勢いづく2部チームに無念の敗退

女子バスケットボール

 誰がこの結果を予想できただろうか。試合終了のブザーが鳴り響いた瞬間、不動の強豪・早大は肩を落とし、相手側は歓喜に沸いた。関東大学女子選手権大会(トーナメント)3日目、決勝リーグ第1戦で早大が対峙(たいじ)したのは、2部リーグ所属ながら1部のシード校を次々と倒し完全に勢いづく山梨学院大。序盤から両者譲らぬ展開で最終クォーター(Q)まで接戦が続くも、要所で放たれる相手の高確率なシュートで終盤一気に畳み掛けられ、73-82でタイムアップ。優勝が遠ざかる手痛い敗戦となった。

 第1Q開始直後にC桂葵(社4=愛知・桜花学園)のゴール下での先制点やG田村未来(スポ2=愛媛・聖カタリナ女)のスリーポイントシュートで幸先いいスタートを切ったかに思われたが、そのあとはシーソーゲームが続く。第1Q残り数秒というところでノーマークからの得点を許し、18-21と3点ビハインドで第2Qへ。このQ、途中出場のC林靖子(社1=福井・足羽)が早大をリードした。強気なポストプレーでシュートをねじ込み、ブロックショットで流れを作る。残り4分、PG本橋菜子(スポ3=東京・明星学園)から速攻に走るF根岸夢(スポ3=東京成徳大)にディフェンスの間をかいくぐる絶妙なアシストパスが飛び、そのまま根岸がレイアップシュートを決めて31-30と逆転。流れが傾きかけたここで一気に突き放したいところであったが、山梨学院大もすかさずタイムアウトを要求し、体勢を立て直してくる。43¬-42と1点のリードを保ち、前半を折り返した。

1年生ながらチーム最多の19得点を挙げた林

 第3Qの出だしはテンポの速いラリーが続き、点の取り合いとなる。リズムよくオフェンスを展開し51-46と点差を広げたが、課題は守備にあった。「ディフェンスの足がとにかくなかった」(萩原美樹子ヘッドコーチ、平17二文卒=福島・橘)というように、ディフェンスで手が出てしまい、F加藤臨(スポ2=山形市立商業)、G田村、F根岸と主力勢が次々にファウルトラブルに見舞われる。じわじわと点差を詰められ、なんとか点数を稼ぎたい早大はシューターF平田彩乃(社4=長崎西)を投入するも得点には結びつかない。1点差の局面でも相手のシュート力は落ちず、会場の盛り上がりが最高潮に達する中で58-59と山梨学院大が逆転。しかし終了間際C林がシュートを押し込み、再び63-62と1点リードで最終Qを迎えた。開始1分、ディフェンスリバウンドが取れず相手にノーマークのスリーポイントシュートを献上し、再び相手にリードを引き渡す。ここから山梨学院大の勢いは止まらない。スペースを大きく使ったパス回しでディフェンスを揺さぶられ、何度もノーマークからミドルシュートでの得点を許してしまう。対する早大からは残り時間が減るにつれ焦りが見られた。相手の24秒オーバータイムで得たチャンスも、シュートがリングに嫌われ点差を詰めることができず。ラスト1分はなんとか食らいつこうと気迫のルーズボールで意地を見せるも、万事休す。最終スコア73-82で無念の敗退を喫した。

神﨑のはたらきで流れが変わる

 ここまで快進撃を続けてきた相手の勢いにのまれてしまった早大。今回の敗戦により、優勝のためにはもう1戦の負けも許されない状況となった。あすの相手は、きょねんのトーナメント、関東大学女子リーグ戦、全日本選手権大会と幾度も早大の前に立ちはだかったライバル白鴎大だ。代替わりを経てのリベンジに期待がかかる。三冠達成へ一筋の望みをかけて、きょねんの王者に早大が挑む。

(記事 宮西祐香子、写真 藤巻晴帆)

第48回関東大学女子選手権
早大 73 18-21
25-21
20-20
10-20
82 山梨学院大
【スターティングファイブ】
G#22田村未来(スポ2=愛媛・聖カタリナ女)
PG#15本橋菜子(スポ3=東京・明星学園)
F#11根岸夢(スポ3=東京成徳大)
F#7加藤臨(スポ2=山形市立商業)
C#25桂葵(社4=愛知・桜花学園)
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コメント

萩原美樹子ヘッドコーチ(平17二文卒=福島・橘)

――山梨学院大のどのような所にやられてしまったのでしょうか

守れなかったですね。相手に83点取られたっていうのが誤算というか、うちは70、2、3点取ってるんで、そこは逆にどちらかというといつもより取っている方なんですけど、ディフェンスが良くなかったですね。

――第4Q、点差を広げられたときどのような作戦で臨みましたか

追いかけるしかないので、「前に出て追いかけなさい」と言ったんですけども、追いつかなかったですね。本当にディフェンスの足がなかったなと思うのでもう1回練習でちゃんと作っていかないとダメかなということはすごく思いました。

――きょう明らかになった課題は

ディフェンスの足がとにかくなかったですね。直前にいろいろケガ人が出たので実は十分な練習が出来てはいないんですけど、そうは言ってもあまりにもダメかなというところでした。

――神崎選手がケガから復帰されました。チームの雰囲気は

そうですね。きょうは負けてしまったのですが神崎(由香、スポ4=福岡・中村学園女)がしっかりつないでいる所もありますし、そういう意味では全員そろっていい雰囲気でやれているとは思います。

――ことしはどのようなチームにしていきたいとお考えですか

きょねんのエースの本多(真実、平25スポ卒=愛知・桜花学園)が抜けて、結構きょねんのスタートのメンバーが残ってはいるのですが、やはり本多がいないのは大きいのかなという感じを受けているところもあるんですね。ことしはことしで、本橋(菜子、スポ3=東京・明星学園)といういいガードもいますし、本橋のいいガードを生かしたようなチームを作っていければ良いかなと思います。

――やはりことしの中心選手は本橋選手ということでしょうか

4年生の桂(葵、社4=愛知・桜花学園)もいますけど、本橋でなんとか出来れば良いかなと思います。

――あすの試合への意気込み

まだ終わったわけではないので、出来ることを最大限して諦めないで最後まで優勝目指して戦っていきたいと思います。

G神﨑由香主将(スポ4=福岡・中村学園女)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

勢いがあるチームなのでやりたいことをやらせないと言っていたのですが、相手の勢いを止められずに相手がすごく楽しそうに自分たちがやってきたことを出しているのに対して、ワセダはちょっと全員が気負い過ぎていて受け身になっていて、それが最後まで続いてしまった部分が敗因かなと思います。

――山梨学院大の印象は

ディフェンスはそんなに1線目が当たっていないという印象がすごく強かったです。簡単にボールをもらい過ぎてしまった分、いつもの1対1であったりスリーポイントシュートであったりがやりにくかったというのと、山梨学院大のオフェンスは1対1からすごく動いていてポストアップで中から頑張っているチームだと、全員で話した時も出ていました。

――流れが悪い時にどのようなことを意識してプレーされていましたか

流れが悪い時は周りに声をかけることとディフェンスで絶対にやられないということを意識していました。

――きょう明らかになった課題は

ワセダは1対1からのワンセットが良いのですが、全員が全員、横を見過ぎてしまって自分の攻めがなかったから簡単に守られてしまった、という部分がありました。なのであしたはそこをもっと自分でリングを見て、1対1から狙うということと、ディフェンスでやられ過ぎていたので1人1人がしっかり守って。あとリバウンドが課題でした。

C桂葵(社4=愛知・桜花学園)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

チーム的に言うと負けていい相手ではなかったので、これも私たちなので実力といえば実力なんですけど、もっと上手くできたかなとかもっとやれることがあったなと思います。

――山梨学院大の印象はいかがでしたか

やっぱり勢いのあるチームってことはずっと大会通していろんなところに競って勝ってきているので、勢いのあるチームってことは最初からみんなで共有していたんですけど、やっぱり勢いがありましたね。

――きょうの敗因は

私が大事な時に点数を決め切れなかったり、中のプレーが欲しい時に私が踏ん張りきれなかったりしたし、それはオフェンスの面なんですけど、チーム的な敗因を言うと完全にディフェンスのところで、1対1で守れなかったっていうのと、1対1で守れない上にチームでも3線とかがいなくて守り切れなかったので、終始ディフェンスで止められなかったことが敗因ですね。

――あしたに向けて修正していきたいことは

試合は続くので、この試合はこの試合として一つ経験というか糧にして、きょう出た課題はディフェンスでしっかり守らないとオフェンスにもつながらないというところだと思うので、みんなで1本1本守っていいオフェンスにつなげていけたらなと思います。

――あしたに向けて抱負をお願いします

勝ちます!