【男子バスケ】早稲田旋風最終章 決戦を制し、57年ぶりの日本一へ/白鷗大戦展望

男子バスケットボール

 第77回全日本大学選手権(インカレ)決勝がいよいよ明日に迫っている。早大は、本日行われた準決勝で日本経大に勝利し、57年ぶりの優勝に王手をかけた。決勝の相手は、2年ぶりの優勝を目指す白鷗大。今回の記事では、大学日本一を懸けたインカレ決勝を展望する。

インカレでの歩み

 早大は、超攻撃的バスケットで関東大学リーグ戦(リーグ戦)で57年ぶりの優勝をつかみ取り、インカレでは第1シード。これまでに、神奈川大、日大、日本経大に競り勝ち、決勝に駒を進めた。特に神奈川大戦は最大19点差から逆転勝利し、早大の底力を感じさせる試合内容だった。

 対する白鷗大は、リーグ戦を3位で終え、インカレ第3シード。これまでに、近大、大東大、東海大に勝利し、決勝に歩みを進めた。特に大東大戦では、相手を60点台に抑えて勝利。自慢の守備力が際立つ試合だった。

 両大学はリーグ戦で2度対戦し、早大が2勝を収めている。しかし、両試合とも接戦で、終盤までどちらが勝ってもおかしくなかった。インカレ決勝も手に汗握る試合展開が予想される。

早大はリーグ開幕戦で白鷗大と対戦。この快勝から早稲田旋風は始まった

対照的な2チーム コンセプトの戦い

 白鷗大との決勝は、まさに矛対盾の対決となるだろう。90点台のハイスコアゲームに持ち込みたい早大と、70点台のロースコアゲームにしたい白鷗大の狙いは対照的だ。早大は速攻を狙い、躊躇なくスリーを連投するが、白鷗大は留学生のモンガ・バンザ・ジョエル(4年)を軸に、規律ある整えられたオフェンスを展開してくるだろう。両チームともコンセプトがはっきりしており、どちらがより自分たちのバスケを遂行できるかが勝敗のカギを握る。

 早大としては、早い時間帯にリードを奪うことで、白鷗大が急がざるをえない展開に持ち込みたい。そのためには、G下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一)のスピードを活かしたボール運びと、早大の飛び道具であるG堀田尚秀副将(スポ4=京都・東山)の3Pシュートが、試合序盤から立て続けに決まることが重要だ。1Qから早大の高速バスケットをエンジン全開で繰り出したい。  

下山ボールプッシュから早大の得意とする速い展開に持ち込みたい

早大の注目選手

 早大の注目選手はもちろん全員だが、特に注目したいのは4年生のG岩屋頼主将(スポ4=京都・洛南)とF堀陽稀副将(スポ4=京都・東山)だ。8月にU23の3×3日本代表として選出され、個人技にさらに磨きがかかった2人。早大のリーグ優勝の立役者で、得点ランキングでは岩屋主将が3位、堀副将が6位だ。岩屋主将は巧みなステップワークとシュート力で、堀副将は力強い豪快なドライブでチームのピンチを何度も救ってきた。

 インカレ決勝では、堀副将は2メートル越えの留学生モンガ・バンザ・ジョエル(4年)とのマッチアップが予想されるが、スピードの面で堀副将に分がある。豪快なドライブでリングへの道をこじ開けてくれるだろう。

モンガ攻略には堀副将の存在が必要不可欠だ

 試合終盤では、岩屋主将のシュートが鍵を握る。天性のバスケセンスを武器にしたプレーはまさに変幻自在。相手ディフェンスが正面で止めてくれば、後ろに下がるフェイダウェイを放ち、中途半端に止めてくるならばステップインで巧みにかわし、タフショットを決める。その名の通り、頼れる主将の活躍が早大の優勝を手繰り寄せるだろう。

 4年生にとって、インカレ決勝は泣いても笑っても大学最後の試合。優勝して、2人には最高の笑顔を輝かせてほしい。

準決勝は3Pのシュートタッチに苦しんだ岩屋主将。決勝での復調に期待が懸かる

早大勝利の指標を大胆予想!

 ここで、今シーズン早大バスケ部の試合を見続けてきた私の主観で、早大が決勝で勝利するための指標を考えた。以下の3つの項目のうち、どれか一つでも満たせば、早大の優勝は大きく近づくだろう。

① 試合を通して90点以上取る 

②チーム全体の3Pシュート成功率が40%以上

③30点以上得点する「爆発的なクォーター」を1個以上つくる

 ③は倉石平ヘッドコーチ(昭54教卒=東京・早実)も特に意識している指標だ。早大の持ち味は、高速バスケットを軸とした超攻撃的なスタイル。そのため、シュートの成功率、とりわけ3Pシュートの確率が勝敗を左右する。インカレベスト4をかけた日大戦のように、3Pシュートが50%の確率で入れば最高だが、シュートの精度は当日の選手たちのコンディションに大きく左右され、当然入らない日もある。それでも、「今日は3Pシュートが入らないから負ける」ではなく、「入らないなら、入るまで打つ」のが今年の早大のメンタリティ。決勝でも30〜40本もの3Pシュートを試投するだろう。この1年間こだわり続けてきた3Pシュートが、この決勝の大舞台で連発し、早大ベンチと観客席がお祭り騒ぎになることを期待しよう。

準決勝では多くの大観衆が早大のプレーに盛り上がった

 決勝は明日14日、17時30分に大田区総合体育館にて試合開始。

 早稲田旋風最高のフィナーレへ、頂の景色を見に行こう。

(記事 村山諒)