8月末から始まった関東大学リーグ戦(リーグ戦)はついに最終戦を迎え、中大と対戦した。早大は前節の結果により13位で2部降格が確定しているため、今シーズン最後の試合となる可能性がある(※)。スターティングメンバーは大きく変更され、上級生中心に。出だしは早大が先行したが、第1クオーター(Q)終盤から中大がスリーポイントを好調に決め、リードを奪われる。11点ビハインドで後半へ。第3Q、早大が積極的にディフェンスを仕掛けて猛攻。逆転に成功し、55-54で最終第4Qを迎えた。このままリードしたい早大だったが、中大のスリーポイントに苦しめられ、点差を離される。諦めずゴールへ向かうも追い上げられず、75-86で惜しくも敗戦。リーグ戦を勝利で締めくくることは叶わず、涙をのんだ。
※11月8日から行われる入れ替え戦で1部リーグの2校が残留を決めた場合、1部リーグ13位である早大に全日本大学選手権の出場権が与えられる。
レイアップシュートを打つ飯島
第1Q、F細溪宙大主将(教4=東京・早実)含む上級生中心のスターティングメンバーが出場。開始早々にG石水鴻(スポ2=東京・国学院久我山)がスリーポイントを決める。続けてG飯島慶記(人3=茨城・下妻第一)、細溪が得点し好調な滑り出し。さらにF三浦健一が連続得点し、15-7で早大がリードする。しかし中大が連続スリーポイントを皮切りに追い上げを見せ、第1Q終盤に続けて失点。第1Qを18-19で終えた。第2Q、早大は果敢にゴールへ向かうもシュートを決めきれず、得点が停滞する。一方流れをつかんだ中大が得点を重ね、点差は10点以上に。第2Q終盤、G下山瑛司(スポ1=愛知・中部第一)のスリーポイント、G岩屋頼(スポ2=京都・洛南)の速攻で食い下がり、32-43で試合を折り返した。
ペネトレイトする細溪
点差を取り戻すべく臨んだ第3Qは、F星川堅信(スポ4=京都・洛南)の得点で先制。さらにG城戸賢心(スポ1=福岡第一)が続けて得点する。早大が追い上げを見せて点差を5点に縮め、中大はタイムアウトを要求。しかし早大が積極的なディフェンスから流れをつかみ、連続得点で畳み掛ける。そして三浦のリバウンドからの得点でついに逆転に成功。第3Q終盤からシーソーゲームとなるが、最後に下山がドライブから得点し、55-54と1点リードして第3Qを終えた。迎えた第4Q、序盤に連続失点し、さらに中大がバスケットカウントに成功。流れは中大に傾く。三浦が奮闘し、フリースローとスリーポイントを決めて61-61とするが、スリーポイントを決め返され、早大はタイムアウトを要求する。ここで流れを切りたいところだったが、中大が連続得点し苦しい展開に。中大が4本のスリーポイントを決め、一気に突き放されてしまう。早大も岩屋や城戸がシュートを狙うが、追い上げられず。75-86で試合終了。リーグ最終戦を笑顔で終えることはできなかった。
シュートを打つ星川
今年、4年生の選手はたった2人。エースとしてコート上で下級生を引っ張ってきた星川と、出場回数は少ないながらも、主将としてベンチから声でチームを鼓舞してきた細溪だ。その2人を学生スタッフの同期4人が支えてきた。星川はリーグ戦を振り返り、「重圧に耐えうる心の強さと、努力量が足りなかった」と話す。最上級生が背負う責任の重さは計り知れないものだっただろう。しかし退部した同期もいた中、「頑張り続けた僕らも僕らでしか見えなかった景色を見られた」と大学での4年間をバスケットボールに費やしたことを後悔はしていなかった。来シーズンからは2部リーグでの戦いが始まる。大学生活をバスケットボールに捧げた4年生の情熱を引き継ぎ、必ずまた1部リーグの舞台へ。
(記事 権藤彩乃、写真 梶谷里桜、三浦佑亮、田中瑠花)
第99回関東大学リーグ戦 11月3日(vs中大) | |||||
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1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
早大 |
18 | 14 | 23 | 20 | 75 |
中大 | 19 | 24 | 11 | 32 | 86 |
◇早大スターティングメンバー◇
G#2 石水鴻(スポ2=東京・国学院久我山)
F#13 星川堅信(スポ4=京都・洛南) G#22 飯島慶記(人3=茨城・下妻第一) F#24 細溪宙大(教4=東京・早実) F#77 石坂悠月(スポ3=東京・国学院久我山) |
コメント
F星川堅信(スポ4=京都・洛南)
――試合の前に4年生で話したことは
降格が決まって、来年2部でプレーさせなきゃいけなくなってしまったので、(チームに)なんて声をかければいいんだろうというのと、中央戦にどうやって臨もうかという話をしました。最初はリーグ戦優勝を目指していたけど、負けを重ねるにつれて、自然と1部残留を目指すようになってきて、それを果たせなかった現実と向かい合わないといけませんでした。そこから中央戦に臨むのが難しいから、どうしようかという話をしました。今まで応援してくれた人たちとか、実際に今日の試合を見に来てくれた友人とか家族とか、そういう人たちのために頑張ろうという話をして、それを4年生からみんなに伝えました。でもやっぱり、やらなきゃいけないというよりも、「勝ちたい」とか自然に出てくる気持ちの方がモチベーションとしては強いというか。どうしても追い込まれてこれをしなきゃいけないとなると、重圧も感じるし、コントロールが難しいし、という状況でした。そんな中今日の試合に臨んで、4年生も少ないし、下級生中心なので、みんなに負担をかけてしまって申し訳ないという気持ちが強いです。
――今回のリーグ戦を振り返って感じることは
何勝何敗と数字に出て表れるように、1勝の重みをすごく感じました。あとはリーグ戦序盤が大事だったなとあらためて思います。勝てそうな試合をぽろぽろ落としてきて、負けのイメージがついてしまいました。負けるとチームの雰囲気も重くなるし、またそういう状況が来たときに、同じことが起こるんじゃないかっていうことがよぎってしまいます。初戦や接戦を勝っていくことでチームに勢いがつくと思うから、そこで僕が4年生として頑張らないといけなかったですが、それがなかなかうまくいかず、負けが続いてしまいました。2巡目に入って、負けを取り返そうとして、無理で、無理で、と追い込まれてしまったので、最初から照準を合わせて勝たないと厳しいと感じました。
――苦しい状況の中、チームの良いところは何か見えましたか
厳しい状況になって、ヘッドコーチやアシスタントコーチから厳しいことを言われたときも、健一(三浦健一)とか、なお(堀田尚秀、スポ2=京都・東山)とかが「前を向こう」っていう言葉をチームにかけてくれました。そういう「まだいけるよ」っていう言葉が各個人から出ていたので、それが良かったです。今日も、勝てはしなかったですが、自分たちの流れでバスケットをできたときは明確にあったし、あとはそれを長くしていければ。ただ勝つのが難しいという感じでした。
――唯一コートに立つ4年生として過ごしたラストイヤーを振り返っていかがですか
自分の好奇心に正直にいこうと思っていた4年間だったので、バスケット以外にもいろいろ取り組んで。去年の入れ替え戦の時に、4年生に対して、そんなにチームを背負わなくてもいいのになと個人的に思っていました。でも4年生はそれをうまく糧にして僕たちを導いてくれて、入れ替え戦に勝って1部に残れました。いざ自分が4年生になってみて、リーグ戦終盤に追い込まれてくると、そういう重圧は感じたし、トーナメントで決勝にいくまでの努力よりも、リーグ戦の重圧のかかる場面ではもっと努力しないといけないことを感じました。重圧に耐えうる心の強さと、努力量が足りなかったなと。うまくなりたいというだけでやっている努力だとこういうときにゆらいでしまいます。これを良い経験と言ったらだめかもしれないけど、プラスに捉えるなら、こういう経験ができるのも大学でのそういうチームだけだし、試合に出てチームの負けというより自分の負けだなと感じる人もあまりいないと思います。大学4年目でそれを経験して、「あぁ自分だめなんだな」というのを強烈に感じました。これからプロでバスケットをさせてもらえるかもしれないけど、プロは仕事で、見てくれる人に金銭に対する対価をプレーで返さないといけないから、これから自分と向き合って、どこかのチームに加わる時にはチームでの役割を把握して、取り組みたいと思っています。
――学生スポーツだからこそ感じられたことは
オフコートも一緒に過ごすし、寮が一緒のやつもいるし、年代が近いから話題も被るし、ベンチに入れていない同期、大倉(隆太学生コーチ、教4=東京・早実)とか春日(裕樹学生コーチ、文構4=東京・国学院久我山)とか、そういう困ったときに助けてくれる仲間のために頑張りたいという気持ちが学生スポーツにはあって、それが魅力だと思います。このつながりはこれからも続いていくと思うし、人との関係は大切にしたいと思います。
――バスケットボール部で過ごした4年間を一言で表すと
『ありがとう』じゃないかな。4年間いろんな人が卒業して、いろんな人が入学してきて、それを同じ目線で見てきた同期がいて、『ありがとう』という感じ。結果は納得いかないし、悔やまれるところが多いけど、僕らの学年は半分くらい途中で辞めてしまって、彼らも彼らにしか見えない景色が退部した後に広がっていたと思うし、頑張り続けた僕らも僕らでしか見えなかった景色を見られたし、それを見られたという自覚も自信もあるから、この思い出を大事にしてこれからも頑張ります。
F細溪宙大主将(教4=東京・早実)
――今日の試合前4年生同士でミーティングされたということですが、何を話しましたか
勝っても負けても順位も何も変わらないということで消化試合という事実は変わらない。その上でどう戦うか、別に投げやりに戦うこともできるし、やり切ることもできるけどどうするか、という話が倉石さん(倉石平ヘッドコーチ、昭54卒)からあって、どっちの気持ちになるのもわかるから、お前らの好きにしていいよという話をされました。その後4年生で話していく中で、「選択肢にもなってないよね」と。「支えてくれた方々たちにも、応援してくれた方々たちにも、失礼になるような試合は俺らはできないよね。その上でこんな2部に落としたような4年だけど、まだ下級生に見せれる姿があるなら、見せるべきだよね。やり切るべきだよね。」という話をしました。
――今日の試合を振り返ってそのような戦い方ができたと感じますか
チームの方針としては「勝ちに行こう」という方針だったのは間違いないので、チームとして全力で勝ちに行った結果が今日の結果だったんですけど、その上で、倉石さんが思いを汲み取ってくれたのか、4年生2人、3年生2人がスタメンでした。その中で最初一つの流れを作ることができたのは悪くなかったのかなと個人的には思っています。個人的に悔やまれるところとしては、こういう気持ちが出るゲームで、最後までコートに立っていられなかったことは自分の力不足だな、と思います。でも堅信がやることをやってくれていたので、僕はいつも通りベンチでしっかり声を出すことで役割を果たせたと思います。
――今日はリーグ戦最終戦だったと思います。リーグ戦を振り返っていかがですか
終わりがこういう試合だったとか、自分が試合に出れたとかそういうのは一切関係なしに、結果として2部降格っていう結果を残した代の主将なので、本当に不甲斐ないですし、後輩たちに申し訳ないなという気持ちがあります。リーグ戦は長く戦っていく中で、学生スポーツである以上、僕は絶対4年生が強いチームが勝つと思っています。だから僕らの力不足だなと感じるリーグ戦でした。
――リーグ戦の間ベンチでも選手を鼓舞されている姿が印象的でした。それについてはいかがですか
今までも同じようなことを聞かれて、いろんな答え方をしてきたんですけど、本音を言えばやっぱりコートに立ってプレーと声と背中で引っ張ることができているんだったら、そういう主将でありたかったと思いはあります。それこそ一個上の神田先輩(神田誠仁、令5社卒=静岡・浜松開誠館)、津田さん(津田誠人、令4スポ卒=京都・洛南)、小室さん(小室悠太郎、令3社卒=石川・北陸学院)もそうですし、ああいうふうにコートに立ってプレーと声で引っ張るという姿が見せられるんだったらそれが理想だったんですが、僕にはそういうバスケットの実力がなかったので、やることをやるしかなくて。じゃあやれることってなんだろう、と考えた時に、声をベンチで出し続けるしかないというところに行き着いたというだけです。
――このキャプテンとして過ごした1年間を振り返って
ネガティブなことを言っちゃうと、失敗だらけの1年でした。結果として2部降格という大きな失敗があって、あと練習に対しての取り組み方の甘さを僕が指摘できなかったり、チーム全体で指摘するチームを作り上げられなかったりしたという、僕のチームの方針の緩さの反省があります。それこそ遅刻や忘れ物などの「気の緩みだろ」というミスも去年、一昨年とかと比べて多かったんですよ。それは間違いなく僕の責任だと思いますし、そういう意味で言うと、もっと厳しくというか、引き締めたチーム作りをできなかったというのは1つ反省です。せっかくのインタビューなのでポジティブな言い方をするのであれば、僕は今後バスケットは続けないかもしれないですけど、こういう経験ができたというのはきっとどういうことをやるにしても、どういう仕事に就くとしても繋がることなのかな、と思います。
――まだインカレ出場の可能性も残っています。出場するとしたらどんな気持ちで臨みたいですか
正直試合に出て活躍したいとか、そういうのではなく、チームとして試合に勝ちたいというのは大前提としてあります。その上で来年以降2部に落ちることになる後輩たちが1部校やインカレのトップレベルのチームたちと試合をするその機会を、自分が言えるような立場ではないですが、存分に楽しんで先に繋げて欲しいなという気持ちが1番です。
伊ノ山琉人学生コーチ(スポ4=東京・豊多摩)
――今日の試合の前に4年生で話したことを教えてください
消化試合っていうのが決まってる中で、チームを2部に落としてしまったっていうところもあったんですけど、やっぱりここでもう1回最後みんなでしっかり戦うっていうのを4年生としても話して、1、2、3年生にもついてきてもらいたいっていうのはみんなで話しました。
――このリーグ戦期間どのようにチームに関わって来ましたか
僕はフロアの上に出て戦えるわけじゃないので、チームの外からスカウティングとかの相手のチームのことであったり、自分たちのバスケットであったりっていうのをいかに良くしていけるかを考えてやってきたんですけど、 そこが1つうまくいかなかったのかなというのがあります。あと、4年生でなおかつ外から客観的にチームが見れるという中で、 特に下級生主体の中彼らを気持ちの面でもっとサポートしてこうとしてたんですけど、もっと早くやっとけばよかったという部分はあります。
――リーグ戦を終えた気持ちはいかがですか
とにかく1、2、3年生には申し訳ないと思います。このリーグ戦通して、ほんとにきつい時間がとにかく続いて、特に1年生とかはこんだけ負けたことがないっていう中で、初めての経験をしたと思うんですけど、その中でほんとよくやってくれたと下級生に対して本当思ってます。
――学生コーチの先輩がいた1、2年生の時のことを教えてください
1年生の時は先輩に学生コーチがいてほんと3、4年生にすごい頼れる人たちが、学生コーチも選手もいっぱいいて、自分にできることを小さく、こつこつやっていくしかないという感じで、また当然バスケットの勉強とかもしてみたいな感じでした。
――学生コーチの最上学年として過ごした3、4年時について
4年生になってからは当然これまでやってきたことをしっかり続けるっていうこともそうですし、後輩に学生コーチが入ってきて、僕らがいなくなった後に3年生の学生コーチが最上級生になるので、彼らにしっかりコーチとしてチームをまとめられるようにっていうところはちょっと意識して仕事はしました。
――インカレ出場が決まったらどのような気持ちで臨みたいですか
自分たちでコントロールできるわけではないですけど、せっかく機会をいただけるのであればもう1回チームとしてまとまって、このリーグ戦の反省を全部潰して、 来年に少しでも財産となるようなゲームをしていきたいと思ってます。
田口聖和学生トレーナー(スポ4=愛知・松蔭)
――試合前に4年生で話したことは
難しい状況ですが、頑張り切って終わるということだけは決めて試合に挑みました。
――このリーグ戦期間で、どのようにチームに関わってきましたか
トレーナーとしてけがをした選手のリハビリなどをするだけでなく、モチベーターとしてチームの士気を上げるということもやってきました。
――長いリーグ戦を終えた今の気持ちは
正直、もっとできたかなという後悔はあります。けれど、みんなで過ごした時間の中で頑張っている姿、成長した姿も見ることができました。まだまだできることはあると思うので、そこは来年また頑張ってほしいです。
――リーグ戦でうまくいったこと、いかなかったことは
当初は緩いチームで、和気藹々とした雰囲気が悪い方向に進んでしまっていました。そこをみんなで話し合って改善していけたのは良かった部分だと思います。悪かった部分は、そこを改善し切れなかったことです。去年に比べてオンコートではなくオフコートのミスがあったように感じます。
――インカレに出場できれば、それに向けての気持ちをお願いします
インカレには出られるかどうか分かりませんが、先に言ったように最後までやり切るというのは決めています。こんな言い方は良くないかもしれませんが、2部降格の事実も良い味として捉えて、ジャイアントキリングを狙いたいです。勝ったら面白いと思うので。このような状況だからこそ面白い方向に持っていけたらと思います。