目指すは「唯一無二のバスケット」 チーム一丸で真夏の頂点へ/全日本大学新人戦展望

男子バスケットボール

 7月8日に初戦を迎える全日本大学新人戦(新人インカレ)。関東大学新人戦(新人戦)で早大はわずか6人での戦いを強いられながら、1年越しに全国への切符をつかみ取った。1、2年生のみが出場可能となる今大会は、スター選手への登竜門。各大学の未来を担う若武者たちが繰り広げる真夏の頂上決戦の始まりだ。

 早大の主将、そして司令塔を務めるのはG小泉広翔(商2=京都・東山)だ。普段はディフェンダーとしての役割が大きいが、プレーメイキング能力も向上中。新人戦では帝京平成戦以降の4試合で、1試合平均5.5アシストの活躍を見せた。eFG%は23.9%とシュート効率に課題はあるものの、持ち前のスピードで敵陣に切り込むドライブは天下一品。若きチームをけん引する主将のパフォーマンスに注目だ。

新人戦ではアシスト王を獲得した小泉

 フロントコートの要にはF藤山拓翔(スポ2=新潟・開志国際)を挙げたい。今季売り出し中の2年生は、高い跳躍力と強靭なフィジカルを生かしたリムプロテクトを武器とする。新人戦では1試合平均2.75本のブロックを記録し、数多の留学生を抑えてブロックランキング1位に輝いた。さらに山学大戦では6本の3Pシュートを決めるなど、新人戦の3P成功率は43.3%を記録。新人戦で全5試合を200分フル出場した藤山が全国の舞台でも獅子奮迅の活躍でチームを勝利に導く。

 3人目の2年生、G羽鳥景親(創理2=東京・早実)はハッスルディフェンスと3Pシュートが持ち味。山学大戦では4本の3Pシュートを含む17得点で勝利に貢献した。羽鳥が3&Dの役割を果たせれば、チームにとって大きな存在となっていくだろう。

藤山の存在が好守において早大の要となる

 1年生も新人戦で素晴らしい活躍を見せた。G木村魁斗(スポ1=茨城・下妻第一)は高い3Pシュート能力を誇り、帝京平成大戦と山学大戦ではチームを救う2本のクラッチスリー。3Pシュートを主体とする早大にとって、木村の長距離砲は試合の勝敗を左右するだろう。G木佐貫凌汰(社1=東京・早実)は卓越したパスセンスを持ち、新人戦ではアシストランキング3位に輝いた。小泉と共にどのようなオフェンスを組み立てていくかに注目だ。

木村の長距離砲が勝利へのカギだ

 決勝トーナメントに出場するには、3大学の総当たり戦であるグループステージの1位突破が絶対条件。グループステージで対戦する2校にも触れていきたい。7月8日の初戦の相手は関西予選3位の関西大。注目選手は奥村将吾(2年)だ。2年前、京都・鳥羽高のエースであった奥村は全国高等学校バスケットボール選手権大会(ウィンターカップ)京都府予選にてF松本秦(スポ1=京都・洛南)を擁した洛南高を下し、鳥羽高を25年ぶりのウィンターカップ出場へ導いた。選手としての武器は、正確なジャンプシュートとドライブによる得点力。このエースをどこまで止められるかが早大勝利へのカギとなるだろう。

 2戦目の相手は九州予選1位の日本経済大。最も脅威となるのはボディアン・ブーバカー・ベノイット(1年)だろう。高校時代は「留学生キャプテン」として注目を集めたベノイットは、198センチの長身であり、高い身体能力を誇る。早大としてはマッチアップが予想される藤山のディフェンスとリバウンドでベノイットを封じ込めたい。日本人選手では児玉ジュニア(2年)にも要警戒だ。児玉の武器は驚異的な跳躍力。身長180センチから繰り出されるダンクシュートは迫力満点だ。

 決勝トーナメントに進出した場合、初戦の相手は間違いなく関東王者の東海大だろう。新人戦MVPのエース・赤間賢人(2年)や新人戦の新人王・十返翔里(1年)らを筆頭に、ムスタファ・ンバアイ(2年)と渡邉怜音(1年)のツインタワーも強力。タレント力では他の大学の追随を一切許さない優勝候補だ。厳しい戦いが予想されるが、スター軍団との一戦は大きな財産となるだろう。強敵相手にも臆さない戦いに期待したい。

 各地方を勝ち抜いた強豪が集う新人インカレ。少数精鋭で戦う早大であるが、今大会の目標はもちろん優勝だ。「唯一無二の面白いバスケットで戦う。」早大の未来を担う若武者たちが真夏の歓喜をつかみ取る。

(記事:石澤直幸)