関東大学トーナメント3部(トーナメント)がついに開幕した。この大会は5つの階級で個人戦となるトーナメント戦が行われる。1回戦に出場すると1点が与えられ、勝利するごとに1点、優勝でさらに1点が各大学に与えられ、その合計点で順位が決定する。1位となった大学に2部昇格をかけて入れ替え戦に進む権利が与えられる。1回戦は2日間に分けて行われ、早大からは全5階級で5名の選手が出場。一年での2部昇格を目指す戦いの火ぶたが切って落とされた。
先陣を切ったのはエース岩田翔吉(スポ3=東京・日出)。「いつも通り1ラウンド(R)からKOを狙った」(岩田)。序盤から相手のパンチを完全に見切り試合を支配する。強烈なパンチを浴びせて追い詰めていくと、相手がぐらついたところで左フックを当て、いとも簡単にダウンを奪う。一気に畳み掛け、仕留めにかかる岩田。最後は右ボディだった。相手選手がリングに倒れこんだ瞬間、審判はすかさず試合を止めた。1R1分26秒。あまりに鮮烈なKO劇に度肝を抜かれる観客たち。場内の騒然とした雰囲気がその衝撃を物語っていた。そして、岩田がつくった勢いに乗り、バンタム級・馬場友成(スポ2=神奈川・湘南学園)も続く。「3部は勝って当たり前」(馬場)。その言葉通り格の違いを見せつける。3Rにダウンを奪うなど終始主導権を握り、安定したボクシングを披露。フルマークでの判定勝ちを収め悠々と1回戦突破を決めた。この日最後に登場した江口礼(スポ4=栃木・作新学院)は不運に見舞われた。偶然のバッティングによる負傷で試合が中断しTKO負け。まさかの敗戦を喫したが、早大はこの日2勝を挙げ、まずまずの滑り出しとなった。
ことしも岩田の活躍から目が離せない
迎えた2日目、ライトウェルター級では満を持して淡海昇太主将(教4=神奈川・浅野)がリングに上がった。「主将として負けられない」(淡海)。練習を重ねてきたボディを中心に打ち込んでいくと、試合は一方的な展開となる。相手にダメージを与え続け1R終盤には2つのダウンを奪いTKO勝利。早大の大黒柱の強さを見せつけた。続くウェルター級・垂水裕嵩(法4=愛媛・今治西)の試合はまさに激闘。序盤は押され気味であったが、積極的に前に出て打ち合いを挑んでいき、徐々に流れをつかんでいく。勝利を目指し、気迫のこもった戦いを見せる垂水。チームメイトからの大声援に応え、終盤には猛攻を仕掛けた。しかし、判定の末、あと一歩及ばず惜敗。トーナメント1回戦は3勝2敗という結果に終わった。
力強い戦いを見せた淡海主将
試合後、淡海主将は「結果としては悔しいが、内容は良かった」と2日間を振り返った。全勝を目指していた早大にとってこの結果は決して満足できるものではないだろう。それでもこの2日間での試合内容は早大勢のレベルの高さを感じさせた。さらに、淡海主将は「絶対に2部に昇格できるチームだと思う」とチーム力に自信をのぞかせる。今後の戦いに向けて不安要素は一切ない。勝った選手は敗れた選手の思いも背負い、7月の準決勝、そして決勝へと進む。昨年味わった悔しさは昇格することでしか晴らせない。一致団結し、まずは3部優勝へと突き進む。
(記事 新津利征、写真 寒竹咲月・加藤佑紀乃)
結果
▽1回戦
フライ級 ○岩田翔吉 TKO(1R1分26秒)
バンタム級 ○馬場友成 3-0(30-25、30-25、30-25)
ライト級 ●江口礼 TKO(2R1分32秒 負傷により試合中断)
ライトウェルター級 ○淡海昇太 TKO(1R2分34秒
ウェルター級 ●垂水裕嵩 0-3(28-29、27-30、28-29)
コメント
岩田翔吉(スポ3=東京・日出)
――ついに関東大学トーナメントの開幕を迎えましたがどういった心境で試合に臨みましたか
いつも通り1ラウンド(R)からKOを狙いました。立ち上がりから良いかたちで終えられて良かったです。
――序盤から相手のパンチを見切って主導権を握ったように見えましたが
そうですね。パンチは全て見えました。
――一つ目のダウンのシーンについては
左フックで、相手がぐらついたところでした。
――TKOになった場面はどのようなパンチだったのでしょうか
倒したのは右のボディでした。
――狙っていた展開だったのでしょうか
力を抜いて、リラックスして、いつも通りにやると、自然と倒せました。
――昨年は負傷もあり試合に出られない時期もありましたがその期間からの調整はどのように進めてきましたか
怪我が治ってからはずっとハードな練習を続けてきました。
――昨年はチームの状態があまり良くない中での戦いでしたがことしに関してはいかがでしょうか
昨年はリーグ戦だったので、僕一人が勝てばチームが勝てるということでもありませんでした。ことしは個人のトーナメントというかたちになるので優勝したいです。
――ことしの目標は
全試合KOで3部のトーナメントで優勝しようと思っています。
――最後に次戦に向けての意気込みをお願いします。
KOにこだわっていきます。
馬場友成(スポ2=神奈川・湘南学園)
――試合内容を振り返って
実力で相手との間に結構差があって、フルマークで勝ててたのでよかったと思います。/p>
――リーグ戦初戦、どのような意気込みで臨まれましたか
自分が勝つことだけを考えて、負けるわけにはいかないなと思っていました。
――2部との雰囲気の違いはありましたか
レベルが段違いで、3部は勝って当たり前なので、ちゃんと勝って来年2部で試合ができるように頑張りたいと思います。
――2年生になり、なにか心境に変化は
特に変化はないのですが、出場した試合に全て勝てるようにと思っています。これから全日本の予選も始まっていくので結果を残したいです。
――ことしの目標としては、全日本ということでしょうか
そうですね、なるべく上位に残ってランキングに入れるように頑張ります。
――次戦への意気込みをお願いします
普通に練習して、普通に勝っていきたいと思います。
淡海昇太主将(教4=神奈川・浅野)
――きのう関東大学トーナメントが開幕しましたが、どういった心境で迎えましたか
ことしは絶対に2部に上がろうということで、チーム一丸となってやってきたので、初戦は全員勝って乗り越えようという意気込みで臨みました。
――前日は2勝を挙げましたが、そこに関しては
3人とも絶対に勝つと思っていたので、2勝1敗というのは少し悔しい結果ではありますが、頑張ってくれたと思います。
――きょうの試合を振り返っていかがですか
きょうは主将として負けられない試合だったので、勝つ姿を部員に見せようという意気込みで頑張りました。
――ボディが有効だったように見えましたが
今まではボディをあまり打っていかなかったのですが、今大会に向けて練習してきました。その練習の成果を出すことができたのではないかと思います。
――ボディを狙っていく意図というのは
上のレベルになってくると、頭を狙うだけではパンチが当たりません。更に上を目指していくためにボディを練習してきました。
――2つのダウンを奪いましたが
たまたまです。自分が練習してきたことをしっかり出そうとやりました。
――改めてこの2日間のチーム全体の総括をお願いします
最初に掲げていた目標が5戦全勝だったので、そこに関しては悔しいです。しかし怪我に苦しんできた垂水が最後に熱い試合を見せてくれましたし、ここから更に一致団結して頑張れるきっかけとなる大会だったと思います。
――3勝2敗という結果をどう捉えていますか
結果としては悔しいですが、内容が良かったので、そこに関しては良かったと思います。
――今のチームの雰囲気はいかがですか
一致団結していて、絶対に2部に昇格できるチームだと思います。更に練習を重ねて頑張っていこうと思います。
――最後に次戦に向けての抱負をお願いします
次も主将としてしっかり勝ちます。チームとしても全員勝てるように頑張ります。