4年生が全員得点の快勝! 慶大を寄せ付けず早慶戦6連覇達成!

男子バスケットボール

第83回早慶定期戦 5月31日 国立代々木競技場第二体育館

 5月31日に開催された早慶定期戦(早慶戦)。荒天の中でも代々木第二体育館には大観衆が駆けつけ、83回目を迎えた伝統の一戦を見守った。試合は開始直後に早大が10-0のランで先制するも、その後はなかなかリードを広げられない。それでも第2Q終盤にじわじわと点差を広げると、G下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一)がバスケットカウントやアシストで躍動。一気に流れをつかみ、17点リードで前半を終えた。後半も早大の勢いは衰えることなく、G岩屋頼主将(スポ4=京都・洛南)、F堀陽稀副将(スポ4=京都・東山)、G高田和幸(商4=京都・洛南)といった4年生が得点を重ねる。安定して20点前後の得点差で試合を推移させると、終盤にはG石水鴻(スポ4=東京・国学院久我山)のフリースローで4年生全員が得点を記録。中盤以降は相手を圧倒し続けた早大が89-67で勝利し、早慶戦6連覇を達成した。

 緊張感が走る伝統の一戦の嚆矢(こうし)は堀副将のコーナースリーだった。最初のプレーで早大が流れをつかむと、その後も本日スタメンに抜擢(ばってき)されたC初宮嘉一(スポ4=東京・頴明館)の合わせや、F松本秦(スポ1=京都・洛南)のフリースローで連続得点。シュートタッチに苦しむ相手を前に、開幕から10-0のランを築いた。しかしタイムアウト後に早大が連続でターンオーバーを犯すと、修正を果たした慶大にバスケットカウントと3Pシュートを立て続けに決められる。早大も松本の3Pシュートで応戦するが、安田彪吾(慶大4年)の連続3Pシュートが突き刺さり、リードは4点に縮まった。それでもベンチから投入された下山のディフェンスが二つのオフェンスファウルを誘発。相手の流れをくい止め、21-16で第1クオーター(Q)を終えた。

 第2Qは2ポゼッション差での攻防が続く決め手のない展開。しかし前半残り4分、下山が3Pシュートを沈めると、松本がダンクシュートと長距離砲で慶大を突き放す。ここで試合の流れをつかんだ早大は、さらに下山が大暴れ。持ち前のスピードを生かしたコーストトゥーコーストでバスケットカウントを獲得すると、続けてダブルクラッチからのキックアウトでG堀田尚秀副将(スポ4=京都・東山)の3Pシュートを演出。早大の誇るスピードスターが大舞台で躍動した。さらに前半終了間際には、岩屋主将のスティールから堀副将が宣言通りのダンクシュート。点差を17点に広げる最高の展開で試合を折り返した。

ダンクシュートをする堀

 第3Qは後半の入りにやや苦戦する。慶大の得意とするゴール下を中心に攻められ、4連続失点。リードを11点に縮められた。それでも堀副将がバスケットカウントで流れを取り戻すと、ゾーンを仕掛ける相手ディフェンスを前に、松本のパスをF三浦健一(スポ3=京都・洛南)が沈めるアリウープが炸裂(さくれつ)。洛南高出身同士で見せた技ありのプレーを松本は試合後に「気持ちよかった」と笑顔で振り返った。その後も慶大が粘りを見せるが、岩屋主将が1on1から相手ディフェンスを打開し得点。第3Q終了間際にも高田がスティールから速攻を決め、73-48で第4Qを迎えた。

 最後の10分間は慶大の3Pシュート攻勢を浴びるものの、早大は高田が2本の長距離砲を沈めて対抗する。さらに今度は三浦のパスを松本が空中で受け取りシュートを決めると、曲芸的なプレーに代々木第二体育館はどよめきに包まれた。そのまま20点前後のリードを保ち続けると、試合時間残り4分には石水がコートイン。獲得した5本のフリースローのうち4本を沈める4得点の活躍を見せ、これにより早大は4年生全員が得点を記録した。試合は早大が最後までリードを保ち、89-67で試合終了。中盤以降は慶大を圧倒し続け、伝統の一戦を勝利で飾った。

フリースローを放つ石水

 本日の勝利により早大は1976年以来となる、歴代最長タイの早慶戦6連覇を果たした。来年は早大史上初となる早慶戦7連覇への挑戦だ。偉大なる先輩方から受け取ったバトンは、また後輩たちへと受け継がれていく。早稲田の伝統と誇りを胸に、これからも初夏の代々木第二体育館には大歓声が響き渡ることだろう。

(記事:石澤直幸 写真:加藤涼音、齋藤汐李、三浦佑亮)

第83回早慶定期戦 5月31日(vs慶大)

 1Q2Q3Q4Q合計
早大2228231689
慶大1716151967

◇早大スターティングメンバー◇

#5 F堀陽稀(スポ4=京都・東山)

#6 F三浦健一(スポ3=京都・洛南)

#11 C初宮嘉一(スポ4=東京・頴明館)

#12 F松本秦(スポ1=京都・洛南)

#18 G岩屋頼(スポ4=京都・洛南)

コメント

岩屋頼(スポ4=京都・洛南)

ーー主将として迎えた最後の早慶戦を振り返っていかがですか

 とりあえず勝てたということで安心という気持ちと、無事開催できたということをすごい嬉しく思います。観客も完売までチケットが売れていたので、開催できて良かったなという感じです。

ーー試合開始直後に10-0のランで先制しましたが、その場面を振り返っていかがですか

 そういえばそんなのあったなってくらいで、あまりプレーしていて10-0になった実感はなかったです。ですがいつもは勝たなければいけない相手に最初はリードをされたり、接戦にされることが多かったので、試合の入りを10-0で入れたことはチームとして一個の収穫かなと思います。

ーーその後はなかなか相手を引き離せない展開が続きましたがそちらに関しては

 (慶大が)粘り強いなって感じで、最初に10点差をつけても食らいついてくるのは良い意味で慶応らしいなと。しつこいなと思いました。

ーー岩屋選手個人としては1対1から得点する場面が多く見られました

 最近は練習から早く攻めたり、2対2をしており、チームで5対5をやる機会が少なかったです。5人のリズムが合いづらい分、個人個人で打開しないといけないという気持ちで仕掛けていきました。

ーー岩屋選手は3x3での活動直後の試合だったと思います。3x3の活動を通して得た収穫などはいかがですか

 この前の合宿でセルビア人のコーチの方からピックアンドロールの使い方を教えてもらいました。まだまだ自分の武器にはなっていないのですが、これからの試合や他の練習を通して自分の武器にしていきたいと思います。

ーーリーグ戦への意気込みをお願いします

 今年は例年より戦える年だということを自分たち自身で感じています。上位進出を目指して1個1個頑張っていきたいと思います。

堀陽稀(スポ4=京都・東山)

ーー最後の早慶戦を振り返っていかがですか

 楽しかったです。

ーー試合開始直後の3Pシュートははこの試合への想いが伝わるプレーでした。どのような気持ちで試合に臨みましたか?

 打ったら入ったので、やったーって感じです。

ーー宣言通りダンクシュートを決めましたが、振り返っていかがですか

 1発目をミスしてしまって最悪だと思ったのですが、2本目のチャンスが来たので行けてよかったです。

ーー満員の大観衆が代々木に駆けつけました。雰囲気はいかがでしたか

 大学バスケの中でこんなに人が入るのは早慶戦ぐらいしかないので、貴重な経験ができて楽しかったです。

ーー関東大学リーグ戦(リーグ戦)への意気込みをお願いします

 リーグ戦はいつも結構負けてしまっているのですが、8月までまだ時間はあるので、しっかり勝ち越すことができるようにチームとして練習頑張ります。

下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一)

ーー早慶戦という特別な舞台での一戦を振り返っていかがでしたか

 代々木第二体育館が満員になるくらいたくさんの方々に応援してもらうことでできるバスケはとても楽しいです。また、このような状況でバスケができることはすごいことなんだなということが率直な感想です。

ーー持ち前のスピードで相手を翻弄しましたが、手応えはいかがでしたか

 この2ヶ月、3ヶ月はチームの中でも走り込みをしていました。自分の持ち味であるスピードを活かして、どんどん自分たちのペースを作れたことが勝利につながったと思います。

ーー第2Qは大暴れでしたが振り返ってみていかがですか

 第2Qは体がよく動くと自分でも感じていました。この状態を4Q続けられるように意識して取り組めていけたらいいなと思います。

ーーディフェンスでも相手のオフェンスファウルを誘発する活躍していましたが、振り返ってみていかがですか

 自分は身長が他の選手と比べて小さいので、どのようにマイボールにするかを頭を使ってずっと考えていました。その結果、3つくらいオフェンスファウルを誘えたので、それは良かったと思います。

ーー左右で色が違うバッシュを使っていましたが、こちらについては何か意図があったのですか

 市販の抽選で当たったもので特に意図はないのですが、色がとてもいいなと思って今日履いていました。

ーーリーグ戦への意気込みをお願いします

 昨年は2部で戦っていたということもあり、1部の上位チームと戦う機会がなかなかありませんでした。それらのチームに対して今まで練習してきた成果を発揮して、自分たちの持ち味を出しながら勝っていけたらいいな、と思います。

 松本秦(スポ1=京都・洛南)

ーー初めての早慶戦はいかがでしたか

 こんなにも大勢の観客の方々が見てくださっている中でプレーしたことが今までほとんどなくて、しかも会場も代々木第二体育館で。最初は独特な空気に飲まれて緊張しましたが、点を取ってからはリラックスして、いつも通り自分のプレーをすることができました。

ーー1年生ながら堂々のプレーでした。ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 最初の方はターンオーバーしてしまったり、ディフェンスでエラーが起きてしまいました。後半はその流れを断ち切って、自分の持ち味を出したプレーができたと思います。

ーーリバウンドを持ち味としている慶大を相手に、インサイドで存在感を発揮していました

 まだ1年生というのもあって体では負けてしまっているので、その分賢く頭を使って、嫌なところを押したり、タイミングをずらしたりして勝負できたのは良かったです。

ーー松本選手から三浦選手へのアリウープ、またその逆のプレーでも会場を沸かせました

 (先輩の三浦とは)洛南高でも一緒にやっていて、仲良くさせてもらっていて。そんな人と良いプレーができて良かったです。気持ち良かったです!

ーー関東大学新人戦への意気込みをお願いします

 人数が少なくてハードな試合になるとは思いますが、まずは2戦勝って、新人インカレ(全日本大学新人戦)出場を目標に頑張ります。