女子部インカレ展望

女子バスケットボール

 いよいよ11月28日から、全日本大学選手権(インカレ)が開幕する。女子部は、仙台の地で大学日本一の座をかけた熱戦が繰り広げられる。早大女子バスケットボール部が狙うは、もちろん『日本一』。しかし、2014年の全国制覇以来優勝からは遠ざかっている。今年は関東大学女子選手権(トーナメント)優勝と幸先のいいシーズンのスタートを切ったものの、関東大学女子新人戦は初戦敗退、関東大学女子リーグ戦(リーグ戦)は2位という結果に終わり、悔しい思いも味わった。その中でも選手たちが口にしてきた「目標は日本一」という言葉。大舞台で本領を発揮し悲願を達成できるか、注目が集まる。

 インカレのキーマンとして藤生喜代美ヘッドコーチ(平25スポ卒=福井・足羽)が挙げるのが、G砂川夏輝(教4=沖縄・西原)、F萩尾千尋(スポ4=愛知・桜花学園)、C今仲杏奈(スポ4=大阪薫英女学院)の3人。1年間プレーでチームを引っ張ってきた4年生の活躍は不可欠だ。スピードあるプレーが持ち味の砂川は、ここぞという場面で力を発揮する頼もしいプレーヤー。リーグ戦では東京医療保健大や白鷗大との一戦など、特に大接戦を演じた試合で存在感が光った。鋭いドライブからの1対1を武器に、チームを日本一に導くことができるか。下級生のころから数多くの試合に出場し、チームに欠かせない存在である萩尾は、攻守にわたって安定感のあるプレーに定評がある。数字に残らない部分での貢献度も非常に高い。視野の広さを生かしたアシスト、相手のエースを徹底的に抑えるディフェンスに注目だ。そしてチームの重要な得点源である今仲。高さを生かしたゴール下はもちろん、スリーポイントも高確率で沈めるセンターだ。今シーズン、早大の強みであるインサイド陣が徹底マークに遭うたびに、そのシュートレンジの広さで何度もチームを救ってきた。自身最後のインカレで、得点を量産できるか。

今仲の大量得点が期待される

 アウトサイドの注目選手を挙げていこう。まずは司令塔・G高田静(スポ3=山形市立商)。トーナメントでは最優秀選手賞、リーグ戦で敢闘賞、そして両大会でアシスト王を受賞したチームの要だ。針に糸を通すようなパスのみならず、自分自身でもドライブやジャンプシュートで得点を取ることができる。高田の活躍がチームを左右すると言っても過言ではない。次に、2年生ながらスタメンに定着しているF細貝野乃花(スポ2=愛媛・聖カタリナ女)だ。持ち味はなんといってもスリーポイント。鮮やかな弧を描くそのシュートは、一度入るともう止まらない。緊張を強いられる場面でも臆せずスリーポイントを沈め、チームを勢いづけられるか。またG岩田千夏子(社2=岡山・明誠学院)、F内山未悠(社2=愛知・桜花学園)、F澁谷咲月(スポ2=大阪薫英女学院)が途中交代から良い流れをもたらすことができるかも1つカギとなるだろう。

細貝のスリーポイントに注目だ

 続いてインサイドでは、ユニバーシアード日本代表のC田中真美子(スポ3=東京成徳大)、C中田珠未(スポ2=東京・明星学園)に注目だ。リーグ戦で優秀選手賞に輝いた田中は、ゴール下で当たり負けしないフィジカルの強さが魅力。今シーズンは、大型留学生とも対等に渡り合ってきた。世界の舞台を経て一回り成長した大黒柱が日本一に向けて躍動できるか、期待が高まる。そして驚異の身体能力を誇る中田。苦しい時間帯にもぎ取るリバウンドや、積極的な1対1でチームに大きく貢献してきた。「ユニバーシアードで良い刺激をもらった」という頼もしい言葉通り、リーグ戦ではビッグマン相手に物怖じせず立ち向かう姿が印象的であった。貴重な経験を糧に、中田は日々成長し続ける。

 初戦の相手は関学大。戦い慣れていない関西のプレースタイルへの対応力が試される。順当に勝ち進めば、3回戦は関東5位の拓大との対戦することになる。ここが最初のヤマ場になりそうだ。エースセンターであるローヤシン、得点能力が高い水野妃奈乃を徹底マークできるかがカギとなる。リーグ戦では2戦2勝(○61-55、○65-60)だが、一発勝負かつ連戦となるインカレでは何が起こるか分からない。決して油断せずに臨みたいところだ。インカレに照準を合わせて、ここまで戦い抜いてきた。トーナメント優勝時も決して慢心せず、「目標は日本一になること」と選手たちは口をそろえていた。全ては日本一になるために――。最後の大舞台の幕が切って落とされる。

(記事、写真 下長根沙羅)