春の王者・拓大を撃破!リーグ戦を2位で終える

女子バスケットボール

 2カ月に及ぶ戦いが幕を閉じた。関東大学女子リーグ戦(リーグ戦)最終日。前日同様、拓大を相手に1ゴールを争う激戦が繰り広げられたが、最後に笑ったのはワセダだった。春の関東大学女子選手権で敗れた拓大にリベンジを果たしたワセダは、11勝3敗の2位という成績で今大会を終えた。

 会場は異様な雰囲気に包まれていた。ワセダの試合を前にして白鴎大の優勝が決定。ホームコートでの初優勝を果たした白鴎大の熱気が冷めやらぬ中、拓大との最終戦が幕を開けた。「最後に1点勝っているだけでいいから」(萩原美樹子ヘッドコーチ、平17二文卒=福島・橘)。地力の差はほとんどない。接戦は必至。優勝の可能性はついえたものの「目の前の相手に全力でやって倒すことだけを考えよう」(G森仁美、スポ3=大阪薫英女)とチームの士気が下がることはなかった。試合は序盤から手に汗握る展開となる。双方リードする場面が見られるもお互い突き放すことができず、ゲームは常に3、4点差で推移。試合が大きく動くことはなく41対44と3点ビハインドで前半を終え、勝負は後半戦に持ち越された。

 第3クオーター(Q)は我慢の展開が続く。開始早々相手に連続得点を許し、8点差とされる。しかしすぐさまG森仁美(スポ3=大阪薫英女)がスリーポイントシュートを沈め、突き放しにかかる相手に食らい付く。「粘るべきところを粘れるようになった」(C丹羽裕美=スポ4、愛知・桜花学園)。踏ん張りどころを察知し、流れをわたさない力を身に付けたワセダ。その後幾度も危ない場面があったものの、大黒柱・丹羽のバスケットカウントやルーキーF根岸夢(スポ1=東京成徳大高)のリバウンドで踏ん張りを見せる。第3Qラスト3分でスリーポイントシュートを4本連続で決め逆転すると、その後はつかんだ流れを手放さない。試合終了間際までシュートの応酬が続くも、わずかな点差を守り切ったワセダに軍配が上がった。86-82と、大激戦の末にもぎ取った1勝だった。

 2位という結果で終えたリーグ戦。春以降、ワセダは精神面が弱いという自分たちの弱点を克服すべく、メンタルトレーニングのコーチに教えを仰いだ。「感情をコントロールするために仕草をコントロールする」(萩原コーチ)という考え方の下、チーム全体で『笑顔』を意識。試合中の苦しい場面でも高学年を中心に「いい顔で!」と声を掛け合いチームを盛り上げる場面が目立った。弱点に向き合い行動した結果得られた『笑顔』は、すでにワセダの強力な武器だ。11月には4年生にとって最後の舞台となる全日本大学選手権が控えている。昨季の王者として臨むワセダだが、やるべきことは変わらない。目の前の試合一つ一つに集中して来る相手を迎え撃つ。昨季のあの感動をもう一度――最後の勝負が幕を開ける。

(記事 小笠原芳、カメラ 森健悟) 


第62回関東大学女子リーグ戦

早大

86

18-20
23-24
30-24
15-14



82

筑波大
【スターティングファイブ】
G 森  仁美(スポ3=大阪薫英女学院)
F 神崎 由香(スポ2=福岡・中村学園女)
F 本多 真実(スポ3=愛知・桜花学園)
C 傳田みのり(社4=神奈川・金沢総合)
C 丹羽 裕美(スポ4=愛知・桜花学園)

◆コメント
萩原美樹子ヘッドコーチ(平17二文卒=福島・橘)
――試合を前に白鴎大の優勝が決定しましたが、選手とどのような話をされて試合に臨みましたか
そうはいっても15点差以上で負けてしまうと3位になってしまうので。やはり拓大にしっかり勝ちきるっていうのは選手にとって非常に大きいことですから。白鴎さんが勝つ、負けるというのはいまはどうしようもできないことなので、私たちは私たちの戦いをしようということを試合前に言いました。
――拓大が相手ということで接戦を予想されていたと思いますが、どのようなゲームプランで試合に臨みましたか
最後1点勝っていればいいな、というのは毎回思っていて。とにかくトーナメントではリバウンドでやられた印象がすごくあったので、終始言っていたのは、「とにかくリバウンドで負けるな」ということですね。何点つけて勝つっていうのはほぼ無理な話だと思っているので、「拓大さんに関しては、最後に1点勝てるだけでいいから」と話していました。きょうも再三危ないところはあったんですけど、リーグ戦を通して、自分たちがここで粘るとゲームが良くなるんだっていうのを、彼女たちが学んできた印象でした。きょうも私は何もせずに任せていた、という感じでした。
――リーグ戦を通して1年生の根岸選手や本橋選手の活躍も目立ちましたね
そうですね。戦力の一つと完全に認識しています。もともと本橋も根岸もキャリアはある選手たちなので、あとはどうワセダのバスケットにヒットするかっていうはなしだったので。二人ともそういう意味では、リーグ始めから戦力の一人として「1年生だからといって甘えちゃだめだよ」ということは話していました。根岸なんかはリバウンドがとにかく強いので非常に助けてくれたと思います。
――現在メンタルトレーニングをされているそうですね
私はみんなキャリアのある選手だと思っているんですけど、メンタルが弱いと選手たちは思い込んでいるみたいで。私のメンタルトレーニングの師匠がいるのでその方を呼んで3回くらい講義をしてもらいました。とにかく選手が実行しているのが、いい顔をするっていうことです。感情をコントロールするために仕草をコントロールすると、感情もついてくる。笑っていると楽しい気分になるだとか、前向きな気分になるっていうのはよくあることだよねっていう話で。丹羽に限らず、今シーズンは「いい顔をしよう」ということを常に言ってやっていましたね。
――効果はあったでしょうか
そうですね。丹羽なんか特に、きょうはすごく笑っていて。周りから見たら「なんだにやけて」と言われるかもしれないんですけど、私たちはすごく効果があったかなと思います。
――きのうは望月主将が出場されましたね
望月はリーグに出たいということをすごく言っていて。4年生ですし。実はいまの膝の状況を考えるとリーグに間に合わせるのはかなり難しかったんです。「インカレならなんとか間に合うかもしれないよ」と言っていたんですけど。1年目はペーペーで、2年目は病気をして、3年目は膝前十字でまともに出たことがない。やっぱりリーグに出たいということで、普通ならそういうのはわがままなので聞かないんですけど、望月はみんなが認めるくらいキャプテンシーを持って、チームを引っ張ってきて、最後は本当にかわいそうなケガをしてしまったので、「あなたを出せるようにみんなも頑張るから、その代わりあなたも出られるようにしっかりリハビリしなさい」ということで出場しました。シュートは入れられなかったけど、出せてよかったです。
――藤生学生コーチは今季、選手からコーチに転向しましたが、コートの外にいるということで変わったことはありますか
よく学生の面倒を見てくれるので、本当に助かるというか。やっぱり昨季まで選手だったので近すぎて難しいところもあると思いますが、選手目線でいい距離間で選手と接してくれるようになったと思います。
――今リーグ戦で見えたインカレに向けての修正点を教えてください
自信がついた点としては、彼女たちが競った展開の中でも、5点、10点くらいのビハインドだったら諦めないで試合を進めていくことができるようになったことです。課題は、どうしてもインサイドでつくっている分、インサイドを見すぎてしまっている部分があるんですね。丹羽に入れたら放っておくところがあるので。上位になればなるほど丹羽をつぶしにくるので、周りのシュートですとか、他がどう動くかというのを修正したいと思います。

傳田みのり(社4=金沢総合)
――試合前に優勝の可能性がなくなっての試合でした。どのような気持ちで臨みましたか

拓殖大にずっと負け越していて、目の前のことに集中しようと言っていたし、優勝がなくなったとか特に気にせずにみんなでできたかな、と。
――今日の試合を振り返って

けっこう競っているシーソーゲームで、ずっと粘って3、4ピリにきて、そしてラスト10分でみんな諦めることなく最後まで攻め切れたことが一番良かったと思っています。あとは、昨日の反省をちゃんと活かせていて、昨日はボールが止まっちゃっていたんですけど、もっと動きの中でもらおうと話をして、それが今日は終始ゲームを通してできていたのが勝因かな、と思います。
――ご自身最後のリーグ戦を2位で終えました

個人的な思いになってしまうんですけど、キャプテンの望月(桜子、人4=千葉・幕張総合)が昨日の2ピリの最後3分くらい出られたんですよ。それが本当によかったなと思っています。ずっと頑張っていたんですけど怪我してしまって、それでもリーグ戦に思い入れがあって出たいという気持ちがあって、みんな望月を出すために頑張ろうって言っていたので、実現できてよかったです。あとは、最初に白鴎に2敗したじゃないですか。あれでけっこうチームの士気が下がっちゃったんですけど、乗り越えて自分たちの悪いところに向き合った結果、2位という結果があると思うので、チームとして乗り越えられたのはすごくよかったなと思いました。
――インカレに向けて

日本一を目指して、2連覇を目指して頑張ります。応援よろしくお願いします。

C丹羽裕美(スポ4=愛知・桜花学園)
――いまの気持ちを教えてください
いまの気持ちはすごく複雑です。勝ったのはすごく嬉しいんですけど、準優勝なので。やはり優勝したかったです。
――自身のきのう、きょうのプレーを振り返っていかがですか
きょうのプレーは自分的にまだまだかなと思います。脚がついていけていなかったところがあったので。昨日は全体に声も掛けられたし、笑顔を意識してやっていたのでそこは見ていて分かってもらえたなら嬉しいです。
――きのうの試合では本橋選手と神崎選手に「いい顔で!」と声を掛けているのが印象的でした
そうですね(笑)。笑うと向こうも反応してくれるので嬉しいです。
――きょうの試合は白鴎大の優勝が決定した後の戦いでしたが、どのように気持ちを維持していましたか
もともと「3つ負けていて優勝したらラッキーだから」という話はされていて。優勝っていうよりは、目の前の試合に勝つということを目標にやっていたので、前の試合が駄目だったから落ち込むということはなかったです。
――拓大相手ということで接戦が予想されたと思いますが、どのようなゲームプランを立てていましたか
きょうはきのうやられたところを抑えるっていうことですね。あとはもういつも通りやればいいから、ということを話していました。
――終始接戦でしたが、きょうの勝因は何だと思いますか
後輩たちの踏ん張りですね。最後にコートに出ていたのが私以外全員後輩でしたよね。最後までゲームコントロールを後輩たちがやってくれていたので、感謝ですね。
――4年生ということで最後のリーグ戦でしたが、特別な思いはありましたか
そうですね。やっぱり負けたくはなかったです。
――リーグ戦を通して変わったなと思うところはありますか
自分が駄目でも周りを生かす動きをするっていうところですね。いままで言われていても上手く実行できなかったんですけど、やっていくうちに、自分が駄目でもスクリーンを掛けて相手を空けたらシュートにいけたり、自分がミスをした後でもディフェンスのときに声を掛けたりとか、周りに対する気配りは意識するようにしていたので。後半からはできるようになったかなと思います。
――インカレまで見えた課題は何でしょうか
チームとしては、きょうみたいな粘るべきところを粘れるようになったのですが、それを継続する力がまだまだ足りないです。粘って粘ってきょうは勝ち越せたんですけど、継続する力を常に発揮できるようにしていけたらいいなと思います。つらいときに踏ん張るというか。きょうの3Qはみんな結構我慢できていたんですけど。自身としては、中でプレーするときにプレッシャーが強いことは分かっていたので、その中でいかに自分がプレーするのか、周りを生かすのかっていうのを、練習中から考えて自分にできることを探してやっていきます。

G森仁美(スポ3=大阪薫英女学院)
――きょうは最後の最後まで分からない試合でしたね
自分たちの前の試合で白鴎大が勝って優勝はもうないってわかっていたんですけど、目の前の相手に全力でやって倒すことだけを考えようってみんなで言っていたので、きょうはそれができたと思います。
――森さん自身も要所でシュートを決めていましたね
ありがとうございます。なんか無心で打てたから入ったのかなって思いますね。
――リーグ戦2位という結果に関してはどう感じますか
春に引き続き同着1位の直接対決の結果での負けという形で、本番のインカレはトーナメントなので同着とかもないので、今度こそ本当の意味での1番になりたいですね。
――これまでチームとして課題にあげていたディフェンスとリバウンドに関してリーグ戦を通して実践できましたか
最初の白鴎大戦で2敗してからはずっと意識してやってきたことですし、きょねんのインカレ前にもそこが改めて大事って気づいてやってきたので、リーグ戦ではその点では自分たちのカラーに出来たと思います。
――インカレに向けて何か課題はありますか
課題はいろいろありますね。ただ、これまで課題だった調子の良い時と悪い時の波が激しかったのが、このリーグ戦ではだいぶ解消出来たかなと思います。
――最後にインカレへの意気込みをお願いします
インカレこそは勝って2連覇したいと思います。