全日本選手権、惜しくもベスト8

ボクシング

 ことしワセダからライトフライ級岩田翔吉(スポ1=東京・日出)とミドル級ヤバシ・チャ―タイ(スポ2=愛知工学院専門学校)の2名が予選を勝ち上がり、全日本選手権(全日本)に出場した。1回戦はそれぞれの持ち味を引出し岩田、ヤバシ共に3-0で快勝。好調の滑り出しを見せた2人であったが、2回戦では思うように力振るわず。共に2回戦で敗退、結果はベスト8で全日本を終えた。

★個々の強みを前面に出し快勝!

 関東ブロックを上り進め、関東代表として高校時代から3年連続出場を果たした岩田。「自分の実力をいかに出せるかということを重視したい」と意気込みを語った。試合が開始すると足元を止めることなく、リズムを作り出す。その中で自身のプレースタイルである変速的な攻撃を仕掛け、相手を惑わす。隙を狙い、ワン・ツーを打ち込むなど一歩リードした試合展開となった。3ラウンド(R)では右ストレートを相手の顔面に食らわすと、ドクターチェックにより試合が中断。しかし岩田はペースを乱されることなく余裕の表情で追撃し、結果は3-0で圧勝した。

 岩田同様、3年連続で全日本の舞台に上がったヤバシ。過去2年は日本王者の濱崎良太(自衛隊体育学校)と対戦し初戦敗退を強いられていたが、ことしこそ初戦を突破すべくリングへ上がった。「動きが見えていた」と開始から冷静に相手の攻撃をかわし、得意とする左フックを何度も決める。流れをつかんだヤバシはボディアッパーを打ち込むなど、試合の主導権を譲ることなく3-0で白星を飾った。「初戦突破できて良かった」と喜びをあらわにした。

持ち味の左ストレートを繰り出す岩田

★勝利へわずかに届かず、敗退

 迎えた2回戦に岩田は「関西で有名な強い選手であるが、自分の実力を出し切れば勝てる」と述べ試合に臨んだ。1回戦目とは表情が一転し、集中して相手の攻撃を見極める。全R接戦となったが、惜しくも相手に及ばず。0-3でまさかの2回戦敗退となった。試合を終え「こんなところで負けるとは思わなかった」と悔しさを滲ます(にじます)一方で、「終わってしまったことなので切り替えて、次に向けて練習していきたい」と今後を見据えた。

 初戦の勢いを止めることなく勝ち進めたいヤバシ。1Rからフェイクを効かせ果敢に攻め込んだが、相手の低姿勢の攻撃に苦戦する。2Rでは一打を打った後の隙を突かれ、ダウンを奪われる。「ダウンを取られたこともあり、ここで倒さなければならない」と向かえた3Rでは、打ち合いに持ち込むも相手のスピードのある攻撃に苦闘する。0-3という結果でリングを降りた。今後の課題について「色々と見つかったが、まだ整理が出来ない」と暗い表情で語った。

ベスト4の壁に阻まれたヤバシ

 岩田とヤバシ、共に実力が十分にある選手が残念なことに2回戦で幕引きとなった。結果に納得のいかない両者には今大会での雪辱を晴らすべく、さらなる練習を経た成長が待たれる。今回の敗戦を受け止め、次のリングで華麗な花を咲かす。

(記事 中澤奈々、写真 森健悟)

結果

▽ライトフライ級
1回戦
○岩田翔吉3(30-27、30-27、29-28)0齋藤優雅(法大)
2回戦
●岩田翔吉0(28-29、28-29、28-29)3谷口将隆(龍谷大)

▽ミドル級
1回戦
○ヤバシ・チャ―タイ3(30-26、30-26、30-26)0高倉久生(日大)
2回戦
●ヤバシ・チャ―タイ0(26-30、27-30、26-30)3皆川直輝(日大)

コメント

1日目

LF級岩田翔吉( スポ1=東京・日出)

――全日本選手権の関東代表には順調に勝ち進めましたか

高校2年の時から3年連続で選ばれています。高2、高3の時は1回戦で奈良のプロになった選手と1-2の僅差で負けてしまっていました。今回は初戦を突破出来たので良かったです。

――今大会にどんな意気込みで臨んだか

メンバー的にも優勝出来ると思うので、自分がいかに実力を出せるかということを考えています。

――相手の印象

ヒッティングで目と目の間が切れてしまうような良いパンチが出せたので良かったです。

――相手のドクターチェックで試合が止まった時、自分のペースは乱されないか

乱されません。ただ血が結構出てたので少し対戦しにくかったです

――考えてた戦略

特にありません。いつも通りを心掛けてプレーしました。

――変速的に攻撃する印象を受けましたが

それが自分のプレースタイルでもあり、得意でもあります。

――次戦への意気込み

関西では有名な強い選手なのですが、自分の実力を出せれば絶対に勝てる相手なので頑張ります。

M級ヤバシ・チャータイ(スポ2=名古屋・愛知工学院専門学校 )

――きょうのコンディション

どの大会でも初戦は悪いコンディションというのが多く、きょうも良いコンディションではありませんでした。あしたはもっと動けると思います。

――今大会までの練習

特に変わった練習はしていません。大学では自分の練習をチェックしてくれるような人はいないので、自分で考えたり、先輩に見てもらいました。他の大学にも行ってプレーをしたりと色んな人の支えで頑張っています。

――きょうの試合で相手に良く効いた場面

この試合では良く相手が見えたので、攻撃を避けることが出来ました。その中で右ストレートや左フックが当たって効いていたと思います。2Rくらいに倒そうと思っていたのですが、相手にバッティングされて思うようにいきませんでした。

――左フックやボディアッパーが良く決まっていましたが

1番得意な攻撃が左フックなので、狙いました。ボディアッパーについては前は上手くなかったのですが最近練習していて、この試合では当たったなと思いました。

――きょねん、おととしと全日本では初戦敗退を強いられていましたが

きょねんもおととしも同じ対戦相手で日本1を取っている選手でした。高校の時は1Rで負けてしまいました。きょねんは全力出して良い試合が出来ました。ことしは初戦突破できて良かったです。

――今試合の対戦相手について

強い相手ではありましたが、先程の全日本1位の相手よりはやりやすかったです。

――次戦に向けて考えていること

あすの対戦相手は高校の時から試合を見たりしていて顔見知りで、仲の良い先輩です。いつか対戦すると話していたのがあしたになりました。頑張ります。

2日目

LF級 岩田翔吉(スポ1=東京・日出)

――きょうの試合を振り返って

ただ、悔しさが残ります。

――1、2Rについて

1、2Rで右ストレートを良く決めていたので3Rでは相手が警戒して避けることを考えていたと思います。1、2Rは自分の方がポイントを取り勝ったと思っていたのですが、負けてしまいました。もう終わったことなので次に向けて切り替えていきます。

――きょうはどのような相手だったのでしょうか

きのうの選手とは違いきょうの相手は関西の1部リーグで全勝を収めていることもあり、集中して臨みました。しかし悔しい結果になってしまいました。

――敗因について

相手が強かったのもあります。次に向けて頑張るしかないです。

――相手の印象

パワーもあるわけでもなく、自分よりもマッスル部分があったとも思わなかったのですが、結果は負けてしまいました。悔しいです。

――リーグ戦と全日本の違い

ワセダは2部リーグで、そこで全勝しました。1部の選手と対戦しても負けるような内容で試合したことがないと思っています。1部との差を見せつけたかったのですが、こんなところで負けるとは思いませんでした。

M級 ヤバシ・チャータイ(スポ2=名古屋・愛知工学院専門学校)

――きょうの試合を振り返って

各ラウンド(R)に違うスタイルで臨みました。1Rは思うように行かず、2Rは少し改善されて良い攻撃が出来ました。3Rは2Rにダウンを取られていることもあり、やばいと思い打ち合いに運んだのですが勝てませんでした。

――攻撃後のガードについて

ガードというよりは、打ち合いで打とうとしていたら相手の顔がお腹らへんに来ていたり、アッパーを打とうと低い姿勢をとったら上からパンチが来て見えていなかったです。

――知り合いの先輩が相手というだけにプレースタイルが見抜かれたことなど考えられますか

それもあると思いますが、自分も相手のプレースタイルを知っていました。身長もそんな変わらないのですが、相手は低姿勢でプレーしてきてやりずらかったです。

――2Rのダウンについて

納得いきませんでした。ダウンを取られましたが、正直効いてなかったです

――きのうよりもスピードのある選手に見えましたが

パンチ自体はみえていました。ただ高さが違ったため、パンチが当たってから見える事が増えていきました。

――3Rへの意気込み

倒さなければとも思いましたし、これは打ち合いに行くしかないと思いました。

――敗退を受けて思うこと

悔しかったです。とてもやりずらい相手だったので、もっと練習をしてずるさを身に付けることも必要かなと思いました。

――見つけた今後の課題

色々な課題が見つかったとは思うのですが、まだ整理がついていないのでゆっくり考えていきたいと思います。