残り0.3秒で衝撃の結末 松本が42得点の活躍を見せ帝京平成大に勝利 新人インカレ出場を決めた!

男子バスケットボール

第65回関東大学新人戦 6月5日 東京・大田区総合体育館

 先日の試合で法大に勝利し、全日本大学新人戦(新人インカレ)出場まであと1勝とした早大。わずか6人での戦いを強いられている中、メンバーのほとんどがフル出場の死闘を繰り広げている。勝負の一戦の相手は帝京平成大。前日の試合で日大を撃破したダークホースと激突した。試合は前半、相手の高確率な3Pシュートに苦しみ13点のビハインドを負う。しかし後半からは調子の上がらなかったF松本秦(スポ1=京都・洛南)が本来のシュートタッチを取り戻し、第4クオーター(Q)で逆転に成功した。しかし3点リードで迎えた試合終了間際、相手に3Pシュートのバスケットカウントを許す。窮地に追い込まれた早大であったが、相手にまさかのベンチテクニカルが宣告。互いに1本ずつのフリースロー合戦を制し、新人インカレ出場を決めた。

 日大を撃破し、圧倒的な勢いを誇る帝京平成大。試合開始直後、早大もその勢いに飲み込まれた。先日44得点の活躍を見せた松本のシュートが決まらずにいると、オフェンスリバウンドやターンオーバーから連続失点を喫する。苦しい展開でも早大はG木佐貫凌汰(社1=東京・早実)がバスケットカウントを獲得するものの、オフェンスリバウンドから相次いで失点。立ち上がりに苦しんだ早大は13-22の9点ビハインドで第1Qを終えた。

 第2Qはリバウンドこそ改善するものの、相手の3Pシュートが止まらない。対する早大は外角のシュートの調子がいまだ上がらず、中でも松本は前半3Pシュートが0/9と苦しんだ。それでも松本のセカンドチャンスポイントで耐えしのぐと、G小泉広翔(商2=京都・東山)がスピードを生かしたドライブから得点とアシストを量産。チームに反撃ムードが漂った。しかし前半終了間際、ゲームクロックが残り少ない中で3Pシュートを被弾。28-41で前半を終えた。

ボールを保持する木佐貫

 反撃を期す早大は後半、眠れるエースがついに覚醒した。この日10本目の3Pシュートがついにリングを射抜くと、その後も3Pとミドルシュートを決めてこのQ15得点の活躍。さらに躍動する松本に呼応するかのように、F藤山拓翔(スポ2=新潟・開志国際)がディフェンスとリバウンドで相手留学生をシャットアウト。第3Q残り2分には小泉のノールックパスから松本の同点3Pシュートが突き刺さり、早大はついに帝京平成大の背中を捉えた。

 そして迎えた最後の10分間も、松本が連続して得点。藤山も再三の攻守で相手オフェンスを止めると、G木村魁斗(スポ1=茨城・下妻第一)も値千金の連続3Pシュートを沈めた。築いたリードは8点。試合時間残り2分としたところで早大が大きく勝利に近づいた。しかし帝京平成大もくらいつく。3Pシュートとドライブから連続して得点すると、試合時間残り54秒で早大のリードは1点にまで縮まった。

 その後は松本がファウルゲームで得たフリースローを沈め続け、3点リードの相手ボールで迎えた試合時間残り6.5秒。誰も予想だにしなかった衝撃の展開が待ち構えていた。ファウルを狙ったプレスをかいくぐられ、左45度からの3Pシュートを打たれる。ブロックに飛んだ小泉にファウルが吹かれると同時にシュートがネットを揺らし、勝利間際で痛恨の「4点プレー」。残り0.3秒で絶対絶命に追い込まれた。しかし、ここで喜びを爆発させ、ベンチメンバーがコートに飛び出した帝京平成大に対してまさかのベンチテクニカルが宣告。早大としては首の皮一枚つながったかたちとなり、試合の行方はテクニカルファウルとバスケットカウントによる互いに1本ずつのフリースローに委ねられた。早大のフリースローを任されたのはもちろん松本。プレッシャーのある場面であったが、しっかりとシュートを決めきった。その後は帝京平成大のフリースロー。この日は観客席から応援を続けた上級生たちが声と動きでプレッシャーを与えると、ボールはリングに弾かれる。リバウンドも藤山がかき出し、試合終了のブザーが鳴り響いた。「まさか」という言葉では言い表せないほどの衝撃決着により、75-74で早大が勝利。準々決勝進出を果たし、7月に行われる新人インカレの出場権を獲得した。

レイアップシュートを放つ松本

 厳しい戦いの中勝利をつかみ取り、新人インカレ出場という目標を達成した早大。その核となったのは間違いなく、先日44得点、本日42得点の活躍を見せた松本である。しかし明日以降、松本は3x3日本代表の活動に参加するため戦線を離れる。わずか5人での戦いとなるが、エースの離脱による新たな化学反応を期待したい。次戦の相手は同じく関東1部の中大。関東大学選手権で辛酸を舐めた相手へのリベンジを誓う。

(記事:石澤直幸 写真:三浦佑亮)

 1Q2Q3Q4Q合計
早大1315192875
帝京平成大22192474

◇早大スターティングメンバー◇

#8 G小泉広翔(商2=京都・東山)

#9 F藤山拓翔(スポ2=新潟・開志国際)

#12 F松本秦(スポ1=京都・洛南)

#24 G木佐貫凌汰(社1=東京・早実)

#32 G木村魁斗(スポ1=茨城・下妻第一)

コメント

藤山拓翔(スポ2=新潟・開志国際)

ーー本日の試合を振り返って

 今回は前半の出だしが悪く、最初に点数を離されてしまいました。ですが倉石さん(倉石平ヘッドコーチ、昭54教卒=東京・早実)から言葉をいただいて、後半からちゃんと自分たちで攻めていこうと思いました。どんどん波に乗れて、勝つことができて良かったです。

ーーその倉石ヘッドコーチとの言葉というのは

 相手が波に乗って僕たちが受けに回ってるからシュートも入らないし、自分のペースつかめてないから、もっと自分から攻めていこうと。そうしないと新人インカレ出場できないぞという言葉をいただきました。

ーー相手留学生とマッチアップする中、かなり封じ込めていたと思います

 今回はリバウンドを取ることよりも、相手にリバウンドを飛ばせないってことを意識しました。周りの人にリバウンドを取ってもらうことを意識していたので、相手に取られるリバウンドが少なかったのかなと思います、

ーーオフェンス面ではスクリーナーとしての献身的な活躍が目立っていますが

 松本秦くんがファーストオプションで、どこからでも攻めることができるので、自分はそこのサポートをしっかりしようと意識していました。

ーー珍しいかたちでの試合終了となりましたがそのときの感情はいかがでしたか

 ここで負けちゃうのかなっていう気持ちもちょっとよぎりましたが、勝ちたいっていう気持ちの方が強かったです。首の皮一枚つながって本当に嬉しかったです。

ーー明日の試合への意気込みをお願いします

 (松本)秦がいなくてみんなも40分フル出なきゃいけなくて、攻めるところも少なくなってきますが、みんなで頑張って勝ちたいと思います。

 

木村魁斗(スポ1=茨城・下妻一)

ーー試合を振り返って

 シューターというポジションで出ていましたが、前半からシュートが入らず苦しい展開でした。チームとしても前半に大きくリードされて苦しかったですが、「コートで一番シュートが入るのは自分だ」と心の中でずっと唱えていました。結果として要所でシュートを決められたのは良かったと思います。

ーークラッチタイムで2本のスリーポイントを決めました

 日々のシューティングの成果や、自分に自信を持って打ち続けられたことが実ったのかなと思います。すごくうれしかったです!

ーー入学後初の公式戦となっていますが、ここまでを振り返って

 関東大学選手権とか早慶戦(早慶定期戦)が直近であって、新人のチームではなかなか練習する機会がありませんでした。それでも個人としてはチームに貢献できるように、シューティングを続けていました。

ーー入学し2か月が経ちましたが、早大バスケ部の印象は

 コーチ陣が優しく接してくださり、バスケのこともアドバイスしてくださいます。盛り上がりもあって、すごく楽しいです。

ーー明日への意気込みをお願いします

 明日は松本が日本代表活動に参加するので、5人で40分やらなきゃいけない厳しい試合になると思います。それでも自分の長所であるシュートを生かして、チームに貢献したいです。