【男子バスケ】堀田尚秀 覚醒中のレフティシューター 我慢の春を乗り越え、オータムリーグの主役へ

男子バスケットボール

 昇格組ながら3勝1敗と開幕ダッシュに成功し、関東1部リーグに強烈なインパクトを与えている早大。この快進撃を支えているのは、現在覚醒を遂げているとあるシューターの存在だ。今季ここまでリーグトップの3P成功数を誇るG堀田尚秀副将(スポ4=京都・東山)。生粋の3Pシューター・堀田の長距離砲は幾度となくチームを救っている。

リーグトップの3Pシューター

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)に早大が旋風を巻き起こしている。ここまで3勝1敗をマークし、早大では2017年以来の開幕4戦3勝を記録。目標とする攻撃的なバスケットを体現しており、チームの3P成功数58本は2位の中大に15本差をつける断トツの1位だ。早大の強みは全員がドライブを仕掛けられ、全員が3Pシュートを打てるチーム全体のオールラウンド性。しかしその中でも堀田の3Pシュートは一際と存在感を放つ。堀田が今季沈めた18本の3Pはリーグトップの数字だ。

 堀田ほどシューターという言葉が似合う選手は数少ないだろう。ここまで3Pのアテンプトは38本に対し、2Pは6本。昨季も2Pをシーズンで14本しか打っておらず、オフェンスの大部分を3Pシュートが占めるプレースタイルだ。「3Pが僕の役割なので」。語る堀田はいつも謙虚で冷静沈着。目標とする3ポイント王に向けて、今は47.3%の高確率で3Pシュートを射抜き続ける。

我慢の春を乗り越えて

 昨季はチーム屈指のシューターとして活躍を見せた堀田であったが、今年の関東大学選手権(スプリングトーナメント)ではプレータイムに恵まれなかった。2、3番の選手ではディフェンス力に優れるG城戸賢心(スポ3=福岡第一)が出場を続け、ディフェンスが課題の堀田はわずか2試合の出場。我慢の時が続いた。しかしスプリングトーナメント後、大きなアクシデントが早大を襲った。ここまで活躍を続けていた城戸が膝を故障。リーグトップクラスのSGが戦線を離脱すると、そのプレータイムは堀田に巡ってきた。堀田はリーグ開幕直前の早関定期戦から好調を維持。3Pシュートを強調するチームスタイルにも合い、開幕戦からスターティング5に名を連ねた。

 ここからの堀田の活躍は目を見張るものだった。開幕戦から5本の3Pシュートを決めると、2戦目の日体大戦も6本の3Pシュートを成功し22得点。その勢いのまま数字を積み重ね、2018年から導入された22試合制以降では史上初となるシーズン100本も見えてくるペースで3Pシュートを決め続けている。課題のディフェンスでも成長を続け、初戦の白鴎大戦では4本のスティールを記録。日体大戦でも東山高の同級生である西部秀馬(日体大・4年)とマッチアップし、良いディフェンスを見せた。「ディフェンスはとにかく頑張ろうという意識」。チームの副将を務める堀田はディフェンス時に一際大きな声を出し、リーダーシップを発揮する。

目指すはプロの舞台

 「Bリーグに行きたい」。開幕前に堀田はまっすぐな目で理想を語った。入学当初はプロの舞台へ進むことなど考えていなかった。しかし大学でプレーを続ける中で心境が変わり、自分がどこまでやれるか挑戦したくなったという。ドラフト志望届を出さず、B.one、B.nextのチームとの契約を狙うことが現在の考え。「自分のキャリア的にも大事な1年になる」。この一言にはラストイヤーへの覚悟が現れていた。

 有力選手のプロ転向が相次ぎ、混沌を極める今年のリーグ戦。その混沌の中心に現在早大は位置している。攻撃的なバスケットを貫き、関東1部により一層の波乱を。さらなる高みを目指し、堀田は放物線を描き続ける。

(記事 石澤直幸)