最終戦に勝利し、3年連続2位

女子バスケットボール

 春の王者が決定する瞬間を見逃すまいと、多くの観客が代々木第二体育館に足を運んだ。ことしは決勝リーグに進んだ4チーム全てが17日までに1勝1敗と、最終日の結果に全てが託される大混戦に。それだけに絶対に負けは許されない状況で臨んだ最終戦、競りはしたものの最終クォーター(Q)で圧巻の14連続得点を奪い、東京医療保健大相手に勝利。次戦できょねんの王者・白鷗大を下した山梨学院大が、2部リーグ所属チームながら異例の初優勝を飾った。早大は山梨学院大に次いで2位。2011年度の優勝から退いて3年、ことしこそは栄冠を手にしたかったが、あと一歩のところで優勝を逃す結果となった。

 東京医療保健大の先制点から始まったこの試合、序盤から両者は一歩も譲らない。前日の白鷗大戦で決勝点を挙げたG田村未来(スポ2=愛媛・聖カタリナ女)がポストへのパスを狙ったスティールで相手の攻撃のリズムを断つなど、この試合でもキレの良いプレーを見せた。対する相手はスリーポイントラインから大きく離れたロングシュートを沈めて波に乗る。3点ビハインドの第2Q、C桂葵(社4=愛知・桜花学園)のスリーポイントシュートで同点に追いつくと、田村の好アシストをF根岸夢(スポ3=東京成徳大)が確実に得点し、21−20と逆転に成功。その後G中村和泉(社2=山口・慶進)の2本のスリーポイントシュートやF関根彩乃(教3=千葉・昭和学院)のミドルシュートで9点の差をつけた。しかし残り2分、パスミスからターンオーバーを許し、ファウルからのフリースローで2点を献上。ここから早大オフェンスがもたつき、一気に9連続失点。31−31とスコアを振り出しに戻され、前半を終えた。

スリーポイントシュートなど要所で活躍した中村

 迎えた第3Q、桂が1対1で難しいフェイダウェイシュートを決め、再び優勢に立った早大。桂がバスケットカウントワンスローを決め3点、そして絶好調の田村がスリーポイントシュートで3点を奪う。しかし東京医療保健大も時間をかけた丁寧なオフェンスで確実に得点を重ね、その差を2点にとどめて勝負は第4Qへ。開始直後に同点に追いつかれると早大のシュートが単発になり始め、残り時間が減る中で痛恨の逆転を許してしまう。しかしここから早大のすさまじい集中力が発揮された。田村と関根が立て続けにスリーポイントシュートを決め得点差を詰めると、さらに桂がノールックで出したアシストパスをPG本橋菜子(スポ3=東京・明星学園)がバックシュート。再び57−57と並ぶ。残り4分の緊迫した展開でも、選手は落ち着いていた。勝負所でのシュートを落とさない早大に対して、空回りし始める東京医療保健大のオフェンス。その隙を見逃さない早大は一挙14連続得点を上げた。最後の力で相手に5点をもぎ取られるも、70−62で試合終了。手に汗握る接戦を制し、決勝リーグで貴重な2勝目を上げた。

最終戦で調子を取り戻した関根

 目標である優勝は成し遂げられなかったものの、「大事な試合で競って競って競って勝ち切ることができるようになったことが、今回ですごく成長できた部分」と神﨑由香主将(スポ4=福岡・中村学園女)が語るように、ライバルとして意識していた白鷗大から今大会で一勝を獲得したことは、大きな収穫だろう。次の目標は、きょねんは無念の4位に終わった関東大学女子リーグ戦での栄冠だ。『全員バスケ』で優勝を手にするその日を見据えて――。選手たちの目に迷いはない。

(記事 宮西祐香子、写真 巌千咲、角田望)

★個人賞でも大健闘!

 敢闘賞とアシスト王に本橋、ベスト8賞に根岸、3ポイント王に田村が輝いた。全試合を通して安定した得点源となった根岸、大会後半で調子を取り戻し試合の流れを作った田村、冷静な指示を出すだけでなく自ら得点に絡む場面も見せ、早大の勝利に大きく貢献した本橋。早大を担う主戦力たちの活躍に、今後も大きな期待がかかる。

『準優勝おめでとう』の幕に笑顔の選手たち

第48回関東大学女子選手権
早大 70 13-17
18-14
16-14
23-17
62 東京医療保健大
【スターティングファイブ】
G#22田村未来(スポ2=愛媛・聖カタリナ女)
PG#15本橋菜子(スポ3=東京・明星学園)
F#11根岸夢(スポ3=東京成徳大)
F#18関根彩乃(教3=千葉・昭和学院)
C#25桂葵(社4=愛知・桜花学園)
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コメント

萩原美樹子ヘッドコーチ(平17二文卒=福島・橘)

――優勝には勝利が絶対条件となった状況で、試合前に選手にどのような言葉をかけましたか

山梨学院大に負けた時に、彼女たちはすごくいいチームなんですけど、それよりも自分たちがやってきたことを一つもできずに負けてしまったんですね。練習してきたはずのことが全くできなかったことがすごく悔しくて、白鴎大に関しても東京医療保健大に対しても、勝ち負けはいいからやってきたことを全て出してほしい、結果はいいよ、ということを言いました。きょうは100パーセント以上の力を出してくれたと思います。

――前半は競る展開となりましたが、ハーフタイムに選手にどのようなことを伝えましたか

あと20分なので、細かいところももちろん伝えたんですけれども、とにかく終わってから後悔しない戦いを残り20分コートに置いてこい、ということを伝えましたね。

――後半はビハインドの時間帯が長かったですが、どのような気持ちでいらっしゃいましたか

私はヘッドコーチなので、このまま10点差をつけられたらどうしようかを考えていたんですけれども、後半は選手が相手にひっくり返されてもすぐにひっくり返すということをやってくれたので、やはり選手がすごかったですね。

――第4Q、逆転してから点差を離すことができた要因は

とにかく選手の気持ちですね。残り20分、後悔しないように、という気持ちがものすごく出ていたと思います。

――今季初の大会でしたが、新チームについての評価は

実はちょっとこの大会の前にケガ人が続出していて、桂(葵、社4=愛知・桜花学園)も大きい怪我をしているんですね。40分彼女を使える状況ではなかったので、私はあまり1年生をこの大会で使ったことがないんですけど、今回は使わざるを得ない状況でした。その中で1年生がしっかりとつないでくれたので、これからチームに馴染んでくればすごく楽しみだなと思います。

――2位という結果については

収穫としては1年生がしっかり使える選手だとわかったことですね。昨年までは比較的桂ばかりで周りが攻めない状況になることもあったんですけど、ケガの功名なのか、周りの選手が攻めの意識を強く持ち出してくれたので、そのような状況で修羅場をくぐってこられたことが収穫だと思います。課題がディフェンスです。山梨学院大に82点取られてしまいましたし、そこはもう一度鍛え直さないといけないかなと思います。

――今季の抱負をお願いします

いい選手が来てくれて、私としてもいい選手を預けていただいたという意識がありますので、あまり練習時間が確保できないとかまだまだ問題もあるんですけれど、こっちとしても工夫をしていきたいです。4年生が「全大会で優勝したい」と言っているので、4年生の目標を叶えてあげられる努力をしていこうと思っています。

G神﨑由香主将(スポ4=福岡・中村学園女)

――2位という結果について、感想をお願いします

優勝できなかったのはすごく悔しいのですけど、白鷗大と東京医療保健大に勝てたのは、やっぱり全員でここまでやってきた結果だと思います。私たちが山梨学院大に勝利できなくてこういう結果になったからこそ、この試合を糧にまた強くなっていきたいと思います。

――きょう負けてはならない一戦でしたが、試合前にどんな声かけをされたのですか

全部出し切ろう、ということを監督にも言われていて。みんなで全部出し切ろう、全部出し切ろうというふうにやっていました。声かけというよりは、1人1人それが分かっていたので、全員で頑張っていこうね、という感じだけでしたね。

――この大会を通して、チームとして成長できた部分はありますか

勝ち切ることができるようになったなと思って。やっぱり、大事な試合で競って競って競って勝ち切ることができるようになったことが、今回ですごく成長できた部分だと感じますね。あと、試合が長い期間あって、その中で調子が良い、悪いというのがあったんですけど、1人1人がそれを乗り越えて、葛藤せずに自分の壁を打ち破ることができたというのも、今回成長できた部分ですね。

――逆に、見つかった課題はありますか

ディフェンスが全然できていませんでした。メンタル的にはすごく良かったと思うんですけど、ディフェンスができていないという技術的な面で、まだまだだなというのが今回の反省点です。

――神﨑選手の復帰について、桂選手がとても嬉しいと語ってくださいました。再び桂選手と一緒にプレーできるようになって、いかがですか

私ももう嬉しいとしか言いようがないですね。本当に、ネネ(桂)だけじゃなくてみんなとやれることが本当に嬉しいことだなと思うので、頑張ります。

――次の秋季リーグ戦を前にして、夏にどういったことを強化していきたいですか

もっともっと、一人一人がパワーアップすることがやっぱり第一です。一人一人がもっと強くなったら、より優勝が近くなると思うので。そういった個々のパワーアップと、チームでまとまったことを全員が共通認識でやっていくということを頑張っていきたいです。

PG本橋菜子(スポ3=東京・明星学園)

――2位という結果でしたが

悔しいんですけど、でも自分たちの負けでこういう結果になったのでしっかりと受け止めて、次に向けて頑張りたいと思います。

――きょうの試合を振り返って

最後までみんなで諦めないで戦えたので良かったです。

――今大会全体を振り返って

試合に出ているメンバーと、ベンチで応援してくれているメンバー全員で頑張って戦ってこれたので良かったと思います。

――敢闘賞、アシスト賞に輝きました

私の力ではないんですけど、みんな支えてくれたおかげで取れたので素直にうれしいです。

――チームとして成長した部分は

山梨学院大に負けたときに、チームが一つになれて絶対に諦めない強さというのを見せられたんじゃないかと思います。

――チームとして出た課題は

今シーズンはディフェンスの部分を中心的に取り組んできたんですけど、まだまだ甘いなと感じたのでそこを強化していきたいです。

――今後に向けての目標をお願いします

また一からやり直して、今度こそ優勝できるように頑張りたいと思います。

F関根彩乃(教3=千葉・昭和学院)

――2位に終わりましたがこの結果をどう捉えていますか

結果は優勝できなかったので悔しいですけど、でもあそこで山梨学院大に勝てなかったのは自分たちなので。(山梨学院大に)勝てなかったんですけどその後の2試合はちゃんと自分たちのバスケットをして勝てたので、やり切れたかなというふうに捉えています。

――きょうの試合を振り返っていかがですか

リバウンドのところで負けないようにというのを意識していたんですけど、そこの部分では途中ちょっと取られちゃっている部分もあったんですけど、最後まで集中してやれていたし、あと一人一人がちゃんとゴールに向かっていて攻め気を持っていたのがよかったのかなと思います。でも全体的にきょうの試合もそうなんですけど、ディフェンスの部分で課題があるなというふうに思いました。

――具体的にはどのような課題ですか

まず1対1でやられないようにするということと、チームディフェンスのルールのところをもうちょっとはっきりするようにしないといけないなと思いました。

――きょうはミドルシュートを多く決めていましたがその点についてはいかがですか

大会始まってあんまり自分の思うようなプレーとかシュートもそうなんですけどできていなくて、やっときょう自分らしいシュートのタイミングとかシュートセレクトができたかなと思います。

――きのうからスターティングメンバーに入りましたが意識していたことは

練習でも一応スタートのメンバーとして練習させてもらっていて、大会2日3日前にケガをしてしまって(スターティングメンバーから)降りることになってしまって、なので練習中にやっていた気持ちとかを思い出して、変に気負いとかはしないように練習でやっていたようにやればいいなというように思っていました。

――今大会全体を振り返っていかがですか

やっぱりディフェンスの部分ではまだまだ課題があるなというのと、でも最後の2試合まではワセダらしい、自分たちの持っている力を出し切れてなかったと思うので、最後の2試を戦い切れたのは大きかったと思います。

――今大会で得た収穫は

練習でやってきたことを山梨学院大戦まではあんまり出せてなかったし、でもそこで気持ちを切り替えて白鷗大戦と東京医療保健大戦は自分たちのやってきたことを表現できたというのは収穫になったかなと思います。

――今後の目標は

リーグ戦とインカレ共に優勝したいと思います。