2連覇を逃し、今季初タイトルはお預けに

女子バスケットボール

 今季最初となるタイトルに向けて。早大はこの日、関東大学女子新人戦(新人戦)の決勝戦に臨んだ。この試合の相手は、先のトーナメントで優勝を果たした東京医療保健大となった。前半は一進一退の好ゲーム。早大がシュートを決めれば相手も食らいつく。ディフェンス面でも両チーム要所を締め、早大は2点のビハインドで前半を終える。しかし後半試合が大きく動く。ハーフタイム明けから勢いのあるディフェンスを見せる相手に徐々に点差を離されると、狂った歯車を修正することが出来なかった。最後は14点差と完敗。早大は連覇を逃した。

 まさにシーソーゲームとなった前半。第1クオーター(Q)中盤、同点で投入されたC中村美羽(社1=千葉・昭和学院)がゴールやアシストで好プレーを見せ、6点差とするものの、そこから先の点差が遠く、逆にリードを奪われてしまう。第2Qも同様にこう着したゲーム展開が続く。両チーム気迫のこもったディフェンスで決定的なゴールを許さない。残り2分、F澁谷咲月(スポ1=大阪薫英女学院)とF細貝野乃花(スポ1=愛媛・聖カタリナ女)の連続スリーポイントでこのQ初めて4点差をつけ勢いに乗って後半を迎えるかと思われた。残り3秒でまたしてもリードを許し、33-35で前半を終えた。

今大会敢闘賞、アシスト賞を受賞した高田

 残り20分。雌雄を決する後半の出だし、キャプテンであるG高田静(スポ2=山形市立商)の5得点で再度逆転。しかしここから試合は大きく動き出す。相手がディフェンスのプレッシャーを強めると、早大にターンオーバーが目立ち始める。オフェンスが停滞すると、ディフェンスにも綻びが見え始める。相手のスクリーンからのリングに向かうドライブを止めることが出来ず、失点を重ねてしまう。最終Q、細貝と澁谷がスリーポイントを沈め何とか食らいつこうとするものの、「同じことをやられ続けてしまった」と藤生コーチ(喜代美、平26スポ卒、福井・足羽)が試合後に語ったように、ディフェンスを最後まで修正出来ない。リードをどんどん広げられ、終わってみれば最終スコア72-86。完敗を喫した。

表彰式後の選手たち

 トーナメントに続き、目の前でタイトルを逃した早大。だが敗れはしたものの、下級生中心のメンバーで決勝まで進んできた早大にとって、「足りない部分を明らかにできたのが収穫」(藤生コーチ)と語ったように、この大会での経験は大変貴重なものになっただろう。この大会での悔しい思いを糧に課題を克服し、秋に控えるリーグ戦で若き選手たちが躍動して早大にタイトルをもたらす姿に期待を膨らまさずにはいられない。

(記事 秋間勇人、写真 鈴木直人)

第6回関東大学新人戦 6月19日(対東京医療保健大)
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

17 16 18 21 72
東京医療保健大 19 16 24 27 86
◇早大スターティングメンバー◇
G#21 高田静(スポ2=山形市立商)
F#5  細貝野乃花(スポ1=愛媛・聖カタリナ女)
F#23 澁谷咲月(スポ1=大阪薫英女学院)
C#33 中田珠未(スポ1=明星学園)
F#37 内山未悠(社1=愛知・桜花学園)

藤生喜代美ヘッドコーチ(平25スポ卒=福井・足羽)

――残念な結果となりましたが、今のお気持ちは

うーん、消化不良ですね。非常に。同じことでやられてしまったっていうのがあったので、選手たちもそんな気持ちじゃないかと思います。

――相手はトーナメントを制した東京医療保健大でしたが、意識はしていましたか

トーナメントでっていう事よりも、決勝戦の相手として、しっかり戦って、勝負に勝ちきれるところまでゲームを持っていきたかったんですけど、ちょっと終盤は突き放されてしまったので、残念です。

――前半は接戦を演じましたが、そこで突き放しきれなかった要因は

前半は自分たちのディフェンスの所では35点と上手くペイントエリアを守れたと思うんですけど、うちのセンターの所で、今一人でセンターを使うのかそれとも二人で出ている時のフロアバランスを考えた時に、ちょっとスペーシングの部分だったり状況判断の部分だったりで、ワンセンターの時とダブルセンターの時のオフェンスが上手く組み立てられなかったというのが印象ですね。

――逆に後半大きく離されてしまった要因は

それは、ディフェンスの所で、スクリーンからトップに上がってくる縦のドライブですね、それから全部崩されていたので、同じことをやられ続けていたことに対して守り切れなかった所に尽きますかね。

――ことしのチーム例年に比べ新入生が多かったですが、どんなチームでしたか

比較的高校まででいうと、恐らく力のある選手たちなのかもしれませんが、バスケットは5人でやるので、お互いが組み合わさった時にどういうバスケットをしていくのかっていう意味では、まだまだ色的にはこれから探していくのかなと思います。ちょっと2年生でもう一人コートに出したかったんですけどね。怪我で。

――ワセダからは個人賞としてリバウンド王に中田選手(珠美、スポ1=東京・明星学園)、アシスト王に高田選手(静、スポ2=山形市立商)が選ばれました。それに対する感想はありますか

リバウンドに関しては、かなり高さともあるし、リバウンドが好きなので、自分が。そこには意識を持って取り組んでいたと思うし、本数的にも相当取ってくれたので、納得のリバウンド王かなという所と、アシストに関しては高田が本来ならばもうちょっと点を取りながらアシストっていう風にはしたかったと思うし、こちらも望んでいたことなのですが、点が伸びないながらも周りを生かすっていう所では機能したからアシスト王を貰えたと思うんですけど、決勝に関しては少しプレーの選択という意味では課題が残ったかなと思います。

――この大会を通して得られた収穫は

コートに立って自分の力をまじまじと試す機会になったので、個人も含めチームも含め足りなかった所を明らかにできたという事が特に大きな収穫ですね。やっぱり選手は出ていないとなかなか自分の意識として出ない部分があると思うんですけど、明らかに突き付けられたと思うので、それを得られたことが収穫です。

――逆に得られた課題は

課題は4ゲームあって、昨日ときょうと連戦だったんですけど、40分ゲームをフルに戦える選手がいなかったので、体力、脚力が足りなかった。練習不足ということかなと思います。

――秋のリーグ戦に向けては何をしていきたいですか

今回、プレーをしきれなかった選手がたくさんいたので、体力作り体作りはこの夏しっかり取り組んでいくことと、あとは色んなバスケットに対してコートの上で解決していける引き出しを作っておくことかなと思います。

G高田静(スポ2=山形市立商)

――今日の試合を振り返ってみていかがですか

1番目立った課題がディフェンスだなと思って、オフェンスで上手くいかなくてもディフェンで相手のことをしっかり守れれば良かったのですが、最後まで同じプレイでやられてしまったので、個人の力不足の部分もあるしチームとして課題もあるなと思いました。

――キャプテンという立場でチームを引っ張っていく上で意識していたことはありますか

こまめに周りの選手に声をかけたりというのを意識してやっていました。

――オフェンスリバウンドがあまり取れていませんでしたが、チームでそのことについて話し合ったりはしましたか

二人大きい選手がいるのですが、田中が怪我をしたということもあって1人に役割が集中してしまったのと、普段大きい人にリバウンドを任せていた面があって、Fとかがリバウンドに飛び込む習慣がなかったなと思ってたので、必ず上の3人は取りに行こうと話し合っていたのですが、相手も体が強かったことや体力のこともあってリバウンドに入れていなかったと思います。

――最後の5分に限らず外からのシュートに頼っていた面がありましたが、中でのシュートは難しかったですか

相手のプレッシャーに負けてしまっていつもよりボールが回らなくて、いつものタミングとは違ってしまって中との連携とかもできなかったなと感じました。

――今大会、1、2年生のみのチームで戦ってみていかがでしたか

今年の1年生はすごい頼もしいので助かったことがいっぱいあっとのと、やっぱり決勝戦で負けてしまったように自分たちの甘さも分かったので、これから3、4年生と一緒に試合をやって出る機会が少なくなる人もいますが、ここでしっかり今回の経験を活かせればいいなと思います。

――今大会を通して見つかった課題を秋のリーグ戦までにどのように改善していきますか

普段の練習からもっとチーム内でディフェンスを徹底的に意識していって力をつける必要があると思います。

――秋のリーグ戦に向けての意気込みをお願いします

トーナメントも新人戦も2位という結果になったことはすごく悔しいのと、去年はリーグ戦を優勝できたので2連覇できるように、この敗北を無駄にしないように頑張りたいと思います。

――敢闘賞とアシスト賞を受賞されましたが、今のお気持ちはいかがですか

率直に言うと嬉しくて、でも自分はあまりシュートが得意ではないと思う部分もあるのでアシストに活かせたのは良かったのですが、もっと自分のダメなところも伸ばせていけたら良いなと思います。