青学大に粘り勝ち 9位でリーグ戦を終える

男子バスケットボール

 およそ1カ月に及んだ関東大学リーグ戦(リーグ戦)もついに最終戦。前回王者・大東大を倒し、勢いに乗る早大は青学大と対戦した。試合は、序盤から互いに点数を取り合う拮抗(きっこう)した展開となった。持ち味であるディフェンスからの速攻で早大が先手を取ると、徐々に点差が開き、11点リードで前半を終えた。後半戦では、青学大もエース・相原アレクサンダー学を中心に底力を見せ、追いつかれそうな時間帯もあった。一方で、「我慢我慢と言い続けて勝ちにつながった」とF星川堅信(スポ2=京都・洛南)。最後まで粘り強くディフェンスを続けた早大が、僅かなリードを守り切って試合終了のブザーが鳴った。リーグ戦第11節を勝利で飾った早大は、戦績を3勝8敗として、1部リーグ9位で今大会の幕を閉じた。

 早大の初得点は、「リーグ戦を通して5番ポジションをやりつつ、少しずつ外のプレーもできるようになってきた」と話す、チームの大黒柱・F宮本一樹(スポ4=神奈川・桐光学園)のスリーポイント。その後も宮本と星川のポストプレーを起点に点数を取る早大に対し、青学大も順調に得点を重ね、まさに一進一退の状況が続いた。この均衡を破ったのは、F小野功稀(社1=新潟・開志国際)だった。G土家大輝(スポ3=福岡大大濠)からパスを受け、アリウープを決めると、立て続けにスリーポイントも沈め、流れを引き寄せた。早大は8点リードで第1Qを終えた。しかし第2Q序盤、青学大の鋭いドライブを止めることができない。開始3分で1点差まで詰められ、早大はすかさずタイムアウトで立て直しを図る。すると再開直後、星川やG神田誠仁(社3=静岡・浜松開誠館)が執念のリバウンドを見せ、我慢の時間帯を乗り切った。その後もディフェンスで24秒バイオレーションを奪うと、そのままF石坂悠月(スポ1=東京・国学院久我山)がバスケットカウントを決めるなど、早大が息を吹き返した。11点リードで試合は後半戦へ。

早大の初得点となった宮本のスリーポイント

 第3Q、青学大のエース・相原アレクサンダー学の気迫のこもったドライブやタフショットをねじ込まれ、流れが傾きかける状況が続く。しかし早大も、宮本のポストプレーを中心に得点を重ね、前半で奪ったリードを保つ。56−47で、試合は最後の10分間へ。第4Q序盤は、両者共ほとんど得点が動かなかった。しかし終盤に差しかかると、意地を見せた青学大が連続得点を決め、残り3分で5点差。しかし、この苦しい時間帯を、星川が時間いっぱいのミドルシュートを決めて切り抜ける。最後はファウルゲームとなったが、土家が冷静にフリースローを決め、勝負あり。最後までリードを守り抜いた早大が、70−61でリーグ最終戦に勝利した。

ピンチを救った星川のシュート

 リーグ戦序盤では、けが人が多かったこともあり、なかなか勝利できず、個人としてもチームとしても苦しい状況が続いた。しかし終盤にかけて、チームとして大きな飛躍を見せた。F津田誠仁主将(スポ4=京都・洛南)は「自分たちの課題であった部分に対するアプローチがすごくうまくなった」と成長を評価した。特に最後の2試合は、これまで課題としてきた部分の多くを克服できたはずだ。誰か一人ではなく、全員でつかんだ1部リーグ9位。次戦は11月11日、全日本大学選手権(インカレ)出場権を賭けて東洋大と対戦する。インカレ出場まで、あとは白星1つを残すのみだ。

(記事 落合俊、写真 宮島真白)

第97回関東大学リーグ戦 11月7日(vs青学大)
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

26 16 14 14 70
青学大 18 13 16 14 61

◇早大スターティングメンバー◇
F#7 宮本一樹(スポ4=神奈川・桐光学園)

G#12 土家大輝(スポ3=福岡大大濠)

F#13 星川堅信(スポ2=京都・洛南)

F#14 小野功稀(社1=新潟・開志国際)

F#77 石坂悠月(スポ1=東京・国学院久我山)

コメント

津田誠人主将(スポ4=京都・洛南)

――リーグ戦を終えて、今の率直な気持ちをお聞かせください

自分は1戦目で離脱するかたちになったのですが、チームとしてまとまって一人一人の最大限の力を発揮して、勝利をつかむことができたのは率直にうれしいです。

――特に成長を感じたのは、どのような部分ですか

一概には言えないのですが、自分たちがしんどい時間帯や入りの時間帯など、自分たちの課題であった部分に対するアプローチがすごくうまくなったと思っていて、何かがというよりも向き合い方がすごくうまくなったと思います。

――下級生の活躍も見られました。主将としてどのように感じていますか

やはり大学では4年生が最上級生ということで、面倒を見てあげるという面で、彼らには思い切ってプレーしてほしくて、そのように1年間言ってきました。それが今になって、やっと実ってきたのかなという感じです。

――チームを支えた4年生たちには、どのような言葉をかけたいですか

スタッフも含め、元からポテンシャルが高い人たちの集まりだと思うのですが、それを最大限発揮できていなかったのが現状だと思っていました。このリーグ戦を通して、下級生や4年生も成長してきたと思うので、まずはお疲れ様と言いたいです。

――インカレチャレンジマッチへの意気込みをお願いします。

自分たちの力で、2部リーグの4位の東洋大と対戦する切符をつかみました。最終目標である日本一を目指すためには、落とせない試合となります。なので全身全霊をかけて、その一戦だけにみんなが集中して臨むと思うので、必ず勝つというのは確信しています。

宮本一樹(スポ4=神奈川・桐光学園)

――リーグ戦を終えて、今の率直な気持ちをお聞かせください

前半はなかなか勝てなくて、チームとしても機能せずうまくいきませんでした。その中で、ここ4試合くらいは手応えを感じる試合ができて、最後には自分たちのやりたいバスケットを体現して、結果につながったことが率直にうれしいです。

――試合中の勝負所では、宮本選手にボールが集まる場面もありました。ご自身のプレーを振り返って、いかがでしたか

昨日は4番ポジションの相手を攻めることが多かったのですが、それを見せたことで今日は対策されてしまって、自分自身としてはあまりいいプレーはできませんでした。今日はチームで勝ったというかたちで、星川や土家がオフェンスの起点になってくれた分、自分はリバウンドで貢献できたかなと思うので、チームとしては良かったかなと思います。

――リーグ戦全体を振り返って、チームとして成長した部分はありましたか

言ってしまえば、ほぼ全部です。リーグ戦の前には、チームとしての軸というものがありませんでした。言葉にするのは難しいのですが、リバウンドやチームの決められたディフェンスルールなどもリーグ戦の前には、徹底することができずに、相手にやりたいことをやらせてしまっていたのですが、ここ3試合は、全員がチームルールを徹底することができました。リーグ前には、個人技というか、個が集まった団体という感じで、あまり集団という感じではありませんでした。けれど集団になるにつれて、個が合わさって、横のつながりもありつつ、チームとして成長していったと思います。

――個人として成長した部分はありましたか

昨年までは、小室選手(小室悠太郎、令2社卒)という圧倒的な5番がいたのですが、いなくなって自分が5番ポジションをやらざるを得なくなりました。それまで留学生につくこともなかったし、今年はやりづらかったという印象もあります。その裏で、逆に小室選手が昨年までとても苦労していたのだと、4年生になって感じました。プレー面でも下級生の頃とは違って、一つ一つで流れが変わってしまうのだと意識するようになるとプレッシャーを感じていました。最後には4年生の責任というようになってしまいます。いい意味で4年生が引っ張っていくという部分は、終盤にかけてできてきたのかなと思います。プレーでは、大けがをしてしまったこともあり、なかなかアクティブにすることは厳しかったのですが、今できる最大限のプレーはしたつもりです。リーグ戦を通して5番ポジションをやりつつ、少しずつ外のプレーもできるようになってきたので、この先将来を見据えて、さらに成長できたらいいなと思います。

――インカレチャレンジマッチに向けて、意気込みをお願いします

僕らが9位になって、相手は東洋大になると思います。ここまで相手を意識するのではなく、自分たちは自分たちのスタイルを貫いてきました。なので、相手が誰になろうと関係ないと思うし、木曜日に負けてしまったら、今日と昨日で勝った意味がなくなってしまうと思うので、それに向けて最大限の準備をしていけたらいいなと思います。

星川堅信(スポ2=京都・洛南)

――リーグ戦全11試合を終えた今の率直な感想を聞かせてください

疲れました(笑)。

――では、昨日の勝利に続いて2連勝を挙げました。振り返っていかがですか

先週あたりから、プレーしていてチームの成長を感じることが増えてきました。昨日、今日と勝てて良い流れに乗ってきていると思うので、また明日から練習して木曜日の(インカレ)チャレンジマッチに挑みたいと思います。

――成長を感じたというのはどのような部分でしょうか

まとまりを感じるようになったというか、みんなで勝とうというのを表現できるようになったと感じます。

――今日の試合は我慢する時間帯が長かったですが、そこはいかがですか

出だしを大切にしようと言っていました。しかし、最初はどちらのチームもリードするということもなくて、そこから僕たちがちょっとリードして、追いかけられるという感じでした。これまでのリーグ戦では、リードしたけれどひっくり返されたという試合もあったのですが、そこをみんなで耐えよう、我慢我慢と言い続けて勝ちにつながったので良かったなと思います。

――最初に「疲れました」とおっしゃっていましたが、リーグ戦全体を振り返ってどのような感想でしょうか

(通常であれば)これが2周あると思うと、すごくタフな大会だなと思います。僕としては初めてのリーグだったのですが、1試合だけでは感じられない、みんなで頑張ろうというチームのまとまり、成長できるなというのをすごく感じました。インカレにつながるようにここを切らさずに頑張っていきたいです。

――スコアラーとして頼られる場面が多く見られました。ご自身ではどのように考えていますか

僕は結構ボールを持つのが好きで、長い間ボールを持ってやりたいなというのがあるのですが、それをチームのパッシングの中でみんなでボールを共有しながら攻めようというようにしてきました。そこで、僕のわがまま、いいように言ったら僕の良さというのをどのくらいチームの割合に対して入れてもいいのかを悩んでいました。ボールを持ちたいというものの、ずっとボールを持っていて得点できるような実力はないし、そこはまだまだです。けれど、最近はちょっと自分のやりたいことの割合を少し増やして、みんながそれを許してくれているので、その期待にちゃんと応えられるようにタフショットは打たないとかシュートセレクションを考えるだとかチームの流れを考慮して点が取りたいです! 

――リーグ戦を通して個人として成長できた部分はどこですか

成長できた部分としては、今まではチームの役割を全うしようという考えだったのですが、(リーグ戦の)後半に入ってきて自分でやってやろうというように思ってきました。それがいい方向に転んだかなというのがあります。チームを壊さないようにそこができたかなと思います。

――一方で、見つかった課題などはありますか

足りない部分としては、オフェンスリバウンドは全然取れていないです。4ポジで出る時もあったし、そこはちゃんといけるようにしないとなと思います。あとは、僕はフルで出ることが多くて、足がつってしまった試合もあったので、そこのコンディションの問題を食事や睡眠に気をつけて改善していきたいです。

――最後に、木曜日のインカレチャレンジマッチに向けての意気込みをお願いします

負けたら終わりということで、相手もそれは思っていると思うし、自分たちももちろん思っていて、その気持ちをどれだけ表現できるかだと思います。勝ちに集中するというよりは、自分たちのやりたいこと、やらなきゃいけないことをしっかりやって、それが勝ちにつながれば一番いいかなと思います。まだまだ4年生とプレーしたいですし、絶対に勝ちたいです!