第101回関東大学リーグ戦 8月31日 東京・日体大世田谷キャンパス
前節の日体大戦で悔しい逆転負けを喫した早大。迎えた関東大学リーグ戦(リーグ戦)第3戦は、関東大学選手権(スプリングトーナメント)で僅差で敗れた中大と対戦した。雪辱を期す一戦は、拮抗(きっこう)した試合展開となった。4点リードで迎えた試合終盤、G下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一)の値千金のスリーが決まって、勝負あり。89-84で競り勝ち、リーグ戦開幕2勝1敗という素晴らしいスタートダッシュを切った。
第1Q序盤は中大のペース。早大は日体大戦の疲労もあるのか足が重く、思うように波に乗れない。しかし、重い展開でもG岩屋頼主将(スポ4=京都・洛南)がタフショットを沈め、流れを引き寄せる。また、G堀田尚秀副将(スポ4=京都・東山)のスティールから下山が独走してレイアップを決めるなど、堅守速攻という早稲田のリズムを取り戻し、25-27で第1Qを終えた。
第2Qも拮抗した展開が続く中、早大はF松本秦(スポ1=京都・洛南)が躍動。長身を活かし、相手ディフェンスがいようとお構いなしで連続でスリーを決める。1年生とは思えない冷静さと試合の流れに左右されない飄々(ひょうひょう)としたプレーからは大型ルーキーとしての片鱗が垣間見えた。第2Qは早大のペースだったが、中大も粘り強く、54-54の同点で前半を終了。松本は前半だけで21得点を記録した。

3Pシュートを放つ松本
第3Qは我慢の時間帯。両チームとも堅守が目立ち、なかなか思うように点が伸びない。それでも先に流れを掴んだのは早大。前半の課題だったディフェンスリバウンドを改善し、激しいディフェンスからF堀陽稀副将(スポ4=京都・東山)がコートを切り裂く力強いドライブでレイアップを決め、試合の均衡を破る。第3Qのラストプレーでは、下山から堀副将への完璧なアリウープが決まり、71-67の4点リードで第4Qへ。
勝負の第4Q。日体大戦では開始2分半で0-12のランを許していたため入りが肝心だったが、そんな心配を吹き飛ばすかのように開始早々から松本がタフなレイアップを決めきる。早大は強度の高いディフェンスを継続し、中大に流れを渡さない。4点リードで迎えた試合終盤には下山が試合を決定づけるスリーを決め、早大ベンチと応援席は歓喜に包まれた。89-84で中大に勝利し、早大が春の雪辱を果たした。

ボールを保持する岩屋
今回の試合はまさに意地と意地のぶつかり合い。両チームとも連戦の影響もあってか疲労が目立ち、後半は特に重い試合展開となった。それでも早大は激しいディフェンスから速攻というスタンスを崩さず、早稲田らしさを貫いた。絶対的司令塔である下山はこの試合で11アシスト。速攻と遅攻を上手く使い分けた緩急のあるゲームメイクは今日も健在で、平均アシスト数は現在リーグ1位だ。そして、スーパールーキーの松本はこの試合で27得点を記録し、平均得点は現在リーグ2位と素晴らしいパフォーマンスを継続している。
今年の早大の魅力は、とにかく走って点を取りまくる高速バスケット。オフェンスの試行回数を増やし、ハイスコアゲームに持ち込んで相手に殴り勝つ。これは、留学生がいない分、身長のミスマッチよりもスピードのミスマッチで相手を凌駕するという早大ならではの戦略だ。リーグ戦はまだ19試合残っている。今後も早稲田の高速バスケットから目が離せない。
(記事 村山諒 写真 石澤直幸、高津文音)
第101回関東大学リーグ戦 8月31日(vs中大)
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
早大 | 25 | 29 | 17 | 18 | 89 |
中大 | 27 | 25 | 15 | 14 | 84 |
◇早大スターティングメンバー◇
#0 G下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一)
#3 G嘉手川太智(商3=沖縄・開邦)
#6 F三浦健一(スポ3=京都・洛南)
#7 G堀田尚秀(スポ4=京都・東山)
#12 F松本秦(スポ1=京都・洛南)
コメント
F堀陽稀副将(スポ4=京都・東山)

ーー本日の試合を振り返っていかがでしたか。
勝ててよかったです。
ーー今日は3Pシュートの成功率が2/3と今季は3Pシュートが決まっていますが手応えとしてはいかがですか。
ノーマークが多いので、そこをうまく使っているという感じです。
ーー体の大きい選手とマッチアップすることが多いですが、その時に意識していることはありますか 。
ディフェンスやったらファールを取られてカウントにしないということを意識しています。ファールするんやったらがっつりファールするし、手を挙げておくと相手によっては外すこともあるので、バスケットカウントにはさせないようにしています。オフェンスでは自分の方が速いので、そこをしっかり活かすようにしています。
ーー今季はベンチからの起用が続いていますが、どのように感じていますか
早く出して欲しいなとは思いつつも、いつ自分の出番が来てもいいように準備しています。去年もベンチスタートはありましたが、今年に入ってから試合途中からプレーすることがなかったので少し慣れるのには時間がかかっています。徐々に慣れていければと思っています。
ーー開幕前は5人制への適応に苦戦していましたが、今の状態はいかがですか
スクリーンなどといった自分の仕事はしっかりやっています。そこは次第にみんなとあってきているのかなと思っていますし、手応えも感じています。
ーー次戦の神奈川大戦に向けた意気込みをお願いします
神奈川大はディフェンスとかを結構してくる粘り強いチームやと思うので、そういうところで負けないようにしたいです。あとはリバウンドの課題がずっと出ているので、そこでも負けないように頑張ります。
G下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一)

――本日の試合を振り返っていかがですか
相手も留学生がいないチームで、リバウンドに粘り強く飛んでくるチームという印象がありました。自分たちの弱点、背が低くてリバンドが弱いところがここ2試合で浮き彫りになっていたので、相手の強みであるリバウンドに対してしっかり向き合っていこうと、チーム全体としても自分としても思って試合に入りました。
――今季はここまで3Pシュートが当たっています。ご自身の調子はいかがですか
調子に乗らず、もっとしっかりと良い所で決め切ってチームが波に乗れたら良いなと思います。
――本日はクラッチスリーを決めましたがあのプレーは振り返っていかがですか
流れや時間的にはクラッチスリーになると思うんですけど、いつも通りの流れで味方から良いパスが来たので自分的には打ち切るだけでした。気持ちよく打てたと思います。
――松本選手や堀選手へのアリウープパスがありましたが普段から狙っているプレーでしょうか
アリウープを出す機会はあまりありませんが、スペースが空いていましたし、今日は自分のボールの触り具合が良かったのでぶっつけ本番でもいけるかなと思ってパスを出しました。
――本日は11アシストを記録し、3試合合計24アシスト。リーグトップの数字となりますがいかがですか
チームのオフェンススタイル的には速いスピードからのスリーを重視するので、中に切れ込んでてからのパスを捌くということが自分の仕事、役割かなと思っていて、アシストは自ずと増えていくのかなと思っています。チームメイトがシュートを決めてくれるので、自分のアシストも増えているかなと思います。
――今年の早大はハイスコアゲームが多いですが、チームの役割として下山選手が意識していることはありますか
点数を取るにはシュートの確率を上げることもそうですけど、オフェンスの回数を増やすことが重要と倉石平ヘッドコーチ(昭54教卒=東京・早実)がよく言っています。そこで自分のスピードを生かして、オフェンスの回数を1つでも2つでも増やせるようにしていこうと思ってやっています。
――神奈川大戦に向けての意気込みをお願いします
まだリーグ戦は始まったばっかりで、次が4試合目です。しっかりと気を引き締めて、また自分たちのバスケットができるように頑張りたいです。