明日13日に準決勝を控える全日本大学選手権(インカレ)。ベスト4に残ったのは早大、日本経大、東海大、白鷗大の4校だ。23年ぶりのベスト4進出を果たした早大は、今大会のダークホースと言える九州2位・日本経大と準決勝で対戦。本記事では決勝戦進出を懸けたこの一戦の展望をお送りする。

攻撃的バスケを貫く早大
まず、早大のここまでの戦いを振り返ろう。インカレ初戦は神奈川大と対戦し、83-72で勝利。第2Qには最大19点のビハインドを負ったが、後半で逆転勝利を収めた。準々決勝は前回王者・日大と激突した。試合は終始拮抗(きっこう)した展開が続いたが、96-87で早大が勝利。成功率50%を記録した3Pシュートが勝因となった。
今大会、展開の速さを示すPACEは81.2(リーグ戦は81.0)。得点の効率性を示すオフェンシブレーティングは110.1(リーグ戦は113.3)と、インカレでも早大オフェンスの脅威は衰えていない。準決勝も早稲田の超攻撃的バスケットを貫き、ハイスコアの殴り勝ちといきたいところだ。
早大のキーマンにはG下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一)を挙げたい。神奈川大戦はファウルトラブルに苦しんだが、日大戦は16得点10アシストのダブル・ダブルを記録。持ち味の高速ドライブを止め切ったディフェンダーは今大会未だ1人もいない。シュートタッチも好調であり、今季飛躍を遂げたジャンプシュートは精度抜群。下山のゲームメイク能力と得点力は、日本経大による積極的なディフェンスの攻略へ重要になるだろう。

スーパー1年生のF松本秦(スポ1=京都・洛南)にも注目だ。日大戦は24得点10リバウンドのダブル・ダブルを達成。以前は「自分でのクリエイトが課題」と語っていた松本だが、今大会はペイントアタックから多くの得点を記録している。また、守りでも得意のブロックショットや、スイッチ時の対ハンドラーディフェンスで存在感を発揮。全国の舞台で大物ルーキーはさらなる進化を遂げている。
堅守で快進撃の日本経大
対する日本経大はグループステージからの勝ち上がり。決勝トーナメントでは関東勢の中大、明大を撃破し、準々決勝では天理大との地方勢対決を制した。
チームの売りはディフェンスであり、今大会のディフェンシブレーティングは87.7を記録(関東大学リーグの平均は96.9)。今大会は未だ70失点を超える試合がなく、堅い守りで接戦をものにしてきた。選手層の厚みを生かし、高い強度を40分間保っている。
オフェンス面の特徴は積極的な3Pシュート。今大会の平均試投数37.2本は早大を上回る本数だ。 一方で3P成功率は25.3%と、シュート精度には課題が残る。サイズの小さい早大に対してはオフェンスリバウンドが1つのポイントとなるだろう。

注目選手はキャプテンの小泉太陽(4年)。パスセンスに秀でるSGの今泉は、決勝トーナメントから平均16.7得点、3.7アシストを記録している。また、留学生のボディアン・ブーバカー・ベノイット(1年)はスキルフルなビッグマン。高校時代は主将を務めるなど、リーダーシップでチームをまとめている。
早大の攻撃力か、日本経大の守備力か
オフェンスを武器にする早大と、ディフェンスを武器にする日本経大。決勝進出を懸けたこの一戦は、大学最高峰の矛盾対決となる。自分たちのスタイルを貫き通し、流れをつかんだチームに試合は大きく傾くだろう。
勝負のカギを握るのは3Pシュートだ。アウトサイドシュートを中心とする両校の対戦は、空中戦になることが予想される。試合の流れはそれぞれのシュートタッチに激しく左右されるかもしれない。

全国の頂点へ、残されたピースはあと2つ。リーグ戦から快進撃を続けた早大の勢いは、未だ止まることを知らない。鉄壁の日本経大を撃破し、1974年以来の決勝進出へ。頂上決戦への切符を懸けた大学最高峰の空中戦を見逃すな。
(記事 石澤直幸)