第74回関東大学選手権 5月1日 東京・大田区総合体育館
前日の試合で執念の逆転勝利を収めた早大。続く相手は仲澤翔太HCの就任により新体制となった名門・筑波大だ。試合は序盤から早大がディフェンスで相手を封じこめ、早くも主導権を握る。シュートタッチも冴えわたり、第3Qには最大25点のリードを築いた。その後0-10のランで点差を縮められるが、なんとか逃げ切った早大。93-77で勝利し、ベスト8進出を果たした。
試合開始直後こそ筑波大にリードを許した早大だったが、G岩屋頼主将(スポ4=京都・洛南)とF三浦健一(スポ3=京都・洛南)の3Pシュートでくらいつき、互角の戦いを見せる。すると第1Q残り4分、早大はF堀陽稀副将(スポ4=京都・東山)の速攻、F松本秦(スポ1=京都・洛南)の3Pシュートが決まって逆転。ディフェンスでもオールスイッチでペイントタッチを許さず、相手のTOや24秒バイオレーションを誘発した。終了間際にはG下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一)のバスケットカウントも飛び出し、最高のかたちで第1Qを終了。11点のリードを奪う上々の立ち上がりを見せた。
第2Qもディフェンスプランを遂行し守り続けるが、オフェンスリバウンドから複数の失点を喫する。しかし長いパスを使った素早いオフェンスで得点を重ね、早大の土俵で試合を進め続けた。一時は相手のゾーンディフェンスに苦しむ場面もあったものの、松本、岩屋、G城戸賢心(スポ3=福岡第一)の3Pシュートで攻略。相手ハンドラーにペリメーターからの侵入を許さず、このQの失点を11に抑えた早大が44-25の19点リードで試合を折り返した。

ドライブを仕掛ける松本
第3Q、ゾーンディフェンスを続けた筑波大に対して、カウンターとなる三浦の連続3Pシュートが決まり早大が流れに乗る。松本と城戸も3Pシュートを沈め、第3Q残り5分には25点のリード。勝利に大きく近づいたかと思われたが、ここから筑波大の反撃が始まった。バスケットカウントと3Pシュートを立て続けに決められ、わずか2分の間に0-10のラン。一気に点差を15点詰められた早大は、城戸の3Pシュートでなんとか流れをくいとめる。しかしその後もオフェンスが停滞し続けると、第3Q終了間際にG堀田尚秀副将(スポ4=京都・東山)を投入。下山のブロックからそのままワイドオープンでボールを受けると、代名詞の3Pシュートがリングを射抜いた。重たい空気を一掃するこの日1番のビッグプレーに沸いた早大。その後は連続失点を許したものの、70-56の14点リードで第3Qを終えた。
勝負の最終第4Qは苦しい展開。修正を果たした相手のディフェンスを前にオープンを作り出せないが、下山のミドルや岩屋のタフショットでなんとか粘りを見せていく。しかし3連続で相手のオフェンスリバウンドから得点を許すと、スコアは79-70。勝利まであと5分としたところで、第1Q以来の1桁点差にまで詰められた。3分間得点がないピンチに陥った早大。しかしここでチームを救ったのは「頼れる男」岩屋主将だった。下山のオフェンスリバウンドからキックアウトを受けると、描いた放物線は値千金の3Pシュート。続けて松本がスティールから速攻を完結させると、三浦もドライブを決めて再度筑波大を突き放した。その後も点差を広げ、93-77で試合終了。張り詰めた空気が漂う40分間を戦い抜いた選手たちを、祝福のブザーが包み込んだ。

3Pシュートを放つ岩屋
序盤のリードを守り切り、強敵相手に勝利を挙げた早大。勝因の一つであるオールスイッチとダブルチームの融合は、「攻めるディフェンス」の境地であると言えるだろう。次戦は2連覇中の王者・日体大との大一番。臆することないチャレンジャー精神で、2016年以来のベスト4進出を目指す。
(記事:石澤直幸 写真:高津文音、三浦佑亮)
第74回関東学生選手権 5月1日(vs筑波大)
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
早大 |
25 |
19 | 26 | 23 | 93 |
筑波大 | 14 | 11 | 31 | 21 | 77 |
◇早大スターティングメンバー◇
#4 G城戸賢心(スポ3=福岡第一)
#5 F堀陽稀(スポ4=京都・東山)
#6 F三浦健一(スポ3=京都・洛南)
#9 F藤山拓翔(スポ2=新潟・開志国際)
#18 G岩屋頼(スポ4=京都・洛南)
コメント
ーー本日の試合を振り返っていかがですか
昨日に比べて、自分たちがやろうとしているプレーができていました。自分たちのリズムでバスケができて、勝ちの内容としても良かったと思います。
ーーオフェンスを引っ張りましたが手応えは
いつも通りやっていました。シュートタッチも良くて、みんながクリエイトしてくれたところを最後にスポットアップで打つといったかたちで、チームで取った点数だったと思います。
ーー相手のハードなディフェンスの中でもターンオーバーを抑えていましたが、振り返っていかがですか
みんな気持ちも入っていて、ルーズボールのところも良くできていたので、ターンオーバーを抑えられました。
ーーディフェンスリバウンドを取りきるシーンが多かったですが意識はいかがでしたか
早大のビッグマンが相手のビッグマンをボックスアウトしている状態で、そこでガードの僕が飛んで取れれば一番良いかたちだと思うので、そこは飛ぶように意識しています。
ーー次戦への意気込みをお願いします
明日もチャレンジマッチになると思いますが、今日みたいに思い切ってバスケして、勝てたらいいなと思います。
堀陽稀副将(スポ4=京都・東山)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか
最初から自分たちの流れでできたことが良かったかなと思います。途中相手のペースになりかけた時もあったので、そこが課題かなと感じています。
――リバウンドでの貢献が大きくありましたが手応えとしてはどうでしたか
自分が一番(早稲田の)試合に出ている中では大きいので、体を張って頑張りました。
―― 体を使う点で意識したことはありますか
他のチームと比べると自分が小さい時もあるので、その時は速さを活かしたプレーを心がけています。
――チーム全体で速攻が多くありましたが意識としてはいかがですか
自分たちは早いペースでプレーするようにしているので、ディフェンスからの早い攻撃はみんな意識していると思います。
――筑波大を倒したことに関してはどうですか
自分の中で初めて筑波大に勝つことができてすごく嬉しいです。ベスト8に入って最終日まで試合ができるのも嬉しいので、次からはチャレンジャー精神を持って頑張ります。
――日体大には東山高で一緒だった西部秀馬(4年)選手もいます。対戦相手としてはいかがですか
ライバル意識を持って、西部には負けないという気持ちで頑張ります。
――日体大戦への意気込みをお願いします
結構強いチームではあるので、自分たちは気を楽にしてプレーできる分、精一杯頑張りたいと思います。
城戸賢心(スポ3=福岡第一)

――本日の試合を振り返っていかがですか
全体的にサイズは相手の方がデカく、毎回リバウンドを課題にしていました。リバウンドを取られてしまう部分もありましたが、その時にみんなでディフェンスで我慢することができました。自分たちのペースに持っていって勝てる試合になったのでよかったです。
――スイッチディフェンスやダブルチームが機能していましたが、ディフェンスの手応えはいかがでしたか
相手がミスマッチを突いてくるところを、自分たちは総合力で守れました。相手がびっくりした部分もあって守れていたんじゃないかなと思います。
――大事な場面での3Pシュートが光りましたがいかがでしたか
前半はチームメイトに助けて貰っていたので、後半は自分がやってやるという気持ちで練習通りの成果が出たことは良かったと思います。
――元々強みであるミドルシュートだけでなく、3Pシュートも武器になっていると感じますが手応えはいかがですか
相手のサイズが大きくなってくると、自分の方が小さいのでブロックショットを警戒します。プレーの幅を広げて相手の守るポイントを増やすために3Pシュートは武器にしていきたいと思います。
――日体大戦への意気込みをお願いします
自分たちと同じ走ってくるチームでありつつ、サイズがあるので、自分たちがどう戦うかが一番の課題だと思います。その中でも点を取って、守って、速いバスケットをして勝てるように頑張りたいです。