【連載】インカレ直前特集【第3回】河村くるみ×桂蘭×中山桂

女子バスケットボール

 第3回は、関東大学女子リーグ戦(リーグ戦)で積極的にスリーポイントを狙ったG河村くるみ(教3=神奈川・座間)、F桂蘭(スポ2=愛知・桜花学園)、オフェンスリバウンドで持ち味を発揮したG中山桂(スポ1=愛知・桜花学園)の3人だ。全日本大学選手権(インカレ)と4年生への熱い思いを伺った。

※この取材は11月27日に行われたものです。

「〇〇は自分にないところをたくさん持ってる」(河村)

河村

――他己紹介をしてください

河村 桂(中山)には自分にない力強さがあって、一言で言えばガツガツしてます。一緒にプレーしていても勢いがあるから、自分も一緒になってやろうと思えるしどんな状況でも常にゴールに向かって行っていて、1年生とは思えない力強さを感じます。プレー以外でもこういうプレーがしたいとか自分をちゃんと持っているのですごく頼りになる存在です。

 (中山は)高校の後輩でもあるのですが、高校の頃から同じポジションに、先輩後輩含めレベルの高い子がたくさんいるのに、そこに負けじと人一倍努力するイメージがあります。プレーの技術とか知識をたくさん知ろうとして、得た知識を実践しようという姿勢に逆に学ばせてもらっています。

中山 河村さんはとにかくスリーポイントが入ります。点が欲しいところで決めてくれるし、思い切りのいいシュートがいいと思います。自分はガードなのですがリバウンドに行きやすいです。

河村 いつも(リバウンドに)入ってくれる。六大学(東京六大学対抗戦)の時も大体かっちゃん(中山)が拾ってくれたよね(笑)。

中山 (河村は)いいタイミングでシュートを打ってくれるので、シュートが1番の強みだと思います。2番目はドライブインでシュートまで行ってくれるところです。自分が相手だったらすごい守りづらい選手だなと思います。シュートを防ごうと近づいたらドライブで抜かれるし、ドライブを警戒したらスリーを打たれるので嫌ですね。

河村 めっちゃ褒めてくれる(笑)。

中山 あと自分はそこまで知らないんですけど、私生活の面では抜けているらしいです(笑)。

河村 まだ1年生には見せてない(笑)。

 (河村は)シュートと思い切りのいいドライブがすごいなと思います。あと、最近練習中にすごい声をかけてくれて、上級生としての責任感が出ているなと思います。私生活でも優しくて、話し相手になってくれます。

河村 蘭(桂)はサイズもあるのにドライブも行けるし、中でも点を取れるし、スリーポイントもあって幅広くプレーできるのでうらやましいです(笑)。リーグの時から感じていたのは、悔しいという思いを力に変えられる選手だなと思っています。自分は思うようにプレーできなくて落ち込むところを、その悔しさを逆に練習にぶつけて六大学とかで結果を出したりしていたので、折れずに頑張り続けられるのが彼女の魅力だと思います。私生活ではとにかくかわいいキャラで、まだ発揮してないと思うけどめちゃくちゃおしゃべりなんだろうなと思っています。まだ見せていない面があるんだろうなってちょこちょこ感じてます。

中山 (桂は)高校が一緒で、高校の時はフォワードっていう感じでジャンプシュートが中心だった思うんですが、大学に入ってみたら、スリーポイントがたくさん入るようになっていてすごいなと思いました。練習前とかでもよくスリーポイントの練習をしていて、練習してる分だけ試合で結果が出ているんだなと思います。

――この3人でお話しすることはありますか

 アイシングしてる時とか。

河村 5対5とかでは同じチームでやることが多いので、プレーで話すこともあったりします。

――初めて会った時の印象はどうでしたか

中山 ルイさん(河村)はやっぱりかわいい(笑)。第一印象はかわいいでした。蘭さんは、高校で寮長さんをやっていらしたので

河村 そうなの?意外(笑)。

中山 なのでしっかりしているイメージでした。

 今は全然です(笑)。

河村 かっちゃんは第一印象が今とあまり変わらないけど、積極的というか自分が欲しいところをたくさん持っています。ガツガツ行くオーラが初めて練習に来た時からすごかったです。こういう子がバスケで戦っていけるんだなと思いました(笑)。蘭は高校生の時から練習に来てくれていて、とにかく思い切りのいいプレーが多かったから、勢いがある子だなと感じました。

 自分もルイさんの第一印象はかわいいでした(笑)。自分の高校は愛知なので、神奈川の選手は全然知らなくて、あのかわいい先輩誰だろうなって思ってました(笑)。中山と初めて会ったのは高校の時ですが、しっかりしてるっていう印象でした。一個下だったので連絡とか一個下に伝えたいこととか、全部お願いしちゃうくらい最初から頼れる存在でした。

――桜花学園高出身のお2人は高校時代と今の印象にギャップはありますか

 優しくなった(笑)?

中山 そうですね(笑)。

河村 高校の時って2人の関係どんな感じだったの(笑)?

中山 一番話してた先輩です(笑)。でもしっかりしないといけない立場だったのでよく怒ったりとかしてたから

河村 (桂から中山を指して)こっからこう?えー(笑)。

一同 (笑)

 一対一ではないですけど、全体とかで3年から2年に(怒る)とか、2年から1年にとかはありました。だから絶対いい印象はないだろうなって思ってました。

中山 怖いというか自分らのために言ってくれてるんだろうなって思ってました(笑)。

河村 優しい(笑)。

――早稲田大学を選んだきっかけを教えてください

河村 練習を見させてもらったときに、いろんな大学を見た中でチームの雰囲気やカラーが一番いいなと思って、ここでバスケができたら楽しいだろうなって思って早稲田を選びました。

 自分は8歳上に姉がいて、その姉も早稲田大学のバスケ部出身で、そこで楽しそうにやっていたし実績もあげていて、楽しく強くて勉強も頑張ってできる環境がすごくいいなと思いました。なので中学生くらいからずっと行きたいなと思っていて入ることができました。

中山 自分はヒマさん(桂)がいて、誘ってくれたというのもあるし、先輩がいることで心強いなというのが一番大きかったです。あとは勉強面を考えたときに、早稲田にはスポーツ科学部があって、自分が高校生の時に一番学びたいのは何かって考えた時にスポーツについてもっと知りたいと思っていたので、早稲田を選びました。

――具体的にはどんな雰囲気に惹かれたのですか

河村 チームの雰囲気が明るいし、基本的に選手主体でやっているので、自分たちでチームを作っていこうっていう雰囲気が他の大学と比べて強いかなと思います。

「積極的にやろうとする姿勢が評価してもらえた」(桂)

――コロナの感染が広がって上半期の大会が中止となりましたが、どんな心境でしたか

河村 コロナでしょうがないっていう気持ちもあるし、4年生と一緒に戦える機会も減ってしまったので残念っていう気持ちもありました。

中山 大学に入って初めての大会のトーナメントを楽しみにしていたので、大学のレベルがどのくらいなのか知る機会が無くなったのが残念でした。

河村 新人戦も無くなったしね。

――リーグ戦を個人として振り返ってください

 ルイさんも言ってくれたのですが、試合に出してもらえる機会も少なくて、実力不足ですごい落ち込んでしまったことがありました。ですが、インカレもまだあるし、少ない出場時間でもチームのために何ができるかっていうのを考えてそこで落ち込まないように頑張って立て直しました。練習時間以外の自主練の時間を有効に活用してスリーポイントの確率を上げることとか、あと、オフェンスリバウンドとかそういう積極的な面を出せるように取り組みを変えました。なので結構マイナスな面では試合機会が少ないことがあったのですが、自分としてはプラスに変えることができたのはよかったかなと思います。

河村 去年までは全く試合に絡んでいなくて、アジャストとかの方で力になろうとやっていたんですけど、今年は試合に出てプレーでチームに貢献したいという思いでリーグ戦にも挑みました。ですがリーグ戦は全部で4試合あって最初の2試合はほとんど出ることはできなくて、すごく悔しい思いをしたし、何もできない中で負けちゃってというのでふがいないという思いもあって、結構落ち込んだ部分がありました。次の試合までに3週間くらい空いたのですが、そこで自分ともう一回向き合って自分のできることをしっかりやろうと気持ちを切り替えることができて、後半の2試合ではしっかりプレータイムももらうことができたし出してもらえた時間で自分の持ち味を少しでも出せた試合があったのでその部分は収穫だったと思います。試合に出たことで課題が見つかったので、勝つことはチームとしてはできていなくて悔しく部分が多かったですけど、インカレにつながるリーグ戦にはなったと思います。

中山 自分も交代で出させてもらって、前半戦は交代したら強気でいこうと思って入ったらそれは成功したんですけど、2戦目、3戦目となって交代するとわかって出た時に受け身になって入ってしまって逆に流れに飲み込まれてしまい、ミスして交代するところがありました。そこで交代してコートに入る時の気持ちの重要性を感じました。課題としては、ディフェンスがスタメンの選手と比べて全くできていない部分があるとわかって、コーチに安心してコートに送ってもらえるような選手になるためにディフェンス力を磨いてインカレに臨みたいです。

――個人としてリーグ戦で手応えがあったものはありますか

 消極的なプレーが多かったので、試合機会が少なかったと思うんですけど、積極的に自分ができることをやろうとする姿勢が少し評価してもらえたと思うのでそこはこれからも続けていきたいです。

河村 似てるんですけど、積極的にゴールに向かっていった試合や考えすぎずにとにかく攻める気持ちを持ってゴールに向かった試合は、ドライブが通用したり、スリーポイントが決められた試合があったので自信になりました。

中山 ガードなので、小さい選手に付くんですが、そこでオフェンスリバウンドに飛び込む時に思ったよりもオフェンスリバウンドが取れたことに手応えを感じました。

――チーム内で特にお世話になっている人は誰ですか

河村 船生晴香さん(G、スポ4=新潟・開志国際)なんですけど、自分がリーグ戦に最初の2試合では全然絡めなくて、凹んでる時にご飯に連れて行ってくれて話聞いてくれたりとか、ライさん(船生)自身もそういう時期があったという話をしてくれて、そういう話に救われました。バスケをもうちょっと頑張ろうと思えたのはこの人のおかげというか、普段は抜けてるキャラなんですけど、助けてくれたので感謝している先輩です。

 キャプテンの石井香帆さん(F、スポ4=岐阜女)です。たぶん(河村と)同じ日に自分も落ち込んでいるのを(石井が)察して声を掛けてくれて、ご飯しながら話をいっぱい聞いてくれて、普段からそういう話を聞いてくれたりプレーのアドバイスをたくさんしてくれたり、甘いものを食べに行ったりするのでお世話になってます。

中山 2年生の学生トレーナーのナギさん(堀江くるみ、スポ2=静岡・沼津東)です。ナギさんは練習前にテーピングを巻いてくださったり、よく練習中にも気に掛けてくれます。自分の痛みの具合をすごい話しやすいし、練習後もケアをしてくださるので体の調子とかの面倒も見てくださっているのでお世話になってます。

――オフの日の過ごし方を教えてください

中山 オフの日に授業を入れ過ぎてしまいました(笑)。一度夏休みに時間があったので自転車で東京タワーに行こうと思って1人で行きました。

河村 ロードバイク?

中山 普通のです(笑)。

河村 友達とご飯に行くこともあるし、温泉に行くのも好きで、1人で行ったり妹連れて行ったり近くの温泉に行って完全にオフにするっていうのが多いですね。ほんとはオフにはみんなでご飯に行ったりしたかったんですけど、今年はコロナで行けなかったので1人で行動することが多かったです。

 映画に行くのが好きです。最近はしてないんですけど、甘いものが好きなのでカフェに行ったり、固めのプリンが好きなので調べて食べに行ったりしてました。

――4年生はどんな人たちでしょうか

河村 しっかりしてるけど、外すところは外す(笑)。

中山 接しやすいです。

河村 後輩一人一人と関わってくれるような先輩で、良い人すぎるくらいです。

中山 4年生だからといって威張るとかはなくてみんなに話しかけたりする姿が印象的です。

 プレー中でも外でも巻き込んでくれる

河村&中山 たしかに

 4年生だけで決めるとかはあまりなくて、結構みんなの意見を聞いて尊重してくれるので優しいです。

――逆に4年生への不満はありますか

河村 こう言ったらこう思うんだろうなって考えくれ過ぎているかなと思います。だからもっと強く言ってくれてもいいところを包んでくれたりとか、考えてくれた上で言わないでいてくれてる部分もあるのかなあと思うこともあるのでもっと思ってることを伝えてくれる場面があってもいいかなと思います。

「交代で出る選手はネジとネジの間のジョイントの部分」(中山)

中山

――インカレでは個人としてどんなプレーをしたいですか

 積極的にプレーにすることと、自分はディフェンスに課題があるので、チームディフェンスを理解して実行できるようにしていきたいです。インカレで今シーズンは終わってしまうけど、来年にもつなげていけるようなディフェンスを頑張っていきたいです。

河村 与えられた時間で自分の色を出すというのが目標です。求められていることがスリーポイントとかドライブに行くことなので得点に絡んでいきたいです。今シーズン目標に掲げていて、まだ達成できていない得点で勝利に貢献するというのをインカレで達成したいです。

中山 インカレでは途中交代で出場すると思うので、つなぐというのを一番意識していきたいです。倉石先生(倉石平顧問、昭54教卒)とかのお話で、交代で出る選手はネジとネジの間のジョイントの部分だとおっしゃっていたので、インカレではコートに入った時にチームのリズムを崩すのではなくて、流れを止めずにいい流れを作っていきたいです。具体的には自分が貢献できるのはオフェンスリバウンドの部分が大きいと思うので、オフェンスリバウンドを思い切りよくというのと、迷いからミスが生じてしまうので(河村と桂の)2人がスリーポイントを思いっきり打つみたいに、迷わずにやり切るというのを意識していきたいです。

――インカレで勝っていくためのポイントは何ですか

 ディフェンスです。他のチームと比べて全然高さがないので、チームディフェンスが大事だなと思っています。倉石さんが今教えてくれているディフェンスを表現できれば結果につながってくると思います。

河村 ディフェンスとか、リバウンドのところでリーグ戦でも崩れていて、そこから得点を取られてしまったというのが多かったです。なので、シュートが入る入らないよりも、ボールを追いかけるところとか、ディフェンスを必死に全員でやるっていうのを頑張りたいです。

中山 スリーポイントかなと思います。どこのポジションの人でもスリーポイントを打てるというのが早稲田の魅力でもあると思うので、スリーポイントが確率よく入っている時や思い切りよく打てている時はゲーム内容もすごく良くなっていると思うので、スリーポイントが鍵になってくると思います。

――キーマンは誰ですか

 ルアさん(石井主将)だと思います。

河村 私も(笑)。

 ルアさんはいつも大事なところで、キャプテンとしての自覚というか責任を、ここで欲しいという時にいつもルアさんが攻めて、ちゃんと決めてきてくれるのですごく心強いなといつも感じています。

河村 自分が1年生で、ルアさんが2年生の時からずっと見ていて誰よりも手を抜かない部分や自主練するところとかを側で見てきて、ルアさん自身も思うような形で試合に出れたりとかプレーできたりというのがまだあまり多くはないかなと、どの立場が言うんだって感じですけど思っています。インカレでは今までやってきたことが間違ってなかったというのが証明されてほしいなと思います。

中山 レンさん(F今井美沙樹、商3=山梨・富士学苑)かなと思います。レンさんはいつもならばフォワードとしてやっていたと思うんですけど、大原さんが怪我してしまってから役割が変わって、明らかに1部リーグで戦う相手は留学生とかが相手でもディフェンスの面で守ってくれていたと思うので、そこでレンさんかなと思いました。

――4年生に向けて一言お願いします

 今年は試合数が少なくてほんとはもっともっと一緒にプレーしたかったというのをリーグ戦が終わってから感じてます。ほんとにもっと試合がしたいくらい大好きなチームを作ってくれたので、本当に4年生には最後は笑顔で悔いがなかったと思ってもらえるように一日一日を大切にしていきたいです。

河村 入部した時から、一番側で教えてくれたりとか、支えてくれたり助けてくれたほんとに大好きな4年生なので、自分の力をチームの勝利に還元して恩返したいのと、蘭が言ったようにラストは笑顔で気持ちよく終われるように全力で力になりたいです。

中山 いい雰囲気のチームづくりをしてきてくれたのはやはり4年生だと思います。自分が練習に初めて入った時から馴染みやすくて声も掛けてくださって、困った時も同じガードのライさんに聞いたらすぐに答えが返ってきた、そういう先輩でもあります。なので2人が言ったようにこのチームが終わるのは寂しいけど、インカレではリーグ戦で掴めなかったら勝利を1つでも多く取れるよう先輩たちと試合をしたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 永田悠人)

終始質問に笑顔で答えてくださった3人

◆河村くるみ(かわむら・くるみ)(※写真中)

1999(平11)年11月3日生まれ。165センチ。神奈川・座間高校出身。教育学部3年。コートネームはルイ。心が折れそうになった時に支えてくれた4年生とのエピソードを語った河村選手。インカレでは感謝を込めて全力でプレーします!

◆桂蘭(かつら・らん)(※写真右)

2000(平12)年6月2日生まれ。175センチ。愛知・桜花学園高出身。スポーツ科学部2年。コートネームはヒマ。積極的なプレーを心掛けることで、持ち味を出せたと話した桂選手。インカレでは得点力に注目です!

◆中山桂(なかやま・かつら)(※写真左)

2001(平13)年6月12日生まれ。168センチ。愛知・桜花学園高出身。スポーツ科学部1年。コートネームはソラ。リーグ戦では手応えを感じながらも、プレーに迷いがあったと話した中山選手。インカレでは思い切ったプレーに期待しましょう!