる指導者もいなくいてみんなが好きなように練習している感じだったんですけど、今は毎日来てくださる指導者の方もいらっしゃって統一感のある練習ができているなと思います。
馬場 今までの学年ごとで違うんですけど、今は岸本が言っていたように統一感があって。今は指導者の方が来てくださって自分なりに考え意識しながらですけど決められた練習をみんなでやる。そのみんなでやるっていうのが加わったので、ボクシングって個人戦だと思われがちなんですけど、早慶戦だったりリーグ戦は団体戦なのでそう言った団体戦に対するチームで勝とうって心が大きくなって来たかなと思います。
土田 指導者の方が毎日来てくれるようになったというところが昔と一番違うところかなと思います。大学始めの子達がフリーな時間が多くて最初何やればいいかわからなかったという良くない点もあったんですけど、今は1年生もゼロからしっかり始められていいかなと思います。
――4年間で印象に残っている楽しい出来事は
馬場 やっぱり部員で集まって遊びに行ったりしたことですかね。特に思い出深いのは草津温泉に行ったことですね。あとはみんなで前監督にご飯に連れて行ってもらったり、そうやったプライベートな時間に遊んだりコミュニケーションをとることが多々あったんですけど、今思えばすごく楽しかったなと思います。
岸本 試合に勝てた時ですかね。大学から始めた自分はスパーリングでも自分より何倍も強い人とばかりやっていたのでボコボコにされたり失神したりしていたので、そこで頑張って練習して自分より経験豊富な強い相手に勝てたというので努力が報われたと言いますか、いい思い出になりました。
土田 僕も試合で勝った時ですかね。高校の時はジムだったので、もちろん自分に期待してくださる方もいっぱいいたんですけど、大学は部活なので期待してくれる人が増えてそこで勝つと嬉しかったです。
――つらかった出来事はありますか
馬場 いろいろな部での意見の食い違いですかね。
岸本 自分もそうかも。
馬場 そこがあったから今の自分があって成長できたと思うので、現在はプラスに捉えています。
岸本 トレーナーになった時の話なんですけど、僕自身ボクシングが好きで見るのも好きだったのでみんなから頑張ってと言われたんですけど、少し反対されたのが辛かったです。
土田 1年生の時の減量がきつかったですかね。
岸本 もっとあるでしょ、体重落とすために暖房つけて寝て、何時間かおきに起きてたとか言ってたじゃん。
土田 恥ずかしいから嫌なんだよね(笑)。ギリギリまで飲み食いをしていたから追い込まれただけだし(笑)。
岸本 1週間で8キロ落としたとか言ってたじゃん。
土田 あったわ(笑)。
――この4年間で一番力を入れて来たことは
馬場 4年間継続して何かをしたっていうと難しいですね。1年生の時はボクシングを頑張ろうってやる気があったんですけど、2年生になってモチベーションの波があって何を頑張ったかと言われたら特になくて、3年生に至ってはほとんどボクシングをやっていなくて就活を頑張って今4年生になってボクシングという感じなので、なんかいろいろな思いがあります。
岸本 僕は部員にとって一番近い存在になろうと心がけていて、そこはできたかなと思います。というのも自分はトレーナーで役割もみんなとは違って、部を俯瞰的に見ていろんな部員の悩みとかを聞きつつボクシングのアドバイスができればなと思っていて、そういう時に気軽に話しかけることができ信頼してもらえる関係をつくることが大事だと思っていたので、そこは毎日積極的に話しかけたり高圧的な態度は取らないようにしたりと努力して来て、そう言った意味では自分は上手くやれたのかなと思います。
馬場 僕も一貫したところで、部のムードメーカーになることを意識していました。なるべく明るくできるようにというのはここ4年間継続してやって来たことだと思うんだけど、どう?
岸本 それはある、部の盛り上げ役的な。こういう役割が結構うまく別れていて、土田は主将としてグイグイ引っ張って行くタイプで馬場はムードメーカーで部を盛り上げてくれて、僕はサポートというかみんなの相談役みたいな感じです。
土田 波はあったんですけど、やっぱりボクシングで勝つことに力を入れて来ました。
「(早慶戦は)ボクシング人生最後の場(土田)」
勝利のために4年間を過ごしてきた土田
――早慶戦が終わって部活を引退したらやりたいことは
馬場 卒業旅行ですね。毎日バイトしてお金貯めて旅行がしたいです。
岸本 僕は去年ボストンに留学していて結構友達ができたので、彼らに再開したいというのがすごくあります。後は部活動で長期的な休みはなかなか取れなかったので世界をぐるぐる回りたいなと思っています。
土田 お酒を飲むことです(笑)。
――自分にとって早慶戦とは
馬場 今3部ということでトーナメントじゃなくて大学対大学の試合っていうのは現在早大は早慶戦だけなので、やっぱり特別な試合だと思うので、自分が勝つという気持ちとチームで勝つという気持ちが合わさってより大きな思いになると思うので、チーム力とか絆とかが試される唯一の場所ではないかと思います。
岸本 特にこの4年生の早慶戦は次の世代にバトンを渡す場かなと思います。自分たちが4年間やってきて最後にその背中を見せて、今やる気のある後輩がたくさんいるので、そういった姿を見せてより頑張ってもらえるようなバトンが渡せたらなと思います。
土田 自分のボクシング人生でこの早慶戦は最後の場なので、そういう意味では何が何でもって部分があります。
――後輩の話も出ましたが、後輩に伝えたいことなどはありますか
岸本 ボクシングってつらいことも多いと思うんですけど、根底としてボクシングを好きでいてほしいなと思います。やっぱり4年間ずっと嫌いなものを続けてほしくはないので、常につらい練習という表層部分の奥には好きという気持ちを持って毎日の練習に取り組んでいってほしいです。それによって伸びとかも変わってくると思うので。
馬場 ボクシングが好きなのももちろんなんですけど、ボクシング部という組織を好きでいてほしいです。今の1年生にも来年後輩ができると思うので、後輩を大切にしてほしくて、先輩にかわいがってもらったから後輩も同じように大切にしてあげるっていうのがずっと下の代まで続いてほしいなと思います。
――最後に早慶戦に向けての意気込みをお願いします
土田 勝ちます。
岸本 部として最高のコンディションで挑めるように微力ながら尽力していきたいと思います。
馬場 ボクシングは可能性がゼロということはないのでチームで勝ちにいきたいと思います。自分もみんなもそうだと思うんですけど今までやって来たことをその場で出すだけなので、それができるようにそこまでのモチベーションを高めてやっていきたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 森田和磨)
早慶戦では4年生の活躍に期待です
◆岸本拓也(きしもと・たくや)(※写真左)
1996年(平8)6月19日生まれ。174センチ。75キロ。兵庫・明石城西高出身。スポーツ科学部4年。トレーナーとの二足のわらじを履きこなす敏腕主務。留学経験もあるというハイスペックな岸本主務からは対談の受け答えからも知性を感じました。部員のコンディショニングからその他雑務まで、裏方ながら早慶戦の開催に必要不可欠な存在です!
◆土田大輔(つちだ・だいすけ)(※写真中央)
1996年(平8)9月19日生まれ。173センチ。富山・呉羽高出身。教育学部4年。今年の早大ボクシング部を先頭に立ち引っ張ってきた主将。対談では冗談を言って場を和ませてくれる優しい一面も見ることができました。ボクシング人生最後となる早慶戦でのリングから目が離せません。
◆馬場友成(ばば・ともなり)(※写真右)
1995年(平7)1月17日生まれ。173センチ。神奈川・湘南学園高出身。スポーツ科学部4年。自他共に認めるボクシング部のムードメーカーであり、よく後輩をご飯に連れていくなど面倒見の良さも兼ね揃えた副将。今までの集大成として早大に勝利を届けてくれるでしょう!