起死回生の2連勝で、1部残留とインカレ出場決定!

男子バスケットボール

 2戦先勝方式で行われる東洋大との入れ替え戦は、ここまで1勝1敗。早大は運命の3回戦に臨んだ。序盤に2桁リードを奪うと、点差を保ち続けて前半戦を45−37で終える。後半戦、東洋大に追いつかれそうな場面でもディフェンスとリバウンドで踏ん張った。最後まで攻めの姿勢を貫いて87−76で勝利し、入れ替え戦で2勝をつかみ取った。これで早大の1部残留と全日本大学選手権(インカレ)出場が決まった。

 2回戦に引き続き、この試合でも出だしが好調だった。G岩屋頼(スポ1=京都・洛南)のドライブで先制すると、そこからG土家大輝(スポ4=福岡大大濠)のアウトサイドシュートなどで連続得点を挙げて、すぐに10点のリードを奪った。第1クオーター(Q)中盤、東洋大の激しいゾーンプレスに対して、攻撃のミスから失点する場面が続いたが、G堀陽稀(スポ1=京都・東山)がリバウンドで奮闘して食い下がる。第2Qが始まってすぐにF星川堅信(スポ3=京都・洛南)がスリーポイントを2本立て続けに決めて流れに乗ると、F兪龍海(スポ3=神奈川・桐光学園)の力強いインサイドプレーも光った。点を取り合う拮抗(きっこう)した展開で、序盤に奪ったリードを譲ることなく45−37で前半戦を終えた。

ミドルシュートを狙う兪

 第3Qの出だしは、ここまでの2戦の課題だった。しかし「自分のやるべき仕事を徹底できた」と話すF石坂悠月(スポ2=東京・国学院久我山)が堅いディフェンスで東洋大のミスを誘う。オフェンスでもバスケットカウントを獲得するなどチームを湧かせ、いい流れで第3Qに入った。さらにG高田和幸(商1=京都・洛南)が3本のスリーポイントを沈めると、岩屋も球際で粘り強さを見せ、早大が少しずつペースを握っていく。第4Qでは6点差まで詰め寄られる場面もあったが、泥臭くディフェンスとルーズボールとリバウンドをして乗り切った。残り3分で兪がバスケットカウントをねじ込み、さらに堀がスリーポイントを決め、残り1分で10点差にした。最後はG神田誠仁主将(社4=静岡・浜松開誠館)もコートインして87−76で試合終了した。

ゴール下でシュートを打つ石坂

 全29試合に及んだ関東大学リーグ戦(リーグ戦)が幕を閉じ、早大は1部残留とインカレ出場を決めた。東洋大との入れ替え戦では、1回戦で完敗するも、そこからはリバウンドを徹底し続け、起死回生の2連勝を挙げた。「自分たちが目標とするところに近づいてはいる」と神田は自信を示した。また、選手たちの活躍をコート以外の場所で支えたのは学生スタッフの存在だ。「この3日間は東洋大相手に学生コーチがとにかくスカウティングをやってくれました」(神田)。学生コーチの分析を選手が体現する。「それも1つの早稲田らしさ」だと神田は語る。選手だけでなく、スタッフも一体となってつかみ取ったインカレへの切符。だが、これはまだ1つの通過点。残り1カ月で、さらなる高みを目指す。

試合後にハグする神田(写真奥)と土家

(記事 落合俊、写真 荒井理沙 権藤彩乃 落合俊)

 
◆PICK−UP SCENE◆
「エースガード土家大輝と同期の絆」

4年生の集合写真。写真左が土家

 もう1試合も負けられない。そんな土壇場の状況からつかみ取ったインカレ出場。試合後、チームを引っ張り続けたエースガード土家大輝(スポ4=福岡大大濠)の目には涙があふれていた。同期の4年生たちは土家を優しく迎え入れた。

 「正直とてもキツくて、逃げたいという気持ちに何回もなりました」。土家はここまでの道のりを振り返って、率直な思いを明かした。「なかなか自分たちの思い通りにならない時間が多くて。それでも同期がいたから、まとまって頑張ろうと思えました」。リーグ戦前半は勝ちが見えない苦しい時期が続いた。また、チームが勝てない中で、土家は自身のプレーのあり方についてもさまざま悩み続けた。そんな中、彼を支えたのは同期の存在だった。リーグ戦第26節の中大戦のあと、土家は「4年生全員がベンチにいることで、僕的にも心の支えになります」と話していた。コート上では唯一の4年生としてチームを引っ張ることも多いが、試合前やハーフタイムでは4年生同士で話している場面をよく見かける。そんな心の支えもあったからこそ、リーグ戦後半にかけて、土家らしい思い切りのいいプレーが見られるようになった。そしてチームとしても少しずつ成長し、1部残留とインカレ出場を決めた。入れ替え戦での勝利のあと、土家は今後に向けてこう話した。「せっかく残り1カ月(バスケットボールが)できるのなら、思い切り楽しまないと損ですし、チームにとってもマイナスになってしまいます。もちろん、周りからの評価とかいろいろな葛藤はありますが、もうそんなの気にせずに4年生でやるのなら楽しんでやってやろうという気持ちです」。強く前向きな言葉に心動かされた。

(記事 落合俊、写真 権藤彩乃)

第98回関東大学リーグ戦 1部・2部入れ替え戦 11月11日(vs東洋大)
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

27 18 25 17 87
東洋大 17 20 22 17 76

◇早大スターティングメンバー◇
G#5 堀陽稀(スポ1=京都・東山)

G#12 土家大輝(スポ4=福岡大大濠)

F#13 星川堅信(スポ3=京都・洛南)

G#18 岩屋頼(スポ1=京都・洛南)

F#77 石坂悠月(スポ2=東京・国学院久我山)

コメント

神田誠仁主将(社4=静岡・浜松開誠館)

――試合を終えて、今のお気持ちは

 ホッとした、しかないです。このリーグ戦が始まってから負けが続いていて、後半に関しては早稲田を1部に残すことや後輩たちを2部でプレーさせないことに対する気持ちやプレッシャーだけでした。それを達成できて、本当にうれしいです。

――勝因はどこにあると思いますか

スコアを取り続けられたという部分です。自分たちは85点取るバスケットを目指しています。(この試合で)相手の点数が増えてる場面でも、87点を早い展開で取り続けられたことは一番大きいポイントだと思います。

――1部残留、インカレ出場は1つの大きな通過点だと思います。ここまでを振り返っていかがでしたか

自分たちが目標とするバスケットボールがあって、それを春は大東(大東大)に負けてうまくいかなくて。早慶戦ではいいかたちをつくることができて、この流れで行こうという感じだったのですが、リーグ戦で関東1部相手にうまくいかないことがたくさんあって、目指すバスケットボールとはかけ離れたバスケットボールをしていました。今回の最後のゲームでは、ディフェンスに関してはまだまだ課題が残るのですが、オフェンスに関しては87点を取ってペース85を超えていて、ディフェンスリバウンドもかなりの本数取っています。そこは1つ自分たちが目標とするところに近づいてはいると思います。

――早稲田らしいバスケットとは

泥臭いディフェンスとルーズボールとリバウンド。本当にそこだと思うんです。 ただ、それだけではなくて、 この3日間は東洋大相手に学生コーチがとにかくスカウティングをやってくれていて、僕らは東洋大のプレーが全部頭に入っています。それぐらい頭を使って学生コーチが寝る間も惜しんでやってくれているのを選手が体現する。それも1つの早稲田らしさだと思います。

――インカレまでどんな準備をしてきたいですか

正直1部に早稲田を残すことしか、本当に考えてこなかったので、インカレはまだ正直イメージできていないのですが、早稲田は一昨年に日大を破って、 その前も大東を喰って6位までいったり、上位校相手に1つでも多く勝ちを重ねられるチームだと思います。少しずつリーグ戦と入れ替え戦を通してチームとしても成長していると思うので、この1カ月間で仕上げて、またさらにいいチームになって戦っていきたいと思っています。

土家大輝副将(スポ4=福岡大大濠)

――試合を振り返っていかがですか

(試合の)入りは良かったのですが、集中力が切れてしまう部分というのは昨日と一緒でありました。プレータイムが長くなる選手が多い中で、どうしても仕方ない部分ではあるのですが、そこを声でカバーしたりだとか、重要なポイントを抑えていく徹底力はまだ欠けてるかなと思います。しかし、勝ちきれたというのは正直ほっとしています。

――2回戦を終えてから何を話しましたか

第3Qにかけて相手のリバウンドとスリーポイントで流れを変えられてしまったので、そこを徹底しようという話をしました。

――その点は振り返っていかがでしたか

まだまだ100点とは言えないですが、勝負所でしっかりとボックスアウトして抑えて、ブレイクというので最後まで繋がったので、そこは良かったと思っています。

――インカレ出場は1つの大きな通過点ですが、ここまでの道のりを振り返っていかがでしたか

正直とてもキツくて、逃げたいという気持ちに何回もなりました。なかなか自分たちの思い通りにならない時間が多くて。それでも同期がいたから、まとまって頑張ろうと思えました。それが粘りに繋がったのかなと思います。

――インカレ出場、1部残留を決めた大きな分かれ目はなんでしょうか

勝負所のリバウンドとディフェンスです。リーグ戦通しても前半戦えるけど、最後追われて負けるというケースが多くて。この3試合に関しては追い上げられてはいるのですが最後しっかり勝負どころで自分たちのやりたいことができて、勝ち切れたのでそこが一番の収穫です。

――土家選手自身、リーグ戦で自分のプレーにも悩んできたと思います。今感じている、これから貫いていきたいプレーは何ですか

せっかく残り1カ月(バスケットボールが)できるのなら、思い切り楽しまないと損ですし、チームにとってもマイナスになってしまいます。もちろん、周りからの評価とかいろいろな葛藤はありますが、もうそんなの気にせずに4年生でやるのだったら楽しんでやってやろうという気持ちです。

――インカレに向けての意気込みをお願いします。

1部にも残留できましたし、インカレにも出られることが決まって、後輩たちに何か残してあげたいなと思っていて。もちろん、結果で日本一を目指すのもそうなんですけれど、チームとして「あのチーム、いいチームだったね」と言われるように残り1週間、チームのためにできることを4年生が体現して、いいチームができればと思っています。

石坂悠月(スポ2=東京・国学院久我山)

――試合を終えて、今のお気持ちは

まず勝てて良かったです。今日勝ちきれたのは、早稲田らしさが出たところが一番だと思っていて、ディフェンスだったり、ルーズボールだったり、そういった泥臭いところを最後までやり切れて、粘り強くできたから、それが勝ちにつながったのかなと思います。

――昨日の試合を終えてチームで話したことは

第1戦、第2戦と3Qの入りが良くなかったので、今日は3Qの入りだけは頑張ろうと思っていました。リバウンドであったり、自分のやるべき仕事を徹底できたので、そこは良かったところだと思います。

――チームを鼓舞するタフなプレーが見られました。ご自身で振り返っていかがでしょうか

僕の仕事はリバウンドだったり、体張ったり、そういうプレーだと思うので、そこを最後まで徹底できたことは、良かったかなと思います。

――インカレに向けての意気込みをお願いします

インカレでも、早稲田らしさだったり、見ている方々が早稲田を応援したくなるようなプレーをみんな先輩、後輩関係なくしてくれると思うので、そういったところに注目してみてほしいです。