【特別企画】江村優有 代表初選出後ロングインタビュー

女子バスケットボール

 得点力を武器に1年時から注目を集めている江村優有(スポ2=愛知・桜花学園)。今年日本代表に初選出され、5月にはオーストラリア遠征、6月には「三井不動産カップ2022日本代表国際強化試合」に出場。7月には3×3U21日本代表としてモンゴルでの大会で活躍した。「レベルアップできて楽しかった」と多忙な春シーズンを振り返る江村に、代表合宿で得たものを伺った。

※この取材は8月16日に行われたものです。

早慶戦では大量得点を挙げ勝利に貢献した

「(日本代表は)コミュニケーションの取り方が違う」

――さっそくですが、今回の代表を終えてみて感じた課題を教えてください

 試合に勝つためにはやっぱりマッチアップで相手を上回らなければいけなくて、マッチアップで勝つことによって、その試合にも勝てると思います。マッチアップで上回るための個人スキルを身につけるということと、もっと磨いていくっていうところで、その中でスコアを挙げるスキルが一番重要なスキルだと思っていて、そのスコアスキルが課題だなと思っています。今もずっと練習をしています。

――逆にここは武器になるなと感じたところはありますか

 自分は1:1が得意だと思っていて、得点を挙げれるガードということが武器だと思っています。そういう部分は自分の持ち味をしっかり発揮していけたかなと思います。

――特に印象に残っている試合はありますか

 大体全部印象に残っています。試合にはあまり出る機会がなかったのですが、少ない時間でどのように良いパフォーマンスを発揮するかということで、そこで発揮できていない部分はあって、そこが自分の課題だなと思って、以前と同じく自主練に取り組んでいます。

――大学ではチームの点取り屋である一方で、A代表では江村選手よりも得点力のある選手も少なくなかったかと思います。そのあたりの違いはありましたか

 (バスケには)得点を取ることと周りを生かしてアシストすることと、自分が囮になるデコイという3つの役割があります。早稲田では試合に勝つためのウィニングプレーとして得点を取りにいくことが自分の役割というか、一番必要なことだと思っています。早稲田では得点を重視して、ゲーム組み立てをしています。代表になると、周りの選手もプロや海外でやっている選手もいらっしゃって、その中でプレーしていくので、得点を取ることはもちろん一番に考えますが、ウィニングプレーとして(相手が)寄ったらアシストするだとか、自分がスペースを作るためにデコイの役割をするだとか、考えながらやれていたかなと思います。

――普段はコートを支配すると言いますか、コートの盤面を完全に把握しているような印象があります。ナショナルレベルになると予想外のことが起きたりもするのですが

 いや、それは特にないです。この人は次こうするんだろうな・・・というのは。

 誰とやるかによっての違いははちょっとはあります(笑)。

――ナショナルレベルにも対応できる秘訣はあるのですか

 小さい時から(バスケを)やっていて、お父さんがコーチなんですけど、お父さんにずっとアメリカのバスケを教えてもらっていました。なので、知識は結構ある方だと思うのでびっくりすることはあまりありません。この人はこれが得意で、こういうプレーが好きなんだなというのを把握したりできます。

――また、部活動であれば同年代の選手しかいない一方で、A代表には年の離れた選手もいました。そのあたりの違いはありましたか

 早稲田でやる時とかサマーキャンプで大学生とやったり3×3のU21でやったりした時は同年代くらいなので、引っ張っていくというか、しっかりリーダーシップをとってやっていけていました。A代表の時は、結構上の先輩方もいて、その中でコミュニケーションは取れていたと思うのですが、同じように引っ張っていくというか、ガードであればやはりコートの中でしっかり指示を出す立場だと思うのですが、そこの面で考えたときにコミュニケーションが取れていなかったかなというのがあります。

――仲はいかがでしたか

 まあでも・・・可愛がってもらいました(笑)。

――プライベートでの関わりもあったのでしょうか

 そんなにプライベートで一緒にいるということはあまりなかったです。すごく優しかったです。

――なんて呼ばれていましたか

 呼び名ですか?(笑) もう、えむって呼ばれています。

――自然と呼ばれましたか?それとも自分で呼んでと頼んだのですか?

 「えむでお願いします」って言いました。

――江村選手は昨年度もU19のナショナルチームに参加していました。そことの違いはいかがですか

 違いは結構・・・うーん・・・U19の時はやはり同年代だったので、チームの中でもリーダーシップをとって喋っていたし、プレーでもどんどん点を取りに行って引っ張っていた方かなと思います。あとはスキルとかも違いました。

――コミュニケーションがしやすいということでしょうか

 けど、A代表の方がコミュニケーションをとる量は多いなと感じました。

――それは意識的に話しかけにいくのですか?それとも話しかけてもらえるということでしょうか?

 お互いに喋る感じでした。

――そもそもA代表自体のコミュニケーション量が多いということなのですね

 多いですね。一つのプレーで何かあった時にすぐに対処したいから話し合うというのが結構ありました。

――そのコミュニケーションの点は早稲田に帰ってきてから生かしたりするのでしょうか

 自分は高校でもそういう立場というか、コミュニケーションをとる立場でした。リーダーシップをとっていく感じだったので、(自分としては)普通じゃないですけど・・・。U19の方でもコミュニケーションはよくとっていたのですが、とり方じゃないですけど、そういうのは違うなと思いました。

――昨年のU19の代表を終えた際には、スピードや個人スキルといったところを課題として挙げられていましたが、今回も同じ課題でしょうか

 海外のチームとやるとやると、海外のチームは大きいけど、逆にそこでスピードのミスマッチ(が起きる)というところは変わらないかなというのがあります。

 

いけるところまでいってバスケを楽しみたい」 

――代表に行っている間に早稲田のチームメートと連絡は取っていましたか

 ちょこちょこ(笑)。

――江村選手から送るのですか?それとも連絡が来るのでしょうか?

 来る!

――電話などもしましたか

 電話はしました。中野雛菜(スポ2=神奈川・東海大相模)です。(内容は)その子の悩み相談じゃないですけど(笑)。

――何についての悩みですか

 いや、バスケです。「今日これ言われたんだけどどうしたらいいの」「あー。」って(笑)。

――A代表の試合が千葉で行われたことがありましたよね。そこには早稲田の選手も多く観戦に行っていたようなのですが、会えましたか

 気づけなかったんですよ! 探してたんですけど・・・。どこだろうと思ったんですけど全然分からなかったです。

――来てくれることにはどう感じるのですか

 うれしいですね。だって遠いじゃないですか。遠くから見に来てくれてうれしいです。

――早稲田のチームメート以外にも応援に来てくれていましたか

 お父さんも来ていました。高校の1個上の先輩なんかも、桜花の選手が代表の中にも多いので見に来ていました。

――続いては、3×3についての話に移りたいと思います。A代表とは違い、同年代の選手ばかりでしたがいかがでしたか

 全員知っていました。緊張は全然ありませんでした。やりやすさはありますね。

――他のメンバーに誰がいるかというのはいつ知るのですか

 知ったのは2週間前とかそれくらいでした。

 自分は連絡とかもつながっていないので、会って、「おー!」「お久しぶりです!」みたいな感じでした(笑)。

――男女で一緒に撮っている写真も拝見したのですが、男子チームとの関わりもあったのでしょうか

 移動もケアとかもずっと一緒です。3×3は男女で仲良くて、毎日楽しく笑っていました。すごく楽しかったです。

 中日があったのですが、男女の選手とスタッフさんとみんなで韓国料理を食べに行きました。モンゴルだけど(笑)。

――男子チームには同じく早稲田所属の星川(堅信、スポ3=京都・洛南)選手がいましたが、行ってみて知ったのですか

 それは(事前に)倉石さん(倉石平顧問、昭54卒)から聞きました。

――同じ早稲田の選手がいるという安心感などは特にありませんでしたか

 ・・・はい(笑)。

――(笑)。本当にお疲れ様でした。おかえりなさい!

 あ、でも9月にまた行きます。この前の大会は6大会あって、5大会優勝したので、また9月にルーマニアに行ってきます。リーグ戦の途中なんですけど、被らないと思います。リーグの中日だったのでリーグ戦にも変わらず出場します。

――大変そうですね・・・。

 体の疲労はあったんですけど、この前それで1週間くらいオフをくださって地元に帰って、ゆっくりしてリフレッシュできました。

 まあでも、自分は本当にバスケット大好きで楽しめるので、バスケに対してきついなとかは全然思いません。逆に楽しみというかうれしい気持ちがあります。どんどん楽しんで、レベルアップしてというのがうれしいですね。

――代表を終えてみて、チームに合流した時はどのような雰囲気でしたか

 いや特に変わりなく(笑)。スッと入っていきました。「あ、おかえりー」「ただいまー久しぶりー」という感じでした。結構自分がスッとしているというか(笑)。

――スキルとしてチームに還元したいところはなんですか

 それはやはりディフェンスの部分のコミュニケーションのとり方です。

――練習でも「ここは代表だとどうするの?」などと聞かれるのでしょうか

 それは代表とか関係なく、ずっと聞かれていることです(笑)。

――そうなのですね。では、締めに移ります。もうすぐ始まるリーグ戦への意気込みを聞かせてください

 一戦一戦全力でバスケットを楽しみながらやりたいです。プレーの面ではウィニングプレーを選択して、どの試合もしっかり勝っていけるように頑張りたいと思います。

――あと2年ちょっとで引退ですが、今のチームで成し遂げたいことはなんですか

 早稲田の江村として成し遂げたいこと・・・チームとして・・・それはやはり日本一になることです。早稲田は日本人のチームだけど、留学生がいるチームとかに勝てたらきっと楽しいと思います。それですね。

――江村選手のバスケ人生はいつ始まったのでしょうか

 3歳くらいです。気づいたらボールを触っていてバスケをやっていた感じです。ずっとボールをこう(身振り)やっていました。そこからミニバス、中高、大学ですね。

――それぞれの段階での違いはありますか

 どんどんレベルアップしていくのがすごく楽しいです。

――ではそのバスケ人生全体の目標はなんでしょうか

 自分はもうとにかくいけるところまでいってバスケを楽しみたいので、引き続きチーム練習に加えて、自主練習でスキルアップに取り組んで、どんどん自分のスキルを磨きながら伸ばしていきたいです。

――目標としている選手などはいますか

 目標としている選手はNBAのカイリーアービングとかステフィンカリーとかです。そういう選手みたいになりたいと思っているので、そういう選手を目指しながら頑張っていきます。あとは今目標としているのがグローバルプレーヤーです。どこに行ってもどんなチームでプレーするとしても、どのポジションだったとしても適応できるような選手になりたいなと思っています。

――どこでプレーするだとか誰とプレーするだとか、そういったことが目標ではないのですね

 はい。バスケを楽しむチャンスがあったらどんどんつかんでいきたいです!

――ありがとうございました!

(取材・編集 宮島真白)

◆江村優有(えむら・ゆうあ)

愛知県・桜花学園高出身。今年日本代表に初選出、初得点。3x3のU21女子日本代表代表としても活動しました。海外に行った際には特にスープを好んで食べていたという江村選手。食べたことのない味でも果敢にチャレンジしていたそうです!