夏の暑さもひと段落ついたこの頃、関東大学女子リーグ戦(リーグ戦)が開幕した。昨年リーグ優勝を果たした早大バスケ部の連覇をかけた戦いが始まる。絶対的守護神・C中田珠未(スポ4=東京・明星学園)が日本代表選考のため不在の中、リーグ戦を戦っていく。初戦となったこの日は、序盤はリズムをつかめず相手ペースで進んでいくが、第2クオーター(Q)からディフェンスを立て直し、相手を突き放す。今年から1部リーグに昇格した桐蔭横浜大に女王の貫禄を見せつけた。
第1Qの入りは初戦の緊張のせいかうまく流れに乗れなかった。ホーム校である桐蔭横浜大は連続のスリーポイントなどでどんどん勢いよく攻めてくる。ディフェンスのミスマッチを突かれた早大はなかなか流れを切ることができなかった。「点を取っても守れず相手に点を取られてしまうことの繰り返しだった」(内山未悠主将、社4=愛知・桜花学園)。そんな押され気味の雰囲気が変わったのは、第2Qからだった。チームディフェンスで相手のスリーポイントを防ぎ、高さのある早大はリバウンドを拾ってすばやい攻撃につなげていく。第1Qで1点ビハインドだった点差は前半終了時点で50ー35と大きくリードを奪った。
試合開始時、円陣になって声をかける選手たち
流れをつかんだ早大の攻撃は止まらない。G船生晴香(スポ3=新潟・開志国際)を起点とした攻めで、着実に点数を重ねていく。高身長の選手がそろうインサイドと高確率なスリーポイントを決めるアウトサイド。そして春の関東大学選手権(トーナメント)の時に見られなかった司令塔の安定感が早大の攻撃の幅を広げていた。速いパス回しで相手のディフェンスを乱し、フリーになった人が確実に点数を決める。理想的な攻めが繰り広げられ、最終的には119ー71と圧倒的な点差で試合を終えた。
ディフェンスの隙を突き、切り込む船生
船生やけがから復帰したC中村美羽(社4=千葉・昭和学院)などトーナメントの時よりも戦力を増した選手層。またこの日の試合で一番印象的だったのはコート上で常に笑顔でプレーをしていた内山主将だった。「技術よりも楽しく自分がプレーすることでチームが活気づくかなと思う」(内山主将)。その言葉通り、上級生が楽しそうなプレーをすることで下級生ものびのびとプレーができている。リーグ戦の中で少数精鋭の早大は、少しでも多くの人が試合を作ることができるかどうかが優勝へのかぎとなるだろう。連覇をかけて早大の長い戦いが始まった。
(記事 瀧上恵利、写真 犬飼朋花)
第69回関東大学女子リーグ戦 9月4日(vs桐蔭横浜大) | |||||
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1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
早大 |
23 | 27 | 38 | 31 | 119 |
桐蔭横浜大 | 24 | 11 | 22 | 14 | 69 | ◇早大スターティングメンバー◇ |
F#37 内山未悠主将(社4=愛知・桜花学園) F#5 細貝野乃花副将(スポ4=愛媛・聖カタリナ女) F#23 澁谷咲月(スポ4=大阪薫英女学院) G#26 船生晴香(スポ3=新潟・開志国際) C#7 大原咲織(スポ2=東京成徳大) |
コメント
F内山未悠主将(社4=愛知・桜花学園)
――リーグ戦の初戦でしたが、どのような気持ちで臨みましたか
自分たちが春のトーナメントを終えてから練習してきたことをチャレンジャーとして出すだけだと思っていたので、勢いを持ってやっていこうと臨みました。
――中田選手がいない中での開幕となりましたが
中田がいない中で準備してきたし、想定内ではありました。大きい存在がいないのは事実なのですが、そこをどうやってみんなで埋めていくかを考えながらプレーしていくことで、新しいチームの良さが出てくると思います。今いるメンバーで最高のチームを作ろうと思って、ここまでやってきています。
――きょうの試合を振り返っていかがですか
前半は自分たちの思うように試合を運ぶことができませんでした。点を取っても守れず相手に点を取られてしまうことの繰り返しだったので、前半から圧倒的に攻撃することができなかったのは反省すべき点だと思います。でもその展開を後半まで引きずるのではなく、3ピリからみんなが立て直して点差を広げられたのは良かった点です。
――後半立て直すことができた要因は何ですか
前半はオフェンスで点を取れていたのですが、ディフェンス面でスリーポイントを何本も打たれてしまっていました。シュートが当たっている人には打たせないことやチームディフェンスで守ることを意識してやろうと声をかけていたことが結果につながったのかなと思います。
――きょうは楽しそうにプレーしている場面が多く見受けられましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか
私自身は初戦で緊張していたこともあったので、意識的に笑ってプレーしようと思っていました。一つ一つの局面で全力を尽くしながらも、技術よりも楽しく自分がプレーすることでチームが活気づくかなと思うので、きょうはずっと笑顔でいることを心掛けていました。
――春のトーナメントと比べて船生さんの活躍や中村さんの復帰などいい材料もありますが、主将としてどのように捉えていますか
今全員がけがなくプレーできていることが一つチームの自信にもつながっています。やっぱり船生さんや中村さんなど戦力となる選手がのびのびとプレーできていることが本当に頼もしいです。みんなで食らいついていくことでチーム力ができてきていると思うので、トーナメントと比べて試合に絡む人数が増えていることはすごくいいことだなと思います。
――ご自身が夏の間に特に強化した点はありますか
技術よりもゴールに向かっていく姿勢や考え方を改めました。もう失うものは何もないと思って強気でいようと思っていました。
――リーグ戦の目標を教えてください
目標はもちろん優勝です。さらにインカレにつながるようなリーグ戦にしたいと思っています。インカレは一発勝負なので、各校との1試合目を大切にしていきたいです。また長い期間つづく大会なので、チーム全員でまとまって戦っていけたらいいかなと思います。
中村美羽(社4=千葉・昭和学院)
――リーグ戦初戦でしたがどのようなお気持ちで臨みましたか
個人的にも早稲田での今シーズン復帰戦で、個人的にも早稲田での今シーズン復帰戦だったので、本当に試合の出だしから集中してやっていこうという話をみんなでしていたんですけれども、出だしのところで結構ペースをつかめずに試合が進んでしまったのはきょうの反省点かなと思います。
――復帰戦への心境は
早稲田での復帰戦だったんですけど、一応半月前に千葉国体の方で復帰戦を迎えさせていただいていたので、試合の慣れというところでは大丈夫かなと考えていました。でもやっぱり出るタイミングとかもまだそんなに分からないので、どんなときに起用されてもしっかり自分のプレーで応えようという気持ちでベンチに座っていました。後半はそれができたから良かったと思うのですが、前半はちょっと微妙だったなと思います。
――きょうの試合を振り返っていかがですか
本当に前半のところがすごい良くなかったなと思ったので、そこはしっかり、土曜日は試合のはじめから圧倒できるようにしようと思います。あとキーマンのところで結構やられてしまったのでそこはすごい反省点で、どのように寄るかとかどういう風にディフェンスするかっていうのを木曜と金曜にしっかり練習して土曜日を迎えたいです。
――前半の立て直しにあたって、チームではどんな声が上がりましたか
まずは私たちの方が身長が高いので、中で攻めようっていう話が出ました。あと、1線目は結構抜けるからそこでどんどん切っていってシュートのところは強くいけっていう風に指揮官がおっしゃっていたので、そこをしっかりやっていこうと言ったら、後半みんな結構改善できたのですごい良かったかなと思います。
――後半にシュートの精度が上がったのもそのお話があってのことでしょうか
そうですね、指揮官がしっかりそれをハーフタイムに指示してくれたので、そこを徹底できたかなと思います。
――今年度が最後になりますがリーグ戦の目標は
リーグ戦は本当にインカレ(全日本大学選手権)の通過点でしかないんですけれども、でも本当に去年優勝してるからこそ2連覇を目指していこうということです。それと中田さん(珠未、スポ4=東京・明星学園)がいつ合流できるか分からないんですけど、合流したときにそれでもチームになれるように、しっかりこっちも準備して待っていたいなと思います。