1回戦で終える、最後の戦い

女子バスケットボール

 第68回全日本大学選手権(インカレ)で悲願の全国制覇を逃した早大。掲げた目標を達成することはできなかったが最後の大会も全力で挑むのが早大。プロや高校生が参加するという今までとは違う試合となるが早大の強さを遺憾無く発揮することができるであろうか。

 初戦の相手は昨季二回戦敗退のプロチーム、新潟アルビレックスBBラビッツ。2回戦敗退というきょねんの成績を上回るためにも所詮は難なく突破しておきたいところだ。第1クオーター(Q)、得点を先取したのは早大、中田珠未(スポ1=明星学園)のバスケットカウントで勢いをつける。相手は中距離シュートを中心に連続で得点を奪う。対して早大はゴール下で粘り強く得点し食らいつくが、スリーポイントシュートで点差を離され第2Qに突入する。先制点は取るも相手の連携されたパス回しでディフェンスを崩され外から決められる。しかし相手の速攻を田中真美子(スポ2=東京成徳大)がブロックし田村未来主将(スポ4=愛媛・聖カタリナ女)がスリーポイントシュートを沈める。この勢いに乗って点差を縮めようと思った矢先、中田がゴール下での接触で鼻に怪我を負ってしまいチームに不安が漂い、相手に得点される。それでも気持ちを整え4連続得点を奪い、当初のぎこちない動きから早大らしいスピード感のあるプレイで35—30とリードして前半を終える。

 点差を大きく離しても食らいついてくる姿勢に苦戦した第3Q。先取点は奪われるも加藤臨(スポ4=山形市立商)の粘り強いディフェンスで相手のトラベリングを誘発し早大にゴールチャンスを創出する。萩尾千尋(スポ3=愛知・桜花学園)がその期待に中距離シュートで応える。さらに開始5分、田村主将の3連続スリーポイントシュートで点差を14点と引き離し早大のリズムを作る。だが相手は2得点ずつ地道に得点を重ね第3Q終了時には点差はたった1点となっていた。続く第4Q、先手を取られ逆転を許してしまうが、すかさず萩尾千尋がスリーポイントを沈めゲームの主導権は渡さない。それでも早大の得点に対し相手の得点の回数が増え、少しずつだが点差を離されてしまう。残り1分でプレスを仕掛けるも5点という壁を越えられず、72-77で初戦敗退となった。

 「1年生から4年生まで全員がチームを作ってきたなというのが強い」と田村が語るように、早大はどの大会もチーム一体となって戦いそれが大きな強みであった。優勝を果たせたのは1度のみであったが最後の戦いも手を緩めることなく望んだが、1回戦で敗退してしまい思わぬ引退試合となってしまった。しかし達成でなかった3冠という目標への強い思いは確実に次の代に伝わっているだろう。

(記事 鈴木直人)

第83回皇后杯全日本総合選手権 1月2日(vs新潟アルビレックスBBラビッツ)
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

17 18 17 20 72
新潟アルビレックスBBラビッツ 23 21 26 77
◇早大スターティングメンバー◇
G#22 田村未来(スポ4=愛媛・聖カタリナ女)
F#7  加藤臨(スポ4=山形市立商)
F#10 萩尾千尋(スポ3=愛知・桜花学園)
G#21 高田静(スポ2=山形市立商)
C#33 中田珠未(スポ1=明星学園)
◇主なスコアリーダー◇
得点  田村未来:18得点
リバウンド  田中真美子:7リバウンド
アシスト  高田静:7アシスト
コメント

田村未来主将(スポ4=愛媛・聖カタリナ女)

――今日の試合を振り返ってみていかがですか

途中10点差くらいあけていた時間があったので絶対勝てる試合だったのですが負けてしまったことで、このチームでできる最後の試合だったのに出し切って負けたというよりかは隙があって負けてしまったので、すごく悔しいです。

――スリーポイントを連続で決められていましたが、調子はいかがでしたか

前半もずっと打ってはいたんですけど自分のタイミングではなくて打たされたスリーでした。でも自分のタイミングで打っても絶対入ると思っていたので、そのタイミングがポンポンポンときたから入ったのですけど、あそこでこっちに波がきかけていたのにそこで畳み掛けられない勝負力の弱さなどの部分が出てしまったので、自分がスリーを決めても勝たないと嬉しくはないです。

――この1年間主将としてプレイしてきていかがでしたか

正直本当に辛かったし、しんどかったし、こんなに人のことチームのこと考えるんだって思うくらい考えました。それだけやりがいがあったしみんなが成長していく姿とか一生懸命頑張ってくれる姿とか、高校の3年生のときとは違う自分が先輩になった気持ちがわかりました。高校のときは自分のことで必死でしたけど仲間のことで必死になれるっていうことがすごくいいなと思いました。

――4年間を振り返って

1年生のときはプレイ自体全然うまくいかなくて代表などに行ったら楽しくバスケができるのですが、チームに帰ると自分のバスケットが分からなくなるというギャップにすごく苦しんでもがいていたんですけれど、そういう時に先輩とかが遊びやご飯に連れて行ってくれたり話を聞いてくれて、闇の世界に入ることなく自分を保っていられました。だからこそうまくいかなくてもバスケを頑張れたしやり続けられたと思います。2年生のときはスタートになったのですが、それもまたいろいろあって、でも2年生のときにこの早稲田に入れてよかったなってすごく強く思えたので、2年生の途中でスタートが変わってしまったりとか悔しい思いをしたのですが、2年生のときが自分の中で大きく変われた年かなって思っています。3年生のときはがむしゃらでした。余裕もなくただただ突っ走ってたって思います。4年生になってからはいろんなこと考えられるようになって、技術がうまくなったとか分からないしどう変化したとか分からないんですけど、精神的な部分で人への思いやりとか気遣いとかキャプテンとしてこうしたらいいだとか、そういう視野が広がったのでそれは実業団とか行っていたら分からないことで、人と人とのつながりという部分で本当に大学来ていろんないい人に囲まれて幸せだったなってすごく思います。

――今後のバスケット生活に向けて

自分は新しいことを知るのが好きで、そうなんだとかそういう考えもあるんだなどの発見が好きですし、全く違う環境で学生という枠組みではなく仕事としてバスケットをやるうえで、すごく刺激的な環境だと思うのでいろんな人のプレイとか真似したり、いろんなものを吸収して、もうなんか最強になりたいです!、私がもっとこうしておけば勝ったのになと思うような選手ではなくて、心も体もプレイも強くぶれない選手になりたいです。

――後輩に向けて

さっきのミーティングでも行ったのですが、この代で1年生から4年生まで全員がチームを作ってきたなというのが強くて、今までだとどこか4年生が作っていたという部分があったのですが、1年生もしっかりしていて頼もしくて2年生3年生4年生みんなが1つになっていて、このチームがあったから今の私たちがあるよねって後輩たちに言って欲しいなって思うので、どんどん土台にしてくださいっていうくらいの気持ちでいっぱいです。だから来年からいいチームかつ強いチームを作っていって欲しいなって思います。